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はやぶさ2から空飛ぶクルマまで、Society 5.0科学博

~7月15日から28日までスカイツリーで開催

 内閣府と国立研究開発法人海洋研究開発機構(JAMSTEC)による共催で、7月15日〜28日の14日間、東京スカイツリータウンにて「Society 5.0科学博」が開催される。入場は一部エリアを除いて無料。

 「Society 5.0」とは、サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより経済発展と社会的課題の解決を両立する新たな社会を指すもので、第5期科学技術基本計画において日本が目指すべき未来社会の姿として初めて提唱された概念。

 「Society 5.0科学博」は、「日本発」のイノベーションを集め、日本が想い描く「2030年の社会」を世界へ向けて発信する科学博として行なわれる。

 「Society 5.0」の未来像のイメージのほか、戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)など各種研究プロジェクトの成果を中心に、JAXAの小惑星探査機「はやぶさ2」の帰還カプセル、JAMSTECの有人潜水調査船「しんかい6500」、SkyDriveの「空飛ぶクルマ(eVTOL)」、各種ロボットなどの先端的・独創的な技術を200点以上集めて展示。科学技術の面白さや大切さを目に見える形で発信する。また、リアル展示のほか、オンラインでの「サイバー展示」も実施する。

屋外展示の「しんかい6500」。6500mまで潜れる有人潜水調査船。
自動運転トラクター。GNSSによる位置情報を活用してcm単位で位置を把握
自動運転田植機
自動運行バスも

科学技術のフロンティア〜宇宙と海洋〜 はやぶさ2の帰還カプセルなど

科学技術のフロンティア〜宇宙と海洋〜

 14日には内覧会が実施された。展示物を主に写真でご紹介する。展示は各テーマ会場に分かれている。「1F ソラマチひろば/団体フロア」は「科学技術のフロンティア〜宇宙と海洋〜」。屋外も使って、宇宙と海洋に関する大型展示が行なわれている。有人潜水調査船「しんかい6500」の模型のほか、国際宇宙ステーション(ISS)や日本実験棟「きぼう」の模型、ロケットエンジンのほか、目玉展示として、小惑星探査機「はやぶさ2」関連展示が行なわれている。

小惑星探査機「はやぶさ2」の模型
はやぶさ2の目的地だった「リュウグウ」
はやぶさ2のターゲットマーカー
はやぶさ2の分離カメラ
2機からなる小型ローバ「ミネルバII1」
はやぶさ2再投入カプセルの前面ヒートシールド
はやぶさ2再投入カプセルの搭載電子機器部
サンプルコンテナ輸送用の箱
国際宇宙ステーション(ISS)の模型
日本の実験棟「きぼう」模型
ロケットエンジン「LE-7A」
JAXAとトヨタが開発中の月面車の模型
そのほかスタートアップや大企業による企業展示も行なわれている
2022年打ち上げ予定のispaceのランダー(月着陸船)模型

 海洋コーナーでは深海のジオラマ、地球深部掘削調査船「ちきゅう」他研究船の模型等やその成果が展示される。

JAMSTECコーナー。チムニー(海底熱水噴出孔)のジオラマ
地震・津波観測監視システム用の海底ケーブル
AUV。洋上中継機と連携して母船から監視しながら海底調査を自動で行なう水中ロボット
中小企業が作った深海探査機「江戸っ子1号」
「ちきゅう」による掘削コア
掘削用ドリルビット

Society 5.0の未来像 〜5つの社会課題を解決する展示〜 SkyDrive「空飛ぶクルマ」など

4F/スカイアリーナ特設パビリオン

 「4F/スカイアリーナ特設パビリオン」のテーマは「Society 5.0の未来像 〜5つの社会課題を解決する展示〜」。戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)、革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)の成果を中心とする、医療や健康、エネルギーなどの社会課題解決およびSociety 5.0実現に資する、様々な科学技術が集められている。

