買い物山脈
PlayStation 4を買いに米国に行きました(続々編)
(2013/11/21 06:00)
PS4で一番うれしい機能はシェアボタン
PlayStation 4(PS4)を米国まで買いに来た。わざわざ米国に滞在して買うことになったので、PS4はこれまでで最も高くついたゲーム機になってしまった。PS4で個人的に最も嬉しかったのは、シェアボタンだ。こういう機能を何年も前から待っていたと言ってもいい。
ゲームプレイのムービーやスクリーンショットは、後で見ることができるように撮っておきたい。特に、感動したゲームは、クライマックスシーンを撮っておいて、あとでリプレイしたい。こう思う人は、絶対に少なくないはずだ。特に、たどり着くまでにすごく苦労するラストの方は、撮っておきたいシーンが多い。
ゲームの感動は、没入した疑似体験であるため、他のメディアと比べるとずっと深い……と個人的には思ってる。猛烈に感動したゲームになると、心に刻まれて忘れられないシーンがいくつもある。ゴトウがゲームをやり続けるのは、もう一度その感動を味わいたいがためだと思う。人生の貴重な時間のかなりの割合を費やしてゲームをするのだから、その記録を残したいというのは当然だろう。
昔からこう思っていて、以前はゲーム機とTVの間にビデオレコーダを挟み込んで、常にプレイを撮れるようにしていた。「零~紅い蝶~」の1人称モードのラスボス戦のような、2度とプレイしたくない厳しい戦いも、これでちゃんとムービーに残すことができた。でも、HDになってからは、そういう装備を整えていなかった。だから、PS4でゲームプレイの動画と静止画のキャプチャをボタン1つでできるようになったと聞いた時、とてつもなく嬉しかった。
というわけで、シェアボタンは、PS4で最も好きな機能だ。コントローラの左上のこのキーを押すだけで、ゲームプレイの映像やスクリーンショットを簡単に撮れるなんて、これまでを考えたら夢のようだ。しかも、それをワンタッチでネットワークにアップできる。
PS4のシェアボタンの機能
シェアボタンの機能は、ボタンを押した瞬間のゲームプレイのスクリーンショットと、ボタンを押した瞬間から過去に最長15分間“遡った”のビデオを、いったんHDDに保存し、SNSにアップロードすること。それから、ゲームプレイのライブをスタートさせることや、ゲーム情報をアップロードすることもできる。ゲームプレイは常に録画されて消されているおり、シェアボタンを押すことで、それが明示的に保存れる。
アップできるSNSは、今のところFacebookとTwitterの2つで、アップロード時にどちらかを選択する。アップロード前にプレビューもできるし、コメントも加えられる。また、アップするショット自体も選択できる。
ビデオはカット編集が可能だ。ゲームプレイのビデオには、マイクから録音したプレイヤの音声を入れるかどうかも選択できる。うっかりオンにしておくと、恥ずかしい会話がダダ漏れになったりする。配信はUstreamとtwitchだ。
シェアボタンは動作を2種類から選択できる。標準の操作タイプだと、(1)短くボタンを押すとその瞬間のスクリーンショットを撮ると同時にメニューを表示する。また、同時に過去に最長15分間に遡ってのゲームプレイのビデオクリップが自動作成される。メニューからそのまま編集&アップロード画面に入って、SNSへとそのままアップする場合に便利だ。(2)長めにボタンを押すとスクリーンショットを撮るだけで、メニューは表示しない。スクリーンショットを連続でいっぱい撮って、あとでアップするショットをセレクトする場合にはこちらになる。スクリーンショットを撮ってもメニューには入らないため、ゲーム画面は継続されるが、右上に「スクリーンショット撮ったよ」アイコンが出る。(3)2回押すとビデオクリップの始まる場所を決定する。明示的にここからビデオに収めたいという時に便利だ。
スクリーンショット向けのボタン設定だと、上の(1)と(2)が入れ替わる。短くボタンを押すとスクリーンショットを撮る。長くボタンを押すとメニューが開く。連続してスクリーンショットを撮る場合のボタン押しを楽にする設定だ。すでに説明したように、クリティカルな場面で、スクリーンショットを撮ろうとすると、長押しなんて悠長なことはしたくないからだ。この場合は、後でボタンを長押ししてメニューに入り、アップロードするショットを選ぶというプロセスになる。ショットが撮れた時は、ちゃんと右上にアイコンが表示されるので、撮り逃しの心配はない。この記事を書いている間は、ショットを撮りたいために、こっちのモードにしてある。
