特集
Steam Machineを凌駕!DeskMeetとSteamOSでゲーミングPCを自作してみた
2026年7月3日 06:03
先日、Steam Machineの発売が開始された。
スペックを見る限り、性能を確保しつつ可能な限り低価格に抑えるような努力を最大限払ったのであろうことが推測できる。しかし昨今のDRAMやNANDなどの価格上昇で、不本意な価格になってしまったであろう。ましてや日本では円安もあり、SSDが512GBのモデルでも19万円ほどになってしまった。それ以前に、数が少なかったようで、速攻売り切れになったのだが……。
また翌々日には、SteamOSの最新版(3.8)で、AMD GPU搭載デスクトップとの互換性向上が図られたことがアナウンスされた。
この流れはもう、AMD CPUとGPU(Radeon)でそれっぽい自作PCを1台組んでみるしかなくなってしまったのではないか。そう考えた筆者は、形が似ているベアボーン、ASRockの「DeskMeet」で組んでみることにした。
果たして、自ら制限を課したこの自作PCは、どのぐらいSteam Machineのスペックや価格に迫れるのであろうか?
ベアボーンとRadeonのチョイス
DeskMeetは現在4種類発売されているが、Intel版の「B660」と「B760」に関しては入手困難なので、今後購入するとしたら「X300」か「X600」になる。X300はSocketAM4なのでメモリがDDR4となり安いが、PCIeの速度が3.0に制限される。一方X600はSocketAM5なのでメモリがDDR5となり高いが、PCIeが4.0または5.0で高速だ
どちらも一長一短なので、今回はどちらも用意することにした。
一方ビデオカードだが、DeskMeetに搭載できるGPUは200mmまでのものとなり、かなり制限されている。しかし組み込めるビデオカードのリストが公開されているので、これを確認する。
もっとも高速なRadeonは「PowerColor Reaper Radeon RX 9060 XT」であった。日本国内で入手できる玄人志向の「RD-RX9060XT-E16GB/DF」はPowerColor Reaper Radeon RX 9060 XTがOEM元なので、こちらも組み込める。
というわけで、今回はRD-RX9060XT-E16GB/DFを用意した。
ちなみに、現時点ではSteamOSがAMD CPU/GPUに最適化されているため、SteamOSを入れるのが前提であれば、Intel CPU+NVIDIA GPUの組み合わせを考慮しないほうが良い。将来的にサポートできるよう進めているようだが。
そのほかのパーツ一式選定
今回選定したパーツ一式は、以下の表のようになった。価格は現在の参考価格であり、購入価格ではない点には注意だ。実際には時期を選べばもう少し安く買えるはずではある。今後行なわれるであろう各社のセールに期待したい。
DeskMeet X300
| メーカー | 型番 | 価格 | 備考 | |
|---|---|---|---|---|
| CPU | AMD | Ryzen 7 5700X(8コア/16スレッド) | 3万2,440円 | |
| CPUクーラー | Scythe | SCSK-3000 | 3,480円 | |
| メモリ | CFD販売 | W4U3200CM-16G | 3万4,800円 | 価格はCP2K16G4DFRA32Aのもの |
| SSD | キオクシア | SSD-CK1.0N4PLG3N | 3万1,980円 | 価格はSSD-CK1.0N4PLG3Jのもの |
| ビデオカード | 玄人志向 | RD-RX9060XT-E16GB/DF | 5万8,980円 | |
| ベアボーン | ASRock | DeskMeet X300/B/BB/BOX/JP | 2万7,456円 | 電源ユニットはSFXのものに置き換え |
| 合計 | 18万9,136円 |
DeskMeet X600
| メーカー | 型番 | 価格 | 備考 | |
|---|---|---|---|---|
| CPU | AMD | Ryzen 5 9500F(6コア/12スレッド) | 2万9,800円 | |
| CPUクーラー | Scythe | SCSK-3000 | 3,480円 | |
| メモリ | CFD販売 | W5U4800CS-16G | 3万9,980円 | 価格はドスパラセレクトD5D4800-8G2Aのもの |
| SSD | キオクシア | SSD-CK1.0N4PLG3N | 3万1,980円 | 価格はSSD-CK1.0N4PLG3Jのもの |
| ビデオカード | 玄人志向 | RD-RX9060XT-E16GB/DF | 5万8,980円 | - |
