Hothotレビュー
シックなデザインでコンテンツ制作やビジネスにも使えるゲーミングノート「ROG Zephyrus G14」
2020年5月27日 11:00
ASUSTeKがCES 2020で発表したゲーミングノートPC「ROG Zephyrus G14」がついに国内でもリリースされた。
上位モデルではCPUにZen 2アーキテクチャを採用した最新APU、AMD「Ryzen 9 4900HS」を採用するところがポイント。また、14型のゲーミングノートPCとしてはやや小ぶりなサイズ感、一見しただけではゲーミングと言うよりはスタンダードノートPCのようなたたずまい、そしてじつはゲーミングノートPCとしてデザイン面でインパクトのあるギミックを搭載している。特徴満載の期待の新製品だ。
Zen 2 APUに3つのGPUラインナップ、2色のカラバリ、Office搭載モデルも
ROG Zephyrus G14は仕様別に9モデルがラインナップされる。上位4モデルはCPUがRyzen 9 4900HSでGPUがGeForce RTX 2060 with Max-Q。このうち2モデルはディスプレイ解像度が2,560×1,440ドット、60Hz仕様、もう2モデルが1,920×1,080ドット、120Hz仕様だ。
次の2モデルはCPUがRyzen 7 4800HSでGPUがGeForce GTX 1650 Tiに1,920×1,080ドット、120Hzディスプレイ。残る3モデルはCPUがRyzen 7 4800HSでGPUがGeForce GTX 1650。うち1モデルがシリーズ唯一のMicrosoft Office搭載モデルでディスプレイ仕様が1,920×1,080ドット、60Hz。
そのほかのスペックでは、GeForce GTX 1650 Ti以上を搭載する6モデルのメモリが16GB、GeForce GTX 1650搭載モデルは8GB。そしてGeForce RTX 2060 With Max-Qと2,560×1,440ドットパネルの2モデルはストレージがSSD 1TBになりほかは512GBだ。ラインナップのなかで性能にかかわるスペックはある程度規則性がある。
カラーバリエーションは2色。1つは「ムーンライトホワイト」、もう1つは「エクリプスグレー」。各仕様2モデルずつあるのはカラバリのためだが、Office搭載モデルはムーンライトホワイトのみだ。
ラインナップ紹介の最後にデザイン面で本命機能「AniMe Matrix」の搭載モデルがどれなのか触れておこう。ROG Zephyrus G14で初搭載されるのがこのAniMe Matrix。液晶パネルの天板面に搭載されるのだが、これを搭載するのはGeForce RTX 2060 with Max-Q+2,560×1,440ドットパネル搭載の2モデル、GeForce GTX 1650 Tiを搭載する2モデルだ。
CPU | R9 4900HS | R9 4900HS | R9 4900HS | R9 4900HS | R7 4800HS | R7 4800HS | R7 4800HS | R7 4800HS | R7 4800HS |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
GPU | RTX 2060 Max-Q | RTX 2060 Max-Q | RTX 2060 Max-Q | RTX 2060 Max-Q | GTX 1650 Ti | GTX 1650 Ti | GTX 1650 | GTX 1650 | GTX 1650 |
パネル解像度 | WQHD | WQHD | フルHD | フルHD | フルHD | フルHD | フルHD | フルHD | フルHD |
リフレッシュレート | 60Hz | 60Hz | 120Hz | 120Hz | 120Hz | 120Hz | 120Hz | 120Hz | 60Hz |
AniMe Matrix | ○ | ○ | - | - | ○ | ○ | - | - | - |
メモリ | 16GB | 16GB | 16GB | 16GB | 16GB | 16GB | 8GB | 8GB | 8GB |
SSD | 1TB | 1TB | 512GB | 512GB | 512GB | 512GB | 512GB | 512GB | 512GB |
Office | - | - | - | - | - | - | - | - | ○ |
カラー | ホワイト | グレー | ホワイト | グレー | ホワイト | グレー | ホワイト | グレー | ホワイト |
ゲーマーの本命、パフォーマンス視点ではRyzen 9 4900HS+GeForce RTX 2060 with Max-Q搭載モデルが最新FPSなどグラフィックス重視向け、Ryzen 7 4800HS+GeForce GTX 1650 Ti搭載モデルがバトルロワイヤルやeスポーツタイトル向け、そしてRyzen 7 4800HS+GeForce GTX 1650搭載モデルがライト&エントリーゲーマー向けとなるだろうか。