どちらの設定でも、メニューを開くとそこまでのゲームプレイビデオが保存される。ただし、ゲームプレイ中ではなく、OSの画面で開くとビデオは保存されない。だから、スクリーンショットを山のように撮る必要があって、でも容量の大きなビデオを貯めてしまって、あとで掃除するような手間をかけたくないという時は、いったん記録しておいて、OSでメニュー画面に入るという手が使える。実際、標準の設定でメニューを開いてスクリーンショットを撮っていると、ビデオが貯まって、気がついたら、ディスク容量を結構食われてしまっていた。
戦場カメラマンのスキルが必要なスクリーンショット
シェアボタンの問題点は、ゲームプレイで激しい戦闘中にボタンを押す暇がないという点に尽きる。クリティカルな場面では、左手のどれかの指をシェアボタンに伸ばす間に、かなりの高確率で自キャラなり自機が倒されてしまう。これは、ほとんど宿命だ。
成功させるには、派手な戦闘シーンは撮れるけど、自分は安全という一瞬のチャンスを狙わなければならない。しばらく試したけれど、ぜんぜん、うまく行かない。そのうち「これは、戦場カメラマンのスキルなんだ」と気がついた(笑)。ゴトウの鈍い反射神経では、これは手に負えそうがないので、諦めて見場のいいシーンだけをキャプチャすることにした。
おそらく現実的な解は、ビデオクリップの方をメインに使うことだろう。プレイに専念して、おっ、このシーンは撮っておきたいとなったら、シェアボタンを押してムービーをアップする。画像はムービーから切り出す。SCEも、そのあたりをよくわかっているからこそ、常時ゲームプレイを記録して、後から切り取ってアップできるようにしている。本格的にPS4で遊び始めたら、ゴトウ自身はこういう使い方をするだろう。
今でも悔しいのは、Dreamcast版の「ecco THE DOLPHIN DEFENDER OF THE FUTURE」で、真ん中くらいに、ジャンプしてリングを連続で抜ける非常に高難度のステージがあり、1週間、毎日トライして、やっと抜けたことがあった。もうダメだろうと気を抜いてやったらクリアできたのだが、その時の映像は録画していなかった。PS4のシェアボタンの機能があれば、ああいう時に、すかさず遡って動画を保存できた。
シェアボタンはSNSへのアップロードの設定を前もって設定しておく。不満は、シェアボタンから呼び出すアップロードメニューでは、SNSでの公開範囲を自分だけにするのか、他人に公開するのか選択できないこと。記事を書くために撮っている膨大なキャプチャは公開したくないが、部分的なショットを公開したいときに手軽にできない。自分のゲームプレイを誇りたいのではなく、自分の人生のゲームプレイの記録を残したいという、ゴトウのような内向的なゲーマーには、公開設定が自由にできる方がありがたい。
モバイルデバイスとPS4を連携させる
PS4は、他のデバイスとも連携する。PS Vitaと、AndroidとiOSデバイスだ。どちらの場合も設定は非常に簡単だ。まず、PS Vitaから。うちには、なぜだか3台もPS Vitaがあった(笑)。そのうち1台は、こないだPS Vitaを盗まれた友達にあげてしまったのだが、残りの2台のうちゴトウ専用になっている1台をPS4と連携させることにした。
設定するには、まずPS4とデバイスを同じネットワークに接続する必要がある。現在PS4を設置してあるのはホテルの部屋だが、有線&無線ルーターにPS4を接続してあるので、ルーターの無線にPS VitaをWi-Fi接続する。PS VitaはOSを最新の3.0にアップデートするとメニューにPS4リンクという項目が現れる。これを選択すると、PS VitaとPS4を紐付けする設定メニューになる。
ここで、PS4側に戻って、PS4の設定メニューからPS Vita接続機能を選んで、その中の登録メニューを選ぶと、PS4側の画面に8桁の数字が表示される。画面上のこの数字を読んで、そのままPS Vita上の枠に入力すれば、すぐにPS VitaがPS4に接続される。設定自体はごく簡単だが、PS VitaとPS4の両方のログインPSN(PlayStation Network)アカウントが同じでない場合ははねられた。ただし、いったん登録すると、PS4側でその時にログインしているアカウントがなんであれ、PS Vitaからアクセスができた。
