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Core i7のプレゼントつき! 「インテル × PC Watch公開オンライン飲み会」レポート

~Celeron 300Aから新時代の予告まで多岐に渡る内容に

Intel × PC Watch公開オンライン飲み会 Celeron 300Aから最新Core i9まで、あれやこれやを直撃! [Supported by Intel]

3つの時代をテーマにこれまでとこれからを語る

 梅雨明けやらぬ2020年7月6日19時、主催インプレス・協賛インテルによるYouTube公開生配信イベント「インテル × PC Watch公開オンライン飲み会」が開催された。

 参加者は、PC Watchライター陣から、「ユビキタス情報局」連載などを担当する笠原一輝氏、日常のさまざまなIT事情に触れたコラム「Re:config.sys」を連載する山田祥平氏、“NDA怖くないおじさん”こと“改造バカ”高橋敏也氏の3人。

 主催のインプレスからは、自作PC全盛期に「DOS/V POWER REPORT」の第3代編集長を務め、現在はインプレス社長の小川亨氏、「DOS/V POWER REPORT」第5代編集長を務めた佐々木修司氏、そして、司会進行も務めるPC Watchの2代目編集長、若杉紀彦氏。

 インテルからは執行役員常務技術本部本部長の土岐英秋氏と技術本部部長工学博士の安生 健一朗氏の2人が参加した。

画面左上から山田氏、若杉氏、佐々木氏(画面左)、高橋氏、画面左下から土岐氏、小川氏、笠原氏、最下段は安生氏

 飲み会のテーマとして乾杯直後に若杉氏より提示されたのは、「1990年代後半」、「2000年前半」、「2010年以降」の3つの時代に分けて語るというもの。その様子をレポートしていく。

Celeron 300Aの登場によるオーバークロック黄金時代

 各人の自己紹介後には乾杯が行なわれた。インテルの土岐氏、安生氏はまだ業務中のため、ノンアルコール飲料での乾杯、インプレスとライターたちはアルコールOKの乾杯となった。

 1995年頃の話題として、土岐氏はこの頃、インテルの筑波ラボでPCのパフォーマンスの検証作業を担当していたという。NECのPC-98とDOS/Vとの性能比較や、データシートを参照しつつ、あるピンとあるピンを繋ぐと通常より高いクロックで動作する、などのオーバークロックの実験をラボ内で行なっていた、と当時の業務内容について語った。

 ここでラボ内でのオーバークロックの話に再度笠原氏が敏感に反応し、オーバークロックと言えば「Celeron 300A」という話題に繋げていく。Celeron 300Aの名前を聞いた若杉氏からも「Celeron 300Aはこの時代の象徴とも言える存在」とその存在感の高さを改めて物語った。

こちらは笠原氏の私物のCeleron 266MHz(未開封)

 Windows 95ではOSのインストールがFDDからCD-ROMに変わっていった時期だが、前述のデバイスの動作については、Windows 95 OSR2の登場からプラグアンドプレイが本当の意味でのプラグアンドプレイになったと山田氏が当時の状況を補足。

 当時は通信速度も遅くネットワーク経由でパッチを当てると言った作業は現実的ではなかったため、雑誌の付録のCD-ROMにOS用パッチなどが収録されていたことが振り返られた。

性能競争による進化の歴史を振り返る

 ここで若杉氏から、1990年代もメインストリームはインテルだが、互換CPUや互換チップセットを提供する競合他社が多かった時代でもあったと当時の様子を回顧。この時代のプラットフォームとしてみると、インテルは安定してかつ高性能だが高価だった印象なのに対して、とにかく安いチップセットを提供してきたSiS(Silicon Integrated Systems)、インテルより安くて高性能なチップセットを提供していたのがVIA Technologiesのチップセットだったという自身の印象について語り、ライター諸氏がこの頃どのような指針でパーツを購入していたか質問を投げかけた。

 笠原氏は「互換チップセットの事を意識する前に、ASUSやMSIなどマザーボードメーカーを見て判断することが多く、搭載チップよりもこうしたメーカーへの信頼度が高かった時代だった」と回答。一方でインテル純正マザーボードは憧れだったことも補足。

 続いて、山田氏がはじめて自作したのがWindows 95よりもさらに古い486の時代であり、ASUSマザーを使っていたエピソードを披露。安定性重視のため、あまり浮気せず、インテルに一生ついていく、という感じで互換チップセットや互換CPUを使わず、ひたすらインテルを使い続けたという。理由としてはやはり安定性がおもな要因で、何かトラブルがあったときに、互換チップセットなどのせいにしたくなかったためだとする。

 Windows 98の時代から、自作PC市場が更に広がり、それに伴い、マザーボードメーカーもこの頃に一気に増えたと当時の印象を思い返す小川氏。そこに笠原氏がASUS、GIGABYTE、MSIなど現存メーカー以外に、当時のマザーボードメーカーとして印象に残っているのがSOLTEK、IWILL、そしてABITなど当時の自作事情を知る人たちには懐かしいメーカー名が登場して盛り上がった。

オーバークロック実演! Celeron 300Aは450MHz駆動の夢を見るのか?

