笠原一輝のユビキタス情報局

画面占有率91.5%の16:10画面がすばらしい「XPS 13」を仕事用に導入してみた

Dell XPS 13(モデル9300)の「プラチナシルバー&ブラック」カラー

 ノートPCは筆者にとってデジタルライフを送る上で必要不可欠なものであり、こうした記事の原稿を書くために必要なビジネス上のパートナーでもある。このため、自分のメインマシンに何を選ぶかは人一倍考えて選んでいるつもりだ。もちろん失敗するときもあれば、生産性を向上するという筆者の目的を達成することもある。

 筆者は最近メインで利用しているノートPCを、デルが今年(2020年)1月のCESで発表した「XPS 13(モデル9300」に新調した。新しいXPS 13はディスプレイのアスペクト比が16:10で、UHD+(3,820×2,400ドット)の13.4型ディスプレイを搭載しており、より高精細で、かつ縦方向が4Kよりも広く使えるという特徴を備えている。

 このXPS 13を約3カ月にわたって使ってみたので、その使用感をレポートしていきたい。

画面占有率91.5%に心を奪われた……

COMPUTEX 2019で発表されたXPS 13 2-in-1(モデル7390)、16:10のアスペクト比のUHD+(3,840×2,400ドット)のディスプレイを備える

 はじまりは、昨年(2019年)のCOMPUTEXだった。筆者の目は「XPS 13 2-in-1(モデル7390)」に釘付けになっていた。そのときの詳細なレポートに関しては以前の記事(2in1としてさらに磨きがかかったDell「XPS 13 2-in-1」)をご参照いただきたい。

 XPS 13 2-in-1は、CPUに10nm版の第10世代Coreプロセッサ(開発コードネーム : Ice Lake)を搭載し、13.4型の画面サイズ、16:10のアスペクト比、最大UHD+(3,840×2,400)の画面サイズ採用した狭額縁ディスプレイになっていることが、すばらしいと感じたからだ。

 しかし、詳細にスペックを検討していくと、1つの問題に突き当たった。それはストレージが基板に直づけという点だ。

 これまでノートPCを使用してきて、ストレージが壊れてしまったことは3回ある。そのうち1回は、わりと直近で昨年なのだが、出張中のホテルでいきなりSSDが壊れてしまうというトラブルに見舞われた。

 そのときにはスーツケースにスペアとして入れていたSSDを引っ張り出し、ホテルの自室で交換して、USBメモリにバックアップしてあった回復ディスクから起動してOSをリカバリ。その後、OfficeアプリやAdobe Creative Cloudなどの必須ツールをインターネットからダウンロードして数時間で復旧することができた。

 一応バックアップマシンとして、出張時にはWindowsタブレットPCを持ち歩いているが、それでもメインマシンを使えるに越したことはない。そうした経験を経て、メインとなるノートPCは、いざとなったら自分でストレージが交換できるものを選ぶようにしている。

 じつは過去にはストレージを交換できないPCを使っていたこともある。たとえば、2017年頃に使っていたSurface Bookはその代表で、ストレージ故障時に交換してもらったが、日本マイクロソフトの対応はわりと早く、代替の在庫があったため数日で帰ってきた。

 ただ、日本マイクロソフトのWebサイトでは「発送から3~12営業日」となっており、その期間はバックアップPCなどでしのぐ必要があるし、出張時にはどうしようもない。

CESで発表されたXPS 13(モデル9300)

 このため、XPS 13 2-in-1の導入は正直迷っていたのだが、1月に発表された「XPS 13」を見た筆者は、今度は目だけでなくハートも奪われた。このXPS 13は、XPS 13 2-in-1と同じように13.4型でアスペクト比16:10で、画面占有率91.5%の狭額縁UHD+ディスプレイを搭載可能としているだけでなく、ストレージがM.2のかたちで実装されていたからだ。

 「これだ」と感じた筆者は、日本で新しいXPS 13が発売されたら必ず購入しようとその時点で心に決めていた。

Core i7-1065G7、16GB、UHD+のモデルを選択し、保険とオンサイトサービスをつけた

XPS 13(モデル9300)のAカバー、素材はアルミニウムで狭額縁のディスプレイ

 今回筆者が購入したXPS 13のスペックは以下のようになっている。

【表1】XPS 13(モデル9300)のスペック
製品名XPS 13(9300)
CPU第10世代Core i7-1065G7/i5-1035G1/i3-1005G1
GPUIntel Iris Plus/UHD
メモリ4~32GB(LPDDR4/4x-3733)
ストレージ最大2TB(PCIe x4)
ディスプレイ13.4型UHD+/FHD+(16:10)
タッチ/ペンUHD+はタッチ/FHDはタッチ、ノンタッチ(ペン未対応)
カメラ(Windows Hello対応有無)HD(対応)
USB Type-A-
USB Type-C(USB 3.1または3.0)-
USB Type-C(TB3)2
HDMI-
カードリーダmicroSD
イーサネット-
オーディオオーディオ/マイクコンボ(3.5mm/3ピン)
そのほかポート-
Wi-FiIEEE 802.11ax(Wi-Fi 6)
BluetoothBluetooth 5
WAN-
指紋認証電源ボタンに内蔵
キーボードフルサイズバックライトキーボード(1mmストロ-ク)
ポインティングデバイスPrecision TouchPad
ACアダプタ45W(USB Type-C)
バッテリ52Wh
カラーシルバー/ブラック、フロスト/ホワイト
本体サイズ(幅×奥行き×高さ)295.7×198.7×14.8mm
重量1.2kg(ノンタッチ)/1.27kg(タッチ)
OSWindows 10 Home/Pro

