買い物山脈

PlayStation 4を買いに米国に行きました(続編)

~イロイロと設定して試してみた

品名
PlayStation 4
価格
399.99ドル
使用期間
2日
「買い物山脈」は、編集部員やライター氏などが実際に購入したもの、使ってみたものについて、語るコーナーです

Xbox Oneは泣く泣く諦めPlayStation 4(PS4)だけを購入

 米国で11月15日深夜に発売された「PlayStation 4(PS4)」を、さっそく買ってみた。発売日に米国に滞在する日程を取って、リリース日に買いに走った。いったい、ゲーム機にかけるこの情熱はなんなんだろうと、自分でも不思議になる(笑)。人にはよくゲーム機マニアだと言われるけど、それは正しい。

田舎のトイザらスでWii Uの予約開始を待つ列はたった2組

 実際、歴代ゲーム機そのほとんどは、ちゃんと発売日に買っている。最近も、「3DS」や「Wii U」、「PS Vita」だって、リリース日に買った。もっとも、PS Vitaは、予約開始の早朝に、奥さんに並んでもらったのだけど(笑)。奥さんが並んだのは地元のトイザらスだったのだが、すぐに「10人くらいしか並んでないけど、本当に今日なんだよね?」と不安そうに携帯で連絡が来た。次のWii Uは、自分で予約開始日に地元のトイザらスへ次男と朝早く並びに行ったら、最終的に列に並んだのは2組だけだった。

 今回も、本当はPS4だけでなく、「Xbox One」も欲しい。できれば、発売日に欲しい。なんと言っても、あの「Kinect2」。鼓動まで検知してしまう高精度の深度センサーが標準搭載されているのは魅力だ。でも、残念ながら、今回は日程がどうしても合わず、Xbox Oneの発売日には買いに行くことができない。泣く泣くXbox Oneは見送って、PS4に賭けることにした。

 話を元に戻すと、現在はPS4 2日目で、楽しんでいる。初日の「PlayStation Network (PSN)」ネットワークの過剰負荷による不調も、2日目には収まった。初日は、PS4を手に入れた深夜0時から朝まで、さまざまな設定や、各タイトルのパッチダウンロードなどに費やしてしまった。初期設定は前回の記事通りだが、そのほかにもカメラセットアップやPS Vitaの接続など、色々とやることがあったからだ。

ホテルの部屋に設置したPlayStation 4

顔認識でログインできるPS4

 PS4のカメラ「PlayStation 4 Camera」はオプションで、従来のPLAYSTATION 3(PS3)用カメラ「PlayStation Eye」を2個くっつけたような仕様の2眼ステレオカメラとなっている。視差を使うことで深度を計測できる。このカメラを、とりあえずTVの上に設置する。

 カメラを設置するとカメラの設定画面となる。カメラからの映像が映し出され、顔認識ウインドウと2眼カメラでの奥行きの測定作業に入る。顔を枠の中に収めると、自動的に奥行き調整に入る。部屋が暗かったりするとエラーが出る。うまくいく時は1分程度で終わる。

 PS4は顔認識ログインもサポートしているが、これにも顔データの登録作業が必要となる。ログイン設定で「顔認識を有効にする」を選ぶと、登録フェーズに入る。部屋の照明設定のインストラクションがあり、次にカメラからの映像となり、顔認識ウインドウが出る。顔が特定されると、今度は別アングルでの顔撮影に入る。

 どういうことかというと、顔の角度や向きを変えて、そのデータを登録する。指示に従って顔の向きを変える。一般に、コンピュータが顔認識をする時には、顔パターンとの照合を画面に対して総当たりで行なう。正面を向いた顔パターンしか記録していないと、ユーザーの顔の角度や向きが違っていた場合に、マッチしたパターンを拾うことができない。そのために、データベースを増やしていると見られる。

限定された音声コマンドを受け付ける

 顔データを使ったログインプロセスは、前回の記事で説明したコントローラのPSボタンを押すログインと連携する。PSボタンを押すと、コントローラがPS4と接続され、通常はログインユーザーを選ぶ画面となる。しかし、顔データを登録してあると、左下にカメラ映像が映り、「登録されている顔を探しています」とメッセージが出る。

