藤山哲人と愛すべき工具たち

みんな大好き京都の名工具メーカー「KTC」の工場&博物館を参拝する!

~オススメのKTC工具と見学内容を紹介

本連載では、家電製品から実験機器の製作、プログラミングなど、幅広いジャンルで活躍するテクニカルライター藤山哲人氏がさまざまな工具をレビューしたり、多少無茶なことにチャレンジしたりしていきます。
京都にあるKTCに行って工場見学させてもらった! 併設されている工具博物館も!

 「KTC」という単語を見て「おっ!」と思う方は、かなりのエンジニア魂を持った方。Impress WatchはPC以外にも車やAV、家電やAKIBA PC、e-bikeなど、なにかと工具につながりのある媒体も多く、「KTC使ってるよ!」なんて人も多いハズ。

 工具をよく知る人なら、憧れの工具メーカー、持っているとステータスな工具、工具界のルイ・ヴィトン! と言っても過言じゃない!……。いや、ちょっと過言(笑)。

 それはともかく、なかでももっとも有名なのが、KTCの“ソケットレンチ”。車やバイク、自転車のメンテナンスによく使う工具だ。

筆者が30年以上愛用している、KTCのソケットレンチ。ケースはボロボロだけど、工具はいまだにピカピカの現役!

 でも近所のホームセンターに行っても、買えないのがKTCの工具。なぜならプロユースの工具なので、安さを競うホームセンターの工具売り場には置いてないことが多い。お店で買うならプロユースのKTC特約店や東急ハンズなどでしか購入できない。通販の場合はAmazonやプロユースのモノタロウなど。ルイ・ヴィトンたるゆえんは、このあたりにもある。

ボクは仕事としてモノづくりもするので、事業者向けのモノタロウを利用しているけど、個人ユースのモノタロウでも買える。Amazonで買うより、ちょっと安く買えるのでうれしい

 そんな有名なKTCだが、じつは京都に何千という自社製ツールを集め、その歴史と製造方法などを展示した博物館がある。それが「KTCものづくり技術館」だ。工具好きなら1日でも、そうでないエンジニア系の人でも何時間も工具を眺めて楽しめる博物館だ。

本社&工場に併設されている「KTCものづくり技術館」

 なにせ工具専門の博物館は、筆者の知るかぎり日本に2カ所しかない。1つは神戸にある「竹中大工道具館」で、皆さんがよく知る竹中工務店が母体の博物館。なので木工の工具がメインだ。そしてメカやエンジニアリング用の工具を集めた日本で唯一の博物館が「KTCものづくり技術館」なのだ。おもしろくないワケがない!

KTC製の工具の数々。使い方がサッパリわからない、超プロユースのものから、店で見かけたことがあるものまで

世界に名だたるKTCが運営する工具専門博物館

 京都と言えば、古い神社やお寺めぐりに、和やわびさびを満喫できる町。でもじつは、京都の本社を置く電子・機械系の有名メーカーが多くある。

 たとえばゲーム機でおなじみの任天堂やファインセラミックスで大成功を収めた京セラ。そして医療機器や自動改札で有名なオムロンに、CMで有名な村田製作所。じつはみんな本社が京都にある。半導体で有名なロームやコンデンサで有名なニチコン、HDDのモーターの世界シェアを握る日本電産なども本社は京都。さらにっ!男の浪漫、ワコールも京都に本社をかまえている。

京都の南にあるKTC本社。同じ敷地に工場もある

 そのなかでもわれわれPCユーザーはじめ、機械いじりが大好きな野郎ドモの信仰を集めるのがKTCだ。美少女があんなことされちゃう「2次元ドリームマガジン」のKILL TIME COMMUNICATIONの略じゃないので注意! しまった! 機械好きは2次元好きも多いので、そう取っちゃう諸兄もいたかっ!

KTCのなかでも最高級ブランドのneprosシリーズの工具。輝きが違う!

