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ついに出た!Windows 11「22H2」の変更点まとめ。どこが変わって何が新しくなったのか?

 Windows 11の最新バージョン「22H2」が登場した。昨年に10から11へと進化したWindowsにおける最初の大型アップデートだ。どこが変わって、何が新しくなったのか?その詳細に迫ってみよう。

バージョン番号変更でサポート期限も変更される

 Windows 11の初の大型アップデート「22H2」が登場した。毎月の品質アップデートでもいくつかの変更が加えられてきたが、今回の22H2は、文字通りWindowsのバージョン番号が変化し、サポート期限も変更される大きな節目だ。

 Windows 11は、毎年後半、年1回の機能更新によりバージョンが変更され(2022年2月に細かな機能更新は年1回以外にも随時提供すると公表)、HomeやProなどのコンシューマ向けエディションで24カ月サポートされることになっている。

 現状のWindowsのサポート期限は、Windows 11 21H2が2023年10月10日、Windows 10 21H2が2023年6月13日となっているが、それぞれサポート期限を1年、半年残した状態で、22H2へとバトンを渡すことになる。

初出時に、「Windows 10 22H2のサポート終了期限を2023年6月13日」としていましたが、正しくは「Windows 10 21H2」の期限となります。お詫びして訂正いたします。

 注目が集まるのは、国内でサービスが開始されたAndroid向けWindowsサブシステムだが、今回の22H2では、ユーザーインターフェイス(UI)を中心に細かな改善が多数盛り込まれており、一見地味に見えるが、かなり使いやすく進化している。すべてピックアップすることは困難なため、ここではユーザーが体験できる主な改善点を紹介する。

UIの改良とAndroid用Windowsサブシステムの展開

 新たなWindows 11 22H2の特徴をひと口で言うならばUIのブラッシュアップだ。一部の機能は10月に予定されているアップデートへと先送りされたが、今回の更新でも多くの機能が追加されている。

 デスクトップ、スタートメニュー、タスクバー、設定など、比較的、細かな部分に手が加えられており、使いやすさが重視されたバージョンとなっている。具体的には、以下のような項目が変更されている。

デスクトップ関連の改善

画面上部のスナップレイアウトメニュー

 22H2では、ウィンドウをドラッグすると画面上部にバーがアニメーション表示される。ここにウィンドウをドラッグすると、ウィンドウのレイアウトが表示され、スナップする位置を簡単に選択できるようになった。

ウィンドウをドラッグすると画面上部にバーがアニメーション表示される
バーまでドラッグすると、スナップレイアウトでウィンドウ配置を選択できる

スナップレイアウトの種類増と番号表示

 スナップレイアウト関連では、[Win+Z]でスナップレイアウトを呼び出した際に配置位置に番号が表示されるようになった。キーで選択することで配置できるので、キーボードから手を離さずにウィンドウのレイアウトを変更できる。

番号でレイアウトを選択できる

スナップの候補にEdgeタブを表示

 スナップレイアウトでウィンドウを選択する際に、Edgeのタブを候補として選択可能になった。従来は、Alt+Tab時に同様にタブが候補として表示されたが、それがスナップにも拡張された形になる。

Edgeのタブを候補として選択可能
設定でいくつのタブを候補に表示するのかを選択できる

タスクビューでスナップグループ選択可能に

 [Win+Tab]でタスクビューを表示した際に、スナップグループが候補として表示されるようになった。スナップでレイアウト済みのウィンドウのセットを一発で選択できる。

右上のスナップグループを選択すると、レイアウトを維持した状態で2つのウィンドウを再表示できる

音量や明るさのインジケータのデザイン変更

 細かな点だが、ハードウェアキーを利用して音量や明るさを変更する際の画面がWindows 11のFluentデザインに統一された。

液晶の明るさの画面デザインが変更された

スタートメニュー関連の改善

フォルダによるアプリの整理

 スタートメニューのアプリのアイコンをフォルダごとに分類可能になった。アプリを別のアイコンにドラッグするだけで自動的にフォルダを作成できる。

複数のアプリをフォルダに分類可能
フォルダを開くと中のアプリを起動できる

右クリックで設定を呼び出し可能に

 スタートメニューを右クリックすることで、[スタートの設定]を表示可能になった。従来からタスクバーや通知は右クリックから設定をすぐに呼び出せたが、スタートメニューでの対応は22H2から。

