西川和久の不定期コラム
USB4が2つもあるRyzen 7搭載ミニPC!Beelink「SER7」
2023年9月4日 06:14
Ryzen 7 7840HS搭載でUSB4が2つ!
ここのところCHUWIやMINISFORUMばかり続いたが久々にBeelinkの登場だ。去年(2022年)の11月Beelink「GTR6 6900HX」以来となるだろうか。
同社ミニPCのラインナップ的には、「GTR」、「SEI」、「SER」、「EQ」と4つに分かれており、ざっくりGTRがハイエンド、SEIとSERはミドルレンジ、末尾IがIntelプロセッサ、末尾RがRyzenプロセッサ搭載機。EQはローエンドとなる。
今回ご紹介するSER7は、SER5 PRO 5700U、SER5 MAX 5800H、SER6 Max 7735HS、SER6 Max 6900HX、SER5 5560U、SER7 7840HSとSERモデル6つの中では最上位となる。特徴としては少し変わった電源コネクタ、USB4が2つ……と言ったところか。主な仕様は以下の通り。
Beelink「SER7」の仕様 | |
---|---|
プロセッサ | Ryzen 7 7840HS(8コア/16スレッド/クロック最大3.8GHz(ブーストクロック最大5.1GHz)/キャッシュ 512KB(L1)、8MB(L2)、16MB(L3)/TDP 35-54W) |
メモリ | 16GB✕2(DDR5-5600)、SO-DIMM✕2、最大64GB |
ストレージ | M.2 2280 1TB✕1(空き1) |
OS | Windows 11 Pro(22H2) |
グラフィックス | Radeon 780M(12コア)/USB4×2、HDMI 2.1、DisplayPort |
ネットワーク | 2.5GbE✕1、Wi-Fi 6、Bluetooth 5.2 |
インターフェイス | USB4×2、USB 3.2 Type-C、USB 3.1、USB 2.0×2、3.5mmジャック |
サイズ/重量 | 126×113×49.3mm、実測で649g |
価格 | 729.00ドル(120ドルオフクーポンあり) |
プロセッサはRyzen 7 7840HS。8コア16スレッド、クロックは3.8GHzから最大5.1GHz。キャッシュは512KB(L1)、8MB(L2)、16MB(L3)、TDPは35-54W。4nmプロセスで製造され、今年4月30日リリースと、比較的新しいSKUとなる。
グラフィックスはプロセッサ内蔵Radeon 780M(12コア)。外部出力用にUSB4×2、HDMI 2.1、DisplayPortと4つものポートを備える。
メモリは16GB✕2の32GB。DDR5-5600 SO-DIMM✕2で最大64GBまで対応する。ストレージはM.2 2280 1TBを1基。もう1基内蔵可能だ。OSはWindows 11 Pro。22H2だったのでこの範囲でWindows Updateを適応し評価している。
ネットワークは、2.5GbE✕1、Wi-Fi 6、Bluetooth 5.2。その他のインターフェイスはUSB4×2、USB 3.2 Type-C、USB 3.1、USB 2.0×2、3.5mmジャック。先にも書いたがこのクラスでUSB4×2は結構珍しい。また写真を掲載したように、マグネット式の電源コネクタを採用している。
サイズは126×113×49.3mm(幅✕奥行き✕高さ)、重量は実測で649g。カラーバリエーションはGreen、Obsidian Black、Orange、Space Greyの4種類だが、現在購入可能なのは、GreenとSpace Greyになっている。
価格は729ドル。円安なので約10万円。120ドルオフクーポンがあるので、実質9万円ちょっと…と言ったところか。しかしこの構成でこの価格なら納得感があるのではないだろうか。
手元に届いたのはSpace Grey。筐体は金属製で質感もよく、割とずっしりしている。重量は実測で649g。とは言え、ACアダプタと合わせても1kgを切るので持ち運びは容易だ。
前面はリセット、3.5mmジャック、USB 3.2 Type-C、USB 3.1、電源ボタン。背面は2.5Gigabit Ethernet、USB 2.0✕2、DisplayPort、USB4×2、HDMI、3.5mmジャックを配置。裏の写真からも分かるように、電源コネクタがマグネット式で裏から止める関係で、その分、リアにスペースが空き、多くのコネクタが搭載可能になっている。
裏は電源コネクタ、左右に1本バーのゴム足、四隅にネジ。電源コネクタは本体未使用時、ゴム製のキャップが付いているが、使用時は外し、電源コネクタを接続する。背面にスペースができ、いいアイディアなのだが、このキャップはなくしそうでちょっと不安だったりする。
付属品はACアダプタ(サイズ約70×70×30mm、重量273g、出力19V/5.26A)、HDMIケーブル2本、VESAマウンタ用金具、ネジ。BIOSは[DEL]キーで表示する。
内部へのアクセスは、四隅のネジを外すだけと簡単だ。開けるとM.2 2280 SSDを1基搭載可能になっている。同社の製品ページによると、このファンのある黒いパネルを外すとM.2 2280 SSDとメモリがある。
さらにネジ4つ外すと一応見れるのだが、予想通り電源コネクタのケーブルなどが付いており完全に外すのは少し厄介そうだったので、写真のような状態までとした。
ノイズと発熱については、試用した範囲では特に気にならなかった。高性能の冷却システムを搭載しているのだろう。
同社のミニPCは、いつも思うのだが、数あるミニPCの中でも完成度が高い。冒頭に書いたように久々なのだが、余計にそう思ってしまった。
ミニPCとしてはトップクラスのパフォーマンス!