接続したPS Vitaは、PS4のリモート端末として使うこともできるし、PS4コンテンツがセカンドスクリーン機能に対応している場合はPS4の2番目のスクリーンとして使うこともできる。
リモートプレイを有効にすると、PS4のOS画面がそのままPS Vitaに表示され、リモートで操作可能になる。あとは、ゲームを選んで立ち上げれば、PS Vita上で、そのままPS4ゲームをプレイできる。基本的にはPS4ゲームはPS Vitaのリモートプレイに対応している。コントローラの差異は、PS Vitaの背面タッチパネルを使って解消している。
PS Vitaでのリモートプレイの現実は
PS Vitaは、ゴトウ自身は現在、枕元でゲームをやるための端末として使っている。だから、PS Vita接続機能は、PS4ゲームをベッドでプレイできるという大変ありがたい機能だ。しかし、実際にプレイしてみると、ゲームによって、かなり慣れが必要だとわかった。
PS4のコントローラの操作で慣れたゲームを、PS VitaのコントローラにマップされたPS4コントローラ機能でプレイするわけだが、L2/R2とL3/R3は背面タッチパネルに割り当てられている。背面のキー割り当て部分をタッチすると、画面にちゃんとどのキーがタッチされたか出るところは、ありがたい。しかし、このキーの違いが、Killzoneのようなゲームだと、かなりプレイしていて辛かった。ただし、これは慣れの問題で、PS4コントローラで手が操作を憶えてしまっていると辛い。
また、ゲームによっても事情が異なる。今回プレイしたゲームの中にはResogunのように、ほぼアナログスティックだけで操作が済むゲームもある。こうしたゲームはPS Vitaでプレイしていて全く違和感がない。アナログスティックをそのままの感覚で使える点はPS Vitaの強味で、そこが旧PSPとの大きな違いだ。操作系という点について言えば、PSPでアナログスティックをボタンキーにマップした「僕の私の塊魂」をプレイした時を考えると、PS VitaでのPS4ゲームプレイは、はるかにラクだ。
PS Vitaリモートプレイでは、現在のネットワーク環境では、2度ほど落ちた。途中で固まって接続が切れてしまった。2回ともResogunだったのだが、ネットワーク環境のせいなのかどうか、まだ特定はできていない。とはいえ、これは、かなり長くリモートプレイしたうちの2回で、通常は、1ステージクリアまで問題なくプレイはできた。リモートでプレイして、クリアしたらスクリーンショットを撮って、それをSNSにアップしてというところまで全てをPS Vitaで操作できる。右のスクリーンショットはリモートでプレイして撮った。
ちなみに、PS Vitaでリモートプレイすると、PS4側でその時にログインしているPSNアカウントがなんであれ、PS Vita側のログインアカウントのデータでプレイが始まった。PS4でのゲームセーブデータでプレイするには、PS Vitaも同じアカウントである必要があるようだ。試しに1つのアカウントでプレイ中に、別アカウントのPS Vitaに切り替えて継続してプレイできるかどうかやってみたのだが、うまく行かなかった。OS画面に戻るとログインアカウント自体が切り替わった。PS4だとPSNアカウントはコントローラに紐付けされるが、PS Vitaも同じ扱いであることがわかる。
PS4にスマートフォンやタブレットを接続する
スマートフォンやタブレットなどスマートデバイスをPS4に接続するのも基本の手順は同じだ。ただし、スマートデバイス側にアプリをインストールしておく必要がある。GoogleとAppleともに北米のストアでは「PlayStation App」が提供されている。Android 4.0以降またはiOS 6以降の対応だ。
アプリをインストールして、PSNのアカウントにログインする。スマートデバイス側にPSNのメニューが出る。ここで、PSNのゲームなどを買ってPS4にインストールすることも可能だ。左下のPS4との接続メニューをタッチすると、同じネットワーク内にあるPS4をサーチし始める。PS4を発見したら、タッチするだけで接続する。下がAndroidでのアプリの画面だ。