これにデザイン上でのAniMe Matrixの有無や、ゲーム&ビジネスや高性能ビジネス視点でのOfficeの有無といったところで選択肢が生まれる。ラインナップが豊富でカバーする範囲が広いところから、ASUSTeKのROG Zephyrus G14に対する情熱を感じられる。
モバイルも視野に入る!? 14型のゲーミングとしてはやや小型筐体
エクリプスグレーはともかく、ムーンライトホワイトは、ノートPCではよく見るとしてもゲーミングノートPCではあまり見ないカラーだろう。その意味でROG Zephyrus G14は少しゲーミング色が薄い。ちょうど今回触れたのはムーンライトホワイトモデルだ。
いま、在宅勤務によって私物のPCで仕事をし、必要ならばそれを持って出社するといった新しいワークスタイルにもなじみそうだ。もちろん、本製品開発中はまだ新型コロナによってこのような世界になるとは想像していなかっただろう。ただ、在宅勤務などワークスタイルの自由化は世界でも日本でも、じわじわと進んでいた背景があり、そこを狙っていたのかもしれない。Office搭載モデルがラインナップされている理由はこうしたところだろうか。
14型というサイズを見ればモバイルも視野に入る。本体サイズは324×222×17.9mm(幅×奥行き×高さ)または19.9mm。厚みが2種類あるのはAniMe Matrix搭載モデルのほうが19.9mmになる。幅×奥行きという専有面積はたしかに14型のもので、それも狭額縁ベゼル採用のため従来の13.3型並みに小さい。厚みはいわゆるモバイルノートPCから見ると確かに厚い。とはいえゲーミングノートPC、高性能モバイルノートPC、あるいはモバイルワークステーションという視点からすればスリムだ。
重量は標準1.6kg、AniMe Matrix搭載モデルが1.7kg。ここもモバイルとしては重いがスペックやその用途から考えれば許容範囲か軽いと言える。
吸気口は底面。スリットのなかでも半分より後ろ寄りが吸気用だが、まずまず「ふつうに多い」ような、スペックを考えると「これで足りるのか」と驚くようなところ。
排気口は左右側面や背面。とくに背面のスリットは斜めに作られ、ゲーミングらしさが薄めのROG Zephyrus G14の中ではゲーミングらしさを感じるところだ。
シックなのにインパクトあるAniMe Matrix
ここまで何回か出てきたAniMe Matrix。これは天板部分のLED効果だ。ただ、ゲーミングノートPCで定番のロゴやエンブレムが光るものとは違う。これが、ROG Zephyrus G14の全体的な「落ち着き」を乱さない程度に、でも見た人にインパクトを与える効果で光る。
何枚か天板部分の写真を載せているが、それらのようにROG Zephyrus G14の天板は斜めに半分に分かれたデザインで、片方が少しグレーがかって見えるかもしれない。じつはここに計6,536個もの穴が設けられており、その内部には1,215個の小さなLEDがちりばめられている。穴、つまりドット表示のアニメーション対応LEDディスプレイだ。ここにさまざまな情報を表示することで、ホワイトの天板が一気にインパクトを放つようになる。
発光色はホワイトだけ。コストが高いとかいろいろと理由があるかもしれないが、RGBのものを搭載しようと思えばできたのかもしれない。RGB LEDでどハデにアニメーションさせるのを望む方もいると思われるが、ROG Zephyrus G14の全体的な落ち着いた雰囲気にはホワイトLEDが合っている印象だ。もちろん、必要に応じてオン/オフできるし、モバイルではバッテリを消費しそうに思われるが同社によれば「多少」とのこと。ゲーム仲間の家に持ち込むような時にはON、職場に持ち込むような時にはオフとしておけばよい。
AniMe Matrixの制御は「Armoury Crate」というユーティリティから行なう。キーボード上部にROGロゴの付いたキーがあり、これを押せば起動する。あるいはWindowsのスタートメニューからも起動できる。このArmoury Crateは統合ユーティリティ的なもので、ROG Zephyrus G14のシステム設定から同社のLED制御AURA Syncなどさまざまな設定を一元管理できる。AniMe Matrixの設定は左端メニューの「デバイス」から行なう。初回起動時には日本語化された設定ガイドも表示されるのでそこで覚えればスムーズに使いこなせる。
さまざまな情報を表示できるが、大きく分けてアニメーション、オーディオ、テキスト、システム。シンプルなところで、システムはバッテリ残量や日付、時間など。テキストはユーティリティで登録したテキストを表示できる。もちろんこれらを流れるアニメーションとして表示することも可能だ。
