Ubuntu日和

【第70回】「GMKtec NucBox G9」でNASを作る。まずはインストールされているUbuntuの確認と、必要な設定

前編は日本語環境にするところまで

 というわけで(?)、ミニPCをNASとして使いたいならコレ!M.2 4基で静音駆動の「GMKtec NucBox G9」【変態注意報】WindowsとLinuxのデュアルブート、M.2 SSD4基対応の”NAS用ミニPC”「GMKtec NucBox G9」をテストするで紹介の通り、今回はNucBox G9にインストールされているUbuntu 24.10をNASとして使用する方法を紹介する。しかし変態注意報って。

 注意点としては、今回は初手でWindows 11 ProがインストールされているSSDは取り外している。

不思議なUbuntu 24.10

 NucBox G9にインストールされているUbuntuのバージョンは24.10で、リリースされたのは2024年10月、サポート期限は2025年7月までとなる。4月の25.04リリース後は、アップグレードの案内が出てくるようになる。NucBox G9はかなり高い確率で4月以降も販売されるであろう。7月以降もそうかもしれない。となると、購入時点でOSのサポート切れ……という不可解な状況になり得る。

 その1つ前のバージョンである24.04 LTSは5年サポートなので、そういったことはなくなる。どうして24.10というバージョンを採用したのか不思議であった。

 当初はGMKtecのスタッフがUbuntuに関して無知なのが原因なのかと推測していたが、実機を手にしていろいろ調査していると、少なくともこのバージョンの選択は意図的だったことが分かった。というのも、インストールされたのが2024年10月5日で、24.10のリリース前、すなわち24.04 LTSが最新版だった時期である。

タイムゾーンはさておき、/var/log/installer/にあるファイルの日付から、10月5日前後にインストールしたものと思われる

 デフォルトのユーザーに関しても不思議な点だ。とはいえ、UbuntuではWindowsで言うところのOOBE(Out Of Box Experience)、初回起動時にユーザーアカウントの作成等ができないのは、GMKtecのスタッフに同情する点だ。第51回で少し紹介したが、従来Ubuntuのインストーラーではそのような機能が提供できるようなインストールモード(OEMインストール)があったが、24.04 LTS以降の新しいインストーラでは提供されていない。それで超簡単なデフォルトユーザーのパスワードが付与されるということが起こったのだろう。

 最終的に出荷イメージになった日付はおそらく2025年1月2日で、最後にVLCがインストールされている。

/var/log/apt/history.logによると、1月2日にgmkユーザーによってvlcパッケージがインストールされている、このあとは身に覚えがあるログに続く

 Drivers and Softwareで、NucBox G9のUbuntu用リカバリイメージが配布されている。ファイル名を見る限り作成されたのは2025年1月10日で、出荷イメージよりもあとのことになる。ということは、このインストールイメージから復元しても出荷イメージと同一にならないことが容易に予想できる。

 具体的にどのようなものなのか、リカバリイメージをダウンロードして仮想マシンで実行してみたところ、起動後問答無用でインストールが始まった。少し目を離した好きにインストールが始まり、ひどく困惑した。

 このリカバリイメージを使用する場合は、事前にすべてのSSDを取り外しておくことを強くおすすめする。

 勝手にインストールされたUbuntu 24.10を起動してみたところ、予想通り出荷イメージのものとは同一ではなかった。たとえば出荷イメージにはVLCがインストールされているが、リカバリイメージにはなかった。

強制的にインストールされたリカバリイメージには、VLCはインストールされていない

 換言すると、出荷イメージに復元する方法はないため、必要であれば(それがどのような状況なのかは予想できないが)使用前にバックアップを取っておく必要がある。特集で紹介されたClonezillaは、筆者からも推薦したい。

 というわけで、徹頭徹尾不思議なUbuntu 24.10が採用されている、というのが率直な感想だ。

 念のため、デフォルトのUbuntuのユーザーパスワードはマニュアルの冒頭に書かれている。また、Amazonの販売ページにある商品動画でも紹介されている。セキュリティとは……。

