西川和久の不定期コラム
NECパーソナルコンピュータ「VALUESTAR N VN970/SSB」
~3波チューナ×5とヤマハ製ステレオスピーカーを内蔵した液晶一体型PC
(2014/5/28 06:00)
NECパーソナルコンピュータは4月26日、デスクトップPC夏モデルとして、リニューアルした「VALUESTAR N」、「VALUESTAR S」を発表した。計5モデル中、編集部から「VALUESTAR N」の最上位モデルが送られてきたので、試用レポートをお届けしたい。
3波チューナ×5を搭載した上位モデル
今回発表されたのは、23型でCore i7、タッチパネルや3波チューナ×4+1を搭載したVALUESTAR N上位モデル 「VN970/SS」と、タッチパネルが省略され、3波チューナ×2の「VN770/SS」。前者のカラーバリエーションはファインブラックのみ、後者はクランベリーレッド、ファインホワイト、ファインブラックの3色が用意されている。
「VALUESTAR S」はパネルが21.5型、プロセッサがCore i5で3波チューナ×1の「VS570/SSB」、プロセッサをCeleronにした「VS370/SS」、そしてTVチューナ非搭載の「VS350/SSW」の3モデルの構成となる。
今回手元に届いたのは、最上位モデルとなるVALUESTAR N「VN970/SSB」。主な仕様は以下の通り。
【表】NEC「VALUESTAR N VN970/SSB」の仕様 | |
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プロセッサ | Core i7-4700MQ(4コア/8スレッド、2.4GHz/ Turbo Boost時3.4GHz、キャッシュ6MB、TDP 47W) |
メモリ | 8GB(DDR3L SDRAM/SO-DIMM 8GB×1、PC3L-12800対応、 デュアルチャネル対応可能)、2スロット(空き1)、最大16GB |
チップセット | Intel HM86 Express |
ストレージ | 3TB(5,400rpm) |
光学ドライブ | BDXLドライブ |
OS | Windows 8.1 Update(64bit) |
ディスプレイ | 23型ワイド フルフラットスーパーシャインビューLED IPS液晶(光沢)、 1,920×1,080ドット(フルHD)、10点タッチ対応 |
グラフィックス | プロセッサ内蔵Intel HD Graphics 4600、HDMI出力 |
ネットワーク | Gigabit Ethernet、IEEE 802.11ac/a/b/g/n、Bluetooth 4.0 |
その他 | USB 3.0×4、USB 2.0×2(内1つは電源オフ時給電対応)、 720p対応Webカメラ/ステレオマイク内蔵、SDカードスロット(UHS-II対応)、 3波チューナ×5(内1基は視聴専用)、B-CASカードスロット×1、音声入出力、 ヤマハ製ステレオスピーカー(3W+3W) |
サイズ/重量 | 約563~577×280~390×469~480mm(幅×奥行き×高さ)、約15.5kg |
その他 | ワイヤレスキーボード、ワイヤレスマウス、タッチパッドリモコンを付属。 Office Home and Business 2013インストール |
店頭予想価格 | 239,000円前後(税別) |
プロセッサはCore i7-4700MQ。4コア/8スレッドでクロックは2.4GHz。Turbo Boost時3.4GHzまで上昇する。チップセットはIntel HM86 Express。メモリスロットは2つあり、標準で8GB×1搭載し、空きが1つ。最大16GBまで対応している。OSは64bit版のWindows 8.1 Updateが適応済みだ。
ストレージは5,400rpmの3TB HDD。これだけあれば録画用途にも十分だろう。光学ドライブはBDXLドライブを搭載している。