    【筆者が選んだ構成】
  • CPU : Core i7-1065G7
  • メモリ : 16GB(オンボード)
  • ストレージ : 1TB(NVM Express、M.2)
  • ディスプレイ : 13.4型 UHD+(3,840×2,400ドット)
  • バッテリ : 4Cell(52Wh)
  • カラー : プラチナシルバー&ブラック

 この記事を書いている6月中旬に同じスペックの製品を見てみたところ、価格は税別232,980円だった。デルの場合はここからクーポンなどが適用されるため、そこから少し下がることになる(実際そのときには17%クーポンが表示されていた)。

 デルのようなオンライン販売が充実しているPCメーカーの場合、週末などにより割引き率の高いクーポンが適用されることがあるので、購入前にはよく確認したい。

Premium Supportアクシデンタル ダメージ 付き (訪問修理 : 月-土 9-17時)の説明(出典 : Dell Webサイト)

 筆者の場合は、それに「3年間 Premium Supportアクシデンタル ダメージ 付き (訪問修理 : 月-土 9-17時)」を追加した。これは、飲みものをこぼすなどの水漏れ、落下、過電流といったユーザー側の過失で故障した場合でも、無償で修理してもらえるという保険サービスだ。また、24時間365日の電話・オンラインでのテクニカルサポートと、営業日での訪問(オンサイト)修理を含んでいる。

 以前は筆者もオンサイトまでは必要ない、バックアップマシンでしのいでいる間に修理に出せばよいと考えていたのだが、前に使っていたノートPCのタッチパネルが何度も故障するというトラブルに見舞われてから考えを改めた。

 とくに、現代のノートPCはバッテリがはめ殺しになっていて、ユーザーが交換できないため、バッテリが故障しただけでも数日から数週間待たされることになる。そう考えるとオンサイト修理の重要性は以前よりも高まっている。

 6月中旬時点では、XPS 13の「3年間 Premium Supportアクシデンタル ダメージ 付き (訪問修理 : 月-土 9-17時)」は、税別でプラス45,900円となっていた。これが高いと感じるか、安いと感じるかは人それぞれだと思うが、PCをビジネスに欠かせない道具として利用しているのであれば、決して高い買い物ではないと考えている。

CESで展示されていた「フロスト&アークティックホワイト」のXPS 13

 なお、筐体カラーは「プラチナシルバー&ブラック」、「フロスト&アークティックホワイト」の2色があって、最後までどちらにするか非常に悩んだ。製品のイメージカラーは「フロスト&アークティックホワイト」なのだろうし、確かにそのほうがデザインとして美しいと思うのだが、ビジネスマシンとして考えた場合、シルバーのほうがいいだろうという結論にいたり、外側がシルバー、内側がブラックの「プラチナシルバー&ブラック」を選択した。

Cカバーはカーボンと強化プラスチック
Dカバーはアルミニウム

 筐体のAカバー(天板)はアルミニウム(CNC加工)、Bカバー(液晶面)はガラス(Corning Gorilla Glass 6)、Cカバー(キーボード面)はカーボン、Dカバー(底面)はアルミニウム(CNC加工)となっている。このため、液晶ディスプレイが曲がらない十分な強度が確保されている。

従来サイズの13.3型ノートよりも小さな底面積は移動時に威力を発揮

従来型の狭額縁ではない13.3型ディスプレイ搭載ノートPC(VAIO Z/2015年型)と底面積を比較しているところ。5年前のハイエンド製品と比べて、いかに小さくなっているかがわかる

  さて、長い前置きになってしまったが、実際に届いたXPS 13を使ってみてのレビューを紹介していきたい。

 とにかく驚かされるのは、液晶ディスプレイの上部が狭額縁であることと同時に、ヒンジ部分も狭額縁になっていることだ。通常、ここの場所には液晶のバックライトなどが置かれるため、どうしてもある程度の面積が必要になる。

 しかし、今回のXPS 13では液晶パネルメーカーとの協業により開発されたコンパクトなバックライトを採用しているため、ヒンジ部分をこれだけコンパクトにできているのだ。

HWiNFO64のディスプレイ表示、Sharp SHP14CCというパネルであることがわかる

 デルはパネルメーカーを公表していないが、PC内部のコンポーネントなどを表示してくれるHWiNFO64で調べたところ、「Sharp SHP14CC」というパネルだとわかった。ディスプレイの機能としては10bitカラーの入力ができ、HDRにも対応できるのが特徴となる。実際、XPS 13では内蔵ディスプレイの機能としてHDRに対応していることがWindowsの設定からもわかるし、標準で有効になっている。

 以下の写真のように、手元にあった13.3型ディスプレイや従来使っていた14型ディスプレイを搭載した製品とサイズを比較してみると、XPS 13のその小ささは圧倒的だ。

VAIO Z(VJZ13A)との比較。5年前の製品としてはハイエンドな製品だったVAIO Zと比較すると、この5年のノートPCの小型化がよくわかる
富士通のLIFEBOOK UH90/B3との比較。LIFEBOOK UH90/B3は左右は狭額縁になっているが上下はなっていない。このため縦方向の大きさが違うことがわかる

