大河原克行の「パソコン業界、東奔西走」
PC首位のNECが、なぜタブレットに力を注ぐのか
~発足3年目を迎えたNEC PCの方針を留目常務に聞く
(2014/7/7 06:00)
レノボとのジョイントベンチャーとして、NECパーソナルコンピュータが2011年7月1日に発足して以来、ちょうど3年が経過した。発足会見では、3年後にレノボ、NECをあわせて30%のシェア獲得を狙ったが、残念ながらその目標には到達しなかった。だが、その一方で、両社の統合は確実に進展したといっていいだろう。特に、2013年度は営業、マーケティングといったフロントエンドの統合にも着手。2014年度はそれをさらに加速させることになる。
そうした中、NECパーソナルコンピュータは、「PCプラス」(PC+)戦略の一環として、タブレット市場への本格参入を宣言した。2020年には、PCとタブレットの出荷台数を同規模にまで高める姿勢を示し、それに向けた第1歩を踏み出したと言える。NECパーソナルコンピュータの留目真伸取締役執行役員常務に、3年を経過したNECパーソナルコンピュータの今と、将来について聞いた。
安定感に評価、2013年度はシェア拡大へ
――発足から3年目となった2013年度は、NECパーソナルコンピュータにとって、どんな1年でしたか。
留目氏:法人需要に関しては、年度初めから、Windows XPの買い替え需要が非常に旺盛で、盛り上がった1年でした。近年まれにみる出荷台数となりました。一方で、個人需要については、前半は厳しいスタートとなりました。タブレットに需要が喰われているといったことも言われましたし、さらに為替で価格が上昇し、これが受け入れられるまでに時間がかかったことも影響しました。第1四半期と第2四半期は、前年同期比で20%減といった状況が続いていましたが、このうち10%程度はタブレットの影響、残り10%は価格の影響ということができるのではないでしょうか。
しかし、この頃に言われていた、「タブレットがあれば、PCはいらないのではないか」、あるいは「タブレットがPCに置き換わってしまうのではないか」といった声も挙がっていましたが、徐々にそうではないということも理解されてきた1年だったともいえます。
第3四半期以降からはタブレットの動きが鈍くなり、さらに価格についても認知が進んできたこと、第4四半期には消費増税前の駆け込み需要や、Windows XPへの買い替え需要があり、さらに盛り上がりを見せました。
年間を通じて見ると、個人向けPC市場全体は前年比7%減という状況のようですが、NECパーソナルコンピュータでは、それを上回る実績になっています。ほぼ前年並みといったところです。また、NECパーソナルコンピュータ全体としては、黒字化を達成しています。
――NECパーソナルコンピュータが業界全体の実績を上回った理由はなんでしょうか。
留目氏:NECの安定感に対する市場評価が高まったことが挙げられるのではないでしょうか。1つは、NECは毎シーズン、確実に全ての製品を一新し、新たな商品提案を行なうという姿勢を貫いてきました。これに関しては、今後もスタンスを変えない計画です。何かしらシーズンごとにバージョンアップの要素がありますので、それを具現化した形で投入していく考えです。NECパーソナルコンピュータは、これまで以上に、コンシューマPCに対する開発投資を強化し、この姿勢を継続します。
また、2013年度末の消費増税前の旺盛な需要の中で、市場はどれぐらいの盛り上がり方になるのか、なかなか読めないのが実態でした。結果としては、業界の予想を上回る需要が集中し、NECも、最後の最後には玉切れを起こしてしまいました。しかし、それでも他社よりも供給面ではがんばることができました。
この背景には、レノボと連携した調達ができているため、各サプライヤーに対する融通が利きやすいという点があげられます。ベースユニットは中国で生産していますから、その点では柔軟性には限界があるとも言えますし、需要が重なると生産能力を他社と取り合うということも発生します。その面で、レノボの強みを活かして、日本向けの生産能力を確保することができたと言えます。また、米沢事業場での柔軟性を持った生産体制がありますから、それを活用した供給力の強みもあります。
こうした動きを通じた中で、NECはコンシューマ市場における安定感があり、安心して取引ができるということを、量販店をはじめとする取引先に感じていただけたと考えています。
一方で、個人ユーザーに対しても、Windows XPからの切り替えのためのサポートツールを用意し、動画やマニュアルを通じた支援、さらにはコールセンターを通じた支援など、ユーザーが悩んでいるところをしっかりとサポートできる体制を構築し、それが受け入れられたのではないでしょうか。