 しかし今回紹介するKTCは、正式名称「京都機械工具株式会社 (Kyoto Tool Co., LTD.)」のほうだ。あまりにもKTCの略称が有名で、正式名称を言われるとかえって「?」な会社(笑)。

 しかしKTCは、先に列挙した企業のように世界にも名をとどろかせ、アメリカの有名な工具メーカー「スナップオン」と競い合うほどだ。

工場内の車のナンバーに注目! みんな41-59で「よい工具!」(笑)。また工場内には社員さんの車やバイクが止めてあるんだけど、みんないじってんなー!な感じで(笑)

 KTCはトヨタ車の車載工具として、標準搭載されていた工具メーカーでもある。なのでとくに自動車関係のメカニックに愛用者が多く、バイクや自転車などにも広がりを見せている。

伏見稲荷大社に参拝したら博物館へ! その後は日本酒で一杯

 KTCの本社兼工場に併設されている「KTCものづくり技術館」。京都駅からだと近鉄京都線に乗って大久保駅で下車。清水寺や伏見稲荷などの観光に便利な京阪本線なら、三条や祇園四条、清水五条から乗車して、伏見稲荷を通り越し中書島駅で下車。

 京阪の中書島と近鉄の大久保間には、昼間でも20分おきのパターンダイヤで京阪バスが走っている。これに20分も乗るとKTCのスグ脇にあるバス停「久御山工業団地東」に到着。京都中心部からだとだいたい1時間という感じだ。

京阪の中書島と近鉄の大久保の中間ぐらいにある

 企業博物館なので営業日は、月曜~金曜までの平日のみ。つまり会社の営業日というわけだ。またツアーの時間が、午前中の9時30分開始と午後の13時30分開始のコースがある。伏見稲荷大社を参拝してから行くなら午後がオススメだ。

 見学は1人からでもOK! 10人以上の団体になると、「KTCものづくり技術館」に加えて敷地内の工場見学もできる。どちらにしても、KTCのページから予約が必要になるので注意。

Webでは見るところが少なそうだけど、歩いて回るとかなり広く展示物も多い

 なおKTC関東営業所にも同様の施設がある旨の案内があるが、こちらは業者さん向けのショールームで一般は立ち入りできないので注意してほしい。

 入場料はなんと無料! しかも係員さんがついて、展示物を解説してくれるサービスっぷり。工具だけじゃなく、金属加工や研磨、めっきまで勉強できる。

 余談だが中書島の北側は、酒蔵がたくさんあるので帰りには一杯飲んで帰るのがオススメ。加えて利き酒できる月桂冠の博物館もある!

KTCの工具がちょっと高い理由がわかる博物館

 展示でまず驚かされるのが、創業者が持っていたという戦時中の戦艦を整備するための工具。スパナやモンキーレンチと一緒に工具箱に入ってたのは、各種のヤスリ。なんと戦時中は、部品の加工精度が低く、ヤスリで調整していたのだ。

99式艦上爆撃機用 機体整備用具箱。中央の棒状のものがヤスリ。スパナも打ち抜いただけのような簡素なもの

 さらに同室に展示されているのが、KTCの歴史とともに当時の代表的な自動車の写真が添えられている。オッサンにはめっちゃ刺さるパネルで、「おお! かもめテールのソアラ時代か!」とか、「夏暑くて乗れないセラなんてあったな!」なんて楽しめる。いつのころかを一発で思い出せるので、KTCの歴史も超身近に感じられるだろう。

当時の代表的な車も掲示されているので、オッサンにはめっちゃ身近に感じる年表
自転車専用の工具セット

 また最近KTCが注力している自転車用の工具セットも展示されている。おそらく自転車好きが見たら、たまらなくほしくなる工具セットだ。

 さらに別室では、KTCのツールが作られる過程をパネルで解説している。残念ながら9名以下の個人見学では、工場見学はできないので、このパネルと製作過程と、あわせて展示されている製造過程の実物を見て、どうのように作られるのかを勉強できる。

少人数で工場見学ができなくても、その製作工程がわかる
原材料の棒から成形、打ち抜くまでの実物

 加えてKTCの工具がほかよりちょっとお高いワケも、丁寧な製造工程で職人さんが仕上げているという点でよくわかるはず。

 なお10名以上の団体の場合は、工場見学もセットになっているので、実際の現場を見ることができる。だたしこの記事では特別に許可をいただいて写真を撮影しているが、普段は撮影禁止になっている。

スパナ1本をとって見ても、創業当時のものと、現在のものではかたちも研磨の精度もかなり違う
ビルや橋で使うボルトを締める超大型ソケットレンチも!