 富士通のLIFEBOOK UH90/B3は3年前の製品で、すでにディスプレイの左右方向は狭額縁に近いデザインになっているし、薄型軽量のノートPCとして話題になった製品だ。上下方向は従来どおりの額縁になっている。このように、3年前のPCと比較してもより小型化が進んでいることがよくわかるだろう。

14型のThinkPad X1 Yoga Gen 4との比較。ThinkPad X1 Yoga Gen 4も左右方向は狭額縁になっているが、縦方向はなっていないため、その差がよくわかる

 筆者としては、上下方向の狭額縁化が進められたことが、今回のXPS 13でとても重要であると考えている。というのも、ディスプレイの縦方向のサイズが小さくなることは、かぎられたスペース、たとえば新幹線の普通席や飛行機のエコノミークラスシートなどで利用する上で大きな意味があるからだ。

 この記事を書いている時点では飛行機に乗るチャンスはなかったのだが、新幹線には乗る機会があったのでテストしてみた。前の席がリクライニングしている状態でXPS 13を開いたところ、パームレスト部分が机から半分程度はみ出した程度で使うことができた。

 それに対して5年前の狭額縁ではないVAIO Zはキーボードの2列目まで机の外になってしまい、快適に入力するのは難しいという状況だった。こうしたことを見ても、狭額縁で底面積が小さいXPS 13のメリットはモバイル時には非常に大きなメリットになると言える。

ディスプレイはUDH+/タッチありか、フルHD+/タッチなし。最大の違いは消費電力

UHD+(3,840×2,400ドット)という16:10のアスペクト比を持つXPS 13のディスプレイ。色域はDCP-I3 90%とかなり広いパネルになっており、10ビットカラー入力に可能でWindowsの設定でHDRを有効にできる

 XPS 13には購入時に3つのパネルを選択できる。ただ、デルの場合はいわゆるCTO(Configure To Order)というよりは、複数のモデル構成が提示されており、そのなかから選ぶというかたちになる。

 一般的に高解像度の液晶ディスプレイのモデルはCPU/メモリ/SSDのスペックが高めなので、それを前提に話を進めるが、デルが公開しているスペックによれば、以下の3つのディスプレイが選択できる。

【表2】XPS 13のディスプレイの種類
UHD+/タッチFHD+/タッチFHD+
サイズ13.4型(288x180mm)13.4型(288x180mm)13.4型(288x180mm)
解像度3,840×2,400ドット1,920×1,200ドット1,920×1,200ドット
バックライトWLED(白色LED)WLED(白色LED)WLED(白色LED)
輝度(標準)450cd/平方m450cd/平方m500cd/平方m
色域DCP-I3 90%(標準)sRGB 100%sRGB
PPI338.67169.3169.3
コントラスト比(最小)1500:11800:11800:1
応答速度(最大)35ms35ms35ms
リフレッシュレート60Hz60Hz60Hz
水平可視角度+/-85度+/-85度+/-85度
垂直可視角度+/-85度+/-85度+/-85度
消費電力(最大)6.6W2.9W2.9W
光沢/非光沢反射防止反射防止非光沢
タッチ有り有り-

 これを見てわかるとおり、解像度がUHD+(3,840×2,400ドット)でタッチあり、フルHD+(1,920×1,200ドット)でタッチありなしの3つのパネルが用意されている。ただ、日本で販売されているラインナップを見るかぎりは、上位モデルがUHD+でタッチあり、中位モデル以下はフルHD+でタッチなしという2つのパネルの製品しかラインナップされていない。

 このため、現状ではどちらを選ぶかだが、筆者はその2つを選ぶ上で考慮すべきは、以下の3つになると考えている。

  • (1)タッチ操作の有無
  • (2)解像度
  • (3)消費電力

 タッチ操作の有無に関しては趣向の問題だろうが、筆者の場合は、日常的にスマートフォンやタブレットなどを使っており、タッチ操作に慣れ親しんでいる。このため、ノートPCでもタッチ操作を使いたい。

 たとえばノートPCを飛行機や電車のなかで使っているときなどはマウスが使えないので、結構な頻度でWebブラウザのスクロールなどにタッチを多用している。なので、筆者個人としてはタッチ操作ができないと困るのである。

 解像度に関しては、UHD+とフルHD+のどちらにするかだが、じつはそれは(3)で挙げている消費電力と大きく関わってくる。

 たとえば、大きなサイズの写真を編集するときには、解像度が高ければ高いほど高精細に表示できて、編集はより容易になるなどのメリットがある。また、表示できる色域もUHD+はDCP-I3 90%とかなり広いのに対して、フルHD+タッチなしはsRGBどまりとなっていることも見逃せない違いだ。

 しかし、その反面高解像度なディスプレイは、点灯するドットが増えることもあって消費電力が大きい。XPS 13の場合、UHD+の最大消費電力が6.6Wなのに対して、フルHD+は2.9Wと半分以下になっている。ディスプレイの消費電力が増えれば増えるほど、それに反比例してバッテリ駆動時間は短くなる。

 なお、最近流行のフルHDのローパワー液晶を採用したモデルでは、最大消費電力が1W台になっていることが多いので、それと比べるとXPS 13のフルHD+のパネルでも1.5倍程度となり、消費電力は十分大きい。UHD+のほうは一般的な4Kディスプレイ(6~7W程度)と大きな差はないので、16:10になっているデメリットは相対的には少ないと考えられる。