ハデ目なところとしてはアニメーションとオーディオ。オーディオはいわゆるオーディオレベルメーター的なもので、再生中の音に合わせてレベルメーターがアニメーション表示する。スピーカーを指定する方法なので、音楽再生はもちろん映像再生、ゲーム中の音などにも対応している。アニメーションは、プリセットされたものやアニメーションGIFを表示できる。LANパーティーやイベントでプロフィールアイコンを表示させるのもよいだろう。
AniMe Matrix搭載モデルを選べば、こうしたシックななかに少し個性を打ち出すことができる。「ちょいワルおやじ」的な感じだろうか。天板にあることもあり基本的には見せる機能で、自宅で使う範囲ではそこまで意識しない。もっともこれは液晶天板のLED全体的なもので有名なリンゴマークも同じ。ただ、アニメーションに対応しているので、薄暗い部屋の中、少し壁に近いところに置いてオーディオをアニメーションさせて音楽再生するとちょっとテンションが上がった。
液晶パネルはクリエイティブ向きのProArt仕様。バッテリ駆動時間も長い
ディスプレイやキーボード、インターフェイスを見ていこう。評価機のディスプレイは2,560×1,440ドット(WQHD)パネルだ。14型でWQHD解像度だと100%スケールではデスクトップ上アイコンのフォントもかなり小さくてギリギリ読めるかどうかといったところ。標準では200%のスケーリングが適用されていた。なお、意外にも14型でWQHD/60Hzのパネルを搭載するノートPCは世界初だとか。そしてパネルの画面占有率は85%とのことで十分に狭額縁ベゼルと言える。
パネル駆動方式はIPSで、視野角が広く色味もよい。sRGB 100%。さらにASUSTeKと言えばプロ用ディスプレイでもProArtシリーズを展開しているように色再現性にも注力している。ROG Zephyrus G14のパネルは工場出荷前にキャリブレーションを実施しているとのこと。PANTONEの認証を受けているというお墨付きだ。
キーボードはテンキーレスの日本語配列。スペースキーの左半分が右半分より広がっているほか、Nキーロールオーバーに対応、2,000万回以上の打鍵に耐える耐久性などゲーミング用途向けの設計だ。キーピッチは19.05mmで一般的なキーボードのピッチを実現しており、キーストロークは1.7mmでこちらもノートPCとしては十分なストロークを実現している。
電源ボタンはキーボードの右上部分にある。指紋認証センサーを兼ねているのもよい。Windows Helloログオンに利用でき、個人/ビジネスのセキュリティも高められる。そしてキーボード左上の4つのホットキーは、スピーカーボリュームの大/小、マイクのミュート/解除、そして先に触れたArmoury Crate呼び出し用のROGロゴキーだ。タイミング的にオンラインビデオ会議などのニーズが高まっていた時期だけに、このホットキー配置はなかなか使い勝手がよく感じた。
各種インターフェイスは右がUSB系、左が電源やオーディオ入出力/映像出力といった分け方。右利きにとってはマウス/キーボードといったUSB Type-A機器を右側面に接続できるのは便利だ。左利きの方は右側面から取り回すか、あるいは左側面に1つUSB Type-C端子があるのでここにType-A→Type-C変換アダプタ経由で接続するのがよいだろう。
映像出力はHDMI 2.0bおよび左側面のUSB 3.2 Gen2 Type-CがDisplayPort出力に対応しているのでこの2系統だ。なお、USB Type-C側はGeForce RTX 2060 with Max-Qから、HDMIは統合GPUから出力できる。つまり、G-SYNCやFreeSyncといったディスプレイ側の機能を利用したい場合はこのルールに従う必要がある。
ネットワークに関してはWi-Fi 6対応(Bluetooth 5.0も搭載)が利用できる。有線LANは非搭載。ゲーミング用途やオンラインビデオ会議用途では有線LANのニーズが高いと思われるが、それはUSB有線LANアダプタなど別途用意するのがよいだろう。ただ、無線でもWi-Fi 6対応環境にあるならば1GbEと同等の速度を得ることができる。
ACアダプタは定格出力が180WでROG Zephyrus G14の仕様から計算するとやや余裕が大きめ。その理由は左側面のUSB 3.2 Gen2 Type-Cが最大65WのUSB Power Delivery 3.0(USB PD)に対応しているためのようだ。65Wもあるとスマートホンはもちろんタブレットも十分に充電できる。そしてACアダプタのサイズも本体比で比べると大きめだ。
ROG Zephyrus G14のバッテリ駆動時間は約10時間。そして電源設定「省電力」時のPCMark 10バッテリテスト、Modern Officeシナリオでも10時間31分を記録した。もちろんこれは統合GPU利用になりクロックにも制限が付くが、半日ちかくモバイルできるのはプライベート用途、ビジネス用途で心強い。
Zen 2コアのRyzen APUを核にアッパーミドルGPU、十分なメモリ、SSDを搭載