PS4側は、PlayStation App接続設定を開く必要がある。手順はPS Vitaの時と同じで、新規のデバイスを接続するメニューにして、表示された数字をスマートフォンやタブレット側のウインドウに入力する。これで、PS4とPS Vitaが紐付けされる。スマートデバイスは、リモートプレイには対応していないので、セカンドスクリーンとして使うことになる。ただし、まだゲーム側の対応はそれほど進んでいない。
PS4のアーキテクチャ
PS4については、発売直前のAMDのカンファレンス「AMD Developer Summit 2013:APU13」(11月11~13日)で、いくつか新事実が判明した。まず、オフィシャルにPS4のオーディオDSPが、AMDの採用しているオーディオDSP技術「True Audio」相当のものであることが明らかにされた。オーディオプロセッサは、APUに内蔵されており、IPコアベンダーTensilicaの開発したDSPコアを、True Audioと同様に3コア搭載すると見られる。
AMDのTrue Audioは、APIも含めてなので、PS4が互換とは言えないが、ローレベルでは同様に扱うことができると見られる。ちなみに、MicrosoftもXbox OneにTensilica設計のカスタムオーディオDSPを搭載している。ただし、こちらはMicrosoftが直接Tensilicaにカスタマイズを出したと言われている。
もう1つはバスで、PS4のCPUコアとGPUコアを接続する「Onion+」インターコネクトが、従来の説明から想定されていたインターコネクトとは大きく異なる可能性が出てきた。これは、PS4 APU(Accelerated Processing Unit)と同世代である「Kaveri(キャヴェリ)」のアーキテクチャが部分的に明らかになってきたからだ。PS4のOnion+も、CPUコアとGPUコアを直結し、IOMMUをMMU(Memory Management Unit)として使わない可能性がある。この場合は、コアとメモリ回りのアーキテクチャが予想と大きく異なる。また、アーキテクチャ的には下のXbox Oneアーキテクチャにかなり近いことになる。
PS4のゲームはどう違うのか
ここまでPS4の機能についてレポートしてきたが、では、PS4の本題であるゲームはどうなのか。
ラフに言えば、PS4のグラフィックスは、2013年前半のミッドレンジGPUの生パフォーマンスだ。CPUパフォーマンスは、PCパフォーマンスCPUのクアッドコアレベル。それに、PCよりも薄いAPI層の利点(PCもMantleなら同等)が加わる。結果として見るなら、期待通りのグラフィッックスになっている。もちろん、メモリ帯域や生演算パフォーマンスはトップエンドのディスクリートGPUには及ばないが、これまでのゲーム機とPCのグラフィックスの圧倒的な差は縮まったように見える。
ゴトウはゲームやグラフィックスの中身自体を論評するだけのスキルはない。しかし、両者の違いはタイトルによって明瞭にわかる。
良い例は、PS4のダウンロードゲームの「Flower PS4」だ。Flowerは、インディゲームデベロッパのThatgamecompanyが制作したゲームで、PS3とPS4で同じタイトルが出ている。Thatgamecompanyのゲームは大好きで、「flOw(フロー)」も「風ノ旅ビト(JOURNEY)」もこれまでプレイしてきた。Flowerは日本では「Flowery(フラアリー)」というタイトルで出ていて、これもプレイしたことがある。
Flowerは、風になって花びらを集めるという、それだけ聞くとよくわからないゲームなのだが、美しい画面と動きで魅了するというタイプのゲームだ。絵の美しさが重要なので、比較が感覚的にわかりやすい。このゲームは、PS3版もよかったのだが、PS4では緻密さが上がった。風になびく草原の草の本数と質感や、AAの質などが違い、見た目がかなり違う。SCEもわかっていて、比較しやすいようにこのタイトルを持ってきたのかも知れない。
K9犬がリアルになったCall of Duty(CoD): Ghosts
パッケージで買ったPS4タイトルは「Killzone Shadow Fall」「Call of Duty: Ghosts」「Assassin's Creed IV Black Flag」の3本。
