藤山哲人と愛すべき工具たち
ウルトラ快適なマウス環境は「フッ素加工まな板パッド」&「無線風味有線マウス」で作れる!
2019年2月20日 06:00
前編では市販されているマウスをツルツルに改造するキットを使って、氷上を滑るようなマウスに改造する方法をお伝えした(愛用マウスのソールを劇的改善でツゥルンつぅるんに!参照)。おそらくマウス肩こりなど、マウスに悩みを抱えている方の7割は、問題が解消されたことだろう。
しかし「なおも肩が重い!」というような方は、記事を読むより、お経を読んでいただきたい。憑いてます! きっと!
それはさておき、今回はさらなる高みを目指して、「オリジナルのすべるマウスパッド」&「無線風の有線マウス」に改造してみよう。
しかし2月のこの時期に「すべる!」、「すべる!」言ってて、クレーム来ネーかな? 2次募集だから、ホント後がないからねー。がんばれ受験生諸君! 俺は2次でも落ちた!(笑)。
エセ「エアーパッドプロIII」を作る材料を集めよう!
前回紹介したマウスをツルツルに改造するキット「エアーパッドプロIII(究極セット)」には、マウスのソール(マウスの裏に貼るツルツルシール)とともに究極にすべるマウスパッドが付属している。でも1年も経過するとマウスパッドの表皮加工がはがれて、買いなおさなければならない。
まぁ買い直してもいいんだが、なんとなく作れそうな気がするので自作して見ようという話だ。ぶっちゃけ「エアーパッドプロIII」のパチモンを作れネーかな?と。
用意するのは、表面がざらざらしたプラスチック樹脂。たとえば100円ショップで買える「まな板」。表面がおうとつのエンボス加工がされているので、マウスのソールとの接触面積が減りスベリがいい。「まな板デカ過ぎっ!」という方なら、無印良品のA5サイズのリングノートのように、ざらざらした樹脂製の表紙がついたメモ帳の表紙を切り取ってもいい。他にもざらざらした下敷きなども使えそうだった。
「我は庶民と異なる貴族である!」という傲慢、いや高貴な方は、「シボ加工」や「ブラスト加工」された金属板を使ってもいいだろう。比較的新しい電車の手すり(大阪メトロの長堀鶴見緑地線の柄が入った手すり(ステンレス)、山の手線のE231、E235系の網棚の両サイドの支柱(アルミ)などで、マット調(つや消し)になっている部分が、これらの加工が施されたものだ。
このような表面加工された部材は、表面がおうとつになっているのでスベリがいい。アルミにするなら、マウスパッドに一番いいのは厚み1mmのものだろう。なお、一般的なDIYショップでは購入できないので、「アルミライ」のような専門の通販サイトから購入するといい。
ガラコや歯磨き粉じゃダメ!ドライ系のフッ素コートスプレー
マウスパッド用の樹脂や金属の母材を選んだら、あとはフッ素加工するだけ。が! ちょっとここで注意が必要。DIYショップに行くと、車のフロントガラスに塗り込むとワイパーを動かさなくても雨水をはじく、フッ素配合の「ガラコ」などが手に入る。またドラッグストアに行けば、フッ素コート材配合の歯磨き粉がある。
実際試作を作って見たが、ガラコは油分が付着するので返ってマウスの動きが悪くなっちゃう。歯磨き粉は、フッ素材が少ないのかほとんど効果がなかった。
そこで「ドライタイプ」のフッ素樹脂スプレーを使う。ドライじゃないタイプは、ガラコと同じで油分が残るため、マウスパッドには向いていないのだ。
今回使ったスプレーは、「住鉱 ドライコート2400(PTFE配合 乾性皮膜潤滑剤)」だ。ほかにも「住鉱 スミロン2250スプレー(PFOAフリー PTFE高濃度配合被膜)」なども使えそうだった。価格はどちらもAmazonで1,500円程度。
これらはAmazonにて1,500円程度で購入できる。また現場用の部材を販売している「MonotaRO」などサイトには、豊富なラインナップがそろっていた。ただ本家のモノタロウは、事業者向けなので会社などのアカウントが必要。もし個人的に購入する場合は「IHC.MonotaRO」を使うといい。
自分で表面をフッ素加工!