| ベアボーン | ASRock | DeskMeet X600/B/BB/BOX/JP | 3万4,509円 | - |
| 合計 | 19万8,729円 | - |
ちなみにSteam Machineに搭載されているCPU/GPUはカスタム版だが、CPUはZen 4ベースの6コア/12スレッド(TDP 30W)、GPUはRDNA 3ベースで28CU(TDP 110W、VRAM 8GB)であることが明らかになっている。これに相当する汎用品はRyzen 5 7500FやRadeon RX 7600XT辺りだ。今回の筆者のチョイスは、概ね同じ価格で同等以上のスペックといっていいだろう。
パーツ選定のポイント
パーツの選定ポイントがいくつかある。
DeskMeetの筐体にPowerColor Reaper Radeon RX 9060 XTあるいはRD-RX9060XT-E16GB/DFは本当にギリギリで、背の高いCPUファンだと取付不可となる。今回選択したSCSK-3000は高さが39mmということで、この程度の高さであれば問題ない。なお、みんな大好きNoctuaの「NH-L9a-AM4/AM5」も対象となる。
同時に、これらのCPUクーラーで冷やすことができるCPUを採用することにもなるだろう。Socket AM4というか、Zen 3アーキテクチャまでであればTDP 65Wで最高性能であるRyzen 7 5700Xで構わないが、Socket AM5のZen 5アーキテクチャのRyzen 7 9700Xは、筆者の経験則からして冷やしきれるか心配になる。よって今回は6コア12スレッドでiGPUが無効になっているRyzen 5 9500Fにした。
また今回はM.2スロットに装着する無線LANモジュールであるM.2 WiFi 6E kit R2.0は選定していないが、付けることを強くおすすめしたい。というのも、SteamOSは無線LANありきで、有線LANしか接続していないときは、初回起動時のウィザードでネットワークが見えなかった。筆者はたまたま別途ドライバのインストールなしで認識する無線LANのUSBアダプタがあった(複数あるが、たとえばWDB-867DU3S)のでそれを使用したが、通常はないであろう。また無線でゲームパッドやスピーカーなどを接続するのに、Bluetoothはほしいところだ。
あと忘れてはいけないのがゲームパッド。これも事実上必須である。どうもSteamで使用するにはXbox用のゲームパッドが良いようで、Nintendo Switch用のゲームパッドはボタンのアサインが滅茶苦茶であった。
今回使用したのは、「MINISFORUM AI X1 PRO」購入時にオマケでくれたMGP01だ。正直なところ、今までは使いどころがなかったが、今回は大活躍だ。こんな高価なものを送料込みでサービスで送ってくれたMINISFORUMには今更ながら感謝したい。
なお、今回はDeskMeet X300/600でどのぐらいの速度の差が出るのかといったベンチマークは行なわない。Ubuntu日和に(どの程度期待に添えられるかは別として)掲載予定である。
SteamOSのインストールとログイン
SteamOSのインストーラは公開されており、前述の通りAMD GPU搭載デスクトップとの互換性向上も図られている。しかし、一般的なOSの汎用インストーラというよりも、リカバリーイメージであることは知っておきたい。何が違うのかというと、リカバリーイメージはある程度ハードウェアの決め打ちをしているということである。具体的には、インストール先はNVMe接続のSSDが必須で、SATAのSSDは未対応だ。
NVMe接続のSSDであれば問題ないのかというとそうでもなく、本記事の担当編集である劉デスクはGPD WIN 4でのインストールに苦労していた。最終的にはなんとかなったものの、インストールスクリプト(repair_deviceというシェルスクリプト)を理解したり、NVMe接続のSSDの特性を理解したりするのは難しいので、インストールできなかった時点で諦め、Ubuntuなど汎用のOS+Steamをインストールし、そのあたりが改善されるのを待つことを強くおすすめする。
上記のことを確認したうえで、SteamOSのインストールについては、まずはSteamOSのインストールと修復を参照しよう。
SteamOSのダウンロードはSteam OSをダウンロード:Steam Deck画像から行なう。「画像」はおそらく「イメージ」の誤訳であり、画像がダウンロードされるわけではない。bz2で圧縮されたファイルがダウンロードできるので、これを展開する。
USBメモリを用意し、ダウンロードしたイメージを転送する。推奨されているのはWindowsではRufus、LinuxではbalenaEtcherだが、Ubuntuでは「ブータブルUSBの作成」も使用できた。
