西川和久の不定期コラム
東芝「dynabook T75/T」
~Windows 10を搭載し15.6型フルHD/2スピンドルのスタンダードノート
(2015/11/28 06:00)
東芝は9月3日、Windows 10を搭載した個人向け14モデルを一斉に発表した。今回はその中で最もボリュームゾーンになるであろう、15.6型フルHDのスタンダードノートPC「dynabook T75/T」が編集部から送られてきたので試用レポートをお届けしたい。
オーソドックスな15.6型フルHDノートPC
この日発表があったモデルは、ノートPCだけでも「dynabook T67/T」(17.3型)、「T54/T」(14型)、「T95/T」(15.6型4K)、そして15.6型の「T75/T」、「T55/T」、「T45/T」と結構な数がある。
今回ご紹介する「dynabook T75/T」は、T55/T、T45/Tの最上位モデル。T55/Tは主にプロセッサとメモリ、ストレージをスペックダウン、T45/Tはさらににパネルサイズそのままで解像度を1,366×768ドットにしてCeleron+DVDドライブへと変更している。価格は順に、195,000円前後、160,000円前後、130,000円前後。どれを選ぶかは予算や用途に応じてとなるだろうか。「dynabook T75/T」の主な仕様は以下の通り。
【表】東芝「dynabook T75/T」の仕様 | |
---|---|
プロセッサ | Core i7-5500U(2コア4スレッド、クロック 2.4GHz/3.0GHz、キャッシュ 4MB、TDP 15W) |
メモリ | 8GB(PC3L-12800)×1、2スロット(空き1)、最大16GB |
ストレージ | SSHD 1TB(5,400rpm+NAND型フラッシュメモリ) |
光学ドライブ | BDXLドライブ |
OS | Windows 10 Home(64bit) |
グラフィックス | プロセッサ内蔵Intel HD Graphics 5500 |
ディスプレイ | 15.6型IPS式1,920×1,080ドット(光沢あり)、HDMI |
ネットワーク | Gigabit Ethernet、IEEE 802.11a/b/g/n/ac、Bluetooth 4.0 |
インターフェイス | 約92万画素Webカメラ、USB 3.0×4、ブリッジメディアスロット、音声入出力、オンキヨー製ステレオスピーカー、デュアルマイク、ワイヤレスマウス |
サイズ/重量 | 380.0×259.9×23.5mm(幅×奥行き×高さ)/約2.3kg |
バッテリ駆動時間 | 約5.5時間 |
その他 | Office Home & Business Premium プラス Office 365サービス |
税別店頭想定価格 | 195,000円前後 |
プロセッサはBroadwell世代のCore i7-5500U。2コア4スレッドでクロックは2.4GHzから最大3.0GHz。キャッシュは4MBでTDPは15W。メモリは2スロットあり、PC3L-12800の8GB×1。最大16GBまで対応している。OSは64bit版のWindows 10 Home。
ストレージは1TB/5,400rpmとNAND型フラッシュメモリで構成されたSSHDだ。光学ドライブとしてBDXLドライブを搭載している。
グラフィックスはプロセッサ内蔵のIntel HD Graphics 5500。外部出力用としてHDMIを装備。ディスプレイは、光沢ありの15.6型IPS式1,920×1,080ドットでタッチには非対応となる。
ネットワークは、Gigabit Ethernet、IEEE 802.11a/b/g/n/ac。Bluetooth 4.0にも対応している。その他のインターフェイスは、約92万画素Webカメラ、USB 3.0×4、ブリッジメディアスロット、音声入出力、オンキヨー製ステレオスピーカー、デュアルマイク。ワイヤレスマウスも付属する。
サイズは380.0×259.9×23.5mm(幅×奥行き×高さ)、重量約2.3kg。バッテリ駆動時間は約5.5時間。Office Home & Business Premium プラス Office 365サービスが付属して、税別店頭想定価格は195,000円前後となる。
