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GeForce RTX 2060搭載で1.6kg。「Zephyrus G14」のRyzenは特注品だった

~AMDファンは今年はASUSのゲーミング製品に要注目だ

Zephyrus G14(ホワイトモデル)

 ASUSは16日(台湾時間)、台湾本社でCES 2020にて発表した新製品群の詳細を紹介するAPAC地域メディア向けの記者説明会を開催した。

 ほぼ1日かけて、製品のデザインや特徴について詳しく説明が行なわれたが、PC Watchでは製品別にピックアップして特徴をレポートしたい。本記事では、Ryzen 4000シリーズと、最高でGeForce RTX 2060を搭載しながら1.6kgの軽量性を実現したゲーミングノート「Zephyrus G14(GA401)」について紹介する。

AMDとの協業でTDP 35Wの特注品を採用

 ASUSの2020年のゲーミングラインナップは、ズバリ「AMD推し」だ。これまで同社のゲーミングノートと言えばIntel一辺倒で、AMD CPU採用モデルは数機種にとどまっていたが、今回は大幅に拡張される。ざっくり言って、同じ筐体を採用した製品の場合、型番のなかに「A」が入っていればAMD CPU、「F」が入っていればIntel CPU搭載だ。

 そのなかで唯一例外なのが、今回とくに力を入れて開発し、アピールしている「Zephyrus G14(GA401)」である。GeForce RTX搭載ノートの多くは、軽くても1.9kg台からだが、Zephyrusは最軽量モデル1.6kgスタートとなっている。そしてこのZephyrus G14には、Intelモデルが存在しない。この背景には、AMDの特別協力があったからだ。

 というのも、Ryzen 4000Hシリーズプロセッサは、高性能ゲーミングノート向けに設計されているのだが、8コア/16スレッドと高スペックなの一方で、TDP 45Wと熱設計への要求は高い。しかしZephyrus G14に採用されているRyzen 4000Hは、TDPを35Wに抑えた「Special Edition」であり、放熱機構を小型化可能なため、軽量化を実現できているのだ。

 もっと具体的に言うと、今回採用されているプロセッサは、「Ryzen 7 4800HS」というモデル。8コア/16スレッドで最大4.2GHzと、最大Boostクロック自体は、Sがつかないモデルと同じなのだが、TDPは35Wに抑えられている。これによって冷却機構の小型化を実現しているわけだ。

 説明によれば、これはConfigurable TDPによって実現しているわけではなく、当初から特別なバージョンになっているとのこと。それ以上の説明はなされなかったが、かつて日本向けにのみ提供されたA10-6700Tと同様、最大速度重視の個体ではなく、電圧性能比に優れた個体を選別し、TDP 35Wの設定をした上で供給していると思われる。なお、Ryzen 4000HSプロセッサはASUSに対し6カ月間の独占供給が行なわれるとのことで、それまでの間他社から同様の製品が投入されることはないと見ていい。

モバイル向けの第3世代Ryzen 4000シリーズプロセッサ
AMDの協力により、6カ月間の独占供給を実現したHSプロセッサ
HSは一般的なHとTurboクロックは変わらないが、TDPが10W低い
展示されていた実機はエンジニアリングサンプルで動作していた
GPUはGeForce GTX 1660 Ti Max-Qであった
GPUはPCI Express x8で接続されていることから、Ryzen 4000も従来と同様PCI Express x8しか出ていない可能性が高い

冷却機構にも抜かりなし

 ROGシリーズでは当然だが、低TDPのCPUを採用しているからと言って、冷却機構をおろそかにしているわけではない。Zephyrus G14はROGシリーズではじめて、液晶を開くとキーボード面に角度がつく「ErgoLift」ヒンジを採用し、底面の吸気能力を高めている。

 銅製ヒートシンクのフィンは厚さ0.15mmと薄くなっており、フィンの枚数を209枚に増やすことで、68,868平方mmの放熱面積を達成。複数のヒートパイプで、VRMなども冷却している。

 ファンは液晶ポリマー素材を採用し、剛性を高めることで高回転時の歪みを大きく低減。さらに、50~51.2mmのブレードの枚数を81枚に増やしたことで風量を向上させた。これにより、Turboモード時でも45dBの静音性を実現している。また、ホコリを排出するトンネルも備え、長時間駆動時の信頼性を高めた。