FPS(First Person Shooting)のCall of Duty(CoD): Ghostsは、次世代機のリリース前に、グラフィックスがどう変わるかの例を示していた。その中で、特に例として取り上げていたのが犬のグラフィックスだ。下のスクリーンショットが、その「PS4犬」だ。こちらを向かせるのが大変だった(笑)。
Ghostsだと、自分がK9犬を操作したりと、犬が重要な役割を果たすのだけど、見た通り、犬がPS4版だとぐっとリアルになっている。あとはダストが舞い散る室内に差し込む光とか随所が美しい。もちろん、全体的にモノの質感が別物に変わっていて、リアルだ。PCグラフィックスでは当たり前と言われそうだが、それをゲーム機で誰もが簡単に得られる点はありがたい。
もちろん、グラフィックスの向上でゲームプレイが変わるのかと言われそうだが、それはこれからの話だと思う。この世代のCall of Dutyは、クロスプラットフォームタイトルで、PS3やXbox 360でも出ている。ちなみに、Call of Dutyシリーズは、毎回ストーリーモードでは、手を変え品を変え変わったシチュエーションや舞台を持ってきているが、今回はいきなり宇宙で始まるところがミソ。コムサイに回収できなかったザクのように、最後は大気圏に突入して燃えて行く。
地上では、昔住んでいたウエストロサンゼルスに近いサンタモニカが、下のように要塞化されていたり。敵地サンディエゴに潜入したり、実際に行ったことがある馴染みの場所ばかりで、ウケてしまった。
自宅でFPSをやっていると、FPSで育った次男(ゲームをやった最初がHaloシリーズ)が色々アドバイスしてくれるのだが、米国ではそれがないのでちょっと辛い。次男は「そこは後ろから忍び寄ってナイフで」、「いったん遮蔽してから銃撃が途絶えたらエイムして」、「まずスナイパー兵を倒して、アップゼアって言ってたから上の窓だよ」、「RPGでヘリを狙う時は、ホバリングするタイミングに合わせて」とか、いろいろと指導してくれる。次男は、FPS用語ばかり英語が聞き取れるようになっていて、ゴトウが聞き逃した場合も「今、use remote sniper, clear RPG」って言ってたよとか、的確に聞き取ってくれる。カラダが英語を憶えているようで「インカミングファイヤー」とか言われると、次男は瞬間にバッと遮蔽物に飛び込む(笑)。
個人的に、現代戦になってからのCoDシリーズの良さは、世界がいわゆる非対称型戦争の時代へ変化したことを体感できる点にあると思ってた。対等な国同士の対称型の戦争から、対不正規戦闘部隊のような非対称型戦争へと変わり、世界のバランスが揺らぎ始める雰囲気だ。でも、今回は、それより1歩進んだ状況が描かれている。
アサシンクリードのダイブを念願のキャプチャ
今回買ったタイトルのうち、もう1つのFPSである「Killzone Shadow Fall」も、とりあえずプレイしてみる。FPSの場合、ストーリモードは、言ってみれば訓練モードなのだが、今回のKillzoneは、このストーリモードが一本道じゃないので、かなり自由に走り回ることができる。Killzoneのチャプタ2は森の中で、ハイダイナミックレンダリングが美しい。チャプタ3では、CoD同様に宇宙に行く。その前に、独裁者の巨像を嫌がらせのように爆破して行く。
Assassin's Creedと言えば、高いところ。高い建物や自然物に登って見渡して、サーカスのように高所を移動して、鳥の糞を見つけたらダイブする(笑)。PS4版の「Assassin's Creed IV Black Flag」では、何がいいかと言うと、シェアボタンを使って、念願のダイブシーンをキャプチャできることだ。
簡単に説明するとAssassin's Creedは暗殺ゲームで、暗殺者(アサシン)が高いところに登って侵入して、ターゲットを暗殺する。高所からの壮大なビューが売り物だ。だから、これまでもAssassin's Creedシリーズでは、高所からのダイブをぜひ撮りたかった。ちなみに、これまでアサシンのゲームプレイを見ていた長女は、ある日、国会議事堂の見学から帰ってきて開口一番「すごかった、あそこは、すごく暗殺に適しているの。外の壁なんか、登ってくださいみたいな風になっていて、簡単に登って侵入できそう」と言っていた(笑)。