続いてはUEFI BIOSで、Secure Bootが無効になっていることを確認し、先ほど準備したUSBメモリを接続して起動する。起動したらデスクトップにある「Wipe Device & Install SteamOS」をダブルクリックだ。
するとデバイス(SSD)のデータを破壊する旨の警告が表示されるので、問題がなければ「Proceed」をクリックする。
端末が表示されて処理が続行する。完了すると次のダイアログが表示される。
「Proceed」をクリックすると再起動する。換言すると、このダイアログが表示されないということは、インストールが完了していないということでもある。
再起動後しばらく待つと、初期設定ウィザードが開始する。言語、タイムゾーン、ネットワークを選択し、アップデートをダウンロードして更新し、アップデート適用後にいったん再起動してSteamアカウントを入力する。すなわちネットワークが選択できないと先に進めないので、無線LAN接続ないし無線LAN+有線LAN接続にした状態でウィザードを起動する必要がある。
コントローラでも操作できるSteamOS
SteamOSのアカウントにログインできると、SteamOSの画面が表示される。
メイン画面では上下にバーが表示されており、左下にはなぜかXboxアイコンとともに「メニュー」の文字列がある。コントローラのXboxボタン(MGP01ではMINISFORUMのロゴになっているが)をクリックするか、マウスでここをクリックするとメニューが表示される。
重要なのは「設定」で、たとえば「コントローラ」ではコントローラの設定が確認できる。
残念ながら手持ちのMGP01は正しく認識されておらず、Xboxボタン(前述のとおりMINISFORUMのロゴだが)が認識しなかったので、「デバイスの入力をテスト」-「デバイスの入力を設定」から設定する必要があった。
あと重要なのは「電源」だ。
ただシャットダウンや再起動をするだけではなく、「デスクトップに切り替え」なるものがある。ここを選択すると、KDE Plasmaに切り替わる。
KDE PlasmaはUbuntuにおけるGNOMEのようなデスクトップ環境だが(厳密にいえば違うがここではそうしておく)、インストールされているアプリも最低限で、実は左下に見えているFirefoxアイコンもインストーラであって、Firefoxそのものは最初からはインストールされていない。
とはいえ、アプリケーションランチャーの「ゲーム」のところにはインストールされているゲームのショートカットがあったりして芸が細かい。
日本語入力のためのIBus+Anthyはインストールされており、「IBusの設定」で日本語キーボードを追加すれば日本語キーボードでの入力も可能となる。ちなみにSteamOS(KDE Plasmaではゲーミングモードと呼んでいる)では日本語キーボードにアサインを変更する機能は今のところないようだ。
ゲームをプレイしてみた
限られた時間であったが、いくつかのゲームを実際にプレイしてみた。
Stellar Blade
叡智な新作アクションゲー「Stellar Blade」PC版はGeForce RTX 3060でも余裕?新旧GPU5種類で検証してみたで紹介されているStellar Bladeだが、なかなか負荷は高いものの快適に遊べた。もっともフルHD(1,920×1,080ドット)のモニターだからという気もするが。
鳴潮
鳴潮(めいちょう)はいろいろなかなか大変で、まずは容量を200GB以上食う。500GBのストレージだと極めて心許ない。またインストール直後にプレイできるわけではなく、GE-Protonをインストールする必要がある。
なるほど大変な思いをしてまでプレイする価値があるゲームであると感じた。
バニーガーデン2
筆者はアクションゲームが苦手なので、筆者でもできそうでグラフィック負荷の高いゲームということでバニーガーデン2をプレイしてみた。とはいえ、やはり動きが少ない分Stellar Bladeや鳴潮と比較すると負荷は低いようだ。
SteamOSがだめでもUbuntuでチャレンジできる
インストール環境が決め打ちであったり、無線LANが使用するしないにかかわらず必要だったり、かなり強い制限があるものの、今回のようにうまくハマるとDeskMeetという名のゲーム機が手に入る。これはなかなか興味深い体験であり、広くおすすめしたいものである。
うまくハマらない場合でも心配はない。Ubuntu日和を参考にUbuntuをインストールしよう(宣伝)。


























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