 なお、ソフトウェアで冷却モードを選択でき、Silentモード時は約8割の性能を維持しながら、負荷時の騒音を35dB以下に抑えられるという。冷却モードと使用するソフトのプロファイルも作成でき、たとえばWebブラウザが起動したらSilent、動画エンコードソフトを起動したらTurboモードといった使い分けも可能。複数のアプリを立ち上げた場合、フォアグラウンドアプリを監視し、そのプロファイルを優先するとのことだ。

Zephyrus G14の冷却機構
ErgoLiftヒンジの採用により放熱性を高めた
液晶ポリマー素材のファンブレード
液晶ポリマー素材の採用により、ファンブレードの枚数を大幅に増やせ、剛性も向上させられた
ヒートシンクのフィンを薄くして枚数を増やした
実際に搭載しているヒートシンク。なお、キーボード面からも吸気を行なうという
放熱面積を高めた
Zephyrus G14の基板。CPUはまだエンジニアサンプリングの段階だ
これは別製品の基板だが、ノートPC製品としてはじめてTIMに液体金属を採用したという
グリスと比較して液体金属はCPUへの塗布が難しいが、均一に塗布する機械を開発したことにより実現したという。ただ、Zephyrus G14で液体金属が採用されているかどうかは不明である

天板で好みのメッセージを表示できる「AniMe Matrix」の秘密

 Zephyrus G14は、ゲーミング以外のシーンでも難なく使えるデザインを目指したため、ゲーミングらしからぬ比較的低調なデザインを採用している。これはASUSの2020年モデル全体的に言えることなのだが、唯一、天板に1,215個のホワイトLEDを仕組んでいて、表示内容を自由にカスタマイズできる「AniMe Matrix」をオプションで搭載できる点がユニークだ。

 Zephyrus G14のAniMe Matrix搭載モデルでは、天板に6,536のCNC加工の穴が用意されており、4つを1組としたLEDの発光を透過させ表示している。この6,536個超のホール数は、ROGがこれまでメディアなどから得られた賞の数なのだという(あくまでも製品開発時点までのもので、現在は当然これより増えている)。「この穴1つ1つにROGの思い出を残し、光で表現する」というのが、製品の開発背景のストーリーだ。

 なお、穴は天板の対角線より上の方の三角形にのみ開けられているが、ディスプレイ側から見て左のヒンジ部にはLEDが仕込まれていない。これはヒンジの強度を保つためである。

 AniMe Matrixでは、GIFアニメーション画像や任意のテキストを表示できる。ただ、ソフトウェアUIの開発はまだ途中であり、撮影はNGだった。製品化の際は、統合ユーティリティ「ROG Armoury」上から行なえるようにするとのことであった。

 ちなみにAniMe Matrix搭載モデルは、なしモデルより100g重く(1.7kg)、筐体の厚さも17.9mmから19.9mmに増える。このあたりはポータビリティを重視するか否かで選択すると良いだろう。

さまざまな表示が可能なAniMe Matrix
AniMe Matrixに表示させてみたところ

120Hz Adaptive Sync対応フルHD液晶モデルも用意

 日本で投入される製品仕様は未定だが、メモリは最大32GB、ストレージは512GBまたは1TBのNVMe SSD、ディスプレイは1,920×1,080ドット表示対応/60Hzまたは120Hz Adaptive Sync、もしくは2,560×1,440ドット表示対応60Hz液晶を選択可能。なお、液晶はいずれもsRGB 100%で、Pantone認証済みとのこと。そのほか先述のとおり、CPUはRyzen 7 4800HS、GPUはGeForce RTX 2060(6GB)である。

 インターフェイスはUSB 3.1 Type-C×2(うち1基はUSB PDによる最大65Wの充電およびDP 1.4に対応)、USB 3.1、HDMI 2.0b、Wi-Fi 6、Bluetooth 5.0、指紋センサー、音声入出力などを搭載する。

 本体サイズは324×222×17.9mm(通常モデル、幅×奥行き×高さ)または19.9mm(AniMe Matrix搭載モデル)。

狭額縁液晶を搭載
フルHDで120Hzパネルを選択可能
すべてのパネルはキャリブレーション済みでPantone認証済み
ゲーミングに求められるキーボードの要素もひととおり揃っている
ホットキー
ブラック筐体モデル
左側面のインターフェイス
右側面のインターフェイス