やじうまミニレビュー
サンコーの7万円の全自動麻雀卓をじっくりチェックしてきた
2018年5月22日 11:00
ユニークなオリジナルグッズを多数販売しているサンコー。本誌でもさまざまな製品を記事で紹介しているが、そのなかでも最近、とくに注目を集めたのが、5月14日に紹介した全自動麻雀卓「折り畳み式全自動麻雀卓28mm牌」だ。あまりの反響の大きさに、PC誌であるにもかかわらず取材を敢行。製品をじっくりチェックしてきたので紹介していこう。
本格的な全自動麻雀卓
まずは外観から。見た目は一般的な全自動麻雀卓とほとんど変わらない。正方形のテーブル型で、サイズは900×900×780mm(幅×奥行き×高さ)。直接比較したわけではないが、サイズ的にはほかの全自動麻雀卓とほぼ変わらないはずだ。
重量は約63kgと、見た目以上に重い。実際に持ち上げようとしてみたが、とてもじゃないが持ち上がりそうにない。それでも底面にキャスターがついているので、水平移動はそれほど難しくないはずだ。ちなみに、全自動麻雀卓としては特別重いわけではなく、この程度の重さが一般的だ。
本製品の特徴となるのが、テーブル部を折りたたんでコンパクトに収納できるという点だ。テーブル下部にはテーブルを固定するネジが2本あり、緩めるとテーブルを縦に回して折りたためる。折りたたむと、下部スタンドの幅(約52cm)に収納できるので、使わないときは部屋の隅に置くなどしてスペースの有効活用が可能だろう。折りたたむ場合には内部の牌はあらかじめ取り出しておく。
ちなみに、このテーブル部がかなり重いため上部に重さが隔たっており、勢いよく折りたたもうとすると下部のスタンドごと全体が倒れてしまう危険性がある。ゆっくり倒せば大丈夫だが、できれば2人で支えながら収納するようにしたほうが良さそうだ。また、折りたためるという構造のため、テーブルにもたれかかるなど、強い力をかけることは避けたほうが良さそうだ。
麻雀卓以外の付属品は、赤牌(五筒×4、五萬×2、五索×2)、花牌付きの麻雀牌が2セット、点棒、チップ、起家マーク2つ、やきとりマーク4つ、テーブル2セット、テーブルクロス、ブラシとなる。椅子は付属しないが、それ以外の必要なものはすべて揃っている。
ところで、製品は3個口で配送され、到着後は自分で卓を組み立てる必要がある。先ほど紹介したように重量は約63kgもあるため、1人での組み立ては不可能だ。マニュアルにも2人で組み立てるように指示があるが、必ず2人以上で組み立てるようにしたい。
日本式の全自動麻雀卓とは微妙に異なる部分あり
卓の上部は緑色の羅紗が敷き詰められていて、中央にサイコロと、サイコロを振ったり牌の入れ替えで押すボタンなどを配置したパネル、側面からやや内側に山がせり上がってくる溝があるというように、一般的な全自動麻雀卓とほとんど変わらない。
ただ、麻雀好きなら少々違和感があるはずだ。それは、中央のパネルが円形になっているという点だ。これは、この全自動麻雀卓が中国製で、基本的に中国式麻雀のプレイを想定したものだからだろう。
日本式の麻雀(いわゆるリーチ麻雀)では、プレーヤーそれぞれが捨て牌で河を作り、自分の河に捨てられている牌ではロンで和了できないというルールがある。そのため、日本製の全自動麻雀卓は中央パネルが正方形となっていて、そこに捨て牌を合わせることで綺麗に河が作れるようになっているものがほとんどだ。
一方、中国式麻雀では振聴(フリテン)がないため、捨て牌の河を作る必要がなく、中央のパネルが円形でもいい、というわけだ。だからといって、日本式の麻雀に対応できないというわけではなく、プレーヤーがきちんと河を作ればいいだけなので、それほど大きな問題はないだろう。
パネルには、中央にサイコロが2個あり、サイコロを振る4個のボタンのいずれかを押すとサイコロの床が回ってサイコロが振られる。また、牌を入れ替えるときに押すボタンが2個あり、そのボタンを押すと中央パネルが持ち上がり、なかに牌を入れられる。
このほか、内部での山積みの状況や連チャン数を示すインジケータなども用意される。ただし、リーチ棒を置く溝はない。また、パネル側面には東南西東の表示があるものの、時計回りに表記されているため、ちょっと紛らわしいかもしれない。
