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NEC米沢工場でのThinkPad生産が軌道に
~今後はメイドインジャパンThinkPadの輸出も視野に
(2015/3/19 16:27)
NECレノボ・ジャパングループによる、一部「ThinkPad」のNECパーソナルコンピュータ 米沢事業場での生産/出荷が2015年2月から開始された。3月中旬時点では、2機種を月3千台のペースで製造している。NECレノボでは、既にThinkPadの国内生産に手応えを感じており、今後ラインの拡大や海外への出荷も目論む。今回、米沢事業場へ伺い、生産現場を取材してきた。
米沢事業場は、「LaVie」シリーズに代表されるNECパーソナルコンピュータ(NEC PC)の製造拠点。独自に培ったノウハウを生かし、生産効率を常日頃改善しており、2万種にも渡るというBTO仕様の製品を月30万台製造している。製造ラインは60あり、その内40がノートPC、20がデスクトップを担当。ここに現在、ThinkPad専用の製造ラインが2本設けられている。
現在ここで製造されているのは、「ThinkPad X1 Carbon」、「ThinkPad X250」シリーズという日本のユーザー層に好評なモバイル向けの2製品。ここで生産された製品には、「Assembled in Japan」が刻印されたステッカーが貼られ、外箱にも「米沢生産」のロゴが貼られる。
製造ラインのぱっと見は、LaVie用とThinkPad用とで大きく変わらない。だが、LaVieのラインでは、作業工程に合わせて作業台の奥から組み立てに使うパーツの棚がせり出してきたり、ロボットがネジ止めを行なったり、デスクトップの筐体など重量のある部品は無人搬送車がラインまで持ってきたりとかなりの自動化が組み込まれている。一方、ThinkPadのラインでは、まだこういった自動化は導入されていない。
それでも、従来の中国生産では最短で2週間ほどかかっていた納期は、10日に短縮されている。だが、この10日というのも、生産開始に先立って予約を開始し、その注残があるため。NECレノボでは、4月中にも平常納期5日を実現する予定だ。
同社代表取締役社長のロードリック・ラピン氏は、「日本のユーザーは製品に対する要求が非常に厳しい。特にThinkPadのユーザーはコアな方が多い。そのため、ThinkPadのサポートコールセンターは群馬のNECの拠点に一本化。一部製品の修理もここで行なっている。今回、これに加え、製造も日本で行なう。米沢で生産することで、NEC PCのノウハウを生かし、5日という短納期で製品を届けられるのは大きな利点となる」と国内生産を開始に至った理由を説明する。
Lenovoグループの調達力と日本ならではのきめ細やかな製造やサービスを掛け合わせることで、国内シェアや顧客満足度を引き上げる狙い。日本生産については、国内だけでなく海外からも注目を集めており、その引き合いに答えるべく、現在準備を進めている。
NEC PC製造ラインへのThinkPadライン追加は、特に問題なく実現できたと言い、実際、組み立て担当者はNEC PC製品とThinkPadで担当は区別されておらず、製造状況に応じて、柔軟に両方に対処する。
取り扱い機種や生産数も順次拡大していく。ノートおよびデスクトップの主要機種のほかx86サーバーの「System x」の生産も検討している。また、米沢事業場では製造だけでなく、NEC PC製品の開発も行なっているのだが、そのウチの1つである「LaVie Hybrid Zero」について、CESでの評価が非常に高かったため、米国向けモデルの製造も進めている。