Windows 8ユーザーズ・ワークベンチ
スタートボタンはスタートメニューを呼び出さない
(2013/6/5 00:00)
MicrosoftがWindows 8.1の概要を、ほんの少しだけ公開した。ずっとウワサのあったスタートボタンの復活を含め、多くの変更が加えられるようだ。今回は、Windowsにおけるスタートメニューの存在について見ていくことにしよう。
ここが違うスタートメニューとスタートスクリーン
Microsoftによれば、Windowsの次期バージョンであるWindows 8.1は、6月26日に公開されプレビューが開始されるという。ちょうど、米国で開発者向けのカンファレンス“Microsoft Build”が開催されるタイミングで、その初日に相当する。おそらくはストアでの配布によるものと思われるが、きっと基調講演で詳しい説明があって、同時に公開されることになるのだろう。
今回、アナウンスされた変更点はたくさんあるが、中でも注目はスタートボタンの復活だ。復活といっても、以前のWindowsにあったスタートメニューを表示するためのスタートボタンと同じように機能するものではなさそうだ。ちなみに、現行のWindows 8では、スクリーンの左下にマウスポインタを重ねると、スタートスクリーンのサムネールがボタンとしてポップアップして、それをクリックすることで、スタートスクリーンが表示される。今回のボタン復活は、実際にはこのボタンが常時表示されるようになるだけのようだ。考えようによっては、タスクバーの領域がボタンの幅だけ無駄になるともいえる。
Windows 8でスタートスクリーンを表示させるための、もっとも一般的な方法は、スクリーン右側からのスワイプインによるチャーム表示でスタートをタップする方法だ。また、キーボード上、あるいはタッチ対応の比較的新しいPCやタブレットなら物理ボタンとして装備されたWindowsボタンを押すという方法もある。もし、キーボードにWindowsキーがない場合は、Ctrl+Escという手もある。
どちらかといえば、それらの方法の方がわかりやすく、スクリーン左下にポインタを重ねてボタンをポップアップさせる方法は、ちょっとした隠し機能に近い存在であるともいえる。8.1になることで、この普段は隠れているWindowsボタンが常時表示されるようになるというわけだ。つまり、スタートメニューへのショートカットではない。だから、正確にはスタートボタンの復活ではなく、Windowsキーの常時表示といった方がいい。
スタートスクリーンのカスタマイズでWindowsを使いやすく
いずれにしても、これらの方法によって表示されるのはスタートスクリーンだ。もう、スタートメニューに未練がましくこだわっていてはいけない。Windowsを使いやすくしておきたいなら、このスタートスクリーンを思いっきりカスタマイズしておくことをおすすめする。スタートスクリーンの概要については、以前もこの連載で紹介しているので、併せて参考にしてほしい。
まず、スタートスクリーンにはインストールされているアプリがタイルとして表示される。タイルのサイズは大と小の2種類があり、一部のアプリはライブタイルとして、常に最新情報がタイル上に表示される。メールやメッセージの到着数、新しく登録された写真、最新のニュースなどがタイルに表示されるのだ。
タイルはいくつかのグループに分かれている。左から主な標準アプリ、その他の標準アプリ、メーカー製PCのプリインアプリ、ユーザーがインストールしたアプリという順番だ。このうち、プリインアプリやユーザーアプリは個人用と全てのユーザー用とに分類されるようだ。
タイルとして表示されるアプリは、新しいUIのアプリとデスクトップアプリの区別はなく、全てが一様のタイルだ。といっても、レガシーなデスクトップアプリは、タイル用のグラフィックスリソースを持っていないため、タイルの中に大きめのアイコンが表示されるだけだ。
また、スタートスクリーンには、インストールされている全てのアプリが表示されるわけではない。いわばインストール済みアプリのダイジェストに過ぎない。探しているアプリがそこにない場合は、スタートスクリーンを右クリックするか、スクリーン下部からのスワイプインでメニューを表示させ、そこから「すべてのアプリ」ボタンをタップするか、キーボードでCtrl+Tabを叩く。これで表示されるのが、かつてのスタートメニューにあった「すべてのアプリ」のフルスクリーン版だ。
