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変形して人も乗れる巨大ロボット2体が公開デモ。ロボットライドは見ている人もみんな笑顔に

 ジェットコースターや舞台機構など主に大型の遊戯機械や昇降機を開発・販売している三精テクノロジーズ株式会社は、2023年11月25日に東京・お台場で開催された「アミューズメント エキスポ in 東京ビッグサイト」(主催 : 一般社団法人日本アミューズメント産業協会)にて、人が乗れる4脚ロボットライド「SR-02」と、クルマと人型に相互変形できる乗用人型変形ロボット「SR-01」の公開デモンストレーションを行なった。

クルマと人型に変形する乗用人型変形ロボット「SR-01」
4足歩行ロボットライド「SR-02」

 アミューズメント施設やレジャー施設、イベント会場などで活用できるエンタメロボットで、どちらのロボットにも、ロボットスタートアップのアスラテック株式会社のロボット制御技術「V-Sido(ブシドー)」が使われている。

2人乗ったままで変形可能な乗用人型変形ロボット「SR-01」

乗用人型変形ロボット「SR-01」

 「SR-01」は三精テクノロジーズが2022年2月28日に発表した乗用人型変形ロボット。高さ約4m、重さは2,300kg。二足歩行で歩ける「ロボットモード」と、車輪で移動できる「ビークルモード」に変形できる。

「SR-01」ロボットモード正面
「SR-01」バストショット
ハンド。手指は可動する
頭部。勇者系ロボットとガンダム系の中間くらいのデザイン
胸部と胴体はクルマそのもの
脚部。歩行時は片足で2tを支える

 最大2人まで搭乗でき、運転席での操作のほか、外部から無線で遠隔操作もできる。バッテリ駆動で動き、関節数は49。ビークルモードでの最大時速は30km。

「SR-01」ビークルモード
「SR-01」正面
後ろから
側面
右側面
乗り込んだ状態での操作も可能。ハンドル部分にコントローラがある

 2018年4月にリリースされた「J-deite RIDE」の発展版で、安全面や操作性、居住性等を改良し、変形時間を短縮させた。実際に人が乗った状態での変形も可能だが、今回のデモでは無人、遠隔操作で変形と歩行が紹介された。

4人乗り込める4足歩行型ライド「SR-02」

4足歩行型ライド「SR-02」

 「SR-02」も同じく2022年2月28日に発表されたロボットで、同時に4名が搭乗可能な4足歩行型ライド。10月26日(木)~11月5日(日)にかけて開催された「ジャパンモビリティショー(旧 東京モーターショー)」でも出展され、話題となった。

 大きさは全長約3.4m、全幅約1.6m、全高約1.9m。重量は約2,000kg。バッテリ駆動で、最大4人が搭乗した状態で歩行できる。前進、後退、旋回のほか、屈伸動作、ローリング、ピッチングなどさまざまな動きができる。

4足歩行型ライド「SR-02」。しゃがんだ状態
「SR-02」側面
人が4人乗り込める
バッテリ駆動。充電中

 今回のデモでの歩行動作は、すり足。安全性を重視したこととブース面積が限られているためで、実際には、2倍くらいの歩幅で歩くこともできるとのこと。

 乗り心地が気になるだろうが、筆者は一度、実際に乗せてもらったことがある。まず、高い視点となる点もおもしろいが、ロボットが足を着くたびに下から突き上げるような振動があり、独特な感覚だった。

 歩行動作そのものは筆者乗車時も非常にゆっくりしていたが、旋回動作は意外と早く、そのギャップもおもしろかった。また体を揺らされると、その乗り心地は遊園地によくあるライドそのもので、楽しいエンタメ体験だった。

アスラテックのコミュニケーションロボット「ねこずきん」も同乗

アスラテックのコミュニケーションロボット「ねこずきん」も同乗

 今回はアスラテックが開発中のコミュニケーションロボット「ねこずきん」も「SR-02」に同乗。「ねこずきん」は頭部に裏面照射型の球面ディスプレイを使ったコミュニケーションロボット。服と投影映像を変えることで違うキャラにしたり、ロボットにかかる力をユーザーが体感できる「V-Sido Birateral(ブシドー・バイラテラル)」という技術で遠隔操作ができる。今回は遠隔操作ではなく、事前に記録した動きを再編集したものを再生していた。

アスラテック チーフロボットクリエイター 吉崎航氏も同乗

 「ねこずきん」の横には、ロボット制御技術「V-Sido(ブシドー)」の開発者でもあるアスラテック チーフロボットクリエイターの吉崎航氏も同乗した。「ねこずきん」も吉崎氏が開発しているロボットだ。会場では多くの人が写真におさめていた。

乗っている人も見ている人も笑顔になるロボットライド

三精テクノロジーズ 取締役常務執行役員CTO 昇降機事業本部長 宮﨑和也氏

 「SR-01」と「SR-02」は、今後、どのように事業化していくのか。三精テクノロジーズ CTOの宮﨑和也氏に話を伺うことができた。

 「まず第一フェーズは、皆さんに広く知ってもらうこと。それが前期の取り組みだった。今期は、少しずつでもギャランティをいただけるようにしていくこと。しばらくはイベント関係に出展したり、我々の技術者と一緒にレンタルするというかたちでやらせていただこうと思っています」。ジャパンモビリティショーのときも、主催者側から声がかかったとのこと。

 また、大型ロボットを使って「一緒に研究したい」という企業や大学からも声がかかっており、実際に進んでいるプロジェクトもあるとのこと。三精テクノロジーズにロボットを研究していた学生が入社するなど、リクルート的な効果も高いという。

 アミューズメント機器へのロボット技術の適用可能性についてはどうだろうか。

 「大概のライドはタイヤや球など丸いもので動いている。こういった『脚』で動くものはない。ニーズはあるんじゃないか。スピードは出ないからスリルはない。だけど、スリルばかりがすべてではない。子供さんやお年寄りもいる。『高い視線でゆったり動く楽しみ』を提供できる」。また「ラジコンのように操縦する楽しみも提供できる」という。

 そして「乗ってて楽しいし、見ていても楽しい。乗っている人も見ている人も、みんな笑顔になる。そういうところでぜひ使っていただきたい」とのことだった。