やじうまミニレビュー

VAIO Zの「勝色仕様」を愛でてみた

やじうまミニレビューは、1つ持っておくと便利なPC周りのグッズや、ちょっとしたガジェットなど幅広いジャンルの製品を試して紹介するコーナーです。
VAIO「VAIO Z」(勝色特別仕様)。価格は35万5,080円から

 今回、VAIOから「勝色特別仕様」の「VAIO Z」を借用した。本製品は立体成型フルカーボンボディをコーポレートカラーの「勝色」で染め上げた特別モデル。Aパーツ(天面)、Bパーツ(キーボード面)、Cパーツ(底面)のすべてのフルカーボンパネルが勝色で輝くスペシャルな外観だ。

 通常カラーのモデルについては、すでにベンチマークなどを含めて以下の記事に掲載しているので、そちらをご覧いただきたい。ここでは、ひと味違った勝色特別仕様の外観や使い勝手を中心にしたフォトレビューをお届けする。

ソニーストアなら細かくカスタマイズが可能

 まずは基本スペックを手短に押さえておこう。OSはWindows 11 Home/Pro、CPUはCore i7-11390H、メモリは16GB/32GB、ストレージは256GB/512GB/1TB/2TB(PCIe 4.0 x4接続SSD)、ディスプレイはフルHD(1,920×1,080ドット)/4K(3,840×2,160ドット)が用意されている。またキーボード、TPMチップの有無、WWANの有無などもカスタマイズが可能だ。

 勝色特別仕様のVAIO Zは、勝色に染め上げられた化粧箱に収納されて届けられることになっており、同梱されるクリーニングクロスも当然勝色。この色のクリーニングクロスは単体販売されていない。大事に保管しておいて、クリーニングクロスは別途購入することをお勧めする。

勝色特別仕様のVAIO Zは、勝色に染め上げられた化粧箱に収納されている
筆者が一度開梱したあと、改めて収納したのでVAIOロゴ入りの梱包袋が波打ってしまった。実際にはピンッと張った状態で綺麗に収納されていると思われる
製品にはACアダプタ、クリーニングクロスが同梱される。貸出機のためか説明書や保証書は含まれていなかった
ACアダプタのサイズは実測60×45×28mm(幅×奥行き×高さ)、コード長は実測180cm。ACアダプタはさすがに勝色ではない
ACアダプタの型番は「VJ8PD65W」。仕様は入力100~240V/1.5A、出力5V/3A、9V/3A、15V/3A、20V/3.25A、容量は65W
クリーニングクロスはしっかりと勝色で染め上げられている

勝色特別仕様の魅力は「高級感」という言葉では語り尽くせない

 本体サイズは320.4×220.8×12.2~16.9mm(同)、重量は958~1,069g。今回は勝色特別仕様のレビューだが、マット地のブラック、カーボン繊維を見せるシグネチャーブラックの2色が用意されている点もお伝えしておこう。

 インターフェイスは厳選されており、Thunderbolt 4×2、HDMI、3.5mmヘッドセット端子のみとシンプルな構成だ。ただしWWANモデル(5G)はNano SIMカードスロットが追加される。使い勝手的にはUSB Type-Aが1つぐらいほしかったところだが、あくまでもシンプルさ、優美さを優先させたということなのだろう。

 さて、勝色特別仕様のVAIO Zを間近で見たときの印象だが、「高級感」という汎用的な言葉ではその魅力を語り尽くせない。気品、神聖さを感じさせるような「藍色」をヌメッと滑らかなクリア層が包み込み、触れてはいけないような存在感を漂わせている。