 1990年代の話題が終わったところで小川氏は退出。代わりに余興の準備をしていた高橋氏と佐々木氏のスタジオのカメラに画面全体が切り替わり、余興がスタートした。

余興のためスタジオから参加した佐々木編集長と高橋氏

 余興として用意されたのは、先ほど話題に上ったCeleron 300AMHzの実物を搭載した動作環境だ。今回はこれを起動して当時の青春時代の想い出に浸ると説明。

 カメラがCPU周辺を映すとSlot 1の懐かしいビジュアルが確認できる。その後マザーボード下部からのアングルに変わると、CPUクーラーの下に4基のメモリスロットがあり、すべてのスロットがメモリで埋まっている様子が確認できる。マザーボードはチップセットにインテル 440BXを搭載したASUSの「P2B-F」。

デモ環境

 いよいよこの懐かしの環境を起動。画面上にGPU「GeForce FX 5200」の名前が表示され、無事に起動に成功した。起動画面に切り替わると、今となってはかなりゆっくりめのメモリカウントが動作し、512MBのメモリ容量を確認。

 HDDを認識したところで、起動してきたOSはなんと「Windows Me」。Windows Meの懐かしい画面を眺めつつ、今回はCeleron 300Aのオーバークロックを実演すると佐々木氏から発表。

起動したのはWindows Me

 P2BFのクロックアップはジャンパーピンの変更で行なう。当時のクロックアップ手法は、FSBを変更することで全体のクロックを変更するというもの。Celeron 300Aは倍率が4.5倍で固定されている。そして通常時はFSBを66MHzに設定して起動させることで、300MHzの周波数で動作するのだが、これをFSB 100MHzに設定することでCeleron 450MHzで動作させるのが当時のクロックアップの方法だ。

ジャンパーピンでFSBを変更

 デモでは正常に450MHz駆動で動作し、無事にベンチマークを取り終えることもできた。

300MHzのCeleronが450MHzで起動

日本のオーバークロックブームが「Turbo Boost Technology」を生んだ?

 その後、高橋氏が、当時の自作ユーザーたちの流行りのエピソードとして、Celeronの下駄デュアル構成をやりたくて、台湾でデュアルCPU搭載可能なマザーボードを購入してきたという話題を持ち出した。

 この話題を振ると、それに笠原氏がインテルの元社長、故ポール・オッテリーニ氏に、日本でのオーバークロックの流行について、1999年に質問した当時のやり取りを回顧した。オッテリーニ氏は「インテルのビジネスとしては何もコメントできない」と真顔で返したが、そのあとニヤリと笑みを浮かべて「でもホビーならいいんじゃないか」とコメントしてくれたという貴重な当時のエピソードを披露してくれた。

 そのおよそ10年後、インテルはCore iシリーズで「Turbo Boost Technology」として、公式のオーバークロック機能を搭載した。笠原氏は「これ公式のオーバークロックじゃん! と思った」と当時を振り返る。

 これについて土岐氏は、「皆さんが欲しい技術と、それを実現できる信頼性が追い付いたのではないか。ホビーであれば耐用年数は気にせずに、瞬間風速的にクロックを上げて動作させることもできるが、それでは寿命は短くなる可能性が高いし、インテルとしてもその動作を保証はできない。だが、利用状況に応じて一時的にオーバークロックする技術を取り入れても長い年月の運用に耐えうるだけの信頼性が確保できるようになった」とした。

2000年代のテーマはモバイル。Banias登場に受けた衝撃

 話題は2000~2010年へと移る。ここで笠原氏が当時登場した「Centrinoモバイルテクノロジー」について語った。「Baniasの登場が色んな意味でPCを変えた。BaniasがConroeとなり、Nehalemになって現在のCoreシリーズの原点ともいえるのがCentrinoの時代だった」とした。