 登録されているユーザーの顔を発見すると、PS4にユーザーが自動的にログインされる。しかし、PS4ではログインユーザーは、コントローラに紐付けされる。そのため、顔認識したユーザーがどのコントローラを持っているのかを認識する必要がある。

 そこで、PS4では、コントローラをカメラに見せるようにというメッセージが出る。コントローラは正面にLEDが点灯するようになっており、PS4に接続されたコントローラは1台1台、このLEDのカラーが変わる。デフォルトの1番目のコントローラはブルーで、コントローラをカメラに見せると自動的にひも付けされる。これで顔認識ログインが完了する。

 ちなみに、PlayStation 4 Cameraにはマイクも付いており、ごく単純な音声コマンドを受け付ける。PS4を点けっぱなしにしていて、ふと見ると、画面の下に「声で操作を始めるには『PlayStation』と言ってください」というメッセージが出ることに気が付いた。咳払いしたりすると、マイクが音を拾ってユーザーがいることを認識して、このメッセージを出してくる。

 試しに、「PlayStation」と言ってみると、今度は下のバーに「はじめる」、「電源」、「スクリーンショットを撮る」、「ログインする」、それから「ゲームを選ぶには、ゲームの名前を言ってください」と出る。そこで、「アサシンズクリード」と日本語発音で言うと、ちゃんとゲームタイトルが選択される。そこで、「はじめる」と言うと、ゲームがロードされる。MicrosoftもKinectで音声コマンドをやっているが、その限定されたバージョンの雰囲気だ。

AR(拡張現実)アプリのプレイルームを標準搭載

 PS4には標準でカメラを使うアプリケーションがインストールされている。それが「プレイルーム」だ。ついでだからこちらも設定してしまおうと、プレイルームを立ち上げると、再びセットアップ画面となる。TVから2mの範囲のプレイ空間が必要だから、テーブルなどをどかすようにとメッセージが出る。例によって日本のリビングルームではハードルの高い指定だ。次にカーテンを閉めて照明を点けるように指示される。これで昼間からカーテンを閉め切っている怪しい家の出来上がりだ。

 次にカメラを床から50cmの位置に移すように指示される。そこまでの設置が終わると、再びカメラ映像が映し出され、お手本と同じ程度の空きスペースができているかチェックするように言われる。そこまでが終わると、今度はコントローラを見せる(正確にはLEDバーを見せる)ようにメッセージが出る。

 コントローラを認識すると、“スキャニング”と称するプロセスになり、次にTVに映っているカメラ映像の中のコントローラが光り、コントローラの機能紹介のようなことを始める。この時に、コントローラを動かすと、映像の中のコントローラもそれに合わせて向きを変える。

 それが終わると、今度はコントローラのタッチパッドをこするように指示される。こすると、光の粉がコントローラから飛び出すAR映像となり、ボール型ロボットのASOBIが飛び出して自分の周りを回る。プレイルームのメニューがドラム型に自分を取り巻くように表示され、ASOBIのほかに小さなARボットをたくさん出して自分の周りにまとわりつかせたり、2人でプレイするARホッケーなどのメニューが選択できる。ARボットはプレーヤーが動くとぶつかったり、かき分けられたりする。

 結局のところ、このプレイルームは、PS4の2眼カメラでできるARアプリのショールームだが、PS4ではカメラが標準ではないため、位置付け的にはかなり難しい。

OSのユーザーインターフェイスが変わった

 今回のOSからインターフェイスは大きく変わった。PS3は、XMB(クロスメディアバー)と呼ばれるUI(ユーザーインターフェイス)だったが、PS4は全く違う。また、PS3では、UIなどは基本はゲームが立ち上がるとメモリから追い出されていたが、PS4ではOSのUIが常駐する。

