やじうまミニレビュー

ワークアウト機能が充実したスマートウォッチ「Xiaomi Watch S1/S1 Active」

やじうまミニレビューは、1つ持っておくと便利なPC周りのグッズや、ちょっとしたガジェットなど幅広いジャンルの製品を試して紹介するコーナーです。
「Xiaomi Watch S1」(左)と「Xiaomi Watch S1 Active」(右)

 「Xiaomi Watch S1」と「Xiaomi Watch S1 Active」は、Xiaomiが3月18日に発売した、同社スマートウォッチの最新フラッグシップモデル。見た目こそ腕時計に近いが、watchOSやwear OSといったスマートウォッチのOSとは異なる独自OSを搭載しており、スペック的には「スマートバンド」に分類される製品だ。

 2製品の違いは主にデザインで、S1は傷に強いサファイアクリスタルガラスやステンレススチールケースなどを採用して高級感を高めている。S1 Activeはフィットネス利用を想定したモデルで、メタルベゼルと軽量ストラップを採用する点が異なる。

 機能面ではS1が無接点充電に対応しているが、それ以外の機能はほぼ同一。価格はS1は3万2,900円、S1 Activeは2万2,980円と、3,000円の差がある。

S1(左)は無接点充電のため充電端子がない

 S1、S1 Activeともに基本スペックはほぼ同等のため、本稿では両製品を「S1」と記していく。

大きく視認性の高いディスプレイ。防水やGPSなど機能は充実

 ディスプレイ部は1.43型466×466ドットで画素密度は326ppiと、大型で高画素密度のディスプレイを搭載。実測した直径は44mmで、円形と四角形という違いはあるものの、「Apple Watch Series 7」の45mmとほぼ同じ数値だ。画面が大きく輝度が高いため、屋外でも視認性は高い。

1.43型の大型OLEDディスプレイを搭載

 本体は50mの防水等級を備えており、スイミングでの着用も可能。センサーは心拍数センサー(血中酸素センサー付属)、加速度センサー、ジャイロスコープ、地磁気センサー、大気センサー、環境光センサーを搭載し、これらセンサーを活用して117種類ものワークアウトモードをサポートする。

 通信面ではIEEE 802.11b/g/n、Bluetooth 5.2をサポートし、GPS/BeiDou/GLONASS/Galileo/QZSSという主要な衛星測位システムに対応したデュアルバンドGNSSチップを搭載。ワークアウト時の移動ルートを地図上に記録できる。

 なお、S1はNFC決済機能も搭載しているが、日本国内の銀行を経由した取引には対応していないため、現状ではS1を使った支払いは利用できない。

 バッテリ容量は470mAhで、バッテリ駆動時間は通常使用モードで12日、省電力モードで24日を公称する。対応するスマートフォンOSはAndroid 6.0以降またはiOS 10.0以降。

初期設定は簡単。スワイプや本体ボタンで各種機能を呼び出し

 初期設定および利用には専用アプリ「Mi Fitness」が必要。画面の指示に従って操作するだけで初期設定は簡単に終了する。

専用アプリ「Mi Fitness」

 本体のディスプレイには上下左右に機能が割り当てられており、下にスワイプで新着情報、上にスワイプで各種機能のショートカット、左右スワイプでウィジェットが利用できる。本体右側のボタンは機能が固定されており、上ボタンは機能一覧、下ボタンはワークアウト一覧が呼び出せる。

本体右側の上部と下部にボタン
上ボタンでアプリ一覧
下ボタンでワークアウト一覧
下からスワイプで機能のショートカット一覧
横スワイプでウィジェット
同梱の充電ケーブル

 時計のデザインは初期設定で6種類ほど用意されているほか、オンラインでデザインを追加することも可能。アナログ的なデザインのものから多機能なデジタルデザインなど多数のデザインが取り揃えられている。

バンドデザインをカスタマイズ可能

球技や水泳も対応する充実のワークアウトモード

 S1の主要機能であるワークアウトモードは非常に充実。117種類というワークアウトモードは、歩く、走るといった基本的な運動だけでなく、バスケットボールやテニスなどの球技、スイミングや縄跳びといった運動にも対応。バスケットボールはショット数、テニスはストローク数、縄跳びは跳んだ回数など、運動ごとに細かく記録が可能だ。

テニスはストローク数も記録
オプションで格闘技も追加できる

 ワークアウトは前述の通り本体ボタンで呼び出せるほか、一定時間の運動を検知すると自動的にワークアウトをスタートする機能も搭載。ウォーキング中は動きが止まるとワークアウトの計測も自動で一時停止するなど、意識せず使えるのが便利だ。