 こうした条件を考えた結果、やはり出先で写真編集などを行なう都合上、高解像度で色域が広いほうが有利だと考えて、UHD+/タッチありのパネルを選ぶことにした。バッテリ駆動時間が短くなってしまう課題は、USB PDに対応したモバイルバッテリを持ち歩くことで対応している(バッテリ駆動時間に関しては後述)。

Dell CinemaColorで色味の調整ができる、動画を見るときなどに有効

 そうして選んだUHD+/タッチのディスプレイだが、その表示品質にはおおいに満足している。ディスプレイのスケーリングは、Windows 10では300%を推奨していたが、1つ下の250%で十分使いものになっている。

 また、付属の「Dell CinemaColor」というツールを利用することで、色味を「動画」向け、「夜間」向け、「スポーツ」向け、「アニメーション」向けから選んで設定できる。これを活用することで、適切な色味に変更してコンテンツを楽しめるので、動画を見るときなどにはぜひ利用したい。

バッテリ駆動時間は通常だと5~6時間程度、省電力設定や使い方で7~8時間

Dell Power Managerの「バッテリーエクステンダ」機能

 気になるバッテリ駆動時間だが、標準では約5~6時間程度だった。レジストリエディターで通常は隠されている詳細な省電力設定を行ない、バッテリ駆動時には極力電力を消費しない設定にして、7~8時間というところだ。

 もっともこれはオフィスアプリやWebブラウザを使うなど、さほどCPUやGPUを使わないアプリでの話。Adobe Creative Cloudなどのリソースをたくさん使うようなアプリを動作させていればもう少し短くなる。

 バッテリをできるだけ長く持たせたいなら、Windowsの設定でバッテリ駆動になったら常時「バッテリー節約機能」がオンになる設定にしておくことと、「Dell Power Manager」という純正ツールを利用して「バッテリーエクステンダ」と呼ばれる機能をオンにしておくと、不必要な電力消費を削減しながら使うことができる。

 また、PCで一番電力を消費しているのは「ディスプレイ」なので、輝度を落としておくとバッテリ駆動時間が延びる。

 個人的には、朝から晩までのカンファレンスに参加して取材というときでも、6時間使えれば昼休みにモバイルバッテリで充電することで対応できる。今の使い方では7~8時間程度使えているので、これで十分というのが正直なところだ。

サーマル設定、静かにさせたい場合には「静音」を選んでおく
Windows 10の電力設定。ACアダプタが接続されている状態でも、省電力設定を変更できる。電源につながっているのに「電源モード(接続) : よりよいバッテリー」という表現はなんか変だが、そうしておくとCPUクロック周波数などが抑え気味になり、あまりファンが回らない設定になる

 なお、「Dell Power Manager」にはもう1つの重要な機能として「サーマル管理」があり、「最適化」、「低温」、「静音」、「超高パフォーマンス」の4つの設定が用意されている。バッテリ駆動時にはほとんどファンは回らないのであまり気にする必要がないと思うが、自宅や会社などに戻ってきて電源につないで利用する場合には、静音よりも性能重視で使いたいといったときに、「最適化」や「超高パフォーマンス」に設定すればよい。

 筆者は、自宅作業でPhotoshopやLightroomといったCPUパワーを必要とする作業をするさいには「最適化」や「超高パフォーマンス」に設定している。

 通常利用時はできるだけファンが回らない「静音」を選び、Windowsの電力設定も「電源モード(接続) : よりよいバッテリー」にしている。これでほとんどファンは回ることなく利用できている。もっとも、ファンが回っても低周波の耳障りなノイズはほとんどなく、あまり気にならないことを付け加えておく。

標準添付のACアダプタ(出力 : 45W)
筆者が使っているRAVPowerの「RP-PC133」とAppleの「USB Type-C充電ケーブル(2m)」
2つを比較しているところ、ケーブルの取り回しや収納性などでもRAVPowerの「RP-PC133」とAppleの「USB Type-C充電ケーブル(2m)」が便利だ。

 なお、付属のUSB Type-CのACアダプタは少々大きく、ケーブルの取り回しなどはあまりよくない。PCに付属するものとしては標準的とも言えるが、持ち歩くにはもう少しコンパクトで軽いほうがいい。

 このため、筆者はサードパーティのUSB PD充電器と、Appleが販売しているUSB Type-Cケーブルを代用している。このケーブルはUSB 2.0までの対応になるが、ケーブルが細く取り回しがいい。

 USB PD充電器はRAVPowerの「RP-PC133」というモデルで、USB PDに対応したUSB Type-CとUSB Type-A端子の2つが用意されており、2つ合わせて65Wの出力が可能になっている。

 XPS 13には2つのUSB Type-C端子しか用意されておらず、1つはUSB PDのACアダプタを接続すると埋まってしまうので、2つのモバイルデバイスを同時に充電する場合に役立っている。

XPS 13の箱はすでにコンパクトで、リサイクル可能な素材で作られているなど環境への配慮も進んでいる

テレワーク向けの機能として、明るい画像が撮れるWebカメラと遠方界マイクが便利

2.25mmのWebカメラ、昨年モデルでは赤外線は入っておらずWindows Helloには未対応だったが、今回は対応となっている

 今回のXPS 13の導入では、ちょうど緊急事態宣言の前後という時期と重なったため、自宅でテレワーク用のPCとして活用することが多くなった。このため、これまであまり使ってこなかったWebカメラ機能を使う機会が増えた。