レノボとの統合成果に手応え
――3年前のNECパーソナルコンピュータ設立記者会見では、3年後をめどに、レノボ、NECを合わせてシェアを30%に引き上げる目標を掲げていました。MM総研の調査では、2013年度のNECおよびレノボのシェアは、26.2%と目標を下回っています。
留目氏:確かにその点では、反省があります。とは言え、この3年間でNECの体質は、大きく変わりました。最初の2年間は、バックエンドの統合によってシナジーを出してきた期間だったと言えます。それに対して、2013年4月からは、営業、マーケティングというフロントエンドの統合を進めてきました。これが3年目の大きな変化です。
ブランドは、レノボとNECに分かれているわけですから、組織を統合したわけではありませんが、営業戦略やマーケティング戦略に関わる部分、製品のポートフォリオに関する部分で整理をして、両社のいいところを混ぜ合わせてビジネスができるようになってきました。そして、そのあたりの効果が出てきました。統合の最終仕上げに向けて順調に推移していると言えます。
統合すると一時的にシェアが落ちたりしますが、レノボとNECとのジョイントベンチャーではそうしたことが一切ありませんでした。引き続き成長を遂げているということからも、この統合が成功していることが裏付けられます。
特に、フロントエンドの統合では、レノボにおけるプラス効果の方が大きいと言えるのですが、NECパーソナルコンピュータにとっても、四半期ごとのプランニング手法や、週次、日次でトラッキングしていくという外資系企業が持つ細かなマネジメントシステムが浸透してきたことが効果として挙げられます。一方で、企画、開発、製造、販売、サポートまで一貫して行なうのが、NECパーソナルコンピュータの強みではあるのですが、どのユーザー層に対して、どんな製品を、どんなコストで作り、どんな価格で販売し、どう利益を出していくのかというシミュレーションを行なっても、部門がまたがってしまうために、途中で責任の所在があいまいになったり、想定したコストを上回る商品ができ上がってしまったりといった問題が起こっていました。
しかし、それぞれの部門がより緊密に結び付き、管理することができるようになったのは、前年度(2012年度)からの大きな進歩ですね。コストの最適化や製品の目的の明確化、利益の確保といったことができましたから、これが筋肉質な体質づくりにつながっています。
2014年度は量販店市場でのシェア拡大狙う
――2014年度のNECパーソナルコンピュータのPC事業のポイントはどこになりますか。
留目氏:今年度(2014年度)は消費増税やWindows XPといった特別な要素がないですから、成長市場ではないことは明らかです。ですから、これまで以上に筋肉質で強いビジネス体質を作ることが大切だと思っています。2014年度も黒字を維持することにはこだわっていく考えです。
その一方で、シェアという点では、レノボ・NECグループは、他社から、頭一つ抜け出した形になっていますから、業界のリーダーとして、市場の健全性といったことについても、しっかりと考えていきたいと思います。この数年間は、競合が激しく、どこも利益が出ないという状況になっていた。経営が維持できない市場となっています。為替の影響もあり、2013年度はPCの平均単価が上昇したわけですが、このように、無茶なことをせずに適切な利益を確保するための正しいビジネスをやっていくことが必要です。
PC市場は、今後大きな成長が見込めないのは確かですが、必ず残っていく市場です。NECパーソナルコンピュータは、日本市場に向けて製品を提供しているメーカーです。日本のユーザーに望まれる付加価値の高いPCを提供し続けて行かなくてはならないと考えています。
――2014年度の市場シェアはどう考えていますか。
留目氏:2014年度の国内PC市場全体では、出荷台数が最大で前年比10%減まで落ち込むと見ています。しかし、業界全体の努力によって、なんとか1桁台の減少に留めたい。しかし、NECパーソナルコンピュータとしてはシェアを高めていきたいと考えていますから、前年並みの出荷台数水準は維持したいと考えています。
また、ソニーがPC事業から撤退したということもありますので、量販店からは、そこをNECに埋めて欲しいという期待をいただいています。ソニーは、市場を活性化するための製品を投入するという点で、重要な役割を果たしていました。国内では約8%のシェアがありましたから、それを誰かが担わなくてはならない。そこを埋めることができるのは、やはり日本のユーザーに向けた製品を投入することができるメーカーではないでしょうか。