 つまり、PS3ではアプリケーションランチャーのようなUIだったのが、PS4では普通のPC OSのようなUIになった。ゲームからいつでもUIに戻り、OSの各種の機能モジュールを呼び出すことができる。PS3時代と比べると格段にメモリ容量に余裕ができたためだ。もっとも、ほかのゲームなどメモリ容量を消費するアプリを立ち上げようとすると、現在動作中のゲームを終了していいかどうかを聞いてくる。ちなみに、OS自体はFreeBSDに、一部APIを旧OSから移植したものだ。

 PS4のUIのメインメニューは2階層構造で、上に一列の基本メニューが並び、下にコンテンツメニューが並ぶ。方向キーかアナログスティックで上へと動かすと、上段の基本メニューの選択画面になる。メニューは左から「PlayStation Store」、「お知らせ」、「フレンド」、「メッセージ」、「パーティ」、「プロフィール」、「トロフィー」、「設定」、「電源」となっている。

 お知らせメニューは、SCEからの通知やアラート、それにアップロードとダウンロードの管理メニューなどから成る。アップデートパッチやダウンロードコンテンツなどのPSNからのダウンロードは、ここで一括管理される。ダウンロードに失敗した場合のリトライなども操作できる。また、SNSへのプレイ画面や動画のアップロードなども、ここで管理される。

どんどん増えるメニュー項目

 下段は流行のタイル型のメニューで、こちらはコンテンツをインストールするとどんどん増えて行く。増えるとタイルは横に伸びて行く仕組みとなっている。

最初の頃のタイルメニュー
2日目のタイルメニュー

 タイルメニューの基本は「What's New」、「インターネットブラウザ」、「プレイルーム」、「Live from PlayStation」、「ライブラリー」。映像系サービスの「テレビ&ビデオ」やソニーの映像配信サービス「Video Unlimited」、ソニーの音楽配信サービス「Music Unlimited」などもここにタイルが並ぶ。インストールしたゲームもここだ。

 タイルの下には詳細が表示される。例えば、テレビ&ビデオなら、下に「hulu Plus」や「Netflix」など各種映像配信サービスのメニューが並ぶ。もちろん、ここの中身は、日本版では日本向けサービスとなり、全く異なる。

無料プレイゲームを発売時に持ってきたPS4

 オンラインストアであるPlayStation StoreもPS4になって一新された。メニュー項目としては上から、ピックアップした項目を表示する「Welcome」、PSNの中で会費制のサービスを提供する「PlayStation Plus」、それから「Games」、「Movies」、「TV Shows」、「Apps」と続く。Appは何かというと、現状ではTV&ビデオ系のサービスのインターフェイスアプリが並んでいるだけだ。

 ゲームのストアはさらにサブカテゴリに分かれる。今回、PS4はパッケージとして市販しているタイトルもデジタル配信しており(といっても価格は同じ)、さらにデジタル配信オンリーのタイトルも揃えている。ゴトウは今回、「Knack」を買い逃したが、もし店舗で買えなかった場合はダウンロード版を購入しようと考えている。この選択肢がある点がうれしい。

 ゲームストアで目立つのはローンチに「Free-to-Play」、つまり無料でプレイできるタイトルをいくつか揃えたこと。通常は有料で、PlayStation Plus会員は無料ダウンロードできるゲームもあるが、発売日に米国でPS4を買ったユーザーには、1年間のPlayStation Plus会員権が付いてくるはずなので、現時点では事実上“Free-to-Play”だ。そうしたタイトルの中には、横スクロールのシューティングゲーム「Resogun」などが含まれる。

PS4ではインディゲームの取り込みにも熱心

 海外ではゲーム開発ではインディ(独立)系デベロッパが盛り上がっており、いかにインディを取り込むかがゲームプラットフォームの課題となっている。PS4も発売のタイミングでインディタイトルをいくつか揃えている。目玉の1つは「Flower PS4」で、PS3版をPS4版へとグレードアップしたことで、両マシンの比較のいい指標になっている。