グラフィックスはプロセッサ内蔵Intel HD Graphics 4600。ディスプレイは、23型ワイド フルフラットスーパーシャインビューLED IPS液晶(光沢)で、解像度は1,920×1,080ドット(フルHD)。外部出力用としてHDMIも装備。AV機器のHubとして利用することを考えると、できればHDMI入力も欲しかったところだ。
ネットワークは、有線LANがGigabit Ethernet、無線LANがIEEE 802.11ac/a/b/g/n、Bluetooth 4.0に対応している。
そのほかのインターフェイスは、USB 3.0×4、USB 2.0×2(内1つは電源オフ時給電対応)、720p対応Webカメラ/ステレオマイク内蔵、SDカードスロット(UHS-II対応)、3波チューナ×5(うち1基は視聴専用)、B-CASカードスロット×1、音声入出力、ヤマハ製ステレオスピーカー(3W+3W)。また付属するキーボード、マウス、タッチパッドリモコンは、全て無線式だ。
3波チューナ×5(内1基は視聴専用)の“内1基は視聴専用”とは、「ぱっと観テレビ」用となる。一般的にWindows上でのTVアプリは、Windowsとアプリの起動を待ってからしか操作できないので10秒単位の時間が必要だが、「ぱっと観テレビ」は、本体右上側面にある[テレビ]ボタンを押すと2秒ほどで視聴可能になる。また同時に裏でPCも起動しているので、気が付くとWindowsも操作可能になるという仕掛けも入っている。
夏モデルの特徴としては、過去に録画した番組のメタ情報からキーワードを抽出、嗜好性解析を行ない、一定の数値を超えたキーワードがある番組を自動録画する「嗜好性解析による自動録画機能」が搭載された。ただし学習には20~30番組を録画する必要があり、今回は試用期間の関係で十分な検証を行なえないため試していない。
そのほか前モデルとの違いは、SDカードスロットのUHS-II対応、無線LANのIEEE 802.11ac対応などが挙げられる。
サイズは約563~577×280~390×469~480mm(幅×奥行き×高さ)、重量約15.5kg。Office Home and Business 2013がインストール済みで、店頭予想価格は239,000円前後(税別)となる。なお、冒頭に書いた「VN770/SS」は209,800円前後(税別)だ。
筐体は周囲がシルバー、パネルのフチなど要所要所でブラック。細かい仕上げなど含め、流石は国産と言う印象のデザイン。付属するキーボード、マウス、タッチパッドリモコンもAV機器のようで、全体的に液晶TVのような雰囲気を持っている。
写真から分かるように、本体を支えているベースの部分は前後共に10cm以上飛び出しているのが印象的だ。本体が10kg以上とそれなりに重いため、安定させるのはこの程度の面積が必要なのだろう。
正面中央上にWebカメラ、下にヤマハ製ステレオスピーカー。右上側面に[テレビ]と[電源]ボタン。左側面に入力切り替え、チャンネル、音量、輝度、SDカードスロット、[CONNECT]ボタン、USB 2.0×2、音声入出力。右側面にBDXLドライブ。リアには、HDMI、アンテナ入力、電源入力、メモリスロット、Gigabit Ethernet、USB 3.0×4、B-CASカードスロットがある。付属のACアダプタは65×145×35cm(同)、609gと大きく、重めだ。
10点タッチ対応の23型ワイド フルフラットスーパーシャインビューLED IPS液晶(光沢)は、視野角はもちろん、輝度・コントラスト、発色全て良好だ。文句なしのレベルと言って良い。
ノイズや振動、発熱に関しては、試用している範囲では気にならなかった。逆に電源をオンにしても音がしないので、起動してないのかと勘違いするほど静かだ。
気になる点があるとすれば、ACアダプタ本体側のプラグが、割と簡単に抜けることだ。個体差があるかも知れないが、少し引っ張ると外れてしまうことがあり、バッテリを内蔵していない本製品の性質上、もう少しガッチリ固定できてもいいと思う。
サウンドに関しては、ヤマハの「AudioEngine」を搭載。同社が開発したDSPをソフト化したもので、音場の拡大、人の声を聞き取りやすくする音声強調、異なる音量のソースを自動調整する機能などの特徴を持つ。Realtek HD オーディオマネージャに「Yamaha」のタブが追加され、「Music」、「TV」、「Cinema」、「Live」、「Sports」の5つのプリセットが用意されている。