NECパーソナルコンピュータ単独で見ると、量販店のシェアは2013年度実績で23%。これを25%以上には引き上げたいですね。
――2014年度は、NECパーソナルコンピュータから、どんな製品が投入されることになりますか。
留目氏:大きくラインナップ変更するということはありませんが、2-in-1 PCを始めとする新たなプラットフォームに対して積極的に取り組んでいくこと、あるいは時代に応じた変化にも取り組みたいです。さらに薄くなったり、狭額縁になったりといった方向性を打ち出したいですね。中には、少し「変化球」といえる製品も投入していくつもりです。これもぜひ期待していてください(笑)。
中でも、2-in-1 PCは、まだ市場としては小さいですが、外せないフォームファクタですし、これから成長すると見ています。いくつかの2-in-1 PCを投入していく予定です。
他社は新製品投入の回数が少なくなるかもしれませんが、NECパーソナルコンピュータは、ノートPC、デスクトップPCのラインナップを一新することで、市場の活性化を進めたいと考えています。
一方で、昨年(2013年)に発表した「My Time Line」などのソフトウェアの強化も今後力を入れたいと考えています。例えば、My Time Lineは、これまではPCのためのソフトウェアということでしたが、タブレットでも閲覧できるわけですし、データ共有の対象も、PCという枠だけでは考えていません。実は、「My Time Line for Mobile」として、Android版、iOS版の投入も考えています。また、My Time Lineの進化のほかにも、新たなソフトウェアも投入します。2014年の秋冬モデルでは、何かしらの新たなオリジナルソフトウェアを提供できそうです。
2014年度も引き続き、NECらしいPCの投入を進めたいですね。NECがやらなくてはいけない使命は、タイムリーに新たなテクノロジーを日本のユーザーに使ってもらえるようにするということです。日本人のIT活用力を高めていくというためにも、NECの役割があると言えます。日本人が新たなITを活用することを苦手にするのではなく、もっと簡単に活用できる環境を提案し、ほかの先進国にも負けない、ITを活用することが得意に日本人としたいですね。
――富士通が、女性向け、アクティブシニア向けというターゲットを絞り込んだ製品を投入しています。NECパーソナルコンピュータでは、そうした製品の投入は考えていますか。
留目氏:面白い考え方だと思っています。しかし、NECパーソナルコンピュータとしては、具体的には考えていません。ユーザーのセグメンテーションの切り口はいろいろあります。NECパーソナルコンピュータでは、モバイル用途に最適化したもの、家の中で利用するユーザーに最適化したものというように、ライフスタイルごとの切り口で提案をしています。そこに女性向けや、アクティブシニア向けというような、別の切り口を入れていくことで、どんな効果があるのかというが見えないというが正直なところです。
タブレット普及の牽引役を担うNEC PC
――NECパーソナルコンピュータは、今年5月に個人向けタブレットとして、「LaVie Tab」を発表しました。その際、NECパーソナルコンピュータは、2020年までに日本のタブレット市場を倍増させ、その牽引役になると宣言しましたね。その狙いはなんですか。
留目氏:日本のタブレット市場の推移をみると、2013年前半までは、前年同期比2倍以上という非常に高い成長を遂げていたわけですが、10月以降は一転して前年割れに陥りました。PCを置き換えてしまうのではないか、とまで言われたタブレットが、すでに踊り場にきていて、限界説まで囁かれています。
しかし、先進国におけるタブレット普及率を見ると、米国は42%、英国は37%。これに対して、フランス、ドイツ、日本はともに18~19%台の普及率に留まっています。日本は、まだ成長の余地があるのに踊り場に差し掛かっているのです。
もう1つの観点から日本のタブレット市場を捉えると、18%の普及率というのは、イノベーターやアーリーアダプタの購入が一巡し、アーリーマジョリティという領域に入ろうとしている段階です。これは停滞と隆盛の分岐点であり、非常に重要な局面に差し掛かっているといえます。ここを乗り越えないと、タブレットはデジタル製品好きが購入するだけの製品で終わってしまう。
一方で、日本のIT活用力は遅れており、各種調査によると、インターネットの普及率では世界30位、スマトーフォンの普及率では44位、IT競争力は21位。日本は、IT活用力だけでなく、ITインフラの整備でも遅れているのが実態です。スマートフォンが普及しているから、タブレットが普及しないという議論も成り立たないわけです。この普及率の低さは、日本人の生産性の低さ、そして、日本の企業の競争力にも影響してくると言えます。