ワークアウトの自動スタートや自動一時停止機能

 GPSなどの衛星測位システムを内蔵しているため、ウォーキングのルートは地図上に記録されるのも便利。移動ルートの精度も高く、移動中のスピードもカラーで色分けされて認識できるので後からの振り返ることもできる。

GPS機能で精度の高いルートを記録できる

 水泳の際は計測時に画面を自動ロックしてタッチディスプレイでの誤操作を防止。計測の終了は本体ボタンから行なえる。また、水泳利用時のために排水機能がついているのも面白い。

プールの測定機能
水の排出機能

睡眠時間や心拍数など健康管理機能も充実。電話の発着信機能も

 運動以外の健康管理面では、睡眠時間や心拍数、血中酸素の計測に加えて、取得したデータを利用した消費カロリーやストレスの分析も可能だ。

睡眠の測定機能
心拍の測定機能
血中酸素の測定機能

 スタンディングのアラート機能も搭載し、1時間以上座りっぱなしの状態が続くとS1が振動して通知、立ち上がりを促してくれる。

スタンディングの管理画面

 マイクとスピーカーを搭載しており、S1で電話することも可能。ダイヤル機能がないため任意の番号に発信することはできないが、着信履歴から発信することは可能だ。なお、音声通話で利用できるのは電話のみで、FacebookやLINEなどの音声通話機能は利用できない。

着信履歴から発信できる

 音質は良好で、静かな室内であれば違和感のない音声通話が可能。ただし屋外など音のうるさい場所では声が聞こえないことに加えて、相手の声が他の人にも聞こえてしまうので使いどころが難しい。基本的には屋内など自分だけで電話できる場所での利用が便利そうだ。

Alexaの実装は現時点では不完全。音声認識精度は良好

 Alexa機能については、現時点ではAndroidのみ対応(iPhoneは4月中旬のアプリのアップデートで対応)なほか、ログインには日本のamazon.co.jpではなく米国のamazon.comのアカウントが必要だった(日本アカウントは4月末対応予定)。このためEchoなどのスマートスピーカーをAmazon.co.jpのアカウントで設定している場合は、S1から操作することはできない。

Alexaのログインは米国のAmazon.comのアカウントが必要だった

 呼び出しは「Alexa」では起動できず、ディスプレイからアプリを選択すると「聞いています」という表示と共に音声の待機状態になる。音声認識の精度は良好で、音声を認識すると即座に回答が表示される。

日本語での表示は可能
画面からAlexaアプリを選択して発声
Alexaで天気予報を表示したところ

 現時点では米国Amazon連携のため、日本のアカウントと連携した家電コントロールはできないものの、アラームやリマインダーといった機能なら十分に活用できそうだ。

1週間以上のロングバッテリ。スマホとの通知連動機能も

 バッテリはディスプレイが5秒で自動オフ、手首の動きを検知してディスプレイ表示をオンにした状態で睡眠時も常用したところ、1週間経ってもバッテリが10%近く残っていた。公称値の12日には少し物足りないが、1週間以上持つバッテリなら実用上は十分だろう。

 アプリの通知機能も搭載。AndroidとiOSで動作が異なり、iOSの場合は「メッセージ」、「メール」、「その他」というアプリ通知区分に対して、Androidはアプリ単位で細かく通知を選択できる。通知の履歴はAndroidの場合スマートフォンと連動しており、スマートフォンの通知を消去するとS1の通知も消えるのに対して、iOSの場合はスマートフォン側の通知を消してもS1の通知は残り、個別に消去が必要だ。

アプリの通知機能
iOSの通知機能
Androidの通知機能

 日常的な機能としてはアラームやストップウォッチといった時間管理機能や、スマートフォンのカメラのシャッターをS1から操作するリモートシャッター、S1からスマートフォンを探す機能、懐中電灯といった機能を搭載。いずれもスマートフォンにある機能だが、腕時計で使えると地味に便利な機能だ。バイブレーションも強く、音を出せない場所でアラームを設定したいというときにも便利だ。

アラーム機能
ミュージックプレーヤー機能

スマートウォッチとスマートバンドの中間的なバランスのいい製品

 大型ディスプレイや多彩なワークアウトモード、1週間以上駆動するバッテリなど充実した機能を搭載したS1。価格は3万円台と、Apple WatchやWear OSにも手が届く価格帯ではあるものの、Alexa対応や通知機能の履歴管理も搭載するなど、機能についてはフラッグシップならではの充実ぶりだ。

 スマートウォッチはバッテリが持たない、スマートバンドは機能が物足りないというユーザーにとっては、ちょうどその中間となるいいバランスの製品と感じた。また、ワークアウトがメイン利用のユーザーにも本製品はお勧めだろう。