ちなみに、今度はカリブ海なので、どこを登るんだろうと思ったら、船のマストだった。エルサレムやベネチアでも、ダイブシーンを撮りたかった。これまでと同様に、ANIMUSシステムで、世代間記憶を探るというストーリーになっている。
横スクロールシューティングResogunでヘトヘトになる
PS4ローンチタイトルで、意外な当たりだったのは「Resogun」。SCEAのファーストパーティタイトルで、PS4ローンチの「Free-to-Play(無料ゲーム)」なのだが、手軽なので、まずこれにはまってしまう。Resogunは、一言で言えば、横スクロールシューティングだ。つまり、画面が横方向へと動き、その中で、自分の攻撃機を操って敵を倒す。横スクロールのシューティングをやったことがある人には、とても懐かしい感じがするだろう。横方向が円柱になっているのがミソで、そのために遠地点の敵まで見通すことができる。横スクシューで、次世代機感が味わえるか、と思うかも知れないけど、もの凄く派手なエフェクトで味わえる。
Resogunの問題は疲れること! 「えっ、シューティングゲームってこんなに忙しかったっけ」と思わずつぶやいてしまった。Resogunも横スクロールの定番的な戦略が通用して、敵の動きのパターンを読んで、連射で効率良く撃滅できる位置取りをして行く。その繰り返しなんだけど、忙しくて、疲労が並大抵じゃない。少なくとも五十肩をわずらっている時にやるもんじゃない。若い時は、こういうゲームが好きだったんだから、元気だったんだなと思い知らされた。
ちなみに、うちの下の2人の子どもたちは、春頃に、ゲーム制作現場を舞台にしたマンガ「東京トイボックス」、「大東京トイボックス」(うめ著)を読んだ。トイボックスの中では、縦スクロールシューティングの名作『ゼビウス』が重要なエピソードとして出てくる。なので、ゴトウは「昔はみんなゲームセンタで、100円玉を積み上げてゲームをしていたんだ。ゲームオーバーになると100円玉が1枚ずつ消えて行くから、真剣勝負だったんだ」という昔話をした。今の子どもたちは、こういうカネの絡む真剣な戦い(笑)をしていない。100円が消えて行く、あのヒリヒリした勝負感は、残念ながら家庭用ゲーム機では決して味わえないと思う。
横道にそれると、ウチの長女はトイボックスを読んでから、ゲーム制作に関心が高くなった。ゲームのムービーをダウンロードすると「これってα版の段階なの、プリプロの段階なの?」、「11月発売ならゴールデンマスターって、いつ上がるもんなの?」、「このゲームはプログラマーって何人くらいで作ってるの」、「アクワイアって会社が、G3(トイボックスに出てくる独立系ゲームスタジオ)のモデルなの? アクワイヤではみんな床に寝てるの?」と、質問がだんだん濃くなりつつある(笑)。
次男の受験がウチのゲーム事情に影響
横道ついでに、現在のゴトウ家のゲーム状況をレポートしよう。
今、ウチでは次男が受験なので、先月からゲーム禁止状態にある。模試の結果が上がらないので、先月、次男に「君はもう、1945年1月、『バルジ作戦』が失敗した後のドイツ軍の状況にいるんだ」と言ったら、さすがに慄然としたみたいで「えっ……まだ、クルスク戦の頃かと思っていた」とか言う。だから「クルスクは、去年の夏に、とうに過ぎてるよ」と答えた。「残っているチャンスは『春のめざめ』作戦だけで、それを逃したらベルリン包囲戦だ」と付け加えたら、さすがに焦り始めていた。そもそも、軍事に例えないとピンと来ない点に、問題があるかも知れないけど。
ウチで随一のゲーマーだった次男がこの状態なので、現在は、長女がゲームの中心になっている。長女もゲーマーの端くれに育ち、自分でちゃんと情報も収集していて「今度、『rain』ってゲームがダウンロードで出るんでしょ。買ってもいい」とか言ってくるようになった。rainは、透明キャラクターが、雨の中では姿が見えるというアイデアのゲームで、長女が好きな「ico」と同じようにパズル的な要素の強いゲームだ。
ちなみに、夏以降にゲーム機でプレイしたゲームは、「The Last of Us(ラスト オブ アス)」、「ジョジョの奇妙な冒険 オールスターバトル」、「Beyond: Two Souls」、「rain」。すべてPS3なので、PS3の稼働率がよかった。ジョジョは熱烈なジョジョファンの長男が買ってきた。格闘ゲームとしてはどうなのかと、論議をかもしたゲームだが、ジョジョのあのキャラ達が、それらしく動く点でキャラゲーとして素晴らしいと思う。
