やじうまミニレビュー

12.9インチiPad Proやモバイルディスプレイをアームに固定できるアタッチメントを試してみた

やじうまミニレビューは、1つ持っておくと便利なPC周りのグッズや、ちょっとしたガジェットなど幅広いジャンルの製品を試して紹介するコーナーです。
本製品を使ってVESAマウント穴が本体にないモバイルディスプレイ(GeChic On-Lap M505E)をディスプレイアームに取り付けた状態

 モバイルディスプレイは、外出先に持ち出して使うだけではなく、小型の手軽なディスプレイとして自宅で使うケースも増えている。テレワークが広まった最近は、始めからそうした使い方をすることを前提に購入するユーザーも少なくないようだ。

 外出先に持ち出さず、デスク上に設置して使っている場合、ディスプレイアームに取り付けた方が便利なこともある。しかしモバイルディスプレイでディスプレイアームに装着できるVESAマウントに対応した製品はそうあるわけではない。

 こうしたVESAマウント非対応のモバイルディスプレイや、あるいは12.9インチiPad Proのような大型タブレットを、ディスプレイアームに取り付けられるアタッチメントを使えば、設置の幅もぐっと広がる。Suptekが販売している製品を実際に試してみたので紹介したい。

製品名は「無VESA穴アダプタ調節器」と記されている。型番は「WK002」。価格はAmazonで1,600円ほど
スチール製の4本のアームと、その先端に取り付けるストッパー、さらに交換用のネジ各種が付属する。取説は日本語表記

 本製品は、VESAマウントを拡張するためのアタッチメントだ。75mmもしくは100mmのVESAマウントの四隅にある穴にネジ止めすることで、正面から見て4本のアタッチメントがX字に開いた状態になる。

 この4本のアタッチメントの先端にはストッパーが取り付けられており、そこにモバイルディスプレイや大型タブレットを載せることにより、VESAマウントに対応していなくとも、ディスプレイアームへの取り付けが可能になるという仕組みだ。

まずはアタッチメントの先端にストッパーを取り付ける。ここのみプラスドライバーが必要
ストッパーを取り付けた状態の4本のアタッチメント。これをVESAマウントにネジ止めする
今回取り付けるエルゴトロン製のディスプレイアーム。VESAマウントは75mmと100mm、どちらにも対応する
付属の六角レンチを用い、VESAマウント金具の四隅にある75mmと100mmの穴それぞれにネジ止めすることで、45度の角度で固定される仕組みだ
正面から見た状態。同じ要領で四隅に計4本のアタッチメントを取り付けることで、X字の形状になる
実際にモバイルディスプレイを装着した状態。上2つのアタッチメントについて、2本のネジのうち1本を外し、横から挟むように角度を変更している
背面から見た状態。上2本のアタッチメントが水平になっているのが分かる

 仕組みが分かるとナルホドとなるこの製品だが、使い方にはちょっとしたコツが必要だ。というのもこの4本のアタッチメントは長さの調節機構がないため、X字の天地よりも背が低いモバイルディスプレイや大型タブレットを挟み込むためには、アタッチメント角度を変えて、きちんと保持できるよう調整してやる必要がある。

 そのためには、各アタッチメントを固定している2本のネジのうち1本を外すことになり、安定性は低くなる。できれば下2本のアタッチメントは固定しておき、上2本の角度を変えることで対応したいのだが、モバイルディスプレイや大型タブレットともなると本製品の対応範囲である13~27型の中ではかなり小さく、アタッチメントの間隔の方が広いこともしばしばなので、こうした角度調整が欠かせない。

 例えば今回試している15.6型のモバイルディスプレイの場合、上2本のアタッチメントを左右から挟んだ方が安定すると分かったのでそのようにしているが、これを上から保持するか横から保持するか、また下2本のアタッチメントも同様に角度を変えるかそのままにするか、個別に判断しなくてはいけないというわけだ。これがやや手間で、正解と呼べるものはないため、試行錯誤することになる。

アタッチメントは通常はネジ2本を使い、45度の角度になるよう固定されている
角度を調整するためには2本のうち1本のネジを外すことになるが、そうなると安定性は低下する
ネジ2本で固定した状態の間隔は約30cm。モバイルディスプレイやタブレットの幅がこれより狭い場合、下2本のアタッチメントの間隔を狭めるために、ネジを外さざるを得ない

 また厚みについても、3.34~9.17cmの範囲で対応するとされているが、これらはストッパーを支えているネジを、長さ違いの3種類から交換することで対応する仕組みになっている。長いネジを使った場合、表面が露出したままになるので、デバイスに傷がつかないよう、ユーザー側で何らかの対策が必要だ。

 一方で厚みがないタブレットを挟もうとすると、短いネジを使っていても厚みに余裕がありすぎて、ただ乗せているだけの状態になるなど、フィッテングの面では難がある。製品として販売できるよう最低限の体裁は整えているが、こうしたギミックの部分は、思いつきの域を出ていない印象だ。

通常のストッパー。接触面にはゴムのシートが貼られている
ネジを交換することでさらに厚みのあるディスプレイも挟み込めるが、ネジが露出したままになる。かなり大雑把な印象だ

 といった具合に改良の余地は大いにあるのだが、モバイルディスプレイや大型タブレットをがっしりと固定するという目的においては、非常に重宝する製品だ。ベッドサイドに取り付けるタブレットアームのように、10型を超えるタブレットを取り付けると重量に負けて角度が変わってしまうことがあるが、本製品はそもそもがディスプレイアームなので、そうした恐れもない。

 12.9インチiPad Proなど大型タブレットは、タブレットアームに挟み込むにはサイズが大きすぎて対応できないことも多い。これがモバイルディスプレイともなると、多くは13.3~15.6型なので、ますます不可能と言っていい。しかしこのアタッチメントとディスプレイアームを組み合わせれば、そうした問題も難なくクリアできる。

12.9インチiPad Proを取り付けた状態。保護ケースごと取り付けているのは、アタッチメントの間隔に対してボディのサイズが小さすぎるのと、厚みがあった方が安定するため
背面から見た状態。上2本のアタッチメントを水平よりも下に持ってくるのは本来は望ましくないが、アタッチメントを短くするギミックはないため、このような形にならざるを得ない

 以上のように、安価なタブレットアームと、本格的なディスプレイアームの間を埋めてくれるこの製品、実売価格も1,600円と、コスパも悪くない。ざっと調べた限り、近いコンセプトの製品はいくつかあるが、その多くは17型以上の対応で、モバイルディスプレイや大型タブレットの「13~15.6型」に対応する製品はほぼ皆無なので、そうした意味でも貴重な製品だ。

 今回はディスプレイアームとの組み合わせで紹介したが、ほかのVESAマウント対応製品、具体的には壁面取り付けのためのマウントや、卓上スタンドとの組み合わせも可能と考えられる。

 モバイルディスプレイや大型タブレットを宙に浮かせた状態で使いたいが、過去に試したどのソリューションもしっくりこなかったという人は、検討してみてはいかがだろうか。

最大で27型まで対応するので、モバイルディスプレイはもちろん、通常サイズのディスプレイを乗せることも可能だ