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1兆ドルのAI推論市場をリード。NVIDIA「Vera Rubin」と次世代LPU構想
2026年3月17日 16:51
NVIDIAは、AI関連ソリューションの年次イベントとなるGTC 2026を、3月16日~3月17日(現地時間)に米国カリフォルニア州サンノゼ市にあるSan Jose Convention Center(SJCC)などの会場で行なった。3月16日午前には、同社の共同創始者でCEOのジェンスン・フアン氏による基調講演が行なわれた。
この中で、フアン氏は開発中のゲーム高画質化技術「DLSS 5」を公開したほか、新しいAI向け半導体ロードマップを紹介。さらには2025年~2027年にはAI推論向けの市場が1兆ドルを超えると述べ、AI推論市場の勃興によりNVIDIAのAI向け半導体ビジネスにもさらなる成長の可能性があると示唆した。
ニューラル技術をさらに応用して高画質化を実現するDLSS 5をデモ
NVIDIAが開催しているGTCは、基本的にはAI向けのソリューションなどを説明する年次イベントになっている。従来は年1回の開催だったものが、一昨年からは秋頃にGTC DCと呼ばれる、米国の首都ワシントンD.C.で開催されるイベントも行なわれるようになっており、年2回の開催となっている。
今回のGTC基調講演の冒頭で、CUDAが20周年を迎え、それが始まったのがゲーミング向けGPUであるGeForceシリーズだと振り返った。
CUDAは、現在エンタープライズ事業の事業本部長であるイアン・バック氏などが開発してNVIDIAに持ち込んだソフトウェア開発環境がベースになっている。2010年代の半ばに起きたディープラーニングを活用したAIブームで、AI学習を効率よく行なう演算環境としてCUDAとGPUが使われるようになった。その後AI向けGPUは、当初「Tesla」というブランドでGeForceから分離し、現在は「NVIDIA GPU」という名称で展開されている。
フアン氏は「CUDAはインストールベースが増えると、開発者にとって魅力的な環境になり、新しいアプリケーションが開発される。するとそこからブレークスルーが起こり、イノベーションにつながり、エコシステムが発展するという循環が起きている」と述べた。
「CUDAの旅はGeForceから始まった。そのGeForceは今でも我々にとって重要な製品だ。そのGeForceの画質を向上させる機能としてDLSSがあるが、DLSSにAIを活用するようになってその表示品質は上がり続けている。今日はその最新版となるDLSS 5を皆さんに紹介したい」と述べ、NVIDIAが開発しているDLSS 5のデモを行なった。
最新のGeForce RTX 50シリーズには、第4世代のDLSSが採用されている。DLSSは、いわゆる超解像技術と呼ばれる、低解像度でレンダリングした3Dを、GeForce RTXシリーズに内蔵されているTensorコアなどのAIエンジンを活用して効率よく高画質化する技術だ。今回発表されたDLSS 5はその名称からも分かるように次世代のDLSSとなる。
フアン氏はDLSS 5を「ニューロンレンダリングだ」と呼び、AIの技術を応用することで、さらに超解像時の画質を向上させることができる技術だと説明した。
なお、現時点ではRubinアーキテクチャベースになると考えられる次世代GeForceで動作するのか、現行のGeForceでも動作するのかなどは明らかになっていないが、DLSSのような超解像技術が、ゲームシーンを大きく変えてきたことを考えれば、今後の動向にも注目が集まるところだ。
AI推論市場は2025~2027年で1兆ドル規模の市場になるとフアンCEO、Vera RubinとGroq 3 LPUで他社を引き離す
通常、春のGTCは、NVIDIAが新しいデータセンター向けのGPUに関する新製品が発表される場として活用されている。しかし、今年(2026年)に関しては、1月のCESでCPUの「Vera」、GPUの「Rubin」、そして36基のVera CPUと72基のRubin GPUを1つのラックに収めた「Vera Rubin NVL72」を既に発表している。そのため、GTCでは推論向けのAIアクセラレータとなる「Groq 3 LPU」と、それを256基搭載したラック「NVIDIA Groq 3 LPX inference accelerator racks」(Groq 3 LPX)、およびVera CPU 256基から構成されている「Vera CPU racks」などの発表に留まった。
今回NVIDIAは、GTCにおいてさらに推論向けのソリューションを強化する方針を打ち出している。Groq 3 LPUとGroq 3 LPXはまさにそのための戦略製品で、多くの時間を割いて説明が行なわれた。
フアン氏は「AI市場には転換点が到来したと考えている。既にChatGPTが必要とする処理能力は、2023年の1万倍になっている。昨年(2025年)のGTCの段階で2025~2026年には500億ドルの市場可能性があると説明したが、予想をアップデートして、2025年~2027年に1兆ドルの市場規模だと予測している」と述べ、AI推論の市場が爆発的な勢いで成長する可能性があると説明した。
そうしたAI推論市場向けに提供していくのが、1月のCESで発表したVera Rubin NVL72であり、「Vera Rubin NVL72は推論市場でも高い性能を発揮する、H200 NVL8と比較して、電力効率では50倍、そしてコストでは35分の1だ」と述べ、Vera Rubin NVL72を「推論市場における王様だ」と表現して、その圧倒的な性能をアピールした。
さらにVera Rubinの後継となるVera Rubin Ultraや、144基までスケールアップできるVera Rubin NVL144なども公開し、近い将来にそうした製品を投入することで、さらなる性能強化が可能だとした。
また、今回のGTCで発表したGroq 3 LPUとGroq 3 LPXについて触れ、「Blackwellを利用したシステムと比較して、Vera Rubin NVL72の導入で企業の売上機会は5倍になるが、さらにGroq 3 LPXと組み合わせるとそれが10倍になる」と述べ、AI推論市場において、Vera RubinとGroq 3 LPUを組み合わせることでさらに高効率なAI推論のシステムを構築できるとアピールした。
2028年に投入するFeynman世代では、次世代LPUとなる「LP40」を投入
NVIDIAのデータセンター向けGPUのロードマップに関しても言及した。2028年に次世代GPUとなるFeynmanや次世代CPUの「Rosa」を導入するなど、発表済みの内容と大枠は変わっていないが、Rubin Ultra世代でNVLink 7が導入されること(このためVera Rubin Ultra世代ではNVL144が可能になると考えられる)、Groq 3 LPU(LP30)の後継として、NVFP4に対応したLP35がRubin Ultraのタイミングで導入されること、さらにFeynman世代ではLP40という次世代LPUが投入され、NVLinkに対応することなどが明らかにされた。
講演の最後にフアン氏は、近年話題になっているフィジカルAIに関して言及し、既にNVIDIAがフィジカルAIを実現するソフトウェアもハードウェアも準備が整っていると強調した。その上でディズニーと共同開発したという「アナと雪の女王」に登場するキャラクター「オラフ」の動作するロボットを公開した。そして最後には、バーチャル環境で作られたロボットたちが歌い踊る様子がリアルタイムで流され、2時間以上にわたる内容盛りだくさんの基調講演をしめくくった。






































