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Adobe Creative Cloudに大型アップデート

 Adobeは16日、Creative Cloudの大規模アップデートを開始した。写真向けのPhotoshopやLightroom、ビデオ向けのPremiere、WebデザインのXDなどに新機能が実装されている。Photoshopに関しては別記事(最新Photoshopで髪の毛の細かい部分まで一発切り抜き可能に)を参照されたい。

Illustrator

 Illustratorではクラウドドキュメントの保存が可能になり、バージョンの履歴で簡単に前後のバージョンに行き来できるようになった。さらに、アートボードの5×5mまでの制限が50×50mにまで拡張された。

クラウドドキュメントの保存
クラウドドキュメントの保存に対応し、バージョンをさかのぼっての表示ができる
アートボードの領域が50×50mに拡張

Indesign

 DTP作業用アプリのIndesignでは、コラボレーション機能が強化され、「レビュー用に共有」という機能が追加された。1つのIndesignファイルを複数人で編集できるようになり、編集者を招待して、書き込みや閲覧権限などを設定できる。招待はメールを使って行なえる。

「レビュー用に共有」を追加
Indesignファイルのレビュワーをメールで招待できる
コメントの書き込みも行なえ、スマートフォンやタブレットからも確認ができる

Dimension

 3DレンダリングアプリのDimensionでは、3Dテキストの作成ができるようになった。文字や大きさの変更だけでなく、テクスチャの適用や画像の環境光に応じて光の加減を設定する合成などが簡単に行なえる。

3Dテキストの作成
3Dテキストはテクスチャも適用可能
背景に応じてAdobe Senseiが自動的に影などを3Dテキストに落としてくれる

Adobe Color

 Adobe Colorは色を作成するための、Webベースのアプリで、今回色弱などの色覚異常を持つ人向けのアクセシビリティツールが追加された。なお、この機能については6月8日にすでに発表済み。アクセシビリティツールでは、競合する色や見分けにくい色の確認などをシミュレーションでき、設定した色情報はCreative Cloudの各アプリに渡すことが可能。

アクセシビリティツール
競合する色や見分けにくい色をシミュレーションで判別できる

Adobe Fresco

 ドローアプリのAdobe Frescoは「マルチカラースポイト」をサポート。通常のスポイトと違い複数色を抽出できるようになったほか、ベクターブラシで「線分の消去」が追加されている。

マルチカラースポイト
スポイトで複数の色を抽出できる
線分の消去
猫の毛のはみ出た部分を自動的に消去する

Lightroom

 Lightroomでは、バージョン機能が使えるようになり、1つのファイルでさまざまなパターンを保存できるようになり、各バージョンにカーソルを合わせるだけで、瞬時にそれぞれのバージョンの画像を確認できる。

 また、Photoshopで作業を引き継げる機能が追加され、Photoshopにファイルを送って編集後にLightroomに戻すといった往復作業ができるようになっている。

 このほか、「透かし」をつけることや「Discover」セクションからプロのクリエイターなどが行なっている写真の現像方法などをLightroom内から参照できる。

バージョン機能
バージョン機能でパターンの異なる写真を保存でき、瞬時の切り替えと確認が可能
LightroomとPhotoshop間での作業
両アプリで行き来して編集作業が行なえる
画面右下などに透かしを置けるようになった
Discoverからプロのクリエイターの現像方法などを参考にできる

Lightroom Classic

 Lightroom Classicでは、部分選択箇所の色相を変更できるようになり、これまでのように全体の色相が変わってしまうということがなくなった。この機能はデスクトップ版だけでなく、モバイル版でも利用できる。

部分選択箇所の色相を変更可能に
肌の部分のみ選択し、肌の色相を変える。これまでだと肌色に近いコートの縫い目の色相も変更されてしまっていた

Premiere Pro

 Premiere Proでは、要望の多かったという「Adobe Stock Audio」に対応。フリーの音楽素材をPremiere Proのなかから選択できるようになった。ムードやジャンルといったフィルタで3万点の音楽素材のなかから絞り込め、一覧して選択できる。

 また、「タイムラインの同期」機能も搭載。これまでは新しい音を追加するたびに、タイムラインで音楽を入れ替えて絵と音を合わせる必要があったが、「タイムラインの同期」にチェックを入れることで、一度再生ヘッドを置けば、入れ替え時も自動的にその位置から音楽を流すようになった。

 プレビュー版で提供される「シーン編集検出」機能では、人や動物、見せ方で映像が分かれているような各シーンに対して、AIが自動的にシーンを判別。不要なシーンを削除したりといったことが手間をかけることなく行なえる。TV番組の編集などにおいて、不祥事を起こした俳優のシーンのみカットするといったことも行なえるという。

Adobe Stock Audioに対応
Premiere Pro内からAdobe Stock Audioを扱えるようになった
タイムラインの同期
音楽の入れ替え時に自動的にヘッドの位置を合わせてくれる
シーン編集検出
シーン編集検出で4つのシーンを検出
区分けされてもののなかから1シーンのみを簡単に削除できる

Premiere Rush

 SNSなどでのオンライン共有向けの映像編集アプリであるPremiere Rushでは、プレビュー版で「オートリフレーム」、「パンとズーム」に対応。

 オートリフレームでは、撮影した動画をスマートフォン向けに縦配置にトリミングをしたさいに、動き回る被写体がフレームアウトするのを防ぐことができ、自動的にフレームに被写体を収めてくれる。パンとズームでは被写体に自動的にパンとズームを行ない、動きのある映像に仕上げてくれる。これらの機能はPremiere Proで提供されているものだが、今回Premiere Rushでモバイル端末からも行なえるようになった

オートリフレーム、パンとズーム
パンとズームで被写体に動きを与える
オートリフレームを使えば被写体のフレームアウトを防げる

Adobe XD

 WebおよびアプリのUIをデザインできるAdobe XDでは、「スクロールグループ」という機能が追加。これまで横にスクロールしていくような、横長のコンテンツを作るさいに、アートボードが増えて非常に手間がかかっていたが、スクロールグループによってアートボード1枚で完結するようになった。

 また、画像位置の入れ替えなどで、これまで位置の微調整が必要だったが、「コンテンツに応じたレイアウト : スタック」によって、Adobe XD側がコンテンツ間のスペースを理解して、ユーザーが調整をすることなく入れ替えができる。

 このほか、「デザイントークン」機能が搭載。これまでアセットパネルに登録されている色のスタイルは16進数で表示されていたが、これに名前――デザイントークンをつけられるようになった。デザイントークンは、たとえ色の値が変わったとしても、その名称が引き継がれ、そのデザイントークンを使用する各所に適用され、利便性が向上している。

スクロールグループ
これまで横長のコンテンツはその分アートボードを増やす必要があった
スクロールグループによって1つのアートボードで作れる
コンテンツに応じたレイアウト : スタック
各画像の入れ替えでスペースの調整などが必要なくなる
デザイントークン
アセットパネルのスタイルに名前をつけられるようになった