西川和久の不定期コラム
エプソン「DS-40」
~Wi-Fiを搭載し、iOSやAndroidへもダイレクトに取り込めるモバイルスキャナ
(2014/5/31 12:10)
エプソンは5月15日、単3形電池4本で駆動可能なモバイルドキュメントスキャナ「DS-40」を発表、22日より発売した。前モデルに相当する「DS-30」は2012年6月発売だったので、約2年ぶりの新モバイル製品だ。編集部から試作機が送られてきたので、試用レポートをお届けする。
DS-30より重くなったもののスピードアップしWi-Fi対応
約2年前に発表されたDS-30の特徴は、重量約325g、Evernoteなどクラウド連携にも対応したことだった。今では、いろいろなアプリでクラウド連携は当たり前となっており、今回DS-40ではWi-Fi(IEEE 802.11b/g/n)を搭載し、PCだけでなく、iOSやAndroid搭載デバイスとも直接接続できるように改良された。これによって利用範囲がグンと広がることは言うまでもない。
またスキャンスピードはDS-30の13秒/枚から8.5秒/枚に高速化された。後ほど紹介する動画からも分かるように、A4カラー/300dpiで約8秒。出先でスキャンするのも気にならない速さだ。主な仕様は以下の通り。
形式 | モバイル型単票シートフィードカラーイメージスキャナー |
---|---|
走査方式 | 読み取りヘッド固定型原稿移動読み取り |
搭載センサー/光源 | カラーCIS方式×1/RGB 3色LED |
光学解像度 | 600dpi |
読み取り解像度 | 50~1,200dpi(1dpi刻み) |
最大原稿サイズ | A4、USレターサイズ、リーガル、長尺紙 |
最大有効領域 | 216×356mm、長尺紙:216×914mm |
読み取り階調 | RGB各色16bit入力/8bit出力 |
給紙 | 片面のみ、読み取り速度200/300dpi、モノクロ/カラーに関わらず8.5秒/枚(A4) |
出力フォーマット | JPEG、PDF、TIFF/Multi-TIFF、BMP(Windowsのみ)、PICT(Macのみ) |
インターフェイス | Hi-Speed USB、 IEEE 802.11b/g/n |
電源 | 5V(USBバスパワー)、単3形電池4本 |
バッテリ駆動 | アルカリ乾電池使用時でA4用紙を約250枚 |
サイズ/重量 | 296×69×43mm(幅×奥行き×高さ、突起物含まず)/約515g(電池を含まず) |
店頭予想価格 | 1万円台半ば |
搭載センサーはカラーCIS方式×1、光源はRGB 3色LEDを採用。走査方式は読み取りヘッド固定型原稿移動読み取りとなる。
給紙は片面のみで、読み取り速度は200/300dpi、モノクロ/カラーに関わらず8.5秒/枚(A4)と冒頭に書いた通り、旧モデルからスピードアップしている。ADFは非搭載だ。
最大原稿サイズは、A4/USレターサイズ/リーガル/長尺紙、最大有効領域は216×356mm/長尺紙:216×914mmに対応する。
インターフェイスはUSB 2.0とIEEE 802.11b/g/nを搭載。出力フォーマットはJPEG、PDF、TIFF/Multi-TIFF、BMP、PICT。ただしTIFF/Multi-TIFF、BMP、PICTに関しては使用する環境によって異なる。
電源はUSBバスパワーと単3形電池4本だ。バッテリ駆動はアルカリ乾電池使用時でA4用紙を約250枚スキャン可能となっている。
サイズは296×69×43mm(幅×奥行き×高さ、突起物含まず)、重量約515g(電池を含まず)で、店頭予想価格は1万円台半ばと結構安い。
筐体は296×69×43mm(同)と片手で十分持てるほどコンパクトだが、見た目より重く感じる。実測値は526gで、単3アルカリ乾電池4本が約95gなので、加えると621gと、モバイルデバイスとしては結構な重量だ。残念なのは、重量がDS-30の約325gからかなり増量となってしまったことだろう。モバイル機器でのこの差は結構大きく、人によっては評価の分かれる部分だと思われる。iPhone 5sとiPad3とのサイズ比較は掲載した写真の通り。横幅は10.6型のSurface 2よりまだ若干広くなる。
前面右側にWi-Fi/AP/USBのモード切り換えスイッチ、背面にConnectボタン。上部は、電源ボタン、電池状態と無線LANの状態が分かるLED、スキャンボタンと並んでいる。左側面には何も無く、右側面に電源入力、USBを配置。バッテリは裏側にパネルがあり、それを外して入れる形式だ。
