藤山哲人と愛すべき工具たち

ウルトラ快適なマウス環境は「フッ素加工まな板パッド」&「無線風味有線マウス」で作れる!

オリジナルのすべるマウスパッド。別名「フッ素加工 まな板」

 前編では市販されているマウスをツルツルに改造するキットを使って、氷上を滑るようなマウスに改造する方法をお伝えした(愛用マウスのソールを劇的改善でツゥルンつぅるんに!参照)。おそらくマウス肩こりなど、マウスに悩みを抱えている方の7割は、問題が解消されたことだろう。

 しかし「なおも肩が重い!」というような方は、記事を読むより、お経を読んでいただきたい。憑いてます! きっと!

 それはさておき、今回はさらなる高みを目指して、「オリジナルのすべるマウスパッド」&「無線風の有線マウス」に改造してみよう。

「無線風有線マウス」

 しかし2月のこの時期に「すべる!」、「すべる!」言ってて、クレーム来ネーかな? 2次募集だから、ホント後がないからねー。がんばれ受験生諸君! 俺は2次でも落ちた!(笑)。

エセ「エアーパッドプロIII」を作る材料を集めよう!

 前回紹介したマウスをツルツルに改造するキット「エアーパッドプロIII(究極セット)」には、マウスのソール(マウスの裏に貼るツルツルシール)とともに究極にすべるマウスパッドが付属している。でも1年も経過するとマウスパッドの表皮加工がはがれて、買いなおさなければならない。

 まぁ買い直してもいいんだが、なんとなく作れそうな気がするので自作して見ようという話だ。ぶっちゃけ「エアーパッドプロIII」のパチモンを作れネーかな?と。

本物の「エアーパッドプロIII」。これマジで滑るんだよねー

 用意するのは、表面がざらざらしたプラスチック樹脂。たとえば100円ショップで買える「まな板」。表面がおうとつのエンボス加工がされているので、マウスのソールとの接触面積が減りスベリがいい。「まな板デカ過ぎっ!」という方なら、無印良品のA5サイズのリングノートのように、ざらざらした樹脂製の表紙がついたメモ帳の表紙を切り取ってもいい。他にもざらざらした下敷きなども使えそうだった。

100円ショップに行くとマウスパッドになりそうなものが、たくさん手に入る。会社や学校で使うなら、みんなが驚く奇抜なものを選ぼう! モテたいなら可愛いのがオススメ!

 「我は庶民と異なる貴族である!」という傲慢、いや高貴な方は、「シボ加工」や「ブラスト加工」された金属板を使ってもいいだろう。比較的新しい電車の手すり(大阪メトロの長堀鶴見緑地線の柄が入った手すり(ステンレス)、山の手線のE231、E235系の網棚の両サイドの支柱(アルミ)などで、マット調(つや消し)になっている部分が、これらの加工が施されたものだ。

電車の写真がなかったので、家にあった工具の写真。持ち手の部分がつや消しになっているが、ここがシボ加工されたところ。何気なくKTCのツールを出して自慢するあたりが俺のイヤラシイところ

 このような表面加工された部材は、表面がおうとつになっているのでスベリがいい。アルミにするなら、マウスパッドに一番いいのは厚み1mmのものだろう。なお、一般的なDIYショップでは購入できないので、「アルミライ」のような専門の通販サイトから購入するといい。

アルミの表面にブラスト加工されているのでおうとつができている。このアルミライのWebサイトではカラーバリエーションも選べる。なお表面に硬化皮膜を作るアルマイト加工はしなくてもOK

ガラコや歯磨き粉じゃダメ!ドライ系のフッ素コートスプレー

 マウスパッド用の樹脂や金属の母材を選んだら、あとはフッ素加工するだけ。が! ちょっとここで注意が必要。DIYショップに行くと、車のフロントガラスに塗り込むとワイパーを動かさなくても雨水をはじく、フッ素配合の「ガラコ」などが手に入る。またドラッグストアに行けば、フッ素コート材配合の歯磨き粉がある。

 実際試作を作って見たが、ガラコは油分が付着するので返ってマウスの動きが悪くなっちゃう。歯磨き粉は、フッ素材が少ないのかほとんど効果がなかった。

フッ素配合のガラコは、油分が付着するので、マウスのスベリが悪くなる
歯磨き粉は、安全性を考慮しフッ素が少ないのか、まったく効果なし。「高濃度」って書いてあるのにな。チッ!

