やじうまミニレビュー
骨伝導イヤホンはどれくらい音漏れする?「OpenRun Pro」で比較してみた
2022年4月12日 06:31
骨伝導イヤホンが音漏れとは?
Shokzの骨伝導イヤホン「OpenRun Pro」のやじうまミニレビューに、ちょっと気になる一文を見つけた。
“骨伝導で気になる音漏れと振動だが、やはりOpenRun Proでも「ある」にはある。1m程度離れていてもある程度鳴っているのが分かる……”
骨伝導というのは、骨への振動で音を聞く仕組みだ。耳にある鼓膜で音を聞く普通のイヤホンとは違い、むしろ音漏れは少ないはずでは? と思った筆者は、これまで骨伝導イヤホンに興味はあったが使ったことはなかった。
それならば、と実際に「OpenRun Pro」を使って、ほかのイヤホンより音漏れがあるのかないのか調べてみることにした。比較対象は、インナーイヤー型のワイヤレスイヤホン「Google Pixel Buds」と、有線の耳掛けイヤホン「ATH-EQ500」。
騒音計での測定
計測方法は、すべてのイヤホンを実際に装着した状態で音楽をかけ、スマホを左耳の横1cmあたりに持ち、騒音計アプリで計測した。筆者の自宅での測定で生活音もあるため、騒音の絶対値は無視し、各計測データを相対的に比較する。
出力される音量はイヤホンによってまちまちなので、筆者の体感で大体同じくらいになるように調整した。ただ筆者は聴覚が敏感なようで、割と小さめの音量にしている。
ちなみに使用した音楽は、葉加瀬太郎氏プロデュースによる『交響詩「希望」第三楽章 ロード・オブ・ホープ』の冒頭約30秒。ゲーム「ファイナルファンタジーXII」のメインテーマ曲で、高音から低音までバランスよく使われているため、筆者はスピーカーの音質チェックの際のリファレンス音源の1つとして愛用している。
各測定データは画像の通り。
ほとんど誤差のようなデータになってしまったが、このデータ以外にも何度か繰り返し測定してみたところ、どのイヤホンも無音時に比べると音量が上がっているのは確認できた。ただその差は小さく、「Google Pixel Buds」が気持ち静かかな、という程度の違いしか見られない。
手で持って耳で聞く
次に音が鳴っているイヤホンを手で持ち、自分の耳で音が聞こえる具合を確かめた。実際に耳に装着している状態に近づけるため、イヤホンのスピーカーが手の平にくっつくような形にして持った。
この状態で音漏れが最も小さいと感じたのは、インナーイヤー型の「Google Pixel Buds」。次いで「OpenRun Pro」、そこからわずかな差で耳掛けイヤホンの「ATH-EQ500」という印象だ。
耳掛けイヤホンは音漏れが大きいのは確かだが、それに比べて「OpenRun Pro」の音漏れが大きいというわけではないようだ。そしてやはりインナーイヤー型の方が音漏れは少なく感じられる。ただ、どれも音量を大きくすればそれなりに漏れ聞こえては来る。
音量の上げ過ぎ?
このテストの中で、筆者が1つ気づいたことがある。一般的なイヤホンは大音量にするとうるさくて耐えられないが、「OpenRun Pro」は大音量にしてもあまり嫌な感じがしない。骨伝導だからなのか、耳をふさがないからなのか、理由は分からないが。
そのため「OpenRun Pro」を使う際は、音量を大きくしてしまいがちなのではないかと思う。音量を上げれば当然、音漏れは大きくなる。もし音漏れを気にする状況で使うのであれば、音量には気を配る方がいいだろう。
そもそも「OpenRun Pro」は運動をしながらの利用が想定されている製品だ。運動中は周辺の騒音も大きいだろうし、音漏れが聞こえるほど近くにずっと誰かがいるという状況も考えにくい。音漏れを気にする場面で使う方が間違っている、とも言える。
「骨伝導イヤホンって音漏れするの?」という問いの答えとしては、音量にさえ注意すれば、耳掛けイヤホンと比べて音漏れが大きいというほどでもない、といったところ。1m離れても聞こえるというのは、音量が相当大きいのではないかと思うし(筆者が小さすぎるという可能性も否定できないが)、ほかのイヤホンでもある程度は聞こえそうに思う。
とは言え、骨伝導イヤホンの音漏れが少ないわけでもない。極力音漏れさせたくない場所ではインナーイヤー型やノイズキャンセリング搭載のものを使うのがいい。どうしても「OpenRun Pro」を使いまわしたいのであれば、適切に音量を絞って使うことをおすすめする。
テストで使ってみての感想など
おまけとして、筆者の「OpenRun Pro」に対する印象を付け加えておく。
- 思ったよりは音がいい
「Google Pixel Buds」と比べると音質はすべての面で劣る。1,000円台の「ATH-EQ500」と比べても、低音がかなり弱く、音の広がりが少ない。それでも音楽が破綻するほど変な音ではなく、特に人の声は想像以上に自然な音がする。外の音がちゃんと聞こえるのも利点。
- フィット感が抜群
インナーイヤー型は耳の穴の大きさの違いなどでしっくりフィットしにくいが、本機は耳にさっとかけるだけでいい感じにフィットする。動いてもずれる感じがなく、スポーツ向けをうたうのも分かる。
- マイク内蔵が助かる
つまりBluetoothヘッドセットとして使える。Web会議の際、インカム的にさっと付けて使えるので便利。
- インナーイヤー型と違い、長くつけていても耳が痛くならない
その代わりに側圧による圧迫感が気になる。筆者は眼鏡の側圧をゆるゆるで使うタイプなので、特別気になる方だと思う。一番楽なのは耳掛け型。
- 眼鏡の耳掛けと重なるのが少し気になる
眼鏡の形にもよるが、耳掛けが太いものほど干渉しやすい。音はちゃんと聞けている。
- 充電が楽
Bluetooth接続なので充電は必要だが、充電用のUSBケーブルにはマグネット式のコネクタがついており、くっつけるだけで充電できる。このケーブルでないと充電できない、という点ではデメリットだが。
- 音の遅延は0.1~0.2秒程度ある
普段遊んでいるゲームで使うと、音のズレが気になる。これは本機が悪いのではなく、Bluetoothの仕様だ。