原稿の読み込みは、給紙ガイドを合わせ少し入れると自動的にスタート位置まで移動する。スキャン開始は、トップにあるスキャンボタンを押すか、アプリから指示することになる。実際の動作を動画で掲載したので参考にして頂きたい。ノイズや振動に関しては十分許容範囲に収まっていると言えるだろう。
画質に関しては、200dpiと300dpiでスキャンした画像の一部(800×600ドット)を等倍で掲載した。どちらも(用途にもよるだろうが一般的に)必要十分なクオリティで、加えて300dpiの方が繊細なのが分かる。
Epson DocumentScanでダイレクトにiOSやAndroidへ転送可能
付属のソフトウェアとして、PC用のスキャンソフト「Epson Scan」、メディアドライブ製名刺管理ソフト「やさしく名刺ファイリングエントリー4」などがあるものの、DS-40はWi-Fiを搭載し、iOSやAndroidから直接扱えるようになったので、こちらを中心に試用した。
「Epson DocumentScan」はiOSならApp Store、AndroidならGoogle Playから無料でダウンロードできるアプリだ。キーワード検索すればすぐに見つけることができる。どちらのアプリも分かりやすくマニュアルいらず。簡単に操作可能だ。使用したデバイスは手持ちの関係からiPad 3(もちろんiPhone 5sでも動作確認はしている)と、Nexus 7(2013)。
まず前段階として、Wi-Fiで接続しなければならない。Wi-Fiの作動モードは、一般的なルーター経由で接続する「Wi-Fi」モードと、直接接続する「AP mode」の2種類がある。前者は室内など既に無線LANがある環境、後者は屋外など無線LANが無い環境と、使い分けて接続する。
スキャナと言ってもWi-Fiデバイスなので、SSIDとパスワードを設定して、無線LANへ接続するのはどちらもモードでも同じだ。WPS/AOSSにも対応している。
Wi-Fiで接続できればDS-40を選択し、スキャンの設定パネルから、原稿サイズ/イメージタイプ/解像度/読み取り面、保存形式/保存先/ファイル名を指定する。
原稿のサイズは、A4(210×297mm)、Letter 8(1/2×11インチ)、Legal 8(1/2×14インチ)、B5(182×257mm)、B6(128×182mm)、A5(148×210mm)、A6(105×148mm)、A8(52×74mm)、名刺(89×55mm)、プラスチックカード(85.6×54mm)、自動。イメージタイプはカラー/グレー/モノクロ/自動、解像度は300dpi/200dpiから選択する。読み取り面は片面固定だ。
保存形式はPDF/JPEGの2種類に対応している。保存先は変更できず、ファイル名は自動的に割り振られるので気にする必要は無いだろう。
ファイル一覧では、スキャン後保存したファイルにアクセスできる。またアプリやクラウド連携も可能になっており、筆者のケースでは、「メールで送信」、「iBooksで開く」、「GoodReaderで開く」、「Chromeで開く」、「i文庫HDで開く」、「OneDriveで開く」、「Dropboxで開く」、「Evernoteで開く」、「Boxで開く」……が表示された(インストールしているアプリに依存)。
例えば今回は、DS-40でスキャンしたデータをOneDriveへ保存、PC側のOneDriveから該当ファイルをコピーし、前半の200/300dpiサンプルとしている。USBなど一切ケーブルを必要としないので、気軽にデータを扱うことが可能だ。iPad 3は既に結構古い機種になってしまったが、それでもサクサク快適に動作している。
参考までにAndroid版の「Epson DocumentScan」の画面キャプチャも一部掲載した。若干表示形式で異なる部分もあるが、機能は同じであり、いろいろなデバイスが混在している場合でも問題無くDS-40を利用できる。
以上のようにエプソン「DS-40」は、単3形電池4本で駆動可能なモバイルドキュメントスキャナだ。前モデルのDS-30ではWi-Fiが非搭載だったこともあり、接続範囲が限られていたものの、このDS-40はWi-Fiを搭載したことにより、iOSやAndroidからも使用可能になったのは大きい進化と言えよう。
DS-30と比較して少し重くなってしまったのは残念だが、小型軽量でいろいろなデバイスへも接続できるモバイルドキュメントスキャナを探しているユーザーにお勧めの1台だ。