 そこで「ドライタイプ」のフッ素樹脂スプレーを使う。ドライじゃないタイプは、ガラコと同じで油分が残るため、マウスパッドには向いていないのだ。

 今回使ったスプレーは、「住鉱 ドライコート2400(PTFE配合 乾性皮膜潤滑剤)」だ。ほかにも「住鉱 スミロン2250スプレー(PFOAフリー PTFE高濃度配合被膜)」なども使えそうだった。価格はどちらもAmazonで1,500円程度。

今回使った「住鉱 ドライコート2400」。ちょっと大きめのスプレー缶(500ccのペットボトルサイズ)なので、何枚も作る場合や実験する場合にはオススメ
住鉱 スミロン2250」こちらのほうが高濃度PTFE(すべる成分)なので、容量も少なくちょうどいいサイズかも。住友のテフロンだから「スミロン」なんだな……。ネーミングセンスが炸裂してて、開いた口が……(笑)

 これらはAmazonにて1,500円程度で購入できる。また現場用の部材を販売している「MonotaRO」などサイトには、豊富なラインナップがそろっていた。ただ本家のモノタロウは、事業者向けなので会社などのアカウントが必要。もし個人的に購入する場合は「IHC.MonotaRO」を使うといい。

IHC.MonotaROで「フッ素 スプレー ドライ」で検索してみた。さすがAmazonより豊富な品揃え!

自分で表面をフッ素加工!

 マウスパッドに使う母材と、ドライタイプのフッ素コートスプレーを手に入れたら、いよいよオリジナルのマウスパッドの製作に入る。

(1)母材の油分を落とす

 マジックリンなどの家庭用中性洗剤でもいいし、食器洗い洗剤でもいい。母材についている油分を洗い流す

これらの母材には、機械で生産したときの油分が必ずついているので、塗装前に洗うこと。今回はアルコールでザッと拭いた

(2)スプレー缶をよく振り、母材から10cmほど離して塗装

 フッ素スプレーのなかには、微粒子状になったPTFEの粉末が溶け込んでいるので、よく振ってからスプレーすること。だいたい母材から10cmほど離して左右に4回ほど吹いてやるといい。スプレーに慣れていない人は20cm以上離して倍の8回ほど吹いてやる。

 風のある外でやる場合は、なるべく壁など風をさえぎるものの近くでスプレーすること。横風を受けてスプレーするとムラができたり、ぜんぜんスプレーが乗らなかったりする

だいたい10cmほど離してスプレーする。写真は塗装部分と未塗装部分を比較するために、半分だけマスキングしている
折り返しターンするのは、母材からはみ出してから。母材の両端でターンすると、そこだけ塗料が厚くなっちゃうので注意

(3)スプレー缶に書いてあるとおりの時間乾かす

 必ず乾燥時間が書かれているので、皮膜がしっかり硬化するまで待つ。あせりは禁物。

冬場は乾燥しているので、加湿器をつけずに部屋のなかに置いておけば、1~2時間で硬貨する。そんなに有機溶剤のニオイはしなかったが、気になる人は外で4~6時間乾燥を

(4) (2)と(3)の工程をだいたい4回ぐらい繰り返す

 4回ほど重ね塗りして皮膜を熱くしていく。まな板やシボ加工された金属などは、谷間になっているところが深いので、6~8回ほど重ね塗りしても大丈夫そう。リングノートの表紙など、おうとつが浅いものは4回ぐらいに留めておいたほうがいい。あまりやりすぎると、せっかくのおうとつが塗料で埋まってしまうから。

わずかに乳白色なので、下地に色がついているものに重ね塗りすると、パステル系の色になっちゃうかも?