 別室では、創業当時の工具から現在の工具にいたるまでの歴史、現在発売している何千という工具が壁一面にディスプレイされていて圧巻だ。

 近年ではネジを締める強さを管理する「トルク管理」が徹底されているため、工具もデジタル化されBluetoothなどの無線などを使って、トルクをコンピュータで管理。1本1本のボルトが適正に締められているかをリアルタイムで表示できるシステムのほか、すべてのボルトのトルクのログを取るなどのシステムも好評だという。

数年前に走行中のトラックのタイヤが外れて、赤ちゃんが死亡するという事故が起きてから、トルク管理が一層厳しくなったという。ポップの女の子は、KTCのキャラクターでケイティちゃん

 見学を終えるとKTCオリジナルグッズや、KTCのオリジナルキャラクター「ケイティちゃん」グッズの販売ブースもある。マグカップやバッグ、折りたたみ式のコンテナーなどもあり、KTCグッズで身を固めたい人は、軍資金をたっぷり持っていくこと。

工具好きならほしくなるKTCグッズの数々も直販

KTCのなかでも最高級ブランド「nepros」博物館も併設

 KTCの工具は通常品でも使いやすく便利な工具だが、これにこだわりの技術と機能、そして「美しさ」を加えた「nepros」という、最高級ラインナップがある。その代表例が、コレ。

nepros 鉄紺シリーズ。ほかにもスパナなどのラインナップもある。コレ超ほしいんだよなー

 青いチタンコートされたソケットレンチ&ラチェットハンドルが代表の「nepros 鉄紺」シリーズ。数量限定で、もう出荷は終了しているので、見つけたら買うぐらいの勢いだ!

 ハンドルは太く持ちやすく、しかも特殊で硬いチタンコートで独特の深い青をしたnepros鉄紺は、エンジニアならノドから手が出るほどほしい逸品。

 写真のnepros鉄紺ラチェットハンドルは、太いけれどなかを中空にして、適度な重さに軽量化している。端数も90歯で送り角4度なので、せまい空間での作業も楽。その90歯独特のチリチリというラチェット(一方向にしか回転しないギアの機構)の音が使っていても心地いい逸品なのだ。

ハンドルを太くすると重くなりすぎるので、中空にして軽くしている
こちらは非売品の金箔を盛りに盛った、漆塗り木柄(貫通タイプ)ドライバセット。いや、これハンマーでブッ叩けないっす!

 さらに漆塗りのグリップに金箔を持ったり、貝ガラを貼る(螺鈿:らでん)などで和の美しさ、とくに「京の雅」を感じさせる工具「nepros漆ラチェットハンドル」がすごい!

もう美術品! 価格も美術品!

 これはもう芸術品。使うのはもったいないけど、コレで仕事できるなら休日返上OK! ってなぐらいのアイテムだ。金箔や貝を使ったものは22万~47万円の美術品。でもちょっとお安い(笑)モデルは54,000円と、がんばれば手の届く範囲。

春夏秋冬をイメージしたラチェットハンドルは54,000円なので、がんばれば……

 実際にお安いほうを使って見たが、ハンドルの端に縄が巻かれていて、しっかりハンドルをグリップできるので、太いボルトでもしっかりトルクをかけて締められる。漆の美しい輝きに、木のグリップがしっかり手になじむ最高級のラチェットハンドルだ。本当にコレほしいわー!

 そんなKTCのなかでも最高級のツールneprosだけを集めた展示室もある。

neprosの展示室に入るには、ドアをラチェットハンドルで回す。新しいセキュリティ!

 「KTCものづくり技術館」の一角に作られた「nepros museum360°」。こちらはかなり工具に詳しい人でなければ楽しめず、入場記念としてneprosのソケットレンチを1個貰えるという特典があるので、小学生以上は入場料が500円別途必要になる。Amazonなどでneprosのソケットの価格を調べれば一発でおわかりかと思うが、入場料の500円じゃ買えないということだけお伝えしておこう。

より広い面でボルトをつかむnepros
さまざまな工具に展開されているnepros。実際に使って、小気味よさと持った感じを試してほしい

 この記事を見てneprosってそんなに「スゲーのか?」と疑問を持ったり、「お店でふれるチャンスがない!」という方は、ぜひ入場して体感すれば、なぜneprosがプロに愛されているのかがわかるだろう。neprosがボルトの頂点ではなく、面を捉えている説明などを見れば、工具としてのすばらしさを理解できるはずだ。