内部スペックは冒頭で少し書き、以前の三門修太氏のレビューでも触れられているのでここでは簡単に紹介しておこう。評価機は「GA401IV-R9R2060WLQ」。シリーズでもっとも高価なRyzen 9 4900HS+GeForce RTX 2060 with Max-Q+WQHDパネル with AniMe Matrixという構成だ。執筆時点で263,800円前後が予想されている。
Ryzen 9 4900HSはデスクトップ用Ryzenの最新と同じZen 2世代。そして8コア16スレッドというx86/64系ノートPC用としては最多級のコア/スレッド数になる。末尾HSはTDPが35Wであることを指している。
GPUには前述のとおりGeForce RTX 2060 with Max-Qが搭載されている。RTX 20シリーズとしてはエントリーだが、主にフルHDの高画質あるいは高フレームレートあたりをターゲットとしたGPUだ。その上で、少しライトなバトルロワイヤルやeスポーツタイトルならWQHDが狙える。
また、Ryzen 9 4900HSはAPUでありRadeon Graphics機能も統合しているのでそれも利用できる。Radeon Graphicsも統合GPUとしては強力だがディスクリートのGeForce RTX 2060 with Max-Qよりは省電力でもあり、この2つを利用シーンに合わせて切り換え、電力の最適化を図ることができる。Ryzen 9 4900HSのRadeon Graphics機能はグラフィックスコアが8基、クロックが1,750MHz。
メモリはDDR4-3200が採用されている。性能が求められるゲーミングノートPCなのでもちろんデュアルチャンネルモードだ。16GBという容量は前述の仕様どおり。仕様を見るとUp to 32GBとあるので未確認だが増設には対応しているのだろう。16GBあれば、本製品が想定するゲームタイトルの推奨容量は満たせる。
SSDは容量1TBで、接続は仕様上PCI Express 3.0 x2でM.2 NVMe。CrystalDiskInfoからはPCI Express 3.0 x4と表示されるがこれはインターフェイスとしての仕様だろう。CrystalDiskMarkで転送速度を計測したところシーケンシャルリードが1.9GB/s弱、同ライトが1.8GB/s弱だった。最速級のSSDではないが普段使いの範囲では十分に高速でレスポンスもよい。そして1TBという容量があれば大容量になりがちな最新ゲームもある程度本体内にインストールできる。
ゲーミング性能はRTX 2060なりだが強力CPUが後押し
ではベンチマークでパフォーマンスを見ていこう。ただしこれもすでにレビューされているのである程度かぶるところがある点、ご了承いただきたい。ベンチマークに用いたのは、Futuremarkの「PCMark10」、「3DMark」、MAXON「CINEBENCH R20」、ペガシス「TMPGEnc Video Mastering Works 7」、そして「HandBrake」。
【表】スペックおよびベンチマーク結果 | ||
---|---|---|
ASUSTeK ROG Zephyrus G14 | LEVEL∞ STYLE-16FR100-i7-TOSVI | |
CPU | Ryzen 9 4900HS | Core i7-8750H(6コア/12スレッド、2.2~4.1GHz) |
チップセット | - | Intel HM370 |
GPU | GeForce RTX 2060 with Max-Q | GeForce RTX 2070 with Max-Q |
メモリ | 16GB DDR4-3200 | 16GB DDR4-2666 |
ストレージ | 1TB NVMe SSD | 256GB NVMe SSD+1TB HDD |
OS | Windows 10 Home 64bit | Windows 10 Home 64bit |
PCMark 10 | v2.1.2177 | v1.1.1761 |
Extended Score | 6727 | 6696 |
Essentials Scenario | 9735 | 8693 |
App Start-up Test | 12805 | 11567 |
Video Conferencing Test | 8461 | 7069 |
Web Browsing Tset | 8517 | 8034 |
Productivity Scenario | 7578 | 7789 |
Spreadsheets Test | 8866 | 9754 |
Writing Test | 6478 | 6220 |
Digital Content Creation Scenario | 6697 | 6625 |
Photo Editing Test | 11166 | 9901 |
