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【Win11新機能】データも戻せる「ポイントインタイムリストア」の使い方と、スナップショットの罠

  Windows 11の6月のプレビュー更新(KB5095093)で、新機能である「ポイントインタイムリストア」が追加された。 ボリュームシャドウコピー(VSS)機能を活用し、PCの状態とデータを以前の状態に復元する機能だ。ただし、機能を有効にしても、思い通りにスナップショットを取得してくれないケースもある。この機能の使い方に加え、どのように動作しているのかも調査してみた。

ポイントインタイムリストアとは

Windows 11に新たに搭載されたポイントインタイムリストア

 Windows 11の「設定」→「回復」に追加された「ポイントインタイムリストア」は、万が一Windows 11に不具合が発生した場合に、以前の状態に戻すことができる機能だ。

 同様の機能は「システムの復元」として、従来から搭載されていた。ただし、システムの復元はデータを復元できず、システムのみを復元する機能だったのに対し、ポイントインタイムリストアは、「ドキュメント」や「ピクチャ」などのデータも含め、まとめて復元できる機能となる。

対象となるデータ

  • Windows OS
  • インストール済みアプリケーション
  • システムおよびアプリの構成情報
  • 各種設定
  • ローカルユーザーファイル(複数ボリュームの場合はOSボリュームのみ)

 利用条件は、Windows 11に2026年6月のプレビュー更新(KB5095093)がインストールされていることだ。Windows 11 Home/Pro/Enterpriseで利用できるが、組織によって管理されているProやEnterprise/EducationではWindows 11 26H2までは既定で無効となる。

 また、自動的に有効化されるにはストレージ容量も条件となっており、200GB未満の場合は、手動で有効化する必要がある。

2026-06 プレビュー更新プログラム(KB5095093)がインストールされていれば有効になる
「設定」→「システム」→「回復」に「ポイントインタイムリストア」が表示される

 つまり、一般家庭で利用している普通のWindows 11で更新プログラムを適用しているケースであれば、ほとんどの場合、自動的に有効化される。

 詳しくは後述するが、スナップショットが作成されるタイミングは既定では24時間で、最大72時間保持される。72時間を超えた古いデータ、もしくは空き容量が20GB以下になったタイミングでの古いデータは、順番に自動削除されるため、いつまでも過去に遡れるわけではない。

  ポイントインタイムリストアは長期保存用のバックアップではなく、直近72時間程度の状態に戻すための短期ロールバック機能と考えるべきだ。

 なお、Windows 11 Home/Proの場合、ポイントインタイムリストアの機能自体を無効化することはできるが、復元ポイントの頻度は「24時間ごと」、復元ポイントの保持は「72時間」で固定となる。Windows 11 Enterpriseを利用している場合のみ、この設定をカスタマイズできる。

 また、手動で復元ポイントを作成することはできない。詳細は後述するが、タスクスケジューラーによって一定の条件下で起動し、自動的に実行される機能であり、「システムの復元」のようにユーザーによる操作や管理は許可されていない。

頻度や保持期間は固定。ストレージの容量は変更できる

復元方法もWinREのみ

 復元には、緊急時や起動時に自動的に表示される回復環境(WinRE)を利用する。「トラブルシューティング」から「ポイントインタイムリストア」を選択し、戻したいタイミングのスナップショットを選択すると、システム、データともにその時点に復元される。

回復環境で起動し「トラブルシューティング」を選択
BitLocker回復キーを入力
復元したいスナップショットを選択
復元が開始される

 ファイルやイメージを使って、ストレージをすべて書き戻すバックアップと異なり、ボリュームシャドウコピーから差分のみを復元できるため、短時間(数分から十数分)で復元可能なのが特徴だ。

 なお、ドライブが暗号化されている場合(現状はほとんどのケースが該当するはず)は、BitLockerの回復キーが必須となる。事前に確認しておくか、復元時にスマートフォンなどで「https://aka.ms/myrecoverykey」にアクセスすることで確認できる。

 復元が完了すると、システムもデータも以前の状態に戻る。たとえば、壁紙が変更されていても前のデザインに戻り、スナップショット取得後に「ピクチャ」に保存した写真や画像も削除される。