 XPS 13のWebカメラは、狭額縁のディスプレイに格納するため、2.25mm幅という超小型のカメラモジュールとなっている。2018年モデル以前のXPS 13では、Webカメラをディスプレイの下部に格納していたのだが、これだとカメラが人間を見上げるかたちになってしまうので、上部のベストポジションに戻されている。

 なお、赤外線カメラにより深度方向も計測できるようになっており、Windows 10のWindows Hello顔認証に対応している。

 ただ、カメラの性能としては普通で、静止画での画素数は92万画素で動画はHD(1,280×720ドット)/30fpsというスペックになっている。なので、最近のハイエンドPCでは増えているフルHD/30fpsのカメラには劣り、やや粗めの表示になってしまうのは否めない。

 とは言え、ビデオ会議は回線の帯域により解像度が自動で変更されるものや、ユーザーが指定するものがほとんどで、640×360ドットまで落とされることも多い。そのため、HDのカメラでも大きく困るということはないだろう。

 XPS 13のカメラは、2.25mmというサイズに納める関係上、レンズなどはとても小さいが、比較的明るめに表示されるのはうれしいところ。ちょっとした電話会議ぐらいなら何も困っていない。むしろ自分にライトをちゃんと当てるなどすれば、十分過ぎる品質で電話会議ができる。

デュアルアレイマイク、遠方界(Far-field)に対応したマイクになっている

 マイクはデュアルアレイの遠方界(Far-field)マイクが、液晶ディスプレイの上部に装備されている。遠方界マイクは、元々はWindows 10でCortanaやAmazon Alexaなどの音声認識機能を利用するために用意されているマイクで、従来のPCに装備されている指向性の強いマイクに比べると、より広い範囲から音を拾える。

 従来のノートPCに装備されていたマイクは、キーボードの前に座っているユーザーの声を拾うように指向性が強くなっており、そのほうがノイズや他人の声を拾わなくなるので、ビデオ会議に適していると考えられてきた。

 それに対して、音声認識機能を使う場合には、ユーザーがPCの前に座っているとはかぎらない。そのため、より広い範囲の音を拾うようにしているのだ。

 遠方界マイクを採用するXPS 13では、PCの側にいなくても確実に音を拾ってくれる。PCのマイクについては何度かこの連載で取り上げているが、今後ノートPCを購入するときには「遠方界マイク」や「ファーフィールドマイク」などがスペックに入っているかを確認するといいだろう(テレワークでトラブりがちなビデオ会議を快適に! Windowsのマイク周りの設定を解説参照)。

オーディオをソフトウェア的に拡張する「MaxxAudioPro」
マイクで拾った原音をそのままソフトウェアに渡したい場合にはコントロールパネルのサウンドから「オーディオ機能拡張を有効にする」のチェックを外す

 XPS 13には「MaxxAudioPro」というオーディオ機能を拡張するソフトウェアが入っており、イコライザーを利かせるほかにも、マイクのノイズ低減を働かせることができる。ただ、最近ではビデオ会議ソフトウェア側でノイズ低減をやっているので、マイクからは直接音を取り込みたいという場合もあるだろう。

 XPS 13では標準ですべての音がMaxxAudioProを通すようになっているため、これを変えるにはコントロールパネルの「サウンド」で、内蔵マイク「マイク-Realtek Audio」を開き、「詳細」タブから「オーディオ機能拡張を有効にする」のチェックを外しておけばよい。

 これにより、マイクから入った音は「MaxxAudioPro」の処理を通さずに直接ソフトウェアに渡されるので、原音をビデオ会議ソフトウェア側でより高音質に処理できる。このことは、Krispなどのほかのノイズ低減ソフトウェアを使う場合にも活用できるので覚えておこう。

 内蔵スピーカーなどを利用してより高音質で映画を再生するといった用途では、MaxxAudioProを通したほうがより高音質で再生できる。

底面積は小さくなっても従来モデルと同じキーピッチを実現する狭額縁キーボード

XPS 13のキーボード、横方向のキーピッチは19.05mm

 今回のXPS 13のもう1つの特徴は、キーボードやタッチパッドが従来モデルよりも大型になっていることだ。とくにキーボードは、ディスプレイと同じように左右が「狭額縁」になっており、縁のギリギリまでキーボードが来ている。

 このメリットは、キーボードの横幅を従来よりも大きく取れることだ。キーボードのピッチは横方向が19.05mm、縦方向が18.05mmとなっており、従来モデルと同じフルサイズキーボードになっている。

 本製品は底面積が11型ノートPC並みに小さくなっているので、キーボードのサイズも小さくなっておかしくないのだが、それを左右狭額縁のキーボードにすることで補っている。

ThinkPad X1 Yoga Gen 4とのキーボードサイズの比較。サイズ的にはほぼ同じでタッチはThinkPadはこうした薄型キーボードとしてはピッチが深めに感じ、XPS 13は標準的に感じる程度の違いはあるが、いずれも入力しやすく慣れれば同じような速度でタイピングできるようになった

 実際、直前まで使っていたThinkPad X1 Yoga Gen 4とキーボードのサイズはほぼ変わっていない。このため、何の違和感もなく乗り換えることができた。

気になるのは右上の「¥」マークと矢印キーの上下ぐらいだが、慣れたら気にならなくなった

 キーボードもとくに気になる変なキー配列はなく、通常のキーよりもやや小さいのは「¥」マークと「バックスペース」ぐらいだ。バックスペースは基本的に右端にあるので多少小さくても気にならないし、「¥」マークもそんなに多用するわけではないで戸惑わなかった。