Centrinoグッズを披露する土岐氏と笠原氏

 続けて土岐氏ははじめて客先に「Banias」を持って行ったとき、「Pentium 4を使ったノートPCの熱設計で苦心されていた会社が多かったため、Baniasを見たみなさんが、インテルさん、これだよ、ほしかったやつは! と歓迎されたのを今でも覚えています。TDP 22Wと告げた時のお客様がみんな色めき立って、これで薄型作れますよ! と大歓迎ムードだった」と当時のエピソードを語った。

 土岐氏は「Centrinoモバイルテクノロジー」についても言及。「CPUだけでなく、Wi-Fiをプラットフォームとして標準搭載し、Intel 855GM/GMEチップセットではじめて、グラフィックス機能をチップセットに内蔵するなど、今までよりも踏み込んだかたちで、プラットフォームを意識して作っているという感覚が強くなった」と当時を振り返る。

 また若杉氏は、「当時はメーカーお仕着せのドライバやプラットフォームに対して、メーカーへの反発もあった時代。Centrinoも当初は、押しつけでは? という声もあったなかで、今振り返れば、これらを揃えてプラットフォームとして提供し続けたことがいまに繋がっている」とした。

 笠原氏は「Wi-Fiは、いまとなってはなくては生きていけない。もともとチップとして別に載せていたWi-Fiコントローラも、現在ではUプロセッサなどでは、CPUに統合されていることに驚かされる」とした。

 山田氏からも「PC-286LでノートPCを持ち運ぶようになって以来15年間、Centrinoの時代でようやくノートPCが普通の道具になったな、と実感できるようになった」と長年さまざまなモバイルを模索してきた山田氏らしい発言が飛び出した。

ネットブックの台頭と衰退

 若杉氏がこの時代のトレンドとして次に印象的だったものとして挙げたのがネットブック。「この時代、PCの民主化を広げた要因の1つにネットブックがあると思う。モバイルが日本のお家芸であり、優良な製品は高い時代だったので、スマートフォンが普及する前のこの時代、ネットを見るのはPCという時代に低価格でネットブックが登場したことで、裾野が広がった」とその存在意義について説明。

 ネットブックのブームが過ぎた後も、さらに超低電力のCPUとしてAtomシリーズが登場し、その系譜のCPUも継続している。

 また、笠原氏は、インテルのチップセットの作りについて言及、「インテルがチップセットで新しい規格に対応する場合、そのかなり前のバージョンからコントローラだけはチップに内蔵しているが、当初は無効にして、バリデーションを行ない、問題がないことを確認してから有効にする。とにかく時間をかけてバリデーションを続けている」と説明。

 安生氏もそれに応えて「互換性を強固にするには、とにかく繋げる物は全部試す必要がある。たとえば、HDMIなどもテレビやディスプレイ、全部やらないと意味がないため、PCI Expressの時もそうだったが、パートナー企業との結びつきがとにかく必要。USB、Wi-Fiなど、自社の製品に搭載するインターフェイスについては、時間と力をすごくかけている。今でも年に何回も頻繁にワークショップをやっている」とその取り組みについて説明した。

最後のテーマは2010年代

 ここでテーマはいよいよ、3つめとなる2010年から現在に移る。このテーマを語る前に若杉氏からインテルに向けて1つの質問が投げられた「直近の10年、インテルの存在感が薄まっているのではないか?とメディアから見ると感じる。Sandy Bridgeおじさんが話題になったが、彼らからすると、動いてるからいいじゃん、変わんないんでしょ?というイメージが原因で買わずに過ごしている。そういうところを掘り下げる動きがないからなのでは?」と少し直球気味の厳しい質問だ。

 この問いかけに対して、土岐氏は「かつてはPCを中心にした開発だったが、現在のインテルではより上の部分、データセンターや組み込み用など、6つのイノベーションの柱、6つのエリアを考えて開発を進めています」と回答。

インテルが提唱する6つのイノベーションの柱

 「チップ製造とアーキテクチャの設計は半導体の基本なのでここは大前提。次はxPU。このxPUは、CPUだけではなくGPUやFPGAもASIC、そしてAI用のアクセラレーターやビジョンアクセラレータなども含めてxPUと呼んでいます。また、メモリもデータをプロセッサユニットにどのように効率的に渡すかが大事、デバイス間を繋ぐインターコネクトも重要、こうなってくるとその上のセキュリティも重要だし、全体の最適化も必要。これら6つの要素を考えて、現在のインテルは開発を進めています」(土岐氏)と、現在のインテルの開発スタイルについて説明した。