世界的にもめずらしい材料から製品までの一貫生産

 工場見学では材料から完成品までのすべての工程が見られる。一般的な工具は、鍛造(圧力をかけて成形)や熱処理(焼きいれや焼き戻しなど、強度を与える工程)など、工程の一部を別な会社が行なうことが多い。しかしKTCは、各工程の機械を自社保有しているだけでなく、各工程の職人がいるので、世界的にもめずらしい一貫生産ができるのだ。

 それゆえ、途中の工程で問題があれば、スグに前の工程に戻って検査でき、つねに最高品質の製品が作れるという。

1,000℃に加熱された母材を、手で機械にかけ、タイミングを見計らって2,000tの圧をかけて鍛造。熱間鍛造
こちらはソケットなど小さな部品を作る冷間鍛造。熱を加えないので、母材の肌感を損なわないという

 工場見学では、「熱間鍛造」という母材を1,000℃まで加熱して、2,000tの圧力をかけ生成する方法と、冷間鍛造という常温でプレスして成形する工程が見られる。

 鍛造した部品によっては、コンピュータによる自動切削機械にかけて、穴を開けたり余分な部分を切り取ったりする加工を行なう。その後熱処理という工程で、工具ごとに必要な金属の硬さと粘りを持たせるために、よく耳にする焼入れと焼き戻しを行なう。

焼入れと焼き戻しを行ない、金属の分子を安定させる。工具ごとに硬さと粘りを買える、連続熱処理機

 KTCの工具らしいピカピカの表面処理過程はココから。まず表面を研磨し、自社内のめっきラインで何重にもめっきをする。neprosの工程は、このラインがさらに複雑かつ職人技を必要とする工程が加わる。

こちらはneprosに行なわれるドーナツバレル研磨。研磨工程だけで5時間半かかる。通常の工具は、一般的な振動バレルという機械も使われ1時間研磨する
最後に3層のめっきしてピカピカの工具となる

PCユーザーにオススメする「バンドホールドニッパ」と「プライヤ」

 KTCのいろいろな工具を見せていただいたなかで、自らも自作PCを組み立てる広報の鳥嶋さんが、PCユーザーにぜひ使ってほしい工具があるという。それは「バンドホールドニッパ」という工具。

左 : 自らも組み立てPCをするという京都機械工具 次世代開発本部 ブランド戦略部 マーケティンググループの鳥嶋 勲マネージャー。右 : 同じくマーケティンググループの仲 あずささん
見た目はまったく普通のニッパ

 PC内部の電線をまとめるために結束バンドを使っている人が多いだろう。チリチリと縮めるだけでケーブルをケースに固定できるので非常に便利だ。さてそんな便利な結束バンドだが、普通のニッパで余ったバンドを切断すると面倒なことに!

一般的なニッパを使うと切ったバンドが思いっきり、どこかに飛んでいく! 切れ端が見つかるならまだいい方で、だいたいなくなる
バンドホールドニッパだと、切れっ端をニッパが咥えたまま! なにっ!
秘密は簡単なしくみだけど、これ最高!

 切断した瞬間、切れ端がパチーン!と飛んでいってしまう。もう組み立てPCユーザーあるあるネタ!(笑)。でもバンドホールドニッパで切断すると! なんと切れ端が飛んでいかず、ニッパが咥えたままになる! その秘密は、見ちゃうと「なーんだ!」だが、コレ画期的!

一般的なニッパで切った断面。超尖ってて、HDD増設したときなんかは、手の甲が傷だらけの血だらけに(笑)
バンドホールドニッパの切断面。フラットになっているので、手を怪我しない

 しかも通常のニッパは両刃になっているので、切断面が尖ってしまい、PCのなかに手を入れると切断面で手の甲が傷だらけ!なんてこことも。これも組み立てPCユーザーのクソあるある!(笑)

 でもバンドホールドニッパは片刃なので、残った結束バンドに鋭利な部分はなく、切断面がフラットになるので。手が血まみれになることがないのだ! スゲー!