(5)完成したらさっそく使ってみよう!

 フッ素スプレーしていない裏面と加工面を使い分ければ、細かい作業向け、普段使い向けのように使い分けできるだろう。フッ素加工した面は、もの凄くすべる!

【未処理面】
未加工のまな板は13度で滑りはじめ。これでも結構滑るじゃん!
未加工のリングファイルの表紙も同じ12.6度。未加工でも結構すべるモンだなぁ
【フッ素加工面】
フッ素コートしたまな板は9度で滑りはじめた
フッ素コートしたリングファイルの表紙は、接触部分が多いのか10度で滑りはじめ
【エアーパッドプロIII】
んー! さすが本物はさらにスベル! 4.6度で滑り出すためには、まだまだ素材選びに精進しなくては!

有線マウスを無線風にする

 無線マウスは電線がないので、せまい机の上でもスイスイ動かせる。しかし電池が入っているので、有線マウスに比べるとどうしても重い。一方有線マウスは、軽くて肩がこらないが、電線が書類に引っかかったり、PCまでつながる電線が机を這っていたりで、操作しているとイラッ☆となることがある。

有線マウスの一番の問題は、電線が机の上のものに引っかかって、マウスが動けなくなること

 そこでどうするか? 電池のない無線マウスを作るのは、技術的に困難。しかし無線風味の有線マウスなら小学生の工作レベルで十分作れるので、ここで紹介しておこう。

 また作る前に、筆者と約束してほしい。「無線風有線マウスを作る前に、机を掃除すればいいのでは?」と思ったり、ましてや口にしないように! その時点で負けだ!

 必要なの部品と工具は以下のとおり。

  • ピアノ線 : 太さ0.7mm程度、30~40cm程度
  • プライヤ
  • 固定用のネジやガムテープなど
ホームセンターで買えるピアノ線。もしかしたら、模型店に行くと1mのまっすぐなピアノ線が手に入るかも?

 ピアノ線はホームセンターなどのDIY店に行けば、たいてい売っているので注意深く調べてほしい。針金のコーナーに行くと、直径20cmぐらいに束ねたいろんな針金が売っているが、ちょっと外れたコーナーにあるはず。

 どんなピアノ線を購入しても長さは十分にあるので問題ないが、太さには注意。オススメは直径0.7mm程度。0.5mmだと細すぎて、硬いマウスのケーブルや太めのマウスケーブルが支えられない。逆に太さ1mm近くあると、太いマウスのケーブルでも十分支えられるけど、切ったり曲げたりの加工がたいへんになる。

ニッパやペンチだと刃こぼれするので、必ずプライヤを使うこと。針金ハンガーぐらいの切断までできる

 ピアノ線は、もともとピアノの音を出す金属の針金だが、バネの材料に使われる針金なので、凄く収縮し加工が面倒なのだ。それもあって道具には、ペンチではなくプライヤを利用している。

 さてここで「無線風味マウス」を作る前に、まず完成イメージを紹介しておきたい。

筆者宅の卓。机に固定して釣ざおのようにマウスの電線を引き上げている
こんな感じのものを作ればOK

 ご覧のとおり。要はよくしなるピアノ線を使って、釣ざおのようなものを作るというわけ。ピアノ線の片方にマウスの電線を引っ掛け、もう一方は机やデスクスタンドなどに固定。木製の机に固定するなら木ネジなどを使って固定してもいいし、デスクスタンドなど固定するなら10cmぐらいをガムテープで固定するといいだろう。

机にネジで固定する場合は、タッピングのトラスネジがオススメ。長さは8mmもあればいい。一般的なタッピングのなべネジより、トラスネジのほうが、頭が大きいので雑な工作でいい!

