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NEC PC、2020年に向けて“IT活用力”を高めるべくタブレット普及活動を強化
~新LaVie Tab Eほか夏モデル発表会を開催
(2014/5/14 17:26)
NECパーソナルコンピュータ株式会社は14日、同日発表された「LaVie Tab E」シリーズほか、2014年夏モデルの新製品発表会を開催した。2020年に向けてタブレットを普及させるべく、市場を牽引していく姿勢を示した内容となった。
今回の発表会は、2014年夏モデルについてのものだが、内容はほぼタブレット1色となった。同社取締役 執行役員常務の留目真伸氏は、「PC夏モデルは他社に先駆けて、4月にほとんどの製品を発表済み/ゴールデンウィークにはすでに予約販売を開始しているのが1つ。そして、日本のタブレット市場が重要な局面に来ており、これは日本の国際競争力にも関わる課題なので、NECとしても重視しているのが、もう1つ」と、タブレットを重視した内容となった2つの理由を説明した。
そのタブレット市場について、2013年の同時期には「PCは全てタブレットに置き換わるのではないか」という声すらあったが、昨今は消費税増税やXPサポート終了の影響もあってPCが堅調な一方で、タブレット市場が伸び悩んでいる。
また、先進国のタブレット個人普及率を見ると、米国が42%であるのに対し、日本は18%。ほかの先進国と比べても低い。「成長の余地が高いとも言えるが、本来なら右肩上がりに市場が成長していくべき」(留目氏)と説明。この18%という数字については、イノベーターやアーリーアダプタと呼ばれる層が一通り買い終わり、マジョリティが使い始めるタイミングであると説明し、「市場を開拓していけるのか、それとも一部の人が使うもので終わってしまうのか、重要な局面を迎えている」(留目氏)と、日本のタブレット市場に対する現状認識を紹介した。
さらに、調査会社などが調べた日本のIT関連指標を示し「一昔前、ITインフラも整い、携帯電話によるインターネット接続も普及していて、外国人が日本へ来ると“日本人って凄い”と言ってもらえる状況だった。そのイメージが強いが、実際に調査結果を見ると、今はそうでもないことが分かる」と指摘。タブレット普及率は、日本の「IT活用力」に関わる重要な問題であるとした。
タブレットが普及しない理由として、留目氏は2点を提示。1つ目は対象ユーザーが変化したことに伴うニーズの変化に対して対応できていなかったのではないかという点だ。アーリーアダプタなどと呼ばれる層はコストパフォーマンスを重視するユーザーが多いことから外資系ベンダーが強かった一方で、国産メーカーは安心感にフォーカスしたものの価格競争力で追いつけなかった。NEC PCは、Lenovoとの事業統合により、外資系の強味であるリーズナブルさと、国産ベンダーの強味である安心感をバランスさせて、一般ユーザーに受け入れられる製品を提案できるとした。
もう1つの理由は、タブレットを使ってみたいという魅力的なコンテンツを、一般ユーザーの視点でアピールする必要があるという点。NEC PCではその1つとして電子書籍を推し、イーブックイニシアティブジャパンと提携して、購入したその日から電子書籍を楽しめるための施策を打つ。
こうしたNEC PCの取り組みの背景にあるのは、2020年に開催される東京オリンピックだと言う。「タブレットは生産性向上や娯楽など、いろんなことに活用できるのにそうなっていない。これは日本のIT活用力の課題。6年間で一気に打破して、2020年にはIT活用力が世界で一番高い国にしたい」と意気込みを語る。具体的な数値目標として、現在の日本の年間タブレット出荷台数は700万台であるが、これを2020年に2倍の1,400万台に、個人普及率18%から62%となるよう、市場を牽引していくとした。
こうした目標に向け、今後、Windowsタブレット「LaVie Tab W」の新モデルや、現在Windowsストアアプリ版のみ提供しているニュースアプリ「My Time Line」のAndroid版とiOS版を提供することを表明。「日本人のIT活用力を再び世界1位にするという我々の熱い思いに賛同していただけるパートナーと、一緒にいろんな提案を作り上げていきたい」との強い意気込みを示した。
「買ったその日から、誰でもすぐに使える」新LaVie Tab Eシリーズ
こうした方針を踏まえて発表された「LaVie Tab E」シリーズの新モデルの特徴については、同社商品企画本部の柴山友則氏が紹介。
「物を買うときには不安が湧く。アーリーアダプタやイノベーターは、調べる手段を知っているので、きちんと調べて上手に不安を解消する。だが、大多数の人は、不安要素と欲しい気持ちを比べて不安が勝ってしまい、“やっぱりやめよう”と新しい物を手に入れられないのではないかと思う」とし、今回の製品は「安心、簡単、快適、買ったその日から、誰でもすぐに使える」をテーマに開発してきたことを紹介した。
まず「しっかりとしたマニュアル」を添付。これまでも小さなサイズのマニュアルは添付していたが、今回はAndroidを起動させるところまでを図版入りで解説したA3サイズの「かんたん!セットアップシート」を用意。詳細なマニュアルは従来通り冊子として添付する。
Androidを起動させた後の操作方法で戸惑う人には、ガイドブック「かんたん! LaVie Tab for Android」や、チュートリアルビデオ「動画なびポータル」を提供。さらに、無料で使い方相談に応じるなど、“安心感”をサポート体制を含めて提供していくという。
タブレットの活用提案としては、電子書籍リーダの「Ebi Reader」をプリインストールしたほか、イーブックイニシアティブジャパンの2,160円分の図書券も付属。Ebi Readerを用いて電子書籍を読むための詳細な解説も、先述のガイドブック「かんたん! LaVie Tab for Android」に記載している。
発表会ではイーブックイニシアティブジャパンの代表取締役社長 小出斉氏も挨拶。NECがクーポンを同梱するなどパートナーとしてくれたことに感謝を意を表し、2020年に個人普及率62%というビジョンに貢献できるよう協力する姿勢を示した。
また、同社の電子書籍販売サイト、eBookJapanの売り上げは、2010年以降、モバイルデバイスが牽引。普及台数では下回るタブレットによる売り上げが、スマートフォンよりも多いことや、1人当たりの月間購入額がタブレット、PC、スマートフォンの順であることを紹介。タブレットと電子書籍の相性の良さをアピールした。