Rendering and Visualization Test | 6261 | 8085 |
Video Editing Test | 4297 | 3646 |
Gaming Scenario | 11205 | 12115 |
Fire Strike Graphics Test | 14324 | 16054 |
Fire Strike Physics Test | 21116 | 15785 |
Fire Strike Combined Test | 6684 | 7926 |
3DMark | v2.11.6846 | v2.8.6546 |
TimeSpy Extreme | 2728 | 2919 |
TimeSpy | 5876 | 6375 |
FireStrike Ultra | 3487 | 3995 |
FireStrike Extreme | 6834 | 7557 |
FireStrike | 13743 | 14661 |
NightRaid | 27977 | 33372 |
SkyDiver | 29778 | 35081 |
Port Royal | 3146 | 3468 |
CINEBENCH R20 | ||
CPU | 4113 | 2407 |
CPU(SingleCore) | 471 | 425 |
TMPGEnc Video Mastering Works 7 | ||
4K/60p/MP4→FHD/60p/H.265/HEVC/SW | 21.92 | - |
4K/60p/MP4→FHD/60p/H.265/HEVC/HW_iGPU | 42.45 | - |
4K/60p/MP4→FHD/60p/H.265/HEVC/HW_dGPU | 44.38 | - |
HandBreak | v1.3.0 | |
4K/60p/MP4→FHD/30p/H.265/MP4 Fast SW | 49.84 | - |
4K/60p/MP4→FHD/30p/H.265/MP4 Fast HW | 63.99 | - |
4K/60p/MP4→FHD/30p/H.265/MP4 Fast HW | 65.2 | - |
PCMark10のExtendedテストでは、まずOverallが6,727ポイントと高い。PCMark10ではCPU、GPUに加えてストレージなどバランスで決まるところがある。たとえば昨年(2019年)モデルで6,000ポイント台半ばを出しているのが6コア12スレッドCPUにGeForce RTX 2070 with Max-Q、PCI Express 3.0 x4で3GB/s級のSSDといった構成。ROG Zephyrus G14「GA401IV-R9R2060WLQ」はGPUやストレージで見ると1つ下のグレードだが、CPUが2コア4スレッド多いところで同等(それ以上)のスコアを引き出したようだ。
シナリオ別では、比較対象を上回ったのがEssentialsシナリオとDigital Content Creationシナリオで、勝ることができなかったのはGPUのハンデが大きいGamingシナリオとProductivityシナリオ。Digital Content CreationとProductivityシナリオはどちらも差が小さいとして、スコア差の大きいEssentials、つまりホーム用途はかなり快適そうだ。
Gamingに関しては、これは超えられない壁だ。ROG Zephyrus G14「GA401IV-R9R2060WLQ」が搭載するGeForce RTX 2060 with Max-Qは最上位GPUではない。そのGPUが想定するゲームの範囲ということになる。その辺りは3DMarkスコアが示していると言えるだろう。もちろん高スコアと言える結果だが、上位のGeForce RTX 2070 with Max-Qにはかなわない。
CINEBENCH R20で見るCPU、とくにマルチスレッドは圧倒的。4000ポイント台に乗り、6コア12スレッドCPUモデルの1.7倍のスコアだ。またシングルスレッド側のスコアも46ポイント高いところはZen 2アーキテクチャと高クロック動作が効いた結果と言える。そしてTMPGEncとHandBreakの2つのエンコードテストでもノートPCとしては高めのフレームレートが出ている。また、統合GPUのRadeon VegaとディスクリートGPUのGeForce RTX 2060 with Max-Q双方のハードウェアエンコード機能が利用できるので映像編集用途にも有効な製品だろう。
ゲームテストは、「Red Dead Redemption 2」、「Tom Clancy's Ghost Recon Wildlands」、「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク」、「ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター ベンチマーク」を計測した。