ウチは家族全員がモニュメントバレーに行ったことがある珍しい家庭なので、Beyondのナバホのサイドストーリではすごくウケた。モニュメントバレーが舞台で、見たことがある地形がたくさん出てくるからだ。Beyondも、“ゲームオーバーがない”という、ゲームのセオリーを外したゲームなのだが、すごく好きだ。
面白かったのは、Beyondの女主人公が、彼氏をディナーでもと部屋に呼ぶシーンで、料理をどうしようかの選択肢があった。そこで、長女に「キミなら何を選ぶ」と聞いたら、即座に「面倒だから宅配ピザ」(最後の選択肢が宅配ピザ)と答えた。娘の将来が、ちょっと不安になってしまった。
しまったWii Uのピクミン3を買い忘れていた
PS3以外のプラットフォームでは、Wii Uで「ピクミン3」をうっかり買い忘れていた。友達のライターの西川善司が、ピクミン3をやたら薦めるので、もちろんやるつもりなのだが。ピクミン2の時は、チャレンジモードを西川善司に先にクリアされてしまい、ものすごく悔しい思いをした。この間買ったのだが、悔しいので、ちょっと時間をおいてからやることにした。
PS Vitaは、ここのところ一休み。Vitaでは、友達から「閃乱カグラ SHINOVI VERSUS -少女達の証明-」が素晴らしいと熱烈に薦められて、やってみたのだが、「うーん」みたいな。乳揺れで感動しないからダメなのか。ちなみに、恥ずかしいので、閃乱カグラは奥さんに内緒で買ったのだが、すぐに見つかってしまった。「友達のプログラマーがやたらと薦めるから、しょうがないから、買ってみたんだ……」と、しどろもどろの言い訳をする羽目になってしまった。
3DSは1台しかないので、今は長女がほぼ占有してしまっている。ふと見ると「トモダチコレクション 新生活 」をやっていたりする。長女の嗜好は、こういう女子中学生らしいゲームから、かけ離れたコアなアクションゲームまで、幅が広いので面白い。長女は、PS Vitaの「アンチャーテッド 地図なき冒険の始まり」で、アクションゲームの世界に入り込んだ。
タブレットではPlague Inc.が今年後半のヒット
スマートデバイスの方のゲームでは、最近「Plague Inc」がウチで疫病のように流行った。疫病を進化させて、人類を絶滅させるシミュレーションゲームで、ゴトウも、人類を何回絶滅させたかわからない。テイストは、昔の「シムアース」みたいな雰囲気だ。
ちなみに、ウチで唯一の非ゲーマーの奥さんが、1回だけゲームにはまったが、それは「なめこ栽培」だった。「しょうもないアプリだから消そうと思っているうちに、ついついはまってしまった。しょうもないヤツだから別れよう別れようと思ってるうちに、つい結婚しちゃうのと似ている」のだそうだ。
スマートデバイスのゲームは、長女がどんどん自分で探索している。長女は、ウチで随一の「パズドラ」ファンでもあるが、他にも色々とゲームを試している。長女も親離れが進んで来ているので、彼女が開拓したゲームは把握し切れなくなりつつある。そういう年頃だからしょうがないのだが、こないだは授業参観について「お父さんは頭はいいけど、残念ながら、それは常識的な部分には反映されていないので。そういう変なお父さんだって知られると、あとあと困るから、授業参観には絶対に来ないでね」と釘を刺されてしまった(笑)。“残念ながら”の部分を強調してしゃべるところが、すごかった。
でも、長女自身だって「クラスが変わったら、ニャル子が好きって言う子がいて『じゃあ、クトゥルフ神話好きなの』って聞いたら、クトゥルフ知らないって言うのよ。せっかく、クトゥルフ信徒の仲間ができると思ったのに。邪神信徒って、なかなかいないのよね」なんて言っている時点で、普通じゃないと思うのだが。もっとも、よりディープな次男がすかさず「お前だって、クトゥルフ神話よく知らないじゃないか」と突っ込んでいたが。
ウチでは、結局ゲーム機とスマートデバイスはどちらもゲームプラットフォームとして共存している。もちろん、今のところは、という限定つきだが。ゴトウ家という狭いサンプルだけを見ると、棲み分けはできそうな気もする。しかし、人間の限られた時間のうち、ゲーム専用機に費やす時間がどんどん減っているのも確かだ。