 1つだけ慣れが必要だったのは、上下方向の矢印キーだ。左右が大きなキーになっているのに対して上下の矢印キーは1列のキーを2つに分割している関係上、やや小さくなっている。とは言え、今は慣れて問題にならなくなっている。

 タッチパッドは従来モデルが105×60mmのサイズだったのに対して、112.3×64.15mmとなっており、やや大型化されている。かつ、解像度が従来モデルでは305×305ドットだったのに対して1,300×722ドットになっており、大きく強化されている。

 このため、カーソルを狙ったところにキッチリ動かすことが可能で、快適に操作できる。慣れてくると、マウスがなくてもほとんどの操作はタッチパッドできるようになってくるほどだ。

指紋認証センサー 兼 電源スイッチ

 キーボードの右上には指紋認証センサー兼電源スイッチが用意されている。本製品のようなモダンスタンバイ対応のマシンは、スリープ状態で使うことが多く、ディスプレイの開け閉めがスイッチ代わりとなる。したがって、電源スイッチが指紋認証センサーの代わりとして使えるのは合理的だ。

 すでに述べたとおり、顔認証にも対応しているが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)により、多くの場所でマスクをするシーンが増えており、指紋センサーでもログインできるのは有り難い仕様だ。

本体のポートはUSB Type-C(Thunderbolt 3)×2、microSDカード、3.5mmジャックが用意されている

本体の左側面、DisplayPort Alt Mode対応のThunderbolt 3が1つと、microSDカードスロット

 インターフェイス類は左右にUSB Type-C(Thunderbolt 3対応)が1ポートずつ、左側面にmicroSDカードスロット(SDXC対応)、右側面に3.5mmオーディオジャック(3ピン仕様)が用意されている。うれしいのは、最近こうした薄型ノートPCでは省略されがちなSDカードスロットが、microSDとは言え用意されていることだ。

本体の右側面、Thunderbolt 3が1つと、3.5mmオーディオジャック(マルチファンクション、3ピン)
パッケージにはUSB Type-CからUSB Type-Aへの変換ケーブルが1つバンドルされている
カメラからデータをPCに取り込む時にはmicroSDカードアダプタから取り出して、microSDカードスロットに入れる

 筆者は記者という仕事柄、デジカメで撮影した写真をPCに取り込むという作業を常時行なっている。最近ではソニーのα7IIIなどのようにカメラ側にUSB 3.0に対応したType-Cポートが用意されているものもあり、カードリーダと同じような速度でPCに取り込むことができる。

 しかし、その場合にはカバンからケーブルを出さないといけないので一手間増えてしまう。そのため筆者はカメラのSDカードスロットに、microSDカードアダプタを装着したmicroSDカードを入れておき、PCに取り込むときにはmicroSDカードにして読み込むことにしている。これだといちいちケーブルを出す必要もないで効率的だ。

エレコムのU3HC-A424P10BKをACアダプタとの間にはさむと、USB Type-Cが1つと、USB Type-Aが2つ増設できる

 なお、今のところはUSB Type-C(Thunderbolt 3)が2ポートだけでもとくに困っていない。どうしても端子が足りない場合には、USB Type-CのHubを利用しているし、普段使っているエレコムの「U3HC-A424P10BK」というUSB Type-CのHubは、USB PDのパススルーに対応しており、PCとUSB Type-CのACアダプタとの間にはさんで、利用することができ便利だ。

 重量は39gなのでこれを1つ鞄に入れておくだけでほとんどのシーンに対応できている。プレゼンを出先でよく行なうビジネスパーソンであれば、USB端子の代わりにHDMI出力端子を搭載しているドッキングステーションなどを選べばいいだろう。

机上では少しでもネットワークの通信速度を上げるためにUSB 3.1対応ドッキングステーションをはさんでいる

筆者の仕事用デスク。中央にあるXPS 13で記事などを書いている。背面のU4919DWはおもに資料を表示したり、別途接続してあるゲーミングPCでゲームするときに使っている。Creativeのマークが入っているカメラはIntelのRealSenseカメラで、ゲーミングデスクトップPCでのWindows Helloのログイン用に使っている

 自宅に帰ってきたときには、以前の記事(テレワークのために画面比32:9の49型5Kディスプレイを導入してみた)で紹介した、デルの「U4919DW」(49型 5Kディスプレイ)にUSB Type-Cケーブルで接続している。

 当初はU4919DWに用意されているUSB端子に、2.5GのEthernet LANアダプタを接続していたが、そうすると十分な転送速度が出ていないことに気がついた。

 実際、ネットワークで接続されているPCからファイルを転送して見ると30~40MB/s(240Mbps~320Mbps)程度の転送速度と、スペックの10分の1程度の転送速度しか出ていないのだ。これはU4919DWの内蔵HubはUSB 3.0対応ではあるが、そのHub自体の性能などにより、十分な速度が出ていないのだと思われる。