初期起動時のデスクトップはWindows 11標準。構成が構成なだけに何をしても非常に快適だ。一般的な用途であれば、もはや大きいデスクトップPCは不要ではと思えるほどだ。
ストレージは1TB M.2 2280 SSDのCrucial「CT1000P3PSSD8」。仕様によるとシーケンシャルリード5,000MB/s、シーケンシャルライト 3,600MB/s。CrystalDiskMarkの結果もそのまま出ている。C:ドライブのみの1パーティションで約930GBが割り当てられ空き886GB。さすがにこれだけ空きがあると、何をするにしても安心だ。
2.5Gigabit Ethernetは「Intel Ethernet Controller I225-V」、Wi-Fiは「Intel Wi-Fi 6 AX200」、BluetoothもIntel製と、全てIntelになっている。これならWindows以外のOSで使うときも問題ないだろう。
ベンチマークテストは、PCMark 10、PCMark 8、3DMark、Cinebench R23、CrystalDiskMarkを使用した。
冒頭で少し触れたRyzen 9 6900HX搭載の「GTR6 6900HX」とスコアを比較したところ、同等かそれ以上。特に3DMarkは結構な差だ。
プロセッサの世代が違うと、古いRyzen 9より新しいRyzen 7の方が速いという結果となった。当時でもかなり速いと評価しているが、本機はそれを上回るパフォーマンスを叩き出す。
【表】ベンチマーク結果 | |
---|---|
PCMark 10 v2.1.2636 | |
PCMark 10 Score | 7,281 |
Essentials | 10,903 |
App Start-up Score | 15,083 |
Video Conferencing Score | 8,549 |
Web Browsing Score | 10,054 |
Productivity | 10,380 |
Spreadsheets Score | 13,218 |
Writing Score | 8,152 |
Digital Content Creation | 9,256 |
Photo Editing Score | 13,132 |
Rendering and Visualization Score | 9,790 |
Video Editting Score | 6,170 |
PCMark 8 v2.8.704 | |
Home Accelarated 3.0 | 5,543 |
Creative Accelarated 3.0 | N/A |
Work Accelarated 2.0 | 5,615 |
Storage | 5,069 |
3DMark v2.27.8160 | |
Time Spy | 3,256 |
Fire Strike Ultra | 2,199 |
Fire Strike Extreme | 3,850 |
Fire Strike | 7,434 |
Sky Diver | 26,765 |
Cloud Gate | 39,075 |
Ice Storm Extreme | 147,344 |
Ice Storm | 205,040 |
Cinebench R23 | |
CPU | 15,275(4位) |
CPU(Single Core) | 1,787(1位) |
CrystalDiskMark 6.0.0 | |
Q32T1 シーケンシャルリード | 5174.829 MB/s |
Q32T1 シーケンシャルライト | 3613.213 MB/s |
4K Q8T8 ランダムリード | 1432.590 MB/s |
4K Q8T8 ランダムライト | 2626.928 MB/s |
4K Q32T1 ランダムリード | 685.652 MB/s |
4K Q32T1 ランダムライト | 393.683 MB/s |
4K Q1T1 ランダムリード | 47.014 MB/s |
4K Q1T1 ランダムライト | 116.527 MB/s |
以上のようにBeelink「SER7」は、Ryzen 7 7840HS/32GB/1TBを搭載したミニPCだ。ベンチマークテストの結果からも分かるように、このクラスとしてはかなりのハイパフォーマンスを叩き出す。加えて少し変わった電源コネクタやUSB4が2つなど、他社には見られない特徴も備える。
円安が進んでおり、729ドルだとほぼ10万円となってしまうのは残念だが、それでもこれだけの構成であればある意味安い。欠点らしい欠点もなく、RyzenなミニPCでハイパワー、大容量を求めているユーザーにお勧めしたい逸品と言えよう。