 というわけで、まずは自分の机の環境に合わせて、ピアノ線の長さを決めてほしい。しなる竿部分は、だいたい30cmぐらいを目安にして、固定する部分をそれに加えるという感じだ。

(1)ピアノ線を切断

 ピアノ線は非常に硬いので、0.7mmもあるとニッパやペンチの刃がこぼれてしまう。もしワイヤーカッターがあれば、それを使ってもいいが、一番安いプライヤを使って切るといい。このときプライヤのグリップで手のひらの肉を挟まないように注意してほしい。

プライヤの根元にピアノ線を挟み
力を込めて握ると切断できる
噛みの悪いプライアだと切断できないが傷が入るので、数回折り曲げるとポキ!と切れる

(2)ピアノ線のクセを直す

 切断したピアノ線は丸まっているので、ある程度クセを直す。まっすぐにする必要はない。机の角などを利用するといい。

机の角などを利用して、少しずつクセを直していく
だいたいまっすぐになればOK

(3)プライヤ使って片方に電線を通せる丸い部分を作る

ピアノ線はしなやかなので、跳ねてケガをしないように注意すること。

ピアノ線の先っぽから少しずつ丸くする
電線を通しやすいように少し隙間をあけて2重の丸が作れればOK

(4)取り付け用の部分を加工する

 ネジでとめる場合はネジ穴と同じ大きさの丸を作る。テープなどで止める場合はギザギザ状にする

ネジで止める場合
テープで止める場合はこんな感じで

(5)マウスの電線を丸い穴に引っ掛け竿に絡める

 大まかな電線の長さの調整をして、ピアノ線の竿に電線を引っ掛ける。

電線の長さの微調整はあとでやるので、まず丸に電線を通す
ピアノ線に電線を4巻きほど絡める

(6)ピアノ線を土台に固定

 机やスタンドなど、高さのあるものにピアノ線を固定しする。

木材に固定する場合は、タッピングのトラスネジが便利
ディスプレイのネジを借りちゃうのもアリ
ガムテープで固定する場合は、しっかりテープで止める。粘着力が強力なアルミテープやダクトテープもオススメ

(7)マウスの電線の長さを調整する

 マウスの電線が机にかからないように調整して完了。

マウスと竿の先端の長さを調整。マウスをある程度動かして見て、引っかからない程度の余裕を持たせる
あまった電線は竿に絡め長さを調整する

 これで完成。マウスの電線は机を引きずることがないので、ものに引っかかることなく快適な操作ができる。さらに電線の重さはすべてピアノ線が支持するので、優先のときより軽くなる。

 どうだ! これ以上軽いマウスを作ろうと思ったら、あとはエアーホッケー方式ぐらいしかない! 実際に作ったぜ! という方は、ぜひ編集部まで写真をメールで送ってほしい! 豪華景品が、もらえたり、もらえなかったりするはずだ。

マウスでお悩みの方はぜひ試してみて!

 前後編の2回にわたってご紹介してきた、すべるマウスに改造してマウスの肩こりとかなんやらを解消しよう! という企画はいかがだっただろうか? 「PCに換気扇つけて真夏の熱暴走に備えるぜ!」という企画(猛暑に備えて超冷却。PCのファンを25cmの換気扇に換装する【後編】参照)よりは少しまとも(?)なので、ぜひお試しあれ!

 次回は知ってる人は知っている! 知らない人はまったく知らない(笑)の、京都機械工具、通称「KTC」にお邪魔させてもらうことが決定!

K・T・C!! K・T・C!!

 KTCといえば、ソケットレンチやスパナの「ルイビトン」、「シャネル」、「カルバンクライン」っていうぐらい、憧れの高級ツールメーカーだ。逆に自動車修理などの携わっているプロにとっては、普段使っているツール。つまりプロユースってワケ。

 こんなショボイ連載なのに、普段は非公開の工場内部まで見せてくれるということなので、期待してほしい!