デルのWD19 180W。180WのACアダプタがバンドルされており、デル製品の場合には独自の充電機構を利用して急速充電できる。PCとの接続はUSB Type-C(USB 3.1、10Gbps)でドッキングステーション本体に直づけになっている。WD19シリーズは、ヘッド部分だけを取り替えてThunderbolt 3にインターフェイスを変更したりできるし、Thunderbolt 3モデルなども販売されている
付属のACアダプタは180Wと大容量なのでデカイ。ただ、その分XPS 13に急速充電できる
BIOSセットアップでThunderbolt 3のコントローラをオフにしているところ。それでもUSB 3.1ポートとしては利用できている。ほかのメーカーのPCだとThunderbolt 3のコントローラをオフにするとポートごとオフになってしまうが、XPS 13ではThunderbolt 3の機能だけをオフにできる

 そこで、ディスプレイとPCの間に、USB 3.1(10Gbps)のドッキングステーションをはさみ込むことにした。そこにEthernetを接続すれば帯域的には十分だと考えたからだ。

 せっかくThunderbolt 3に対応しているのだから、Thunderbolt 3のドッキングステーションを使えば良いのではないかという声が聞こえてきそうだが、筆者が試したPCでは、今回のXPS 13も含めて、Thunderbolt 3のドッキングステーションを利用した後、モダンスタンバイでThunderbolt 3のコントローラがオンになったままという課題を抱えていることを確認している。

 これがThunderbolt 3のドライバの問題なのか、ファームウェアの問題なのかはわからないが、モダンスタンバイが正しく行なえないとスタンバイ中に無駄に電力を消費することになるので、持ち歩いて使うモバイルPCとしてはうれしくない。このため、XPS 13でもBIOSでThunderbolt 3の機能をオフにして使っている。

WD19 180Wの背面に用意されているDisplayPort Alt Mode対応のUSB Type-Cコネクタ(中央の赤で囲ったところ)。USB 3.1 でDisplayPort Alt Modeに対応したドッキングステーションは、筆者が調べてかぎりでは現時点ではほかにはなかった
WD19 180Wは前面側にももう1つUSB Type-Cポートが用意されているが、そちらはDisplayPort Alt Mode非対応なのでUSBのロゴだけがついている
場所を節約するためにスタンド使って縦に置いている

 このため、USB 3.1に対応したドッキングステーションをいろいろ探したのだが、現時点では選択肢はほぼ2つだった。1つはデルの「WD19シリーズ」、もう1つがレノボの「ThinkPad USB Type-C ドック 2」だ。最終的にはDellの「WD19 180W」というモデルを選んだ。

 なぜかと言えば、ThinkPad USB Type-C ドック 2には、DisplayPort Alt Mode対応のUSB Type-Cが用意されておらず、DisplayPortとUSBケーブルの2本で接続しなければならなかったからだ。

 それに対してWD19 180WはDisplayPort Alt Mode対応のUSB Type-Cを備えており、ケーブル1本で済むのでこちらのほうが便利だ。

Wi-Fi AP(アクセスポイント)として利用しているWXR-5950AX12。Wi-Fi 6に対応しているほか、10Gbit Ethernetに対応するHubを内蔵しているため、デスクトップPCなどに10Gbitや2.5GbitのEthernetで接続できる
バッファローの2.5Gに対応したUSB Ethernetアダプタ「LUA-U3-A2G」、中央の「Speed」ランプがオレンジの時は2.5Gでつながっていることを示している

 なお、2.5GのマルチGigabit Ethernetで接続されているデスクトップPCから、XPS 13にファイル転送を行なったときの速度の違いは以下のとおりになる。

【表3】ドッキングステーションの転送速度比較
ドックネットワークアダプタ速度(MB/s)時間(秒)
WD19 180WLUA-U3-A2G(2.5G Ethernet)261.4910.1
WD19 180WWD19 180W(内蔵)105.3025.08
XPS 13 Wi-Fi(Wi-Fi 6/2.4Gbps)198.5713.3
Dell U4919DWLUA-U3-A2G(2.5G Ethernet)40.0266

 これを見てわかるように、一番高速なのは280MB/s(約2.18Gbps)という数字をたたき出しているWD19 180W+LUA-U3-A2G、それについでWi-Fi 6のWi-Fi経由、そしてU4919DWのUSBポートにLUA-U3-A2Gを接続した場合となった。

 U4919DWのUSBポートにLUA-U3-A2Gを接続した場合をみると、Gigabit Ethernetの速度にも達していないため、この場合にはディスプレイ側のUSB Hubの性能が十分ではないことがわかるだろう。

 宅内にこうしたGigabit Ethernetを構築しており、その性能をフルに発揮したいと考えるのであれば、今回紹介したようなUSB 3.1 Type-Cに対応したドッキングステーションを間にはさむことを検討してみるといいだろう。

PCを持っていくときにはこのケーブルを外すだけ、帰ってきたらつけるだけとシンプルに

 こうしたUSB Type-Cのドッキングステーションを使うもう1つのメリットは、PCに接続するケーブルを1本にできることだ。このため、出かけるときの持ち出しが楽にできるし、帰って来たらケーブルにつなぐだけでデスクトップPCとして利用することができる。そうした使い方をしたいというユーザーにもおすすめだ。

ビジネスに使うPCが抱える課題をある程度は自分で解決したい、というニーズに応えてくれる米国のPCメーカー

トルクスネジ

 初期状態ではWD19 180WとXPS 13に接続する場合にはUSBやネットワークが切断されるというトラブルがあった。デルのサイトで対処方法がないかと探したところ、ユーザーフォーラムに公開(英文)されていた。