インストールされているUbuntuを日本語環境に変更する

 正直なところ、インストールされている24.10は削除して、先日リリースされた24.04.2 LTSあたりをインストールするほうがいいのではないか、と思わなくはない。その際もやはり接続されているSSDは外しておくのがいいだろう。

 ただ、せっかく珍しいUbuntuプリインストールPCなので、これを使たいという気持ちもある。筆者の中で両者が戦った結果、後者が勝った。

 インストールされている24.10は英語メニューであり、タイムゾーンもESTとなっている。これらをひとしきり修正したい。またユーザーアカウントを新規作成し、デフォルトのアカウントは削除したほうがセキュリティ的にもいい。なにせユーザー名とパスワードが誰でも知ることができる状態になっているのだから。

 設定項目が多くて手間がかかるので、新規にインストールしたほうが間違いなく楽ではある。しかし、過去に別の言語から日本語設定に変更する方法を解説したこともなかったので、これもいい機会だ。

言語サポート

 Ubuntuで言語関連の設定をする場合、最初に起動するのは「言語サポート」だ。英語メニューだと「Language Support」である。起動すると最初に表示されるダイアログは、「Remind Me Later」をクリックする。これから使用しなくなる言語関連パッケージをインストールする必要はない。

不完全なインストールでも構わないので「Remind Me Later」をクリックする

 Language Supportが起動するので、「Install Remove Languages」をクリックする。

Language Supportを起動する

 「Installed Languages」が起動するので、「Japanese」にチェックを入れて「Apply」をクリックする。

Japaneseにチェックを入れる

 「Language for menus and windows:」に「日本語」が追加されるので、これをドラッグ&ドロップで最上位に移動する。

「日本語」を移動する

 さらに「Apply System-Wide」をクリックする。

 「Regional Formats」タブに移動し、「Display numbers, …」から「日本語」を選択し、「Apply System-Wide」をクリックする。

Regional Formatsも日本語にする

 ここで一旦再起動する。

GNOMEの設定その1

 ログイン後、「標準フォルダーの名前を現在の言語に合わせて更新しますか?」というダイアログが表示されるが、「古い名前のままにする」がオススメではあるものの、どうせ使わなくなるユーザーの設定なのでどちらでも構わない。

フォルダー名の変更を勧められる

 次は「設定」にある項目を変更していく。「設定」-「システム」-「ユーザー」をクリックすると現在のユーザーの情報が表示される。「ロックの解除」をクリックしてパスワードを入力後、「Add User」をクリックする。

「設定」からユーザーを追加する

 登録したいユーザーの設定を入力し、「追加」をクリックする。「Administrator」を有効にするのを忘れないようにしよう。

ユーザーの追加メニュー

 追加メニューを閉じると、ユーザー登録できたことが分かる。「言語」が「日本語」になっていることを確認して、ユーザーの追加を終わりにしよう。

ユーザーの追加が完了したところ

 ユーザーの追加後、デフォルトのユーザーが削除できるようになる。

ユーザーの削除

 この段階で一度ログアウトして、作成したユーザーでログインしよう。

GNOMEの設定その2

 まだ設定するところがあるので、「設定」を起動する。そして「キーボード」を開く。日本語キーボードを使用している場合、「Add Input Source」をクリックし、「日本語」-「日本語」をクリックして「追加」をクリックする。そして「日本語」が上、「日本語(Mozc)」が下に来るようドラッグ&ドロップで移動する。

「入力ソース」がこのようになるよう設定する

 「システム」-「地域と言語」を開き、「日本語」「日本」になるように設定する。

地域と言語の設定もする

 「システム」-「日付と時刻」を開き、「タイムゾーン」をクリックする。すると「タイムゾーンの選択」が表示されるので「tokyo」と入力して「Tokyo 日本」が表示されたらクリックする。

日付と時刻の設定

 これにて完了だ。再起動したら完全に日本語になっているだろう。

後編へ続く

 NASを構築するという本編まで行くと長大な記事になってしまうため、一旦ここで区切って後編へ続く。