やじうまミニレビュー

ソフト/ハード非依存で環境音が消せる1万円の会議用スピーカーフォン「eMeet Luna」

やじうまミニレビューは、1つ持っておくと便利なPC周りのグッズや、ちょっとしたガジェットなど幅広いジャンルの製品を試して紹介するコーナーです。
eMeet Luna

 6月に入ってから緊急事態宣言は解除されたものの、未だ新型コロナウイルスの脅威は消えておらず、多くの企業でテレワークを継続している状態だと思う。そこでますます増えているのが、オンライン会議の需要ではないだろうか。

 実際、Zoomといった新興ビデオ会議ソリューションが大きく発展しただけでなく、既存のSkypeやGoogle Meet、Discordといったサービスも機能強化や改善が図られており、ビジネスにおいてこうしたオンライン会議のソリューションは今後ますます進化していくと見られる。

 その一方で、会議自体をより快適に行なうため、話者の声に集中できるようにし、環境ノイズを低減するソリューションも進化している。

 たとえばNVIDIAは、自身のGPUの演算能力とAIを駆使して、話者の声以外の環境ノイズを低減する「RTX Voice」といったソリューションを提供しているし、Discordも打鍵音などのノイズをAIで除去する機能を提供開始。企業向けでは、Microsoft Teamsが咀しゃく音を消す機能などを提供するといった具合だ。

 ただ、RTX Voiceは強力ではあるのだが、GPUにGeForce RTXを搭載していないPCでは実行できず、使えるユーザーは限られる。Discordは基本的にゲーマー向けプラットフォームであり、商用利用は認められていない。Teamsもそもそも企業が導入していなければどうしようもないのである。

 そこで購入検討したいのが、eMeetの会議用スピーカーフォン「Luna」だ。このスピーカーフォンはそれ自体にプロセッサが内蔵されていて、「VoiceIA」と呼ばれる独自のオーディオ処理技術によって、エアコンの音や椅子の引きずり音、キーボードの打鍵音といった周囲の騒音を抑制できる。これによって、会議中、自分の声に集中させられるわけだ。

 また、接続方法も充実しており、USB接続、3.5mmミニジャック、付属のUSBドングル、そしてBluetoothのいずれでも接続可能。そのため、使用する機器はソフトに依存しないノイズキャンセリングが可能で、スマートフォンでもノイズキャンセリング機能を享受できる。

製品パッケージ
付属品はシンプル。USB有線接続のほか、3.5mmミニ、USB無線ドングル、Bluetooth接続が可能
Luna本体
VoiceIAのオン/オフは切り替え可能

 USBと無線ドングルによる接続では、単なるUSBオーディオとして認識されるのでドライバも不要。VoiceIAのオン/オフは本体上のボタンで切り替えるだけで、ユーティリティによる複雑な設定も一切不要となっている。

 実際にVoiceIAをオンにしてみたところ、打鍵音やBGMなどがほぼ完全に消えることが確認できた。さすがに喋っている最中はそうした環境音が多少混じるので完璧とまでは行かないが、気にならないレベルにまで低減されている。無線で接続してみても遅延はほとんど感じられず、快適そのものであった。

 本体底面に3つの集音マイクが等間隔で並んでおり、360度どこからでも集音可能。実際に部屋のなかに置いて移動しながら喋ってみたが、音質が大きく変化することはなかった。ただ、声の遠近はどうしても出てしまう。もっとも、本機はバッテリ駆動で無線接続可能なので、気になるのであれば本体ごと移動させてしまえばいい。なお、バッテリでは最大15時間の利用が可能。充電はUSBケーブル(本体の端子はType-C)で行なえる。

本体底面。3つのマイクが並んでいるのがわかるだろう。また、USBドングルを収納可能
ドングル自体はひじょうに小さい

 スピーカーとしては、会議用ということもあり、中域がもっとも聞き取りやすい。高域と低域はさほど強くはないが、この大きさとしては十分すぎるレベルで、こだわりがなければ音楽もそれなりに楽しめる。少なくとも「Google Home Mini」クラスの音質を実現していると思ってもらえればよいだろう。

 唯一の弱点といえば、スピーカーであるゆえ、会議の内容が周囲に完全に漏れて聞こえる点だが、Windowsでは入出力するデバイスを分けられるので、マイクの機能だけ本製品にするといった使い分けで対応すると良い。

 このLunaは、5月末に日本のAmazonでも販売が開始されている。価格は10,999円だが、6月4日時点で10%オフクーポンがついており9,899円で購入可能となっており、汎用性の高さとコストパフォーマンスは良い。GeForce RTX非搭載のノートユーザーはもちろんのこと、スマートフォンで電話会議をしているユーザーにもオススメだ。