個々のプログラムはフォルダごとに分類されている。それぞれのアイコンを右クリックすると、アプリケーションメニューが表示され、
- スタート画面にピン留めする
- アンインストール
- 新しいウィンドウを開く
- 管理者として実行
- ファイルの場所を開く
というアクションを実行できる。このメニューが出るのはデスクトップアプリの場合で、ストアアプリの場合は、
- スタート画面からピン留めを外す
- アンインストール
といったものになる。
これらのアプリの中から、自分が必要とするものだけをスタートスクリーンに表示させるようにしておくだけで、ずいぶん使いやすくなるはずだ。また、スタートスクリーンに表示されているアプリタイルのうち、まず使わないものはピン留めを外し、使うにしてもめったに使わないものについては最右端に押しやっておくといい。
ピン留めするアプリは自分で決める
「すべてのプログラム」にある項目をスタートスクリーンに表示させるには、アプリケーションメニューからスタート画面にピン留めする。ピン留めされるタイルの位置は、とりあえずスタートスクリーンの最右端になる。この作業を繰り返して必要なアプリを全てピン留めしてしまおう。
ピン留めの指定が終わったら、スタートスクリーンに戻り、今度はいらないアプリのピン留めを外していく。
スタートスクリーンでは、アプリグループ内でタイルをドラッグすることで位置関係は自由に変えられる。また、いったんスクリーン下部にタイルドラッグしてホールドすると、スタートスクリーン全体が縮小表示され、別のグループにタイルを移動することができる。
スクリーン全体の縮小表示の際にはモードが変わり、スタートスクリーンそのもののカスタマイズができるようになる。縮小表示に移行するには、タッチ対応ならピンチ操作、キーボードならCtrl+-を叩けばいい。
この状態では、個々のタイルの操作ができなくなり、グループ単位での編集ができるようになる。例えば、グループごと位置関係を入れ替えたりといったことが可能になるのだ。
さらに、グループには名前がついているものとついていないものがある。個々のグループを右クリックするとアプリケーションメニューが表示され「グループ名をつける」を実行すれば、グループごとに任意の名前をつけることができる。先にめったに使わないアプリを右端に追いやると書いたが、そのグループに「めったに使わない」というグループ名をつけることができるというわけだ。
なお、スタートスクリーン内でのタイルは階層化することはできない。いわばグループは2番目の階層であり、それが横方向に並列に並んでいるに過ぎない。
さよならスタートメニュー
スタートスクリーンの「すべてのアプリ」は、2つのフォルダをおおむね統合したものだ。それが、“C:\ProgramData\Microsoft\Windows\Start Menu\Programs - すべてのユーザー用”と“C:\Users\ユーザー名\AppData\Roaming\Microsoft\Windows\Start Menu - 個人用”である。おおむね、というのは、完全にこのフォルダの内容を反映したものではなく、そこに任意のフォルダ構造を構築したとしても、その内容は反映されず、階層下から個々の項目が集められて強制的に1階層にまとめられた表示となる。また、任意のショートカットをこれらのフォルダ内に作成したとしてもスタートスクリーンの全てのアプリには反映されない。
その一方で、デスクトップのエクスプローラなどで、任意のプログラムやそのショートカットを右クリックし、ショートカットメニューから「スタートにピン留め」を実行すると、そのショートカットが個人用のプログラムフォルダに出現し、全てのプログラム直下にも表示されるようになる。
このように、Windows 8のプログラムフォルダは、なんらかの制御が働いていて、ユーザーが自在にフォルダ構造をいじれないようになっている。以前のスタートメニューのように、比較的小さな領域で表示される場合は階層構造はわかりやすかったかもしれないが、フルスクリーンでの表示では、多くの項目を一度に見渡すことができるので、深い階層構造は必要ないという判断なのかもしれない。いずれにしても、懐かしいスタートメニューと再会できるということは8.1になってもなさそうだ。