その秘密は一般的なニッパが両刃になっているのに対し、KTCのバンドホールドニッパは片刃なので断面が尖らず、ロック機構ギリギリで切れるので出っ張りが出ない

 もちろんスパナやソケットレンチなどPCの組み立てに便利。ミリだけでなくインチにも対応しているので、ネジを舐めてしまうこともない。なおソケットレンチを買おう! という方にアドバイス。自作PCではそれほどネジを強く締める必要がないので、6.3sqというサイズで十分。でも自転車や車もいじりたい場合は、汎用的な9.5sqというサイズがいいだろう。

ラチェットのサイズは、ソケットを差し込む部分の大きさが何種類かある

 さらにオススメしたいのはプライヤだ。ちょっとしたものをつまんだり、曲げたりするのに便利なプライヤは、ぜひ1本そろえておきたい工具。先日の工作記事でも、ピアノ線の切断にプライヤを使ったが、ペンチよりも便利に使えるのがプライヤだ。

一般的なプライヤ。ハンドルエンドがせまい
KTCのプライヤ。ハンドルのエンド部分が開いているので、手のひらの肉をはさまない

 KTCのプライアの特徴はハンドルのエンド部分。通常のプライヤは口を大きくすると、ハンドルのエンドがせまくなり、つい力を入れて握ると、手のひらを思いっきりはさんでしまうことがある。

 しかしKTCのプライヤは、エンドに隙間が開いたままなのでケガの心配なし。さらにグリップが少し太めなので、ピアノ線や針金ハンガーの切断や曲げ加工など、力を入れやすく作業がしやすい。加えて遊びが少ないので、かなり細い針金でも切断できそうだ。ちょっとした水道工事などにも使えるプライヤはぜひオススメ!

遊びも少なくしっかり。刃も他とは違いシャープで複雑になっているので、なんにでも食らいつく

 同様に小さいネジなどをつかむラジオペンチもオススメしたいアイテムだ。

 また、一般の方にはあまりオススメするものではないが、パイプのカットをよくする方に、筆者が個人的にオススメしたいのが、「ラチェット式」のパイプカッター。普通のパイプカッターは、チョイチョイ刃の径をツメで、ぐるぐるカッターを回して切断する。

一般的なパイプカッター。ぐるぐる回すのがたいへんで、力もかかる。何本も切るとかなり疲れる
KTCのパイプカッターはラチェット式。ハンドルもついているので力もかけやすく、腕を痛めることもない

 でもKTCのパイプカッターは、ラチェットになっているので送り角が少なくて済む。しかもラチェットハンドルのように長さがあるので、力を入れやすく、じゃんじゃんパイプが切れる!エアコン工事や水道工事、筆者のようにスペーサを自分で作る人などは重宝するはずだ。

エンジニアになった新社会人や大学生のプレゼントに!

 何十年も前から趣味でアルミなどの金属加工もやってきた俺(笑)。しかも女の子にモテたい一心で、車は2人乗りのスポーツカー、トヨタMR-2スーパーチャージャー(AW11)なんかに乗ってたりしたので、当然車もいじりますわ。時効だから言うけど、足回りを固めて、HKS(の車検通らない)マフラー入れて、ブイブイ走ってました……。

何十年間かで集めた工具。ほかにもいろいろあるけど工具箱にしまってあって全部は撮れない……

 そんなわけで物書きのくせして、工具にはえらくお金をつぎ込んできている。そんな筆者からアドバイスさせてもらえるなら、まずこう言いたい。

  • 初心者こそいい工具を買え! いい工具は腕の未熟さをカバーしてくれる!

 工具は文房具と同じで「いいものは一生モノ」だし、「いい工具は腕の未熟さをカバーしてくれる」。これ経験則からだけど、マジ本当。

 おそらくほとんど人が工具のブランドを気にすることはないだろう。ともすれば100円ショップの工具で済ませてしまう人も多いはず。

アクティブツールバッグ(L)セット。車から一般的な工作まで
ボクがもらってうれしいのはコレ! nepros 9.5sq.ソケットレンチセット 26点セット

 でもKTCの作る工具のように、いいものを使うことでいい結果が得られるのは間違いない。ぜひブランドにも気を使ってほしい。

 この春からエンジニアになった新社会人、エンジニア系の学部に入学した人へのプレゼントに困っている方。食べ物や家電なんかをプレゼントするより、ぜひ工具セットをプレゼントしてあげてほしい。お嫁に行くときに包丁を送るのと同じ感覚。

 もらった方もきっと喜んでくれるはず。もちろんKTCの工具セットね!

 最後に余談になるが、絶対ツッコミが来そうなので、あらかじめお答えしておこう!「なぜスナップオンじゃなくてKTCなのか?」

 それはインチを使う国が大嫌いだから(笑)。