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スマートウォッチにもNPUが来るッ!Snapdragon Wear Elite登場

Snapdragon Wear Elite(写真提供: Qualcomm)

 Qualcommは、3月2日(現地時間)よりスペイン王国バルセロナ市で開催されるMWC 2026に先だって報道発表を行ない、同社がMWCで発表する新製品やテクノロジーなどに関して説明した。

 この中で、スマートウォッチOS「Wear OS by Google」向けのSoC最新版となる「Snapdragon Wear Elite」、5Gモデムの最新版となる「X105 5G Modem-RF」、Wi-Fi 8とBluetooth 7に対応した「FastConnect 8800 Mobile Connectivity System」(FastConnect 8800)などの新製品を発表した。

業界初の本格NPU搭載のスマートウォッチ用SoC「Snapdragon Wear Elite」を発表

Snapdragon Wear Eliteの機能(出典: Qualcomm MWC 2026、Qualcomm)

 Qualcommが発表したSnapdragon Wear Eliteは、GoogleのWear OS by Google向けに提供してきたSoC「Snapdragon Wear」の最新製品となる。最大の特徴は、同社が「業界初」と説明している、スマートウォッチ向けのSoCに本格的なNPUを搭載していることだ。

 具体的には、2種類のNPUが搭載されている。1つはHexagon NPUで、演算器などの違いはあるものの、スマートフォン用のSnapdragonに採用されているNPUの流れを汲むものとなっている。

Hexagon NPU(出典: Qualcomm MWC 2026、Qualcomm)
eNPU(出典: Qualcomm MWC 2026、Qualcomm)

 もう1つは「eNPU」で、低電力アイランドに置かれているSensor Hubと協調して動作することで、AI処理を低消費電力で行なうことができる。

 たとえば、Sensor Hubがユーザーの音声だけを待つ待機状態になっており、ユーザーの音声操作をトリガーにして、eNPUを有効にして音声認識などの各種処理を行なう。これにより、CPUやHexagon NPUのようなSoCの主要部分はアイドル状態のままでAI処理を低消費電力で行なうことができるようになる。

CPUは5倍、GPUは7倍と性能が強化(出典: Qualcomm MWC 2026、Qualcomm)
電力効率は30%改善、急速充電にも対応(出典: Qualcomm MWC 2026、Qualcomm)

 また、CPU、GPUも従来モデルより性能が強化されており、CPUは性能が5倍、GPUは性能が7倍になっている。また、電力効率も改善されており、同じバッテリ容量であれば30%長時間バッテリ駆動が可能になるという。無線機能はWi-Fi 6およびBluetooth 5.3に対応しているほか、5G Redcap Rel-17、LTE TDD、LTE FDDなどのセルラー回線や衛星通信などにも対応が可能。

 QualcommによればGoogle、Motorola、Samsungなどの主要なOEMメーカーと協力して開発を進めており、数カ月以内には最初の商用デバイスが登場する見通しだ。

エージェント型AIに対応した5Gモデム「X105」と4x4対応で11.6GbpsのWi-Fi通信を実現したFastConnect 8800

X105 5G Modem-RF(写真提供: Qualcomm)
X105 5G Modem-RFの特徴(出典: Qualcomm MWC 2026、Qualcomm)
Qualcommの5Gモデム進化の歴史(出典: Qualcomm MWC 2026、Qualcomm)

 X105 5G Modem-RFは、5Gモデムの最新版となる。同社は2022年に「X70」、2023年に「X75」、2024年に「X80」、2025年に「X85」という5Gモデムを順次リリースしてきた。X70以降の5Gモデムは、AIを活用した機能が用意されており、年々拡張されてきた形となる。そのAI 5Gモデムとして第5世代となるX105は、エージェント型AIの機能が実装されており、チップ自体が自動で性能を最適化することなどが可能になっている。

 そのほかにも、チップの底面積が15%、消費電力が30%削減されるほか、NR-NTNの衛星通信を利用して5G通信できる。また、クアッドチャネルのGNSSに対応し、GPSを利用したときの正確性などが改善されている。

FastConnect 8800(出典: Qualcomm MWC 2026、Qualcomm)

 FastConnect 8800は、Wi-Fi 8とBluetooth 7というWi-Fi/Bluetoothの最新規格に対応した通信コントローラとなる。

 従来モデルの「FastConnect 7900」はWi-Fi 7とBluetooth 6へ対応していたが、FastConnect 8800ではWi-Fi 8とBluetooth 7への対応が追加される。Wi-Fi 8は現在業界で策定が進んでいる次世代のWi-Fi規格で、無線部分の性能(つまりは帯域幅)はWi-Fi 7と同じだが、より通信距離を延ばしたり、安定した通信ができるようになることが大きな特徴になっている。

4x4のアンテナに対応することで11.6Gbpsで通信が可能に(出典: Qualcomm MWC 2026、Qualcomm)
FastConnect 8800の特徴(出典: Qualcomm MWC 2026、Qualcomm)

 FastConnect 8800はそうしたWi-Fi 8に対応しているだけでなく、アンテナの構成が強化されている。従来製品では2x2だったのに対して、本製品では4x4になっている。このため、アクセスポイント側も4x4に対応していて、かつ端末側も4x4アンテナを搭載すれば最大で11.6Gbpsの理論的なピークスループットで通信することができる。

 FastConnect 8800は現在サンプル出荷中で、本年(2026年)後半に商用化が予定されている。MWCではそのデモが行なわれる計画だ。