現在、国内タブレット市場は年間700万台。これを2020年には1,400万台の市場にしていかなくては、日本の国際競争力も高めることはできません。今後6年をかけて年間1,400万台の出荷規模にまで拡大できれば、個人へのタブレット普及率は62%にまで高まることになり、多くの人がタブレットを利用するという環境になります。2020年の東京オリンピックのタイミングに、日本が最もIT活用力のある国だということも発信していきたい。そうした思いも込めています。
日本での普及率が低いのにも関わらず、右肩上がりで伸びていけないようなビジネスにしてしまってはいけないし、日本人のIT活用力の妨げになってはいけません。NECパーソナルコンピュータは、PCの黎明期から、そうした課題を解決する役割を担ってきた会社ですから、その意味でも、当社が取り組むべき課題です。だからこそ、日本のタブレット市場の拡大を牽引していきたいと考えています。
――しかし、残念ながら、NECには、まだタブレットのイメージがありません。そのNECがどこまで成果をあげられるでしょうか。
留目氏:NECパーソナルコンピュータは、2013年10月上旬に「TE307」と「TE510」、11月には「TS507」を発売して、タブレットに参入しました。後発ですし、タブレットのビジネスを理解しなくてはならないということもあり、思い切った販売台数目標を掲げている段階ではありません。ただ、この製品を投入してから、1つの成功の糸口が見えたかな、と思っています。というのも、これまでのタブレットの購買層は、都市型店舗を利用する、ITリテラシーの高い人が中心でしたが、NECパーソナルコンピュータのタブレットは、都市型店舗だけでなく、地方都市の販売比率が他社に比べて高い。むしろ、地方都市の方が、成長機会があることが見えてきたわけです。他社は、地方都市比率が2割程度でしょうが、当社の場合は、約半分が地方都市だった。ここに、NECパーソナルコンピュータが勝負できるところがあると考えます。
国内メーカーの強みは安心感を提供できる点であり、外資系メーカーの強みはリーズナブルな点。レノボの調達力を活かすことができるNECパーソナルコンピュータは、この両方の強みをバランス良く提案することができます。
タブレットは新たな製品ですから、何ができるのかが分からないまま購入してしまったという人たちもいますし、逆になにができるのかが分からないので手を出せないという人もいます。
NECパーソナルコンピュータでは、PCで培った販売店との協力体制によって、店員向け教育も含めて、お客様に新たな提案と、しっかりした説明ができる環境を作ります。まずは、お客様に理解して購入していただく仕組みを作りたいと思っています。近くの販売店で購入できる製品に成長していくことができるかどうかが、タブレットの普及にも影響してくると考えています。
――5月に発表した8型および10型の「LaVie Tab E」は、Androidを搭載したタブレットですが、機能や価格設定へのこだわりとともに、マニュアルの作り方などにも力を入れていましたね。
留目氏:2013年秋に発売した製品から簡単なマニュアルを付けたり、販売店の店員教育にも取り組んできましたが、それをさらに進歩させています。マニュアルがなにもないというタブレットもありますが、NECパーソナルコンピュータでは、マニュアルをしっかりと作って付属させましたが、それだけでも難しいということが分かってきました。
そこで今回は、マニュアルの強化だけでなく、1枚の「セットアップシート」や「動画なび」も充実させました。また、困ったときには無料で相談してもらえる電話対応窓口も用意しました。まさに、「これでもか!」というぐらいに仕上げましたよ(笑)。さらに、コンテンツ面も重要ですから、コンテンツホルダーとの連携も行ない、電子書籍アプリ「ebiReader」を搭載し、2,160円分の図書券も付属しました。今後も、いくつかのコンテンツホルダーとの協業をしていきたいと考えています。
新聞の電子版を読みたいという人も増えている中で、量販店に行っても、どのタブレットを購入していいか分からない、セットアップが自分でできるかどうか不安である、あるいはPCでも苦労したが、今回はOSも、形も違うので、やはり難しいと思ってしまいというようなこともあると思います。ここにNECパーソナルコンピュータの提案が響くのではないかと思っています。
――タブレット普及に向けて取り組む宣言を、Android搭載タブレットの会見で行なったわけですが、これは、今後のタブレット事業は、Android中心でやっていくという意味ですか?
