ニュース

ゲーム内オーバーレイ表示やスマホ連携を搭載した新ドライバ「Radeon Software Adrenalin Edition」

 AMDの予告通り、Radeon向けの新ドライバ「Radeon Software Adrenalin Edition」が本日リリースされた。

 AMDは、2014年からRadeonのドライバに関して約1年ごとに大幅な機能追加に伴う刷新をコミットメントしており、今回は4回の実施となる。艷やかな赤いバラ「アドレナリン・ローズ」にちなんでネーミングされた今回のドライバは、性能向上のみならず、多くの新機能が盛り込まれている。

性能面の改善

 まず注目の性能面だが、1年前の「Radeon Software Crimson ReLive Edition」と比較して、ゲームにも左右されるが、性能はおおむね10%向上させている。一部ゲームにおいてはレイテンシの削減も実現した。また、ボーダレスウィンドウモードのゲームタイトルでも、マルチGPUをサポートし、最大で2倍の性能向上を実現した。

 フレームレートの上限を設定して消費電力削減を実現できる「Frame Rate Target Control」は、これまでVulkanのAPIがサポートされていなかったが、新たに対応させた。VulkanモードのFPSゲーム「DOOM」のフレームレートを60fpsに制限した場合、Radeon RX Vega 64では74%もの電力を削減できるという。

 今回、仮想貨幣マイニングやGPUコンピュートでの利用を考慮し、グローバル設定のなかに、「Compute」プロファイルを追加。これをオンにすることで、GPUを汎用演算に特化させ、15%の性能向上を実現できるとしている。ただしこの仕組みに関しては「企業秘密」とのことだ。

性能の向上
レイテンシの削減
ボーダレスウィンドウでもマルチGPU対応に
Frame Rate Target Control
Computeプロファイル

基本機能面の改善

 これまでも実装されていたオーバークロックツール「WattMan」は、新たに各種設定をファイルとして保存できる機能が追加された。これにより、自分が設定したプロファイルを他人と共有できる。

 ゲーム中の非操作時にフレームレートを下げ、消費電力を低減させる「Radeon Chill」は、これまで数種類のゲームだけがサポートされていたが、この制限を取り払い、動作する限りすべてのゲームで有効にできるようになった。なお、動作しないゲームに関しては自動でオフになる。

 ReLiveの17.7.2のなかですでに有効になっていた「Enhanced Sync」機能は、すべてのGCNベースのGPUで動作するようになった。また、VulkanやノートPC、マルチGPU、Eyefinity技術使用時もサポートされた。Enhanced SyncはNVIDIAの「Fast Sync」に相当する機能で、フレームレートがディスプレイリフレッシュレート以上になるときはVSyncをオン、以下になるときはVSyncをオフにする技術で、テアリングとカクつきの両方を抑制する。

 録画機能の「ReLive」は、新たに「Connect」タブを追加。TwitterやYouTube、Twitch、Facebookなどのアカウント紐付け、自分で録画したゲームプレイ画面の共有をドライバ上から行なえるようにした。また、Twitch、Facebook、mixer、YouTubeについては、ゲームプレイ中にチャットの内容をオーバーレイ表示できるようになった。

 同時に、CPU占有率の低減も図られ、新たにVulkanのゲーム、およびボーダレスウィンドウモード時のゲームのみの録画に対応。さらに、Webカメラキャプチャの指定した色を背景として透過にする機能や、Eyefinityによるマルチディスプレイでのゲームプレイの録画、マイクおよびゲームの音声とのトラックの分離、ブラウザベースのストリーミングサービス「Stage TEN」への対応が謳われた。

 このほか、ゲームのプロファイルごとにFreeSyncのオン/オフを選べる機能や、背景を3種類から選べるテーマ機能も追加された。

WattManはプロファイルの保存と読み込みに対応
Radeon Chillのサポートの制限を取り払い、動作する限り動作できるようにした
Enhanced SyncはVulkanやマルチGPUなどに対応
新たにConnectタブを追加
ソーシャルネットワークアカウントとの紐付け
ReLive録画時のCPU使用率低減
ReLive録画がVulkanに対応
ボーダレスウィンドウの録画もサポート
指定した色の背景を抜く機能
Eyefinityのゲームもキャプチャ可能
マイクとゲーム内音声の音声トラックを分離して録画することで、編集時に役に立てる
Stage TENの対応
FreeSyncはゲームごとに設定可能になった

ゲーム中でも設定可能なオーバーレイとスマホ連携

 Adrenalinで新たに加わった要素は、ゲームプレイ中でもオーバーレイ表示で各種設定を可能にする「Radeon Overlay」と、スマートフォンアプリ「AMD Link」との連携だ。

 Radeon Overlayは、ゲームプレイ中に「Alt+R」キー(デフォルト設定)を押すことで、ゲーム画面にオーバーラップする形で右側から現れる。ゲームをプレイ中でもフレームレートやCPU/GPU使用率、GPU温度などが監視可能になるほか、ReLiveによる録画の開始や設定、Radeon Chill機能の設定、FreeSyncのオン/オフ、Frame Rate Target Control、そして色の設定が可能になる。

 これまで、これらの設定はゲームをいったん終了するなり、ウィンドウを切り替えたりするなりして、設定画面とゲーム画面を行き来しなければならなかったが、オーバーレイの形で設定できるため、その効果をすぐに確認できるようになったわけだ。

 AMD Linkは、Android/iOSデバイスに対応したモバイルアプリで、同じネットワーク内にあるRadeon PCと接続可能。現在のフレームレートやGPU使用率などをスマートフォンなどで確認可能なほか、ReLiveの録画開始/停止、そして録画またはスクリーンショットのギャラリーのサムネイル閲覧、各種SNSへのアップロードが可能になる。

 PCと接続していないときでも閲覧可能な「News Feed」も搭載し、AMDの各種製品のニュースや、さまざまなソーシャルネットワークアカウントのフィードが閲覧できるようになっている。

ゲーム中に呼び出せるRadeon Overlay
フレームレートやGPU使用率などをオーバーレイで監視可能
ReLiveの設定もオーバーレイで行なう
モバイルデバイス向けのAMD Link
PCと接続してGPU状態などを監視できる
ReLiveの録画開始/停止も行なえる
PCと接続していない場合でも、ニュースフィード機能は利用できる