【表】ゲームベンチマーク | |
---|---|
ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク | |
2,560×1,440ドット、最高品質 | 9248 |
1,920×1,080ドット、最高品質 | 12,560 |
Tom Clancy's Ghost Recon Wildlands | |
2,560×1,440ドット、中 | 58.86 |
2,560×1,440ドット、低 | 81.9 |
1,920×1,080ドット、ウルトラ | 43.98 |
1,920×1,080ドット、非常に高い | 66.02 |
1,920×1,080ドット、高 | 74.7 |
Red Dead Redemption 2 | |
1,920×1,080ドット、バランス(Level 7) | 60.4865 |
1,920×1,080ドット、画質優先(Level 14) | 39.7799 |
FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク | |
2,560×1,440ドット、標準品質 | 5357 |
2,560×1,440ドット、軽量品質 | 7142 |
1,920×1,080ドット、高品質 | 6050 |
1,920×1,080ドット、標準品質 | 7906 |
1,920×1,080ドット、軽量品質 | 9961 |
かなりの重量級タイトルRed Dead Redemption 2は解像度設定がうまくいかなかったのでフルHDのみとした。平均FPSで60fpsを超えられたのは精密度プリセットレベルでバランスの最低時(Level 7)。バランスでも1つ上に引き上げたところで60fpsをわずかに下回った。そして画質優先の最低時(Level 14)では40fps程度まで落ちた。最小FPSは31.5fps程度なのでプレイは可能だがややスムーズさに欠ける。
Tom Clancy's Ghost Recon Wildlandsは1,920×1,080ドットであれば上から2つ目の「非常に高い」設定で60fpsを超えられた。高性能ハード向けとされる「ウルトラ」設定は43.98fpsで、60fpsにこだわらなければ大丈夫といったところ。2,560×1,440ドットなら中画質辺りが60fpsラインだ。
この2つのタイトルのようにヘビー級タイトルに関しては解像度と画質のバランスを取ると1,920×1,080ドットのフルHDで中~高画質(最高画質にはこだわらない)あたりを探るのがベストのように思える。
FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマークは1,920×1,080ドットならば高品質設定でも快適評価だ。2,560×1,440ドットになると軽量品質で快適評価だが標準品質に引き上げると「やや快適」評価に落ちた。画質をとってフルHDか、解像度をとって画質を落とすか選択を迫られる。
ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター ベンチマークは2,560×1,440ドット、最高品質でも非常に快適評価の9,248ポイント。つまり、軽めのタイトルは本製品のパネル解像度の2,560×1,440ドットを高解像度で積極的に狙っていける。
さまざまなニーズ、さまざまなシーンにマッチする「メイン」の1台
ROG Zephyrus G14のポイントは性能とデザイン。性能はRyzen 9 4900HS搭載モデルという点もあるが主にZen 2アーキテクチャでコア数も多いところにある。下位モデルが搭載するRyzen 7 4800HSも8コア16スレッド(統合GPUは7コア)なので、ラインナップはどれも8コア16スレッドと考えるとCPUはとにかく強力だ。
ゲーミングノートPCとしてより重要なGPUはラインナップで3つのGPUが選べる。ここはニーズと予算しだいだ。惜しむらくはより上位のGPUを搭載するモデルが用意されていないところだろうか。GeForce RTX 2070や2080クラスのwith Max-Qが選べればプレイ可能な画質や解像度の選択肢が広がっただろう。ただそれらは価格に反映される。ROG Zephyrus G14はおおむね15~27万円という価格帯だ。ゲーミングノートPCとしてはボリュームゾーンであり、フラグシップというわけではない。
そしてゲーム、コンテンツ制作、ビジネスと幅広いニーズに対応できるデザイン。ゲーミングノートPCが、コンテンツ制作分野でも注目されているが、そのとき少し気になるのがビジネスシーンにゲーミングデザインがそぐわない場合があることだ。ゲーミングデザインを抑えることで非ゲーミングニーズにも受け入れられやすいだろう。その上で、個性を求めるゲーミングニーズならAniMe Matrix搭載モデルも用意されている。なかなかよくばりなモデル、意欲的なモデルと言えるだろう。