スタートメニューから右クリックで直接設定を呼び出せる

ピン留めエリアのレイアウト変更

 スタートメニューにピン留めできるアプリのエリアを変更可能になった。「おすすめ」のエリアを縮小することで、より多くのアプリをスタートメニューにピン留めできる。

スタートメニューのピン留めエリアを変更できる
ピン留めエリアを増やしたところ

電源ボタンにサインインオプション

 電源ボタンに新たに[サインインオプション]の選択肢が追加された。顔認証の設定や動的ロックなどの設定画面を表示できる。

電源ボタンからサインイン関連の設定画面を表示できる

タスクバー関連の改善

タスクバーアイコンへのファイルのドラッグでアプリウィンドウをフォアグラウンドに表示

 ファイルのドラッグ中にタスクバーのアイコンにマウスオーバーすることで、そのアプリをフォアグラウンドに表示できるようになった。背面に隠れてしまったアプリにファイルをドラッグしたいときに便利。

ドラッグ先のアプリが背面に隠れてしまっている
ファイルをドラッグしたまま、タスクバーのアイコンにマウスオーバーするとドラッグ先のアプリが前面に表示される

充電中のバッテリアイコンがケーブルではなく稲妻

 外部電源が接続されている場合、電源アイコンのデザインがケーブルではなく、稲妻に変更された。

電源アイコンが稲妻デザインになった

タスクバー左端に天気&株価

 タスクバーの左端は、標準では天気が表示されているが、株価のウィジェットで銘柄を選択しておくと、情報が更新された時だけ天気から株価に表示が変更される。

左端に株価も表示される

通知、アクションセンター関連の改善

応答不可の統合、カレンダーにフォーカス

 通知センターが改良され、上部に「応答不可」の設定が追加。最低限の通知のみ表示されるように設定を変更できる。また、カレンダーに「フォーカス」が統合され、通知をオフにして集中したい時間を簡単に設定できるようになった。

応答不可やフォーカスがより使いやすくなった

Bluetoothの強化

 アクションセンターのBluetoothアイコンが強化され、オン/オフだけでなく、デバイスの追加や状態確認(バッテリ残量表示)などの設定が可能になった。

アイコンの右側から設定が可能
ここからペアリングができる

近距離共有がBluetoothオフでも利用可能

 近距離共有が進化し、Bluetoothを搭載していないPCともファイル(OneDriveのリンク)を共有可能になった。なお、ネットワーク経由(UDP利用)で共有するため、ネットワークプロファイルがプライベートに設定されていないと利用できない。

Bluetoothなしでも共有可能

エクスプローラー関連の改善

クイックアクセスがホームに変更

 従来の「クイックアクセス」が「ホーム」に変更された。

ホームに変更された

OneDriveの統合

 エクスプローラーへのOneDrive統合が進み、同期ステータスの表示や設定、空き容量の表示などが可能になった。

右上からOneDrive関連の設定が可能になった

起動時のフォルダにOneDriveやSharePointを選択可能

 エクスプローラーを起動したときに表示される標準のフォルダにOneDriveのフォルダやSharePointのサイトを選択可能になった。

選択した場所が起動時に標準で表示される

フォルダのプレビュー

 フォルダアイコンでプレビュー機能が強化され、アイコンの状態でも中身を識別可能になった。

フォルダアイコンで中身を表示可能

設定関連の改善

Windows Studioによるエフェクト

 対応しているデバイス(NPU搭載PC)を利用している場合は、カメラ映像の背景ぼかしや音声フォーカスによる背景ノイズの除去などのエフェクト機能が標準で利用可能になった。

Microsoft 365サブスクリプションの表示

 [アカウント]で契約しているMicrosoft 365のサブスクリプションが表示されるようになり、ここから設定に移動できるようになった。

Microsoft 365のサブスクリプションを表示

Microsoftファミリ

 [家族]と[その他のユーザー]が分離され、[家族]ではMicrosoftファミリの設定が表示されるようになった。

[家族]の設定が独立した

ネットワークの「共有の詳細設定」追加

 従来、コントロールパネルにしかなかったネットワークの[共有の詳細設定]が[設定]に移行された。

プロファイルごとの共有の詳細設定が可能

アプリの詳細設定など細かな項目の見直し

 [設定]アプリの項目の見直しが実施され、従来同一だった項目の分離などが実施されている。例えば、[アプリ]の設定で、従来一緒だった[インストールされているアプリ]と[アプリの詳細設定]が分離された。