 ただし、OneDriveに同期済みのファイルであれば、復元後にクラウド側のデータから再同期される可能性がある。ローカルとクラウドの状態に差がある場合は、競合や不一致が発生することもあるため、重要なデータはOneDriveなどのクラウド同期や別途バックアップと併用したい。

スナップショット前のファイルは同期済みとして復元される。スナップショット後に更新されたファイルは、OneDriveの同期によってクラウドに保存されたファイルとして復元される

「使用可能なスナップショットがありません」

 さて、この機能だが、困ったことに、有効にするだけではスナップショットが作成されないケースがある。具体的には、ポイントインタイムリストアの画面に、いつまでも「使用可能なスナップショットがありません」と表示されるケースがある。

本来は取得されたスナップショットが表示される
KB5095093インストール直後や手動でオンにした直後はスナップショットがない

 ポイントインタイムリストアは、タスクスケジューラーに登録された「PITRTask(Microsoft¥Windows¥Setup)」というタスクによって制御されている。このタスクには複数のトリガーが設定されており、まずブートトリガーに30分のdelayが設定されている。このため、起動から30分が経過しないと実行対象にならない。その後、さらに30分以内に2分間のアイドル時間が発生しないとタスクが実行されない。

delayが設定されているため、起動後30分たたないと有効にならない
さらに、上記の30分経過後に待機を開始し、30分以内に2分間のアイドル状態がないと実行されない

 つまり、PCを起動してから、まず30分待ち(この間は操作していても構わない)、その後、触らずに2分間放置しないと実行されない。「あれ?スナップショットがない……」とあれこれ設定を確認したり、再起動を繰り返したりしても、いつまでたってもスナップショットは作成されないわけだ。 大切なのは放置することだ。そうすれば、いつの間にかスナップショットが作成されているはずだ。

手動でも実行できそう?

 前述したように、ポイントインタイムリストアは、基本的にシステム任せで、手動でスナップショットを取得することはできない。ただし、タスクスケジューラーによって実行されているのであれば、これを強制的に起動することで、手動でスナップショットを取得することもできそうだ。

 まず、「PITRTask」だが、このタスクを調べてみると、どうやら「%SystemRoot%¥System32¥oobe¥PITRTask.dll」を呼び出しているようで、取得したスナップショットの情報が「HKLM¥SOFTWARE¥Microsoft¥Windows¥CurrentVersion¥Setup¥Recovery¥PITR¥Snapshots」に登録されることなどが分かった。

 「PITRTask」は、スナップショットを取得したり、ポイントインタイムリストアの状態を確認したり、取得したスナップショットを「設定」画面に登録したり、次のスケジュールを調整したりする役割を担っているようだ。

 ということで、公式に用意された手動作成機能ではないが、今回の検証環境ではタスクスケジューラーからPITRTaskを右クリックから実行することで、スナップショットが作成されるのを確認できた。

タスクスケジューラーからタスクを右クリックして実行すると即時スナップショットを取得できる
複数回取得してみた
vssadmin list shadowsでスナップショットも確認できた

 ただし、以下のようにPowerShellからでは即時には実行されない。この場合、キューに登録され、数分後にスナップショットが作成されることを確認できた。

Start-ScheduledTask -TaskPath "\Microsoft\Windows\Setup\" -TaskName "PITRTask"

 このタスクにはトリガーが設定されており、実行には2分間のアイドル時間が必要になる。待機時間は30分(上記のブートトリガーとは別。2分のアイドルを待つ猶予期間)なので、タスクがキューに入った場合は、30分以内に2分間のアイドル時間が確認できないと実行されない。このあたりは注意が必要といえそうだ。

PowerShellから実行するとキューに登録され、トリガーの条件を満たさないと実行されない

簡単に復元できるようになったのはありがたい

 以上、Windows 11に新たに搭載されたポイントインタイムリストアについて解説した。仕組みとしてもおもしろいが、普段PCを利用しているときに意識せずに自動的にスナップショットが取得されているため、いざというときでも簡単にPCを復元できるようになったことはシンプルにありがたい。

 つまずきそうなのは、BitLockerの回復キーの確認方法や、公式サイトで既知の問題として報告されている「Outlookのデータファイル(.ost)の不一致」などだ。これらは事前に準備したり、対策を確認したりしておけば、便利に活用できるはずだ。