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日本マイクロソフト、新年度経営方針記者会見を開催

~2014年度はデバイス&サービスカンパニーへの変革を目指す

樋口泰行氏
7月2日 開催

 日本マイクロソフト株式会社は2日、7月1日より新会計年度を迎える同社の経営方針記者会見を開催。就任から6年目となる同社代表執行役社長の樋口泰行氏が、「デバイス&サービスカンパニーへの変革を目指す」という新たな目標について説明した。

 まず樋口氏は、直近の業績と市場動向を説明した。法人事業については、新政権発足以降のいわゆる「アベノミクス」効果もあり、2012年度、2013年度と2年続けて2桁の高い成長を記録。成熟市場としては、良い結果だと自負した。

 一方、コンシューマ事業については、安価なタブレットが台頭し、消費者の関心がそちらに移ったため、その影響を受けたと説明。しかし樋口氏は、「多くの(非Windows)タブレットユーザーは、PCも平行して使っており、Windows XPのサポート終了も近づいている中、タブレットでは多くのことができないと気付き始めている。(Windowsと非Windowsの)次の競争の段階では、機能性の高いWindows 8/8.1、そしてSurfaceに対する評価が上がっているだろう」と述べ、タブレットにコンシューマPC市場が食われているのは一時的であり、今後盛り返すとの楽観的な見方を示した。

 樋口氏は、2009年度の社長就任以降、3カ年計画に基づき、日本マイクロソフトの組織改革に取り組んできた。これは、その後の変革に備えるための、土台作りで、事業部間の壁を壊し、全社一丸となった事業が運営できるよう改革を断行してきた。その効果は、この2年で表立ってきており、日本で真に信頼される企業として、顧客からも評価を得られたとした。

 同社は全世界のMicrosoftの中で、2012年度にベストカントリーに表彰。2013年度の結果はまだ出ていないが、樋口氏によると2013年度もそれに近い位置にあるとした。

 そして、これからの2014年度については、本社と足並みを合わせ、WindowsやOfficeといった同社の主力事業であるソフトウェアから派生する、「デバイスとサービス」に事業の主軸を移すと宣言した。

2013年度の成果
2014年度はデバイス&サービスカンパニーへの変革を目指す

 これらの分野においては、同社は後塵を拝する状況となっているが、その自覚を持った上で、挑戦者としてアグレッシブな攻め方をするという。先だってのSurface RTの1万円の値下げもそういった施策の1つだが、樋口氏は、「先行する競合においても、ソフトウェア、デバイス、サービスの全てを一貫する形で提供できておらず、その点において、我々にはシームレスで総合的な価値を提供できる余地がある」と述べた。

 そのSurface RTについては、量販店での直近の販売台数が4週連続でiPadを超えたという。また、この第1四半期(7~9月)から法人向けに専任部隊を整備し、Surface Proを含め、販売体制を整えることを発表した。

 さらに、2013年中に出荷予定のWindows 8.1を見据え、全社員にタッチ対応端末を配布するとともに、営業体制を刷新する。また、アプリの開発支援規模を2倍に拡張するほか、Windows 8/8.1のエコシステム拡大に向け、10社以上のパートナーと共同でマーケティングを行なう。特にWindows 8.1では、Bing、Skype、SkyDrive、Outlook.comといった、同社のサービスがOSに密接に統合されることから、それに基づいた新たなユーザーシナリオを提案していく。なお、Bingについては、米国ほどのサービスが提供されていないが、Bing Mapについては日本でも近々大きな更新がもたらされる予定という。

 樋口氏は、Windows XP/Office 2003のサポート終了についても言及し、4月の説明会以降2カ月余りで、2014年4月のサポート終了についての認知度は20%向上し64%となり、Windows XPからの移行予定/検討の意向も20%上がり77%となった一方、国内のWindows XPの利用者数は6%減ったとの数値を公開した。とはいえ、まだ告知が行き渡ってない中小企業もあるので、さらに徹底した活動を行なっていくという。

 また、デバイスとサービス以外に、ソリューション事業について、先進国の中で日本はMicrosoft製品のシェアが低いことから、パートナーとの協業の下、独自に取り組みを強化する。クラウドについては、新たに事業推進室を日本独自で立ち上げ、社内で組織を横断した連携を取りながら、事業を拡大していく。

第1四半期中に法人向けにもSurfaceを販売
Windows XP/Office 2003は、この数カ月でサポート終了の認知度が一気に工場
日本独自にクラウド事業推進室を設立

(若杉 紀彦)