インストールされているアプリと詳細設定で設定が分離した

フォントのドラッグ&ドロップ

 フォントの設定で、ドラッグ&ドロップによるフォントの追加が可能になった。

設定アプリに直接ドラッグしてフォントを追加できる

規定のグラフィック設定

 規定のグラフィック設定が追加。GPUスケジューリングやウィンドウゲームの最適化などの設定が追加されている。

Android用Windowsサブシステム

 Android用Windowsサブシステムが日本でも利用可能になり、Amazonストア経由でAndroid用アプリをインストールし、Windows上で稼働させることが可能になった。

Androidアプリを利用可能

Windowsセキュリティの改善

 新たにスマートアプリコントロールを搭載(標準は無効)。不正なプログラムやアプリの署名のないプログラムを確認してなど、信頼できないアプリの実行を禁止できる。

 また、インターネットからダウンロードされた特定の拡張子のファイル(iso、VHD、VHDX、bat、cmd、js、vss、wsfなど)の実行もブロック可能。メールのリンクなどからダウンロードしたスクリプト経由で、マルウェア本体をダウンロードするようなケースで、初期のスクリプト実行を阻止できる。

 なお、22H2に更新しても初期はオフで有効化できない。有効化には再インストールが必要。

インターネットからダウンロードした不正なプログラムの可能性があるプログラムの実行を阻止できるアプリの署名を確認できる

タスクマネージャー関連の改善

デザイン変更

 タスクマネージャーのデザインが変更され、各項目が左側のサイドバーで切り替え可能になった。また、プロセスのヒートマップのカラーがブルーに変更され、中断しているアプリやエコモードのアプリのアイコンも変更された。

デザインが変更された

効率モードの追加

 リソースを多く消費しているプロセスを指定して、「効率モード」に変更することが可能になった。これにより、プロセスの優先度を下げることができる。ただし、アプリによっては不安定になる場合もある。

効率モードに設定可能

新アプリの追加

 標準で新たなアプリが追加されている。例えば、「ボイスレコーダー」が「サウンドレコーダー」に変更され、動画編集用のClipchampも標準搭載となった。

新たなアプリが標準搭載になった

アクセシビリティの改善

 ナレーターの品質が改善されたほか、動画に自動的にキャプションを追加する「ライブキャプション」や音声でWindowsを操作する「音声アクセス」などの機能も強化されているが、現状はいずれも英語のみとなる。

タッチ操作

 タッチ操作で新たな操作が一部追加されており、以下のような操作が可能になった。

  • 下端から上でスタートメニューを表示
  • 右端から左で通知センターを表示

ショートカットキー

 新たなショートカットキーとして以下の機能が追加されている。

  • Shift+右クリックで旧コンテキストメニュー表示
  • Crtl+Shift+Cでファイルのパスをコピー

ゲーム関連の新機能

  • コントローラーバー
    XboxコントローラのXboxボタンを押すと表示される新しいバー。最近プレイしたゲームなどが表示される
  • グラフィックの改善
    DirectX 10/11のウィンドウ表示のゲームでも、遅延、自動HDR、可変リフレッシュレートを利用可能
  • DirectStorageのサポート強化
    RAID0を含むより多くのストレージ構成をサポート
  • Microsoft Edgeのゲーム最適化
    Clerity Boostによる表示の鮮明化。効率モードによるリソース使用量の削減などが可能

10月に先送りされた新機能

 エクスプローラーのタブなど、一部の機能は、10月に予定されている小規模な機能更新へと先送りされた。具体的には、以下の機能が追加予定となっている。

  • 複数タブを利用できる新しいエクスプローラー
  • ギャラリーなどを強化した新しいフォトアプリ
  • 電話番号や日付などのテキストなどをコピーした際に表示される電話をかけるやイベント追加などの推奨されたアクション
  • タスクバーにオーバーフローしたすべてのアプリを1つのスペースで表示できるタスクバーオーバーフロー
  • より多くのデバイスを検出して共有可能にする近距離共有の強化

アップデートして損はない

 新たなWindows 11 22H2は、比較的地味なアップデートと言えるが、その改善項目は膨大であり、しかも日常的に利用する細かな部分が改善されているため、かなり使いやすさが向上したバージョンと言える。

 もちろん、リリースした直後はバグなども見つかる可能性はあるが、Windows Insiderでリリース前に利用していた限りでは、安定して動作している印象だ。今まで、ちょっと使いにくいと感じていた部分が改善されているので、アップデートして損のないバージョンと言えるだろう。