 続いて、6月に「Intel Core processors with Intel Hybrid Technology」として正式発表されたばかりの「Lakefield」の紹介がはじまった。Lakefieldは3次元積層パッケージの採用により、メモリやPCH機能なども含めたさまざまな要素が詰め込まれた新CPUだ。「とくにヘテロジニアスアーキテクチャの1つのやり方として、Atom系とCore系のコアを1つのCPUに収めたハイブリッドパッケージで、ローパワーの時はAtomコア、ハイパワーの時はCoreコア、といった動作をすることでより省電力設計になっている」と特徴を説明。また、この設計の思想が前述の6つの要素の考え方から、開発されたとする。

 これに対して笠原氏も「スタンバイ時の消費電力が10分の1まで落とせるようになったのが大きい。今までのインテルプロセッサは、性質上スタンバイ時の消費電力の高さが弱点だったが、Lakefieldではそこが解消されており、インテルにとっても非常に重要なパッケージだ」と絶賛した。

Lakefieldの概要

 ここで若杉氏は、「では、エンドユーザーが実際にどんなものが買えるか、そこが知りたいので、そのなかで話ができる範囲で教えてほしい」と質問する。

 安生氏は「この10年間を振り返ると、そこにはPCとは異なる新たなプラットフォームとして、スマートフォンやタブレットが登場して受け入れられてきた時代だったと考える。そしてインテルでは、この時代のPCはどんなものになるべきか、という模索を繰り返してきた」と直近の10年を振り返る。

 そして「その模索の成果がUltrabookなどであり、これらは単にインテルが省電力や薄型化を進めたCPUを提供しただけではなく、パートナー企業らと協力して、ノートPCに必要なさまざまなコンポーネントの薄型化にも協力することで実現できたものだ」とし、これまで、そしてこれからもベストをつくして新たなかたちを提案していくとしている。

 そのうえで、今後のノートPCの、ユーザー体験のさらなる進化を目指して、「Project Athena」を立ち上げたと説明。

Project Athenaの概要

 安生氏は「Project Athena」はこれまでユーザーが挙げてきた不満を徹底的に解消しようとするための試みだとし、具体的には、蓋を開けたらすぐに起動してほしい、Wi-Fiを高速に、バッテリはなるべく長時間駆動してほしい、PCがもっと高速に動作してほしい、などの直接的な要望をに応えられるノートPCのモダン化の規格にしたと自信をのぞかせる。

 フォームファクタについても、Lenovoが発表した「ThinkPad X1 Fold」のようなディスプレイを折り畳めるというこれまでの常識を打ち破るような柔軟なデザインへの対応を例として挙げ、「このように各社から未来のPCビジョンを具現化したものが続々と提供され、今年後半はProject Athenaに対応したPCがたくさん登場します」と予告してくれた。

 安生氏はまた、どんなに斬新なデザインや新たな切り口のデバイスが出たとしても、それだけではユーザー体験に繋がらない。ソフトウェアの対応が重要になってくるが、インテルではこうしたソフトウェアが同社製CPUの命令セットや機能を最大限に活用できるよう支援するなど、同社のソフトウェアに対する体制の充実について改めて強調した。

 ここで若杉氏は、そうしたソフトウェアの機能提供や各パートナー企業との協力体制について、あまりインテル側からアナウンスされる事がない点について指摘。すると安生氏は「PC業界全体の成功がインテルの目標であり、主役はインテルではなくPCメーカーさんであり、それを利用するユーザーさんがどう使うのかが重要であり、そこにはわざわざ触れずにいる面もある」と、答えた。

次回は公開質問大会?

 最後に若杉氏から締めの言葉として「初の試みだったが、機会があればまたやってみたい。今回は視聴者のコメントをあまり紹介できなかったが、視聴者の質問にインテルが答える、といった企画もやってみたい」と、今後のオンライン飲み会の発展形に意欲を見せた。


【編集部より】

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 どのプレゼントにも共通する決まりを以下に挙げます。詳しい応募方法は、各プレゼントごとの説明をご覧ください。

  • 当選者の発表は、商品の発送をもって代えさせていただきます(ご応募いただいた方の個人情報は発送のためだけに使用し、当選者決定後、データは削除します)。
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  • ご応募は日本国内に在住の方に限らせていただきます。
  • 本人以外の仮名や家族名義での応募は無効とさせていただきます。
  • ご応募はおひとり様1通とさせていただきます。複数の応募を確認した場合は無効といたします。

応募方法
応募方法:下記リンクの応募フォームに必要事項を入力して送信してください
応募締切:2020年7月31日(金) 0:00まで

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制作協力:インテル