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東芝、光触媒で新型コロナの抑制成功

 東芝グループは、東芝マテリアル株式会社が開発した、床や壁などに噴霧して使用する可視光応答型光触媒「ルネキャット」(RENECAT)が、新型コロナウイルスの感染価(感染性を持つウイルス粒子の数)の抑制に、一定の効果があるとの実験結果が得られたと発表した。

 可視光応答型光触媒は、抗菌、抗ウイルス、消臭効果を持ち、既に鳥インフルエンザウイルスやO157、黄色ブドウ球菌などを抑制することが外部機関の試験によって確認されている。今回、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の試験で、ウイルスのスパイクたんぱく質を減少させていることが判明し、ウイルス感染価が99.2%以上低下する結果が得られたという。

 現在の新型コロナウイルス感染対策として、アルコールや次亜塩素酸ナトリウム水溶液による消毒が行なわれているが、蒸発すると効果は得られない。一方で光触媒は、アルコールなどのような即効性はないものの、固体のため蒸発せず、効果が持続するという特長がある。光触媒は光を当てる必要があり、今回の試験では白色蛍光灯が用いられたものの、白色LEDでも効果を発揮するという。

 検証試験の結果を含めた研究成果は、日本防菌防黴学会の季刊誌「Biocontrol Science 2021 Volume 26 Issue2 (p.119~125)」に掲載されている。