入口ではロボットとエージェントがお出迎え
日立製作所のコミュニケーションロボット「EMIEW4」。日本語・英語・中国語・韓国語に対応
筑波大学・山海嘉之教授と「ロボットスーツHAL(Hybrid Assistive Limb)」。
「HAL」はCYBERDYNE社が事業化している
人工関節
3Dプリンタを活用したナイロン素材の義足
久留米工大の対話型AI自動運転車椅子
大腸内視鏡
重症の新型コロナ感染症患者に用いられる体外式膜型人工肺(ECMO)

 SkyDriveによる2020年8月に有人飛行試験に成功した「空飛ぶクルマ」の試験機「SD-03」のフルスケール展示機の出展は目を引く。空飛ぶクルマの正式名称は「電動垂直離着陸型無操縦者航空機(eVTOL(electric vertical takeoff and landing))」。今後は2人乗りの機体を開発し、事業化を目指すとのこと

SkyDrive「SD-03」フルスケール展示機
NICTによる対サイバー攻撃システムによる、攻撃や通信の様子の可視化
小型合成開口レーダー(SAR)衛星の模型

千葉工業大学 未来ロボット技術研究センター(fuRo)による災害対応ロボット「櫻壱號(サクライチゴウ)」は福島第一原子力発電所内の探査を行なうために開発されたロボットで、原子炉建屋の中のきつい傾斜角(最大52度)、70cmと狭い幅・踊り場の階段を移動できるスペックを持つ。

災害対応ロボット「櫻壱號」
索状型災害対応ロボット。独自の推進機構で狭隘部に入り込むことができる能動スコープ
高感度のマイクロフォン(左先端の球)を付けた要救助者探索用ドローン
次世代型インフラ点検装置。画像計測技術とレーザーを使ってトンネルや地下鉄の寸法を正確に自動計測
風力発電装置
循環型ポータブル手洗い機「WOTA」
超小型レーザーとロボットを使った微細加工
金属3Dプリンティング関連展示
しなやかなタフポリマーを使った高強度軽量車体。従来のプラスチックよりも薄くのばしても頑丈で扱いやすい
人工構造タンパク質を使った繊維
4F屋外展示にはレベル3自動運転を行なったHonda レジェンドと、準天頂衛星「みびちき」による高度運転支援システム「アイサイトX」を搭載したスバル レヴォーグ

天望回廊「Society 5.0への軌跡」

天望回廊の展示はパネル

 展示はスカイツリーの天望回廊でも行なわれている(有料ゾーン)。こちらのテーマは「Society 5.0への軌跡 〜Society 5.0までの歩み〜」。地上450mに位置する東京スカイツリー最上部の回廊空間を活用し、科学技術と人々の連帯により、その時々の困難を克服しSociety 1.0から4.0までの社会を築いてきた私達の歴史と、この先に拓かれる未来社会Society 5.0を紹介するというもの。ぐるぐると回る回廊を登りつつ、街を見下ろしながら未来について考えることができる。

Society 1.0 狩猟社会
Society 2.0 農耕社会
Society 3.0 工業社会
Society 4.0 情報社会
そして「人間中心の社会」である「Society 5.0」へ
窓の外の風景
内覧会の日は残念ながら曇天だったが晴天時や夜景は素晴らしそう

千葉工業大学東京スカイツリー タウンキャンパスでは講演会なども開催予定

千葉工業大学東京スカイツリー タウンキャンパスには各種展示のほか、アニメ「マクロスF」の主役メカ「バルキリーVF-25」の実物大模型の常設展示がある(Society 5.0博とは無関係)

 スカイツリータウンには「千葉工業大学東京スカイツリー タウンキャンパス」が以前から入っている。ここでは「Society 5.0シアター」が行なわれる。JAXAやJAMSTEC等が保有する科学技術関連映像を放映するほか、科学界の著名人を講師に招き、宇宙や海洋、防災、情報通信などの業界における最先端技術に関する講演会を実施する予定。小中学生向けの体験型イベントも行なわれるという。