マウスパッドに使う母材と、ドライタイプのフッ素コートスプレーを手に入れたら、いよいよオリジナルのマウスパッドの製作に入る。
(2)スプレー缶をよく振り、母材から10cmほど離して塗装
フッ素スプレーのなかには、微粒子状になったPTFEの粉末が溶け込んでいるので、よく振ってからスプレーすること。だいたい母材から10cmほど離して左右に4回ほど吹いてやるといい。スプレーに慣れていない人は20cm以上離して倍の8回ほど吹いてやる。
風のある外でやる場合は、なるべく壁など風をさえぎるものの近くでスプレーすること。横風を受けてスプレーするとムラができたり、ぜんぜんスプレーが乗らなかったりする
(4) (2)と(3)の工程をだいたい4回ぐらい繰り返す
4回ほど重ね塗りして皮膜を熱くしていく。まな板やシボ加工された金属などは、谷間になっているところが深いので、6~8回ほど重ね塗りしても大丈夫そう。リングノートの表紙など、おうとつが浅いものは4回ぐらいに留めておいたほうがいい。あまりやりすぎると、せっかくのおうとつが塗料で埋まってしまうから。
有線マウスを無線風にする
無線マウスは電線がないので、せまい机の上でもスイスイ動かせる。しかし電池が入っているので、有線マウスに比べるとどうしても重い。一方有線マウスは、軽くて肩がこらないが、電線が書類に引っかかったり、PCまでつながる電線が机を這っていたりで、操作しているとイラッ☆となることがある。
そこでどうするか? 電池のない無線マウスを作るのは、技術的に困難。しかし無線風味の有線マウスなら小学生の工作レベルで十分作れるので、ここで紹介しておこう。
また作る前に、筆者と約束してほしい。「無線風有線マウスを作る前に、机を掃除すればいいのでは?」と思ったり、ましてや口にしないように! その時点で負けだ!
必要なの部品と工具は以下のとおり。
- ピアノ線 : 太さ0.7mm程度、30~40cm程度
- プライヤ
- 固定用のネジやガムテープなど
ピアノ線はホームセンターなどのDIY店に行けば、たいてい売っているので注意深く調べてほしい。針金のコーナーに行くと、直径20cmぐらいに束ねたいろんな針金が売っているが、ちょっと外れたコーナーにあるはず。
どんなピアノ線を購入しても長さは十分にあるので問題ないが、太さには注意。オススメは直径0.7mm程度。0.5mmだと細すぎて、硬いマウスのケーブルや太めのマウスケーブルが支えられない。逆に太さ1mm近くあると、太いマウスのケーブルでも十分支えられるけど、切ったり曲げたりの加工がたいへんになる。
ピアノ線は、もともとピアノの音を出す金属の針金だが、バネの材料に使われる針金なので、凄く収縮し加工が面倒なのだ。それもあって道具には、ペンチではなくプライヤを利用している。
さてここで「無線風味マウス」を作る前に、まず完成イメージを紹介しておきたい。
ご覧のとおり。要はよくしなるピアノ線を使って、釣ざおのようなものを作るというわけ。ピアノ線の片方にマウスの電線を引っ掛け、もう一方は机やデスクスタンドなどに固定。木製の机に固定するなら木ネジなどを使って固定してもいいし、デスクスタンドなど固定するなら10cmぐらいをガムテープで固定するといいだろう。
というわけで、まずは自分の机の環境に合わせて、ピアノ線の長さを決めてほしい。しなる竿部分は、だいたい30cmぐらいを目安にして、固定する部分をそれに加えるという感じだ。
(1)ピアノ線を切断
ピアノ線は非常に硬いので、0.7mmもあるとニッパやペンチの刃がこぼれてしまう。もしワイヤーカッターがあれば、それを使ってもいいが、一番安いプライヤを使って切るといい。このときプライヤのグリップで手のひらの肉を挟まないように注意してほしい。
マウスでお悩みの方はぜひ試してみて!
前後編の2回にわたってご紹介してきた、すべるマウスに改造してマウスの肩こりとかなんやらを解消しよう! という企画はいかがだっただろうか? 「PCに換気扇つけて真夏の熱暴走に備えるぜ!」という企画(猛暑に備えて超冷却。PCのファンを25cmの換気扇に換装する【後編】参照)よりは少しまとも(?)なので、ぜひお試しあれ!
次回は知ってる人は知っている! 知らない人はまったく知らない(笑)の、京都機械工具、通称「KTC」にお邪魔させてもらうことが決定!
KTCといえば、ソケットレンチやスパナの「ルイビトン」、「シャネル」、「カルバンクライン」っていうぐらい、憧れの高級ツールメーカーだ。逆に自動車修理などの携わっているプロにとっては、普段使っているツール。つまりプロユースってワケ。
こんなショボイ連載なのに、普段は非公開の工場内部まで見せてくれるということなので、期待してほしい!