Windows 10ユーザーズ・ワークベンチ
新しいブラウザ「Edge」に慣れる
(2015/9/24 12:20)
次第に全容が見えてきたWindows 10。最新ビルドではスタートメニューのタイル表示に改良が加えられたほか、標準アプリのいくつかに手が入っている。どんどん進化していること、そして、その姿勢がよく分かる。
今回は、それらの進化のエッセンスともいえる新ブラウザEdgeと、Windows 10のインターネット接続についてのポカミスについて見ていくことにしよう。
表示が小気味よい新ブラウザ
変わり続けることを宣言し、その通りに次々とビルドを重ねるWindows 10。一般公開された7月29日時点のビルドは10240で、一般ユーザー向けには1カ月以上が過ぎた9月時点でもそのままだが、Windows Insider Programに登録し、Fastリングに設定しているユーザーには、最新ビルドとして9月のシルバーウィーク初日に10547が配布されている。これまでのビルドでは大きな問題が起こっていないところを見ると、そろそろ一般ユーザーのもとにも新しいビルドを届ける準備が進んでいるのかもしれない。
さて、新ブラウザEdgeだが、デフォルトでタスクバーにピン留めされ、これまでの標準ブラウザであったInternet Explorer(IE)と置き換わっている。アイコンのデザインが、さほど変わらないので違和感もない。
起動のスピードは申し分ない。IEは今まで何をやっていたのかというイメージだ。タイトルバーは表示されず、タブバーをつかんでドラッグして移動したり、ダブルクリックで最大化するなどタイトルバーとしても機能する。
タブバーの下にはツールバーがあって、左から「戻る」、「進む」、「更新」ボタンが並ぶ。また、「ハブ」、「Webノートの作成」、「共有」、「他の操作」ボタンがある。最初に表示されるのは開始タブで、別のページに遷移すると「アドレスバー」、「読み取りビュー」、「お気に入りへの追加」ボタンが追加表示される。
Windows 8.1以前からアップグレードした場合も、IEのお気に入りは自動的には引き継がれない。その他ボタンから設定を呼び出し、コマンドリンク「別のブラウザーからお気に入りをインポートする」をクリックすることで、過去のお気に入りを引き継ぐことができる。
こうして今までと同様にお気に入りが使えるようになるのだが、IEでは複数のデバイス間で同期されていたお気に入りも同期されないようだ。
アドレスバーにはアドレスを入力できるのはもちろん、任意のキーワードを入力して検索ができる。デフォルトではBingの検索結果一覧が開くが、ここは任意の検索エンジンを検索プロバイダーとして設定することができる。
例えば、Googleをデフォルトの検索エンジンにしたい場合は、いったんGoogleの検索トップページを開いたうえで、その他-設定-詳細設定を表示し「アドレスバーでの検索時に使う検索プロバイダー」の<新規追加>で追加することで、以降はGoogleを使った検索結果が得られるようになる。
全般的な使い勝手について、一般的なブラウザ利用において困ることはそう多くない。それでもプラグインが皆無なのであちこちで使い勝手に影響が出てくる。
まず、開いたページのテキストで文字列を選択した状態で、それを右クリックしたときのショートカットメニューに用意されているのは「すべて検索」、「コピー」、「要素の検査」だけだ。ここに「Googleで検索する」、「Bing検索」、「Googleで翻訳」といった項目は用意されていない。
またリンクを右クリックしたときにも「新しいタブで開く」、「新しいウィンドウで開く」、「リンクのコピー」だけで、明示的に画像やファイルなど対象を保存したりといったことができない。
組み込まれたリーディングリスト
開いたページが分析され、可能であればアドレスバー右端の「読み取りビュー」ボタンが有効になる。例えば、この連載のページなどは読み取りビューが可能だ。このボタンをクリックすると、左、中央、右の3ペインが使われているこのページは、中央の1ペインのみが抽出され、まさに読み取りのための表示になる。
さらに、特定のページを見ているときに、このページはあとで読もうと思ったときには、☆ボタンをクリックする。いわゆる後で読む系の機能がビルトインされている。このボタンをクリックすることで、そのページをお気に入りとして、または、リーディングリストに追加できる。お気に入りは説明するまでもないが、リーディングリストはWindows 8.1まではストアアプリとして「リーディングリスト」が使われていたが、Edgeでは組み込みのものに変更されている。
Edgeのリーディングリストは、同じMicrosoftアカウントでサインインしている環境であれば、同期されてどのデバイスからでも参照できるはずなのだが、手元の環境では、先のお気に入りと同様に、リーディングリストも同期されていない。この部分にはもう少し追試が必要だ。
こうして保存しておいたお気に入りやリーディングリストは「ハブ」ボタンをクリックして呼び出す。ハブには「お気に入り」、「リーディングリスト」、「履歴」、「ダウンロード」がまとめられていて自在に過去に保存した情報にアクセスすることができる。
調べたあとにメモまでできる
さて、ブラウザを生産の道具に使うという触れ込みで華麗な登場を遂げたWebノートの作成機能を紹介しておこう。
ボタンをクリックすると、ツールバーがWebノート用のセットに切り替わる。左端からペン、蛍光ペン、消しゴム、コメントの追加、クリップのボタンが並んでいる。ペンや蛍光ペンについては説明は不要だろう。サイズや色を選んでページ上に落書きを書き込める。消しゴムはペンや蛍光ペンで記入した図形のワンストロークごとを一度にクリアする方式だ。コメントはページ上のクリックした位置に吹き出しを作成し、文字列を書き込むことができる。またクリップでは、ページ内の領域を矩形で囲み、その内側部分をクリップボードにコピーする。
これらのツールを使ってページに対する書き込み等の作業が終わったところで、その結果は保存ボタンで保存する。保存先としては、OneNote、お気に入り、リーディングリストを選択することができる。
ファイルは手元の環境ではユーザーフォルダ下のAppData\Local\Packages\Microsoft.MicrosoftEdge_8wekyb3d8bbwe\AC\#!001\MicrosoftEdge\User\Default\WebNotesにHTMLファイルとして保存されていた。
保存した内容はあとで追記したり、特定の項目を削除するといった編集をすることはできない。まさに一発勝負というか魚拓だ。また、OneNoteに送った場合は全体が図として貼り付けられ、ページ内のリンクなどにもアクセス不可能だ。
保存するのではなく「共有」で各対応アプリに送ることもできる。例えばメールを共有先に選択した場合は、書き込み後のページイメージがJPEGファイルとして添付される。スクロールしなければならないような長いページも1枚の画像にまとめられるのでこれはこれで便利そうだ。
いずれにしても鳴り物入りで登場したWebノート機能ではあるが、まだ、中途半端感は否めない。あまり機能的に高度なものにしてしまうと、かえって煩雑になって使われなくなってしまうのだろうし、共有で受け取った側の環境を選ばないという点では、このくらいシンプルな方がいいという考え方もある。これらについてはこの先の様子を見ていくことにしたい。
IEはどうなったかというと、互換性のためにどの環境にも残されている。スタートメニューからすべてのプログラムを開けば見つかるはずだ。
Edgeを使っているときに、表示やWebアプリの振る舞いがどうもおかしいと思ったら、その他メニューから「Internet Explorerで開く」を実行すれば、IEが同じページを開く。Edgeではタスクバーへのサイトのピン留めができなくなっているので、ピン留めが必要な場合には、いったんIEで開き、アドレスバーの先頭のアイコンをタスクバーにドラッグ&ドロップすればいい。こうしてピン留めしたサイトを開こうとするとそれを開いてくれる。ただし開くのはIEだ。