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調べ物から語学学習、PCのトラブルシュートまでお手伝い。Windows標準のAIになる「Copilot」

CopilotのアイコンはAIと人が手を結ぶ姿をイメージ

 日本マイクロソフト株式会社は21日、生成AIを活用したアシスタント機能「Copilot」製品に関する記者説明会を開催した。個人向けに現在プレビュー版として提供中の「Copilot」および「Copilot in Windows」については、12月1日に正式リリースとなる予定。

生成AIによる体験は「Microsoft Copilot」に統合

 説明会ではまず、日本マイクロソフト株式会社 執行役員 常務 コンシューマー事業本部長 兼 アジアゲームマーケティングリードの竹内洋平氏が登壇した。

本マイクロソフト株式会社 執行役員 常務 コンシューマー事業本部長 兼 アジアゲームマーケティングリードの竹内洋平氏

 コロナ禍で人々がPCと接する時間が増えたことで、コロナ禍後もPCの必要性が高まっている。さらに、Copilotをはじめとした同社のAI機能が備わることで、PCの果たす役割はさらに増していくという。Copilotは、Webやデバイス上で行なわれるすべてのことを理解し、ユーザーに必要な情報やスキルをサポートするAI体験を提供できるとしている。

 直近12カ月では、ChatGPTなどを提供するOpenAIとの提携、Bing Chatの発表、自社製品へのCopilotの採用を行なうなど、AIに関する動きを急速に進んだ。さらに今月開催の「Ignite 2023」では、同社の生成AIによって得られる体験を「Microsoft Copilot」として統合し、ブランドを整理することも明らかにした。

 具体的には、検索を窓口とする「Bing Chat」および「Bing Chat Enterprise」が「Copilot」へ名称を変えるほか、製品に搭載されるCopilotが「Copilot in~」(以前Windows Copilotと呼ばれていたCopilot in Windowsなど)、サービスやソリューションに搭載されるものが「Copilot for~」(Copilot for Microsoft 365など)と呼ばれるようになる。

Copilot製品の新旧名称と機能一覧

日常生活から仕事、学習まで幅広く使える「Copilot」

 続いて、マイクロソフトディベロップメント株式会社 WWE Japan開発統括本部 プロダクトマネージャーの篠塚祐紀子氏から、Copilotに関する説明が行なわれた。

マイクロソフトディベロップメント株式会社 WWE Japan開発統括本部 プロダクトマネージャーの篠塚祐紀子氏
OpenAIとMicrosoftによる協業

 Copilotは、OpenAIとMicrosoftの提携によって実現している技術だが、OpenAIではAIチャットボットのChatGPTを提供している。同氏はChatGPTとCopilotの大きな違いとして、最近のできごとに関する質問にも回答できる点を挙げた。

 これは、ChatGPTがある時点までのデータしか持たないのに対し、CopilotがBingの検索アルゴリズムとOpenAIのGPT-4を統合して開発されているためで、Bing検索による最新で信頼性の高い情報によって実現していると説明した。インデックスされていれば、数十秒前の新しいデータなども引き出せるという。

CopilotはBingとGPT-4を統合して開発
Copilotの大きな特徴
Windows内のさまざまな場所から利用できる

 その上でCopilotの特徴として、検索結果が分かりやすく要約された状態で得られること、チャット形式によってキーワード検索では難しい不明瞭な内容を検索できること、画像作成が可能なこと、創作作業を支援できることを挙げた。これまでの検索を超えた検索を提供できるとしている。

 また、Copilotの活用例についても紹介。参加予定のマラソン大会で完走するためのペースを聞いたり、転職について尋ねたり、英語の記事から試験に出そうな単語を抽出してもらったりなど、日常生活から仕事、学習に至るまでさまざまな場面で活用できるため、気軽に使ってみて欲しいと語った。

マラソンを完走するためのペース配分を考えてくれる
画像を使った検索も可能
ビールのラベルを生成してみた様子
TOEIC 730点レベルの単語を記事から抽出するといったこともできる
さまざまなシーンで活用できる

検索からPCの設定、トラブルシューティングまでできる「Copilot in Windows」

 次に、日本マイクロソフト モダンワークビジネス本部 Sr.GTMマネージャーの春日井良隆氏から、Copilot in Windowsに関する説明が行なわれた。

日本マイクロソフト モダンワークビジネス本部 Sr.GTMマネージャーの春日井良隆氏

 Copilot in Windowsも実態としてはCopilotと同様のもので、欲しい情報を探し出したり、コンテンツを生み出したりでき、自然言語ですぐに使い始められるAIアシスタントになる。だが、Windowsと統合していることで、OSの設定やアプリの操作といった、よりPCと深く結びついたAIアシスタントとして機能する。

 たとえば、ダーク/ライトモードを切り替えたり、壁紙を変更したりといった操作が可能。さらに、PCが意図しない動きをしてしまった場合でも、症状を伝えればトラブルシューティングに向けて手助けをしてくれる。

CopilotからWindowsの設定を操作
トラブルシューティングも手助けしてくれる

 また、自然言語対応ならではの強みとして、「コンパネを開いて」(=コントロールパネルを開いて)といった、従来のアシスタントでは処理が難しいような指示であっても、正しく解釈して処理を進められるという。さらに、Windows上で動作するアプリケーションとの連動も行なえる。

 情報の入力はテキスト、音声、画像のほか、将来的にはペンで直接書き込む(ペン対応デバイスのみ)といったことも可能になるという。なお、Copilot in Windowsは、Windows 11に加えてWindows 10にも展開される予定だが、この理由については、より多くの人に広くCopilotを使って欲しいからだと説明している。

「コンパネ」でもちゃんと通じるのは自然言語対応ならでは
Windows上で動作するアプリとの連動も

 そのほか、フォトアプリの背景のぼかし機能や、ペイントアプリの背景削除機能など、Windows 11 バージョン23H2で実装されたさまざまなAI機能についても簡単に紹介が行なわれた。

フォトアプリの背景のぼかし機能
ペイントアプリには背景削除機能が加わった

Windows 10サポート終了に向け、11への移行を推進

 最後に、再び竹内洋平氏が登壇し、国内市場の動向やWindows 10サポート終了について説明した。

Windows 11発売後にコロナ禍の大きな反動があったが、現在市場は回復傾向

 Windows 11は2021年10月5日に出荷が始まったが、コロナ禍によるPC特需が一巡し、市場が厳しい時期と重なるかたちとなった。だが、その後のPC市場は回復傾向にあり、同社としてもAIを活用した使い方の提案などによってプラス成長に導いていきたいと考えているという。

 およそ2年後の2025年10月14日に予定しているWindows 10サポート終了に向けては、余裕をもって早めにWindows 11への移行を進めてほしいと説明。PC上のさまざまな通知を通じて告知をしていくほか、Copilotをはじめとした新技術や、Windowsバックアップアプリの提供などによって移行を推進していく。

 一方で、コンシューマ市場ではWindows 11へのアップグレード要件を満たさないPCが2,000万台ほどあるとみており、今後も周知に注力していかなければならないと述べた。

Windows 10サポート終了に向けて早めに告知を実施
Windows 11には買い換えを後押しすべく新技術を投入する
発表会には、富士通クライアントコンピューティング株式会社から千葉祐太氏も登壇。同社が20日に発表したChatGPT活用のAIアシスタント「ふくまろ」に関する説明を行なった。