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Microsoft、Copilotブランドを整理し機能拡張。Windows 365はGPUに対応

Copilot in Teamsの議事録(Note)機能。Copilotが会議の様子を文字として残してくれる(写真提供:Microsoft)

 Microsoftは11月15日(現地時間)に、同社の年次イベント「Ignite 2023」を開催している。現地時間の午前9時からは初日基調講演が行なわれる予定になっており、Microsoft CEO サティヤ・ナデラ氏など同社幹部が参加して同社の新製品や新サービスなどに関して説明する予定だ。

 それに先だってMicrosoftは報道発表を行ない、同社の生成AIを利用した機能「Microsoft Copilot」に関する各種発表を行なった。

Bing ChatやCopilot関連はブランドを変更して整理

キャプション:Copilotの機能の違い、CopilotとCopilot for Microsoft 365で機能が違う

 同社が「Microsoft Copilot」と総称している、LLM(大規模言語モデル)などのより大規模なAIモデルを採用したコパイロット機能(人間を助けるサービスという意味で副操縦士を示すCopilotと呼ばれている)をサービスとして順次展開してきた。

 最初に展開されたのが、同社のWebブラウザ「Microsoft Edge」の拡張機能として提供が始まった「Bing Chat」と呼ばれるもので、チャットベースのサービスとして提供開始された(現在はWeb版も提供中)。そして、その企業向け版となるBing Chat Enterprise、さらにはWindows 11に統合されたWindows Copilotの提供が始まるなど、ブランド名が統一されることなく順次展開される形になっていた。

【表1】「Microsoft Copilot」の従来の呼び方と、これからの呼び方(筆者作成)
旧名称新名称対象ユーザー
Bing ChatCopilot一般消費者
Bing Chat EnterpriseCopilot企業
Windows CopilotCopilot in Windows一般消費者/企業
Microsoft 365 CopilotCopilot for Microsoft 365企業
Microsoft Sales CopilotCopilot for Sales企業

 Microsoftは今回のIgnite 2023において、こうした「Microsoft Copilot」ブランドの整理を行ない、今後は「Copilot in~」ないしは「Copilot for~」と、Copilotの名称に統一されると発表した。

 Microsoftアカウントを利用する一般消費者向けのBing Chatは「Copilot」、旧Azure ADアカウントになるEntraアカウントを利用するBing Chat Enterpriseは「Copilot」、従来はMicrosoft 365 Copilotと呼ばれてきたMicrosoft 365向けのコパイロットは「Copilot for Microsoft 365」と呼び方が変更されている。

 さらにMicrosoft 365 Sales Copilotは「Copilot for Sales」、そして今回新しくサービス向けのCopilotとなる「Copilot for Service」が発表されている。

Entra(旧Azure ADアカウント)アカウントでログインしているWindows PCではCopilot Pro in Windowsが12月1日より提供開始(写真提供:Microsoft)

 なお、Windows Copilotは、今後一般消費者向けも企業向けもCopilot in Windowsと呼ばれることになる。

【17日9時20分訂正】掲載時にはBing Chat Enterpriseを「Copilot Pro」、企業向けWindows Copilotの変更後の名称をCopilot Pro in Windowsと表記していましたが、正しくはどちらもCopilotになります。それに合わせて本文と表、画像を修正しました。お詫びして訂正します。

TeamsやWord、Excel、PowerPointのコパイロット機能が拡張

Copilot in Teamsの「Copilot in Collaborative notes」機能(写真提供:Microsoft)

 また、「Microsoft Copilot」の機能拡張を行なっていく。今回のIgniteでは「Copilot Studio」と「Copilot for Microsoft 365」の機能拡張が発表された。

 Copilot Studioは、SAP、WorkdayやServiceNowのようなサードパーティが提供するサービスのデータとMicrosoft Copilotをローコードで接続可能にする機能。Microsoft Copilotがそうしたデータにアクセスし、逆にデータを提供することで、より高度なサービスを従業員などに向けて提供することが可能になる。

 Copilot for Microsoft 365(現在は英語版のみ提供されており、月額30ドル)の機能拡張は多岐にわたっており、自分が利用するCopilotをパーソナライズ化する「Copilot profile」の機能が追加されるほか、Teamsの機能拡張となるCopilot in Teams、Copilot in Outlook、Copilot in Loop、Copilot in Word、Copilot in Excel、Copilot in PowerPointなど、おなじみのオフィスアプリケーション向けのCopilotの機能拡張が明らかにされている。

Copilot in Teams

 Copilot in Teamsには12月から新しい「Intelligent recap」機能が統合され、行なわれた会議の内容をCopilotが自動で読み込んで、重要ポイントを取り上げた要約を自動生成する。それにより参加していなかった人も要約を見れば、会議で何が話し合われたのかなどを簡単に把握することができる。

 また、「Copilot in Collaborative notes」の機能を利用すると、議事録自体の作成をCopilotが自動で行なってくれるため、会議の参加者はメモを取ることに気を取られることなく、会議に集中できる。

Copilot in Outlook

Copilot in Outlook(写真提供:Microsoft)

 来春に「meeting prep summaries」という機能が追加される。ミーティングの招待状、ミーティングに関係した電子メールや文章などからミーティングに向けた文書整理などをCopilotが行なってくれて、要約を作成してくれる。

 また、「email thread summary」(電子メールスレッド要約)の機能では、Copilotが自動でメールや文書などを解析して必要な出席者を選んでくれるほか、各人の予定表を確認して空いている時間を示唆してくれる「Scheduling assistance with Copilot」も活用して会議の時間を設定することができる。

Copilot in Word

 まもなく「キャッチアップ・コメント」機能がWordに追加される。複数のリビジョンがあるような文章の中で「どこが差分か教えて欲しい」などの指示を出すと差分の箇所を教えてくれる。

Copilot in PowerPoint

Copilot in PowerPoint(写真提供:Microsoft)

 まもなく提供開始される「Enterprise asset library」では、PowerPointのスライドに追加する自社ロゴなどを企業のイメージライブラリから探してきてくれて自動で追加してくれる。

Windows 365がGPUサポートに対応。ワークステーション的な使い方も可能に

Windows 365でGPUサポートの提供がプレビューとして開始(写真提供:Microsoft)

 MicrosoftはSaaSベースのVDI(Virtual Desktop Infrastructure)となるWindows 365を、2021年からサービスインして、すでに何度かの機能アップデートを行なってきた。

 今回のIgniteでMicrosoftは、Windows 365にGPUサポートの機能をプレビューとして導入したことを明らかにした。これまでのWindows 365では、GPUはCPUによりソフトウェア的に実現されていたため、3Dモデリングやデータ処理など、ハードウェアのGPUを必要とするようなアプリケーションを活用するのは難しかった。しかし、今回GPUサポートの機能がプレビューとして追加されたことにより、Windows 365をそうしたコンテンツ作成やプロユースに使うことが可能になっている。

 また、同時に従来CPUは8コアまで構成可能だったが、本日より最大16コアまで構成可能になるなど、VDIのマシン構成の拡張も発表されている。