 具体的にはPCI Expressの電源設定を変更するのだが、これを行なったところ問題なく利用できるようになった。USBとPCI Expressの省電力設定を、電源に接続されているときはオフにしておくという設定にすることで回避できるのだが、どらちの設定も標準では隠されており、表示させるにはレジストリエディターで該当する設定を編集する必要がある。

 英語とは言え、こうしたユーザーフォーラムが充実しているのが米国のPCメーカーの特徴の1つと言える。

 筆者としては、PCの問題はある程度自分で解決できるなら解決したいと考えており、大事なのはそうした情報が公開されていることだ。XPS 13以前に使っていたThinkPadシリーズもそうだったのだが、メンテナンスマニュアルと呼ばれるPCを修理するときの分解手順などが公開されているかどうかを重視している。冒頭でも述べたとおり、SSD程度であれば自分で直してしまいたいので、メンテナンスマニュアルの有無はとても重要だ。

ヒートシンクの下にSSDが装着されている。ネジを外して慎重に裏蓋を外すだけなので難度はそんなには高くないが、裏蓋はかなり堅くはまっているので慎重に取り外す必要がある

 ただ、分解して壊してしまえば、もちろん修理は有償になる。あくまで分解は自己責任であることを強調したい。もしやるとしても、保証が切れてからと考えたほうがいいだろう。

 それを前提にして、XPS 13のSSD交換に関してだが、難易度はさほど高くない。詳しくはデルが公開しているメンテナンスマニュアルを参照していただきたいが、裏蓋を外せればすぐにM.2のスロットにアクセスできる。

 とはいえ、蓋はかなり固めなので相当慎重に行なう必要がある。また、裏蓋のネジは通常のプラスネジではなくトルクスネジになっているため、トルクスドライバーが必要になる。そう言われてわからない人はやめておいたほうがいいだろう。

 なお、デルのサポートサイトではドライバがすべて公開されており、XPS 13の場合には、「Dell Update」というツールをダウンロードすれば、すべてのドライバが自動で入るので便利だ。

 出荷時イメージの作成は、コントロールパネルの「回復」を使ってUSBメモリで回復メディアを作成できる。この回復メディアを使うと、出荷時の状態に復旧できる。試してみたところ、出荷時のWindows 10のバージョンは1909(19H2)になっていた。回復メディア作成には32GB以上のUSBメモリが必要で、本製品はUSB Type-Cしかないので、USB Type-C/Type-Aの両方の端子を持つUSBメモリを用意しておくとよいだろう。

3カ月間トラブルフリーで利用。緊急事態宣言時のテレワークでも大活躍

本体の重量実測値、カタログスペックでは1.27kg~となっている

 以上のように3カ月メインマシンとして使ってみた感想は、日常業務などにも何ら問題なく使うことができ、今のところトラブルフリーで使えている。

 ここ数年で使ったPCは天板が強化プラスチックだったが、タッチパネルにトラブルが出て何度修理しても直らなかったという痛い経験がある。そのため、筆者個人としては天板はアルミニウムやカーボンなどの強度が十分にある素材にしてほしいと思っていただけに、アルミニウムのAカバー(天板)、Dカバー(底面)、カーボン素材のCカバー(キーボード面)を採用した本製品は鞄にある程度乱暴に突っ込んでも安心して使えている。

Wi-Fiのアンテナ、ちょうどキーボード左右の強化プラスチックの下に来ている。入れられる場所はここしかない

 ただ、そのトレードオフとして、本製品には、いわゆるワイヤレスWANがオプションでも用意されていない。XPS 13に乗り換える前のPCではワイヤレスWANが入っていたため、Wi-Fiルーターなどを持ち歩いたり、スマートフォンのテザリングを利用しなくても常時インターネットに接続する環境で活用できていただけにやや残念に感じている。

 AカバーとDカバーがアルミニウムであるため、Bカバー(液晶面)かCカバーにしかアンテナを入れる場所がないのだが、Cカバーのキーボードの左右は切り掛かれて強化プラスチックになっており、そこにWi-Fiのアンテナがギリギリで置かれているといったレベルなので、ワイヤレスWANが入らないのは設計的には理解できる。

 しかし、エンドユーザーというのはつねに「それでも」と思うもので、ぜひとも次期機種ではその課題に取り組んでくれることを願っている。

 ただ、Wi-Fiルーターなどを持ち歩くことになり、結果として5Gのような新しい回線をサポートするものを利用するようになった。PCに内蔵されているワイヤレスWANのモデムは世代が古く、LTE-Advancedで規定されているキャリアアグリゲーション(CA)に対応していないことが多い。

 以前の記事(5G回線で“データ容量無制限”を選べる時代がやってきた!)で紹介したように、5Gに対応したWi-Fiルーターも登場しつつあり、その意味では失ったものもあったが、得るものもあったと思っている。

 いまのところトラブルなく使えているので、せっかくつけたオンサイトサービスを使う機会はまだ来ていない。このため、サポートに関してはまだ評価できていないが、ドライバやマニュアルなどの公開に関しては過不足なく、生産性を上げるツールとしては合格点をあげられる。

 そして、何よりもその最大の特徴である16:10のUHD+ディスプレイの表示品質には十分満足している。キーボードやタッチパッドの使い勝手も良好だ。その意味で、筆者のここ数カ月の生産性を上げるのに大きく貢献してくれており、今は導入して良かったと感じている。