そして、山がせり上がる部分の溝もやたらと大きい。これは、中国で使われる大型の牌に対応しているからだろう。製品に付属する麻雀牌は、日本で一般的に利用されている28mmサイズのものだが、明らかに溝に対して小さい。と言っても、この点はプレイに支障がないので問題はない。
側面の中央には、点棒やチップを入れる開閉式のポケットがある。ただ、こちらも点棒を入れるかたちにはなっておらず、チップに対応したかたちの溝がつけられている。この点も妥協が必要そうだ。点数表示機能もない。このあたりは価格相応と言え、日本製の家庭向け全自動麻雀卓でも、点数表示機能のついている製品はまずないため、残念ということはないだろう。
音はかなり静かで、マンションなどでの利用も問題なさそう
仕様が中国式麻雀に準拠したものとはいっても、使い方は日本式の全自動麻雀卓と大きく変わらない。ボタンを押してパネルがせり上がったら、牌をなかに入れる。そしてもう一度ボタンを押すとパネルが下がって閉じるとともに、4カ所から山が出てくる。そして内部では、入れられた牌の洗牌と山積みが行なわれることになる。
パネルを閉じるボタンを押して、内部での山積みが完了するまでの時間を計ってみたところ、1分~1分20秒ほどかかった。それほど早くはないが、その程度の短時間で1局が終わることはほとんどないため、問題はない。
洗牌中の騒音は、さすが静音仕様ということもあってかなり静かだ。実際に騒音計で計測してみたところ、洗牌中の音は60dBA前後で、感覚的には洗濯機よりも断然静かといった感じだ。なかに牌を入れるときには90dBAほどの音がする。そこさえ気を付ければ、マンションで夜プレイする場合でも問題なさそうだ(もちろん、牌の強打などは別)。
なお、本当は動画でどの程度の音かするか紹介したかったのだが、撮影者であるPC Watch編集長が音声オフで撮影するというチョンボをしてしまったため、動画は無音での紹介となる。編集長には8,000点の罰符を支払ってもらうことにする。
また、洗牌がしっかり行なわれるかどうか確認するため、牌を種類ごとに分けて4方向から静かに内部に落としてチェックしてみた。出てきた山をチェックしてみると、牌の種類が偏ることなく、まんべんなく混ぜられ積まれていた。そのため、洗牌についても心配無用だろう。
内部を見ると、外に向かって傾斜のついたターンテーブルで牌が洗牌され、山を積む溝に牌が磁石で送られ山が積まれていく様子が確認できた。ターンテーブルには吸音材のような柔らかい素材が貼られているため、静かに洗牌できるようだ。
ところで、この全自動麻雀卓では、全部で39のゲームモードが用意されているという。中国式麻雀や日本式麻雀はもちろん、3人麻雀やそのほかの独自ルールにも対応可能。モードの切り替えは、テーブル底面にあるスイッチで数字を変えることで行なう。実際に3人麻雀モードも試してみたが、萬子の2~8までの28牌を抜いた108牌で、18×2の山が3山積まれることを問題なく確認した。
本格的な仕様を考えると破格の安さ
細かい部分を見ると気になる部分がいくつかあるが、全体的には十分本格的な仕様となっていて、家庭用として十分に納得できるものと言える。そして、なんと言ってもうれしいのが69,800円という価格だ。日本製の全自動麻雀卓は、安価なものでも10万円を切る製品はなく、10万円以下で買おうとしたら中古品ぐらいしか選択肢がない。しかしこれは、新品で7万円を切る安さだ。はっきり言って破格の安さと言ってもいいだろう。
なお、本製品発売直後にすでに売り切れてしまっている。今後も継続販売されるものの、中国からの船便となるため、入荷までにはやや時間がかかりそうとのことだが、初回の販売で終了ということはないそうなので、今回手に入れられなかった人もがっかりする必要はなさそうだ。
それにしても、なぜPC Watchで全自動麻雀卓の記事をこんな長文で書いているのか、自分でも意味がわからなくなっているが、気にしないでおくことにする。