イベントレポート

HP、紛失・盗難防止用タグ「Tile」を統合したDragonflyの2020年モデルを展示

Tileに対応したHP Elite Dragonfly G2 Notebook PC

 HPは1月7日~1月10日(現地時間)に米国ネバダ州ラスベガス市で開催されている世界最大のデジタル関連展示会「CES 2020」に合わせて報道発表を行ない、HP Elite Dragonflyの最新版や「HP Spectre x360 15"」、「HP ENVY AiO 32"」などを発表した。

CPUがComet Lakeな第10世代Coreプロセッサに進化したDragonfly

HP Elite Dragonfly G2 Notebook PC

 HPは昨年(2019年)の9月にHP Elite Dragonflyというビジネス向けの薄型/軽量2in1型デバイスを発表した。Dragonflyは38Wh、56Whという2つのバッテリ容量が用意されており、38Whのバッテリを選択した場合には1kgを切る0.99kgと、2in1デバイスとしては比較的軽量さを実現していることにある。

【表】HP Elite Dragonfly G2 Notebook PCのスペック
製品名HP Elite Dragonfly G2 Notebook PC
CPU第10世代Coreプロセッサ(CML)
GPUIntel UHD Graphics
メモリ最大16GB(LPDDR3-2133/オンボード)
ストレージ128GB SATA~2TB NVMe
ディスプレイ13.3型フルHD(SureViewあり/なし)、13.3型4K
タッチ/ペン対応/対応
カメラ(Windows Hello対応有無)720p(物理シャッターあり/IR搭載)
USB Type-A1
Thunderbolt 32
HDMI1.4
オーディオ1
Wi-FiWi-Fi 6
BluetoothBT5
WAN4G(XMM7360)/5G(Snapdragon X55)
指紋認証対応
キーボードバックライドキーボード
ポインティングデバイス高精度タッチパッド
ACアダプタ65W(USB PD)
バッテリ38Wh/56.2Wh
サイズ(横×縦×高さ)304.3x197.5x16.1mm
重量0.99kg(38Wh選択時)~
OSWindows 10 Home/Pro

 今回の2020年型のDragonflyではCPUが第10世代Coreプロセッサに強化された。第10世代Coreのうち、14nm++で製造されるComet Lakeのほうを採用しているが、今後vPro対応版がラインナップされる計画だ。メモリは最大16GB、ストレージは最大2TBとなっており、Wi-Fi 6/BT5に対応していることなども含めて、CPUがComet Lakeになった以外のスペックは同等だ。

 ディスプレイも13.3型フルHDで、デジタルプライバシーフィルタ(SureView)搭載モデルと非搭載モデルがあり、13.3型4Kも選択できる(4KはSureView搭載モデルはなし)。I/Oポートは左側にUSB Standard-A、Thunderbolt 3に対応したUSB Type-Cが1つ、右側にThunderbolt 3に対応したUSB Type-Cが1つ、HDMI 1.4が1つ、オーディオ端子が1つとなっている。

本体の左側面
本体の右側面
F2でSureViewの機能を有効にできる

 従来モデルとの違いはオプションで5Gモデムが追加されたこと。4GモデムはIntelのXMM7360、5GモデムはQualcommのSnapdragon X55 5G modemが用意されており。発売時点では4Gモデムのみが選択可能で、5Gモデムは後日追加される。

紛失防止/盗難対策用タグ「Tile」は外から見てもわからない

Tileのクラウドツールから場所を把握することができる

 2020年型Dragonflyのもう1つの大きな特徴は、紛失防止/盗難対策用タグ「Tile」をオプションとして選択可能になっていることだ。Tileは、Bluetoothの電波を出し続けており、ユーザー自身のスマートフォンにTileのアプリケーションをインストールすると、さまざまな設定ができる。

Webブラウザでクラウドツールにアクセスして操作が可能
スマートフォンアプリからアラームを鳴らしたりできる

 特徴的なのは、仮にユーザーがTileを取りつけて所有物をなくしてしまっても、バッテリがなくなるまでTileデバイスは動き続ける点。Tileのアプリケーションをインストールしたスマートフォンを持っているユーザーが通りかかると、Tileが出すBluetoothの信号を拾ってクラウドにその位置情報を通知する。そしてそのTileのタグの所有者にTileのクラウド経由で場所の通知が行くという仕組みになっている。したがって、今後Tileを使う人が増えれば増えるほど、場所を把握できる可能性が高まっていくことになる。

 DragonflyではそのTileのタグを内部に統合している。具体的には、M.2のモジュールにTileが実装されており、Windows OSからは独立して動作している。本体側のリソースとしては、Bluetoothアンテナとバッテリからの給電だけを利用している仕組みだ。したがってPCがスリープモードになっていようが、システムの電源が切れていようが、Tileのタグは動作する。

 それ以外は基本的にはTileの仕組みそのもので、家のなかでなくしたとき用のアラーム音を鳴らす機能なども有効で、PC側のボリュームがオフになっていたとしても、Tileのスピーカーが音を鳴らすので、きちんとTileとして動作する。

 もちろんなくしたときに検索する機能も一緒で、スマートフォンのTileアプリケションや、クラウドのTileアプリケーションから位置情報を確認できる。また、外側からはTileが入っているかどうかは判別できないので、盗難時でも犯人に気がつかれないように位置を推定することができそうだ。

 働き方改革などで、PCを持ち歩くことは増えているが、それでも一定数なくしてしまう人は少なくないと聞く。そうしたときにこの機能を使えば、なくしても見つけやすくなるだろうし、家のなかでなくしてしまうといううっかりさんでも、アラーム音で探すことができるのはうれしいところだ。