米Intelは8日、初めて32nmプロセスを採用するデスクトップおよびモバイル向け新Coreプロセッサ17モデルを発表した。ラインナップには、これまでのCore i7/i5に加え、エントリークラス向けのCore i3が用意される。
2008年末に発表された45nmプロセス採用のNehalemアーキテクチャを踏襲しつつ、32nmへと微細化。また、先頃発表された新Atom同様、新たにグラフィックス機能を搭載する。ただし、製品構成はいくつかの点で従来製品と異なる。
CPU部分のプロセスルールは32nmとなった。基本マイクロアーキテクチャは、Nehalemだが、コア構成はこのシリーズで初めてデュアルとなる。共有L3キャッシュ容量も削られ、3~4MBとなる。Hyper-Threadingテクノロジーは引き続き搭載し、論理コア数は4基。命令セット周りでは、AESに関するものが追加されたのみで、ほとんど共通。
発熱に余裕があるときにTDPの枠内でコアクロックを引き上げるTurbo Boostテクノロジーも踏襲(Core i3除く)。特にシングルスレッドのみを実行させているとき、パワーゲートにより、片方のコアの消費電力はほぼゼロになるので、ターボブーストによる恩恵を受けやすい。トランジスタ数は3億8,300万。TDPはデスクトップが73~87W、モバイルが18~35W。
デスクトップ向けCPUの概要とラインナップ | モバイル向けCPUの概要とラインナップ |
デスクトップ | ||||
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プロセッサー・ナンバー | クロック | TurboBoostクロック | GPUクロック | 価格(1,000個ロット時) |
i5-670 | 3.46GHz | 3.73GHz | 733MHz | 25,800円 |
i5-661 | 3.33GHz | 3.60GHz | 900MHz | 17,800円 |
i5-660 | 3.33GHz | 3.60GHz | 733MHz | 17,800円 |
i5-650 | 3.20GHz | 3.46GHz | 733MHz | 15,990円 |
i3-540 | 3.06GHz | なし | 733MHz | 12,080円 |
i3-530 | 2.93GHz | なし | 733MHz | 10,260円 |
モバイル | ||||
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プロセッサー・ナンバー | クロック | TurboBoostクロック | GPUクロック | 価格(1,000個ロット時) |
i7-620M | 2.66GHz | 3.33GHz | 500~766MHz | 30,160円 |
i5-540M | 2.53GHz | 3.06GHz | 500~766MHz | 23,350円 |
i5-520M | 2.40GHz | 2.93GHz | 500~766MHz | 20,440円 |
i5-430M | 2.26GHz | 2.53GHz | 500~766MHz | 非公開 |
i3-350M | 2.26GHz | なし | 500~766MHz | 非公開 |
i3-330M | 2.13GHz | なし | 500~766MHz | 非公開 |
i7-640LM | 2.13GHz | 2.93GHz | 266~566MHz | 30,160円 |
i7-620LM | 2GHz | 2.80GHz | 266~566MHz | 27,250円 |
i7-640UM | 1.20GHz | 2.26GHz | 166~500MHz | 27,710円 |
i7-620UM | 1.06GHz | 2.13GHz | 166~500MHz | 25,250円 |
i5-520UM | 1.06GHz | 1.86GHz | 166~500MHz | 21,890円 |
グラフィックス機能を新搭載するが、これはCPUコアとは別のダイで、プロセスルールも45nmと異なっている。メモリおよびPCI ExpressコントローラもCPUダイではなく、グラフィックスダイに統合されており、従来のCPUとノースブリッジに相当するダイを1つのチップ上に封入した形となる。両者間の接続はQPI。
グラフィックスクロックは、デスクトップ向けが900/733MHz、モバイル向けが500/266/166MHz。ただし、モバイル向けについては、CPUの負荷が低く、グラフィックスの負荷が高いときに、動的にグラフィックスクロックを向上させる「HD Graphics with Dynamic Frequency」機能により、下位モデルで500MHz、上位モデルで766MHzまでクロックがあがる。また、モバイル向けは、外部GPUとの切り替えに対応する。
シェーダ数はIntel G45/GM45 Expressなどの10基から12基に増加。細かな改善も施され、Intelでは第3世代のアーキテクチャとしている。ドライバ周りも改善され、Windows 7に最適化したほか、グラフィックスAPIは、DirectX 10と新たにOpenGL 2.1に対応。このほか、BDなどのHDデュアルストリームの再生支援機能などを搭載する。トランジスタ数は1億7,700万。
CPUダイとグラフィックスダイの写真 | 実際のCPU表面はヒートスプレッダで覆われる | Core DuoとCore i5の性能比較 |
モバイル向けはGPUのクロックも動的に変えられる | GPUのシェーダ機能 | GPUの動画機能 |
対応メモリは、デスクトップがDDR3-1333、モバイルがDDR3-1066/800で、デュアルチャネルアクセス。なお、グラフィックスダイはCPUを介さず、メモリにアクセスできる。
対応チップセットはIntel 5シリーズで、CPUに合わせて、デスクトップ用にIntel H57/H55/Q57 Express、モバイル用にIntel HM57/HM55/QM57/QS57 Expressが用意される。デスクトップ向けのCPUソケットはLynnfieldと同じ、LGA1156。そのため、従来のIntel P55 Expressと組み合わせることもできるが、その場合は、グラフィックス機能は無効になる。逆に新しいチップセットに従来のCore i7/i5を載せることもできる。CPUとの接続はDMI。ただし、グラフィックスダイから、ディスプレイインターフェイスまでの間は、FDI(Flexible Display Interface)で別途接続されている。
新しいIntel 5シリーズチップセット | ラインナップと価格 |
デスクトップ向けチップセットの機能比較 | モバイル向けチップセットの機能比較 |
Intel H57 Expressのブロックダイヤグラム |
(2010年 1月 8日)
[Reported by 若杉 紀彦]