イベントレポート
Adobe、PremiereのAI処理をRTXで2倍高速化。NVIDIAと協業拡大
2026年6月5日 17:42
Adobeは、NVIDIA RTX Sparkのソフトウェアサポートで協業関係を拡張すると発表している。同社のクリエイター向けツールCreative Cloudの主力ツールである「Premiere」、「Photoshop」の2つのアプリケーションでGPUを利用したアクセラレーション機能を拡張する。
同時に両社はエージェント型AIに関しても協業し、4月にAdobeが発表したクリエイター向けエージェント型AIとなる「Creative Agent」のPremiere、Photoshopでの実装に向けて協力していく。
Premiereが一部機能がTensor RT対応で高速化
今回両社が発表したのは、Premiere、Photoshop、そして「Substance 3D Painter」、「Substance 3D Stager」などのCreative CloudのアプリケーションのGPUサポートの拡大だ。
たとえばPremiereでは、「シーン編集の検出」というAIベースの機能が用意されている。このシーン編集の検出では動画をAIが分析して、自動的に必要ないところをカットしてくれる機能になる。
通常こうしたカット編集は、動画を見ながらカットする部分を決めたりするため、編集者にとっては非常に時間がかかる作業だ。シーン編集の検出ではこれを自動化して作業時間を短縮できる。
そして、このシーン編集の検出機能、当初はCPUで行なわれていたのだが、昨年(2025年)あたりからNPUによる処理が可能になり、AMDのRyzen AIシリーズ、IntelのCore Ultraシリーズ、QualcommのSnapdragon X/X2シリーズのようなNPUを搭載したPCで利用する場合にはより高速に処理できるようになっていた。
今回このシーン編集の検出で、NPUに代わってNVIDIA GPUに内蔵しているAIエンジン「Tensor RT」を利用して処理が可能になる。
NVIDIAのGPUにはいわゆるNPUは搭載されていないが、NPUと同じような機能を持つ演算器としてTensor RTが搭載されているため、それを使うと、NPUと同じように消費電力を増やすことなく処理能力を上げることができる。
デモでは、Tensor RTには未対応のバージョンと比較して、シーン編集の検出の処理が2倍高速に終わる様子が公開された。
なお、Tensor RTはGeForce RTX 20シリーズ(Turing)以降のRTX GPUに搭載されているため、RTX GPUであれば利用可能になる予定。既にAdobeの未公開ベータ版でテストが行なわれており、今後公開ベータ、製品版などと順次展開されていくことになるとデモしたNVIDIAは説明した。
また、PremiereがRTX Sparkのハードウェアエンコーダ、デコーダに対応し、「4:2:2 10bit」などの重い動画であっても、複数のストリームをPremiere上でライブ表示させながら処理することが可能になる。
NVIDIAのデコーダに対応していないバージョンでは、紙芝居のようになってしまうのに対して、NVIDIAデコーダに対応した未公開ベータ版では、1ストリームどころか4ストリームを同時に再生して処理が可能になっている様子が公開された。
Adobeのエージェント型AIがRTX Sparkで動作するように
今回の協業強化は、エージェント型AIにも拡大される。
Adobeは4月15日に米国ラスベガスで行なわれたAdobe Summitにおいて「Creative Agent」と呼ばれる新しいエージェント型AIを発表している。このCreative Agentでは新たに「Firefly AI Assistant」と呼ばれるAIエージェントが導入され、動画編集・画像加工・音声処理などをプロンプトで一括操作することが可能になる計画だ。
AdobeとNVIDIAはこのCreative Agentに基づいたエージェント型AIの実現に向けて、協業していく。今回NVIDIAはPhotoshopのAPIと連携して、OpenClawがクリエイターのチームメイトとして処理の自動化を行なうデモを行なったが、将来的にはAdobeのエージェント型AIがRTX Spark上で動作することなどが予定されている。
