 勝色特別仕様のVAIO Zと同じ雰囲気を備えるノートPCはちょっと思いつかない。高級クラシックギターなどと同等の所有欲を感じられることは間違いない。

本体天面。勝色特別仕様のVAIO Zは、横方向のUDカーボン、縦方向のUDカーボン、樹脂、縦方向のUDカーボン、横方向のUDカーボン、勝色透過塗料、UVコーティング(透明)の合計7層を重ねることで高い剛性を確保し、美しさを実現している
本体底面も勝色だが、剛性を高めるために増やされたと思われる15本のネジがちょっと魅力を損ねていると筆者は思う
ディスプレイ面の左右ベゼルは、立体成形により天面とつながっている
キーボード面。キーボードは日本語配列、日本語配列(かな文字なし)、日本語配列(隠し刻印、かな文字なし)、英字配列、英字配列(隠し刻印)の5種類を用意
WWANモデル(5G)にはNano SIMカードスロットが装備。
黄金色のオーナメントがアクセントとなり、勝色の美しさを引き立てている
本体前面
本体背面
右側面にはHDMI、Thunderbolt 4を用意
左側面にはセキュリティーロックスロット、Thunderbolt 4、3.5mmヘッドセット端子を配置

キーボードの打鍵感は良好で、打鍵音も低め

 ここからは使い勝手について触れていこう。まずキーボードだが、キーピッチは約19mm、キーストロークは約1.5mm。打鍵感は良好で、打鍵音も低めに抑えられている。

 また、VAIO Zにはリフトアップヒンジ機構が採用されており、ディスプレイを開くとキーボード面に角度が付き、パームレスト手前とテーブルの段差が小さくなる。VAIOはこの設計を「無限パームレスト」と呼んでいるが、確かに段差がほとんど気にならなくなり、快適に長時間タイピングできるようになる。後付けのソフトクッションのパームレストはVAIO Zには不要だ。

キーピッチは約19mm、キーストロークは約1.5mm
ディスプレイを開くとリフトアップヒンジ機構によりキーボード面に角度が付き、パームレストとテーブル面の段差が小さくなる
キーボードバックライトは白色LED。消灯までの時間は10秒/30秒/60秒のいずれかに設定できる

物理ボタン分離式のタッチパッドは手探りでも左右を間違えにくい

 タッチパッドはクリック感を重視して物理ボタン分離式を採用。この方式は手探りでも左右クリックを間違えにくいというメリットもある。

 伝統あるタッチパッドだが、昨今のノートPCではダイビングボード構造が主流で、物理的な駆動部分が存在しない感圧タッチ&触覚フィードバック型の採用例も増えてきている。そろそろポインティングデバイスが刷新されることを期待したいところだ。

物理ボタン分離式のタッチパッドはクリック感には優れるが、ボタンの分ジェスチャー操作のためのスペースが狭くなるというデメリットもある

シャットダウンから1回押しでサインインできる指紋認証センサー一体型電源ボタン

 勝色特別仕様のVAIO Zは、指紋認証センサーと顔認証センサーの両方を搭載しており、セキュリティーポリシーや状況に応じて使い分けられる。

 特筆すべきは指紋認証センサーの使い勝手。電源ボタンと一体化されているのはめずらしくないが、あらかじめ設定しておけば、シャットダウン時でも電源ボタンを押したさいに同時に指紋を読み取り、自動的にサインインしてくれる。電源オン時とサインイン時で2回押さなくて済むのは非常にお手軽だ。

ワンプッシュでシャットダウンからサインインできるので、こまめに電源を落とした運用が楽になる

 プライバシーシャッターはほかのノートPCでも採用例が増えているが、VAIO Zにも標準装備として搭載されている。セキュリティ的にも安心な装備だが、Web会議中にいったん映像をオフにしたいときにも手軽なスイッチとして役に立つ。一度使ったら手放せない装備だ。

プライバシーシャッタースイッチをスライドするとカメラの映像は物理的に遮断される。ただしマイクは有効のままなので「不用意な音」にはご注意!

勝色特別仕様のVAIO Zの美しさは色あせない

 VAIO Zはそろそろモデルチェンジが近づいてきている可能性があるが、勝色特別仕様の美しさは色あせることはない。また、第11世代のCore i7-11390HのパワーをVAIO独自技術「VAIO TruePerformance」により最大限に引き出しており、クリエイティブワークにも活用できる性能を備えている。

 勝色に魅力を感じているのであれば、いつ買っても後悔しない特別仕様モデルだと言えるだろう。