留目氏:いいえ、それは違います。たまたまタブレットの方針を発表したタイミングでの新製品が、Androidだったということです。NECがAndroidに特化するということはありません。市場がどういう成長の仕方をするのかが、まだ見えていない。Windowsについては、PCで慣れているユーザーが手に取るケースが多く、日本でも徐々にWindowsタブレットの構成比も上がってきています。今後、発表する製品としては、WindowsもAndroidもラインナップをしていきます。
今レノボでは、8型を中心に、Windowsタブレットの事業がうまくいっています。レノボは、NECよりは不親切かもしれませんが(笑)、コストパフォーマンスの高い製品をいち早く導入し、アーリーアダプタを確実に捉えていきます。それに対して、NECパーソナルコンピュータは、一般ユーザーに普及していくフェーズにおいて力を発揮し、マジョリティ層を確保していくことになります。
2020年にはPCとタブレットの出荷台数を半々に
――2014年度において、NECパーソナルコンピュータのタブレット事業は、どんなゴールを描いていますか。
留目氏:将来に向けてタブレットを広く普及させるという点では、それなりの台数は出したいと考えています。既存のプレーヤーからシェアを取るよりも、新たな市場を開拓していくのが狙いです。タブレット市場がマイナス成長になろうとしている中で、それを持ち上げることができ、NECパーソナルコンピュータとしても、出荷台数が伸びるのが望ましい形ですね。
すでに、商品企画部門の中に、昨年前半からタブレットの専任部隊を設置しましたし、営業部門においても、タブレットの事業開発チームを配置しました。これらの組織は、さらに人員を強化していきます。さらに、クロスファンクショナルチームを立ち上げており、タブレットやソフトウェア、あるいはPCとタブレットを連携させるソリューションとはどんなものかということも考えています。付加価値の高いサポート、サービスについても検討をしています。
これまでのNECパーソナルコンピュータは、PCの会社でしたが、これからは「PCプラス」の会社になる。これは、単にタブレットという新たなデバイスを追加したというのではなく、新たな会社にしていくという意味合いがあります。それがどういう姿になるのか。PCとタブレットが同じ比率になる時に、NECパーソナルコンピュータがどんな姿になるのとかいうことも、これからしっかりとプランしていくことになります。タブレットとNECとを結び付けて、PCもタブレットもNECというイメージは作っていければと思っています。そして、タブレット市場においても、安心、簡単、快適はNECのメッセージとなります。
――2014年度の年間700万台という市場の中で、NECはどれぐらいのシェア獲得を狙いますか。
留目氏:直近のシェアでは、NECパーソナルコンピュータは4~5%。それでは少ない。2桁いかないと存在感はありません。2015年度以降は、2桁というところを狙っていきたいですね。そして、2020年にはPCと同じぐらいのシェアを取っていきたいですね。
――2020年のタブレット市場全体の市場規模が1,400万台ということは、現在のPCとほぼ同じ市場規模ですね。つまり、タブレットとPCの市場構成がほぼ同じになると。
留目氏:ほかの先進国では、すでにそうした数字に近づいてきていますから、無理な数字ではないと考えています。むしろ、今の日本の普及率の低さが異常です。逆にタブレットとPCが同じ出荷台数規模となり、そこで、当社がタブレットとPCで同じシェアを取るという目標を掲げるとなると、逆算すれば同等規模の出荷台数を想定しているということになりますね(笑)。つまり、NECパーソナルコンピュータは、2020年度には、PCとタブレットで同じ販売数量を目指すということになります。NECパーソナルコンピュータは、PCとタブレットの両翼を持ったメーカーになるというわけです。
当社では、PCプラスという戦略を打ち出していますが、コンピューティングパワーを持ったデバイスを、それぞれに連携しながら使うようなライフスタイルを提案し、実現するメーカーになっていきたいと考えています。