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パナソニック、帯電微粒子水利用の「ナノイー」技術で新型コロナを抑制
2020年7月31日 15:10
パナソニックは、帯電微粒子水において、新型コロナウイルス「SARS-CoV-2」に対する抑制効果を確認できたと発表した。パナソニックでは、帯電微粒子水として、同社独自技術「ナノイー」を開発。空気清浄機などに利用している。
大阪府立大学 大学院生命環境科学研究科 獣医学専攻 安木真世准教授との共同実験では、45Lの試験空間において、床面から15cmの位置に、帯電微粒子水発生装置を設置。
ウイルス液を滴下したガーゼをシャーレに設置し、3時間にわたり帯電微粒子水を曝露し、ウイルス感染価を測定し、抑制率を算出。再現性を確認するために同じ試験を3回実施。その結果、99.7%~99.9%の抑制率が見られたという。
なお、今回の確認は密閉した試験空間で実施したものであり、実使用空間における確認ではないとしている。
「ナノイーを搭載した商品による効果を示したものではない。実使用空間での試験については、機会があれば今後進めていきたい」(パナソニックアプライアンス社 技術本部 ホームアプライアンス開発センターの中山敏部長)としている。
帯電微粒子水は、空気中の水分に高電圧を加えることで生成される「OHラジカル」を含んだ微粒子イオンで、酸化力が強く、反応性が高いという特徴がある。
「帯電微粒子水は、空気中の水に高電圧を加えることで生成されるナノサイズの微粒子イオンで、5~20nmの水でできた粒子。そのなかに、高反応成分であるOHラジカルが含まれ、脱臭のほか、菌、ウイルス、アレル物質抑制などに作用する。
また、弱酸性であるため、肌や髪にもやさしい」(同)としており、帯電微粒子水が、うるおい美肌や髪ツヤなどの「美容」、付着臭脱臭や除菌、カビ抑制などの「清潔」、鮮度維持、栄養素アップなどの「保鮮」といった分野でも効果を発揮するとしている。
パナソニックでは、1997年に研究を開始して以来、20年以上にわたって帯電微粒子水技術の研究に取り組み、人体へ悪影響をおよぼす細菌、真菌、ウイルスといった病原微生物や、アレルゲンの抑制、PM2.5含有成分の分解など、さまざまな効果を確認してきた。
2009年には、鳥インフルエンザや新型インフルエンザの抑制効果を実証。2012年に第三者機関とともにウイルスクリアランス試験を実施し、4つに分類したそれぞれの生物学的特性で抑制効果が確認できたことから、未知のウイルスに対しても、帯電微粒子水の抑制効果が期待できると発表していた。
また、2020年7月には、大阪府立大学が行なった試験により、細菌9種類、真菌9種類のすべてにおいて、99.9%の抑制効果が認められたことを発表。試験を行なった大阪府立大学の向本雅郁教授は、「細菌、真菌の代表となる種において、抑制効果があった。この結果から、耐性の高い細菌や真菌、未知の細菌や真菌に対しても同様の効果が期待できると考えられる」と発言。
そのさいに、パナソニックの中山部長は、「新型コロナウイルスについても、効果の可能性がある。新たなウイルスであり、実際には、実物で検証してみないとわからないが、その成果については、近々発表できる」としていた。
パナソニックでは、「今後も、新たな病原微生物をはじめ、さまざまな空気リスクが発生する可能性があるが、世界中の人々が健やかに過ごせる環境づくりを目指し、引き続き帯電微粒子水技術の可能性を追求する」としている。