 このほかに、ゲームのアドオンと、それからPS4ならではの「PS3 to PS4」のアップグレード購入のコーナーがある。これは、PS3版のゲームを購入したユーザーが、9.99ドル程度で、同じゲームのPS4版をダウンロード購入できるという特典。今回は、PS3とPS4(さらにはXbox OneとXbox 360も)のクロスプラットフォームタイトルも多い。特にビッグタイトルほどその傾向が強く、そのため、SCEはクロスプラットフォームタイトルファンをいかに新世代機に呼び込むかを考えなくてはいけない状況にある。

 ストアメニューの一番下には、ポイントのチャージメニューがある。今回は、PS4のパッケージについてきた初回特典のクーポン類の入力があった。1つは、PlayStation Plusの1年間メンバーシップのクーポン。PlayStation Plus用の無料コンテンツやオンラインマルチプレーヤーサービスなどが使えるようになる。そのほかに、PlayStation用オンラインストアの「PlayStation Store」の20ドルクレジットも付いていた。これらの特典は12桁のコードとして提供されている。ストアの「Redeem Codes」を選び、12桁コードを入れるとサービスが有効化される。

 ゲームの購入のプロセスは、これまでのPlayStation Storeとほとんど変わりはない。ゲームを選んでカートに入れる。チャージしてあるポイントから支払ったら、あとはダウンロードするだけだ。2日目になると、PSNの混雑もほぼ緩和されて、PSNからのダウンロードコンテンツも落としやすくなった。

きめ細かな設定項目

 上段のメニューバーの右端近くには設定項目のメニューもある。PS3も設定項目が非常に細部に渡っていたが、PS4も同様だ。ブラックボックス化をできるかぎり避けて、ビジブル(可視的)に設定できるようにするという思想はPS3から引き継がれている。

 項目としては「PSN」、「お知らせ」、「ログイン設定」、「ペアレンタルコントロール」、「アプリケーションセーブデータ管理」、「本体ストレージ管理」、「システムソフトウェアアップデート」、「ネットワーク」、「サウンドとスクリーン」、「PlayStation App接続設定」、「PS Vita接続設定」、「ビデオ再生設定」、「周辺機器」、「日付と時刻」、「言語」、「省電力設定」、「システム」、「初期化」が並んでいる。

 省電力設定では、PS4の電源を切るまでの時間やスタンバイモード中の動作などを設定できる。この項目はシステムメニューの中の自動ダウンロード/アップロードの設定とも連携している。ネットアクセスと自動ダウンロード/アップロードの両方をオンにすると、システムソフトウェアやアプリケーションのアップデートを自動的にダウンロードし、セーブデータをオンラインストレージに自動的にアップロードする。こうした処理のほとんどは、PS4のAPU(Accelerated Processing Unit)本体ではなく、セカンダリチップが行なうため、電力の消費は少ない。

 本体ストレージ管理では、何がディスク容量を使っているのかが分かる。パッケージで買った「Killzone Shadow Fall」、「Call of Duty: Ghosts」、「Assassin's Creed IV Black Flag」の3タイトルが、それぞれ数十GBをHDDに記録しているため、ダウンロードコンテンツと相まって、すでに110GB以上が消費されてしまっている。アプリケーションのアンインストールも、このメニューでできる。実は、これは整理したあとで、整理する前は128GBがアプリケーションで占められていた。

 ちなみに、PS4のHDD容量は500GBで、ユーザーが使用可能な容量は409GB。もちろん、ディスク容量の計算の仕方の問題で、これはシステムが100GB近くを取っているという意味ではない。しかし、2日間で400GBのうち100GBを埋めてしまうとなると、500GB HDDが必要だと判断した理由も分かる。SCEはPS4にSSD NANDフラッシュを積むこともできたが、容量を確保したいためHDDを選んだと説明している。

 PS4では、ゲーム中の画像や映像をボタン1つでキャプチャできる。キャプチャした画像や映像も、このストレージメニューで削除できる。ゴトウの場合は、面白がってゲーム映像を撮っていたら、あっと言う間にビデオだけで数十GBに達してしまった。注意していないと、キャプチャでディスクが食われてしまう。

(後藤 弘茂 (Hiroshige Goto))