これからも分かるように「dynabook T75/T」は、以前ご紹介した「dynabook T95/T」のプロセッサをSkylakeからBroadwell、ディスプレイを3,840×2,160ドット(4K)/タッチありから1,920×1,080ドット/タッチなし、スピーカーをharman/kardonステレオスピーカーからオンキヨー製ステレオスピーカーへと変更した、15.6型2スピンドルのスタンダートノートPCという位置付けとなる。
カラーバリエーションは、リュスクホワイト、プレシャスブラック、サテンゴールド、モデナレッドの4種類。今回届いたのはリュスクホワイトだ。同じホワイトでも天板とパームレストを含むキーボードの周囲は光沢あり。画面のフチ、タッチパッド、側面、裏は光沢なしとメリハリを付けている。また付属するマウスはリュスクホワイトとサテンゴールドは白、他は黒と2種類用意。ちょっとしたこだわりがある。
前面は、液晶パネル中央上に約92万画素Webカメラを装備。前面側面右側にステータスLED。底面はメモリにアクセスできる小さいパネルを備えており、8GBモジュールが1枚装着済み、1スロット空きがある。左側面は電源入力、Gigabit Ethernet、USB 3.0×2、BDXLドライブ。右側面はHDMI、USB 3.0×2、音声入出力、ブリッジメディアスロットを配置。バッテリは内蔵し着脱できない関係から、後ろ側はスッキリしている。付属のACアダプタのサイズは約85×30×25mm、重量138gとTDP 15Wが効いているのか結構コンパクトだ。
ディスプレイはIPS式ということもあり視野角は良好。また明るさ、発色やコントラストも十分で、かなり高品質のパネルが使われていることが分かる。解像度は違えど、以前試用した「dynabook T95/T」とよく似た傾向だ。またバックライトを最小にしてもほどほど明るく、暗めの室内であれば十分作業可能だろう。
キーボードはテンキー付きのアイソレーションタイプだ。キートップの刻印がゴールドなのは意見の別れるところと思われる。また主要キーのキーピッチは約19mm確保されているものの、[Enter]キー周囲の多くのキーでピッチが狭くなっているのが気になる点だ。10キー付きとは言え、15.6型のフットプリントがあるので、もう一工夫欲しいところか。パームレストやタッチパッドの面積は十分あり、たわみもほぼ無いので、操作上の問題はない。
タッチパッドは1枚プレートタイプを採用している。ストロークは割と深めで、押すとコトコト音がする。ワイヤレスマウスも付属するので、用途や好みで使い分ければいいだろう。
振動や発熱、ノイズは試用した範囲では全く気にならなかった。フットプリントが広めな分、余裕があり対策がされている。
サウンドはカマボコレンジだが出力は大きい。最大にするとうるさいほど。スピーカーの位置もキーボード上のメッシュ部分に埋め込まれているので音がダイレクトに耳に届く。DVDやBD再生も迫力のサウンドだ。「dynabook T95/T」からスピーカーのブランドは変更されているものの、音の傾向はよく似ている。
爆速ではないがCore i7/8GB/SSHDでほどほどにバランスの取れたシステム
OSは64bit版のWindows 10 Home。メモリが8GBあるので、一般的な用途であればまずメモリ不足にはならないだろう。余談になるが、先日リリースされたWindows 10 TH2(Build 10586)では、更にメモリ効率が良くなっている。特に1~4GB搭載のPC(特にタブレット)には朗報だ。
初期起動時のスタート画面(タブレットモード)は、ブロックが3つ。一番左端がプリインストールとなる。デスクトップは貸出機でいろいろなところを回ってきたのか、ショートカットの一部のアイコンが表示されていないため参考程度にして欲しいが、いずれにしてもショートカット満載の国産機っぽい雰囲気になっている。
SSHDは1TB/5,400rpm/64MB/8GB(19mm NAND)東芝「MQ02ABD100H」を搭載。C:ドライブのみの1パーティションで約919GBが割り当てられ空きは873GB。Wi-FiとBluetoothはIntel製、Gigabit EthernetはRealtek製だ。