その実力はなかなかのものであり、一般的なPCから出る音とは明らかに次元が違う。スピーカーも3W+3Wと十分なパワーがあり、最大音量にするとうるさいほどだ。音楽を聞くにしてもTVや映画を観るにしても文句なしに楽しめるだろう。
強力なプロセッサに余裕のあるHDD容量
OSは64bit版のWindows 8.1 Updateとなっている。標準でメモリを8GB搭載していることもあり、ストレージがHDDの割に動きは軽い。
初期起動時のスタート画面は1画面、アプリ画面は2画面。どちらもデスクトップアプリが多めに構成されている。デスクトップは和風の壁紙に変更され、ショートカットが7つ、タスクバーへのピン止めが6つ。海外メーカー製は何もないシンプルなものが多いが、この辺りは国産ならではかもしれない。
HDDは3TB(キャッシュ64MB)の「WD30EZRX」。事実上C:ドライブのみの1パーティションで空きは2.6TB。BDXLドライブは「BD-MLT UJ260AF」だ。そのほか、Gigabit EthernetとWi-Fi、BluetoothはRealtek製、TVチューナは「ViXS PureTV-U ISDB-T Tuner」だ。
プリインストール済みのソフトウェアは、Windowsストアアプリは、「My Time Line」、「NAVITIME」、「NeroKwik」、「Smart Catalog」、「Play.net」、「コンテンツナビ」、「シュフーチラシアプリ」、「動画なび」、「動画なびOffice編」、「マカフィーセントラル」、「ヤフオク!」、「楽天gateway」など、一般的なアプリに加え、ナビ系が多いのが特徴的だろうか。
デスクトップアプリは、「SmartVision」、「Corel PaintShop Pro」、「CyberLink MediaShow」、「CyberLink PowerDVD」、「ECOモード設定ツール」、「G-GUIDE for Windows」、「Roxio Creator LJ」、「彩りプラスの設定」、「おすすめ設定」、「おてがるバックアップ」、「ソフト&サポートナビゲーター」、「パソコンのいろは8」、「ファイナルパソコンデータ引越し 9 plus」、「筆ぐるめ 21」、「ホームネットワーク」、「マカフィーリブセーフ」、「らくらく無線スタートEX」など。NECだけあって、初心者に優しそうなアプリが満載だ。
ベンチマークテストは「winsat formal」コマンドと、PCMark 8 v2の結果を見たい。CrystalMarkのスコアも掲載した(4コア/8スレッドで条件的に問題があるため参考まで)。
Windows エクスペリエンス インデックスは、総合 5。プロセッサ 8.1、メモリ 8.1、グラフィックス 5、ゲーム用グラフィックス 5.3、プライマリハードディスク 5.9。PCMark 8 v2は2848。CrystalMarkは、ALU 75719、FPU 68299、MEM 45148、HDD 16372、GDI 16942、D2D 5603、OGL 14463。
総合はIntel HD Grapics 4600のスコアに引っ張られているが、プロセッサ・メモリ共に8.1と十分以上の性能を備えている。グラフィックスは仕方ないとして、できればストレージをSSD+HDDとして、バランス良くしたいところだが、液晶一体型なので後から増設することはできない。
以上のように、NEC「VALUESTAR N VN970/SSB」は、Core i7-4700MQと3波チューナ×4+1を搭載した「VALUESTAR N」の最上位モデルだ。メモリ8GBでHDDは3TBと十分余裕もあり、液晶パネルとヤマハ製ステレオスピーカーのクオリティも良好。動画や音楽を十分楽しむことができる。
今時のPCとしては20万円超えと少し高価だが、そこはNECで国産、サポートも含め安心感がある。TVチューナ内蔵型の液晶一体型PCを探しているユーザーにお勧めしたい1台だ。