プリインストールのソフトウェアは、ストアアプリが、「ぱらちゃんカフェ」」、「楽天gateway」、「思い出フォトビューア」、「思い出フォトビューア クッキングプラス」、「TOSHIBA Media Player by sMedio TrueLink+」、「TripAdvisor Hotels Flights Restaurants」、「TruRecorder」、「TVコネクトスイート」、「シュフーチラシアプリ」、「あんしんWeb by Internet SagiWall」、「サポートに問い合わせるなど」、「dynabook T95/T」と同じ構成になっている。
なお、掲載した画面キャプチャは「dynabook T95/T」の時とは別のアプリを選んでいるので、興味のある方は、文末のリンクで参照していただきたい。
デスクトップアプリは、「Corel PaintShop Pro X7」、「Corel VideoStudio X7」、「CyberLink Power2Go 8」、「CyberLink SeeQVault Player」、「DTS Sound」、「i-フィルター 6.0」、「LoiLoScope 2」、「SmartAudio」、「WinZip」、「ウィルスバスタークラウド」、「筆ぐるめ 22」。
TOSHIBAフォルダには、Bluetoothリンク」、「PCあんしん点検ユーティリティ」、「PCヘルスモニタ」、「Service Station」、「Speech Synthesis Settings」、「TOSHIBA Blu-ray Disc Player」、「ecoユーティリティ」、「システムセッティング」、「スクリーンミラーリング」、「パスワードユーティリティ」、「ペアリングツール」、「リカバリメディア作成ツール」、「画面設定ユーティリティ」などが入っている。
そのほか同社系は、「東芝お助けナビ」、「東芝お客様登録」、「東芝プレイスガジェット」、「動画で学ぶシリーズ」、「PC引越ナビ」、「ぱそこんで見るマニュアル」、「バックアップナビクラウド」、「ぱらちゃん」、「楽しもうフォトウィザード」。これもストアアプリと同様、「dynabook T95/T」とほぼ同じになっている。
なかったのは「Chroma Tune」。ディスプレイの色域を調整するアプリだが、パネルが違い調整できないため「dynabook T75/T」にはインストールされていないようだ。おそらくほかのモデルもほとんどが共通で、ハードウェア的に対応していないアプリのみ落としていると思われる。
ベンチマークテストは「winsat formal」コマンドと、PCMark 8 バージョン2、BBenchの結果を見たい。CrystalMark(2コア4スレッドで条件的には問題ない)のスコアも掲載した。
winsat formalの結果は、総合 4.9。プロセッサ 7.4、メモリ 7.4、グラフィックス 4.9、ゲーム用グラフィックス n/a、プライマリハードディスク 5.9。Broadwell世代のCore i7としては一般的なスコアだ。
PCMark 8 バージョン2のHome(accelerated)2771。CrystalMarkは、ALU 47770、FPU 46008、MEM 32708、HDD 11444、GDI 14985、D2D n/a、OGL 11096。参考までにGoogle Octane 2.0は26,697(Edge)。
やはりSSHDだけ値が低いが、実際操作するとキャッシュが効いているのか、(もちろんSSDには劣るが)それほど遅い感じはしない。
BBenchは、バックライト最小、キーストローク出力/オン、Web巡回/オン、Wi-Fi/オン、Bluetooth/オンでの結果は、バッテリの残5%で20,337秒/5.6時間。20%から一気に5%まで落ちているのが気になるが、駆動時間は仕様通りだ。
以上のように東芝「dynabook T75/T」は、Broadwell世代のCore i7/8GB/1TB SSHDを搭載した15.6型2スピンドルノートPCだ。ストレージが少し遅めであるが、これだけのスペックがあれば、ホビーから仕事までオールマイティにこなすことができる。
一部キーボードのピッチが狭いのは気になるが、そのほか仕様の範囲内で気になる部分もなく、国産で15.6型のスタンダードノートPCを探しているユーザーにお勧めできる逸品と言えよう。