西川和久の不定期コラム
モバイル用最上位のRyzen 9 6900HXを搭載したミニPC!Beelink「GTR6 6900HX」
2022年11月17日 06:17
Beelinkは、モバイル用Ryzen 6000Hシリーズ最上位のRyzen 9 6900HXを搭載したミニPC「GTR6 6900HX」の予約受付中だ。一足早く試用する機会に恵まれたので、レポートをお届けしたい。
Ryzen 9 6900HXを搭載したハイパフォーマンスミニPC!
Beelinkのサイトを眺めると、シリーズ的には「GTR」、「GTI」、「SEI」、「SER」、「U Series」、「GK Series」、「T Series」と分かれている。この中で末尾RがRyzen搭載機となり、GTRは最上位シリーズだ。現在販売中は「GTR5 5900HX」。Ryzen 9 5900HXを搭載したミニPCで、32GB/500GBの構成が639ドルからとなっている。
そして今回ご紹介する「GTR6 6900HX」は、型番からも分かるように上位モデルに相当する。Ryzen 9 6900HXを搭載し、メモリもDDR5を採用。ハイパフォーマンスが期待できる。執筆現在、11月15日出荷予定で予約受付中だ。主な仕様は以下の通り。
Beelink「GTR6 6900HX」の仕様 | |
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プロセッサ | Ryzen 9 6900HX(Zen 3+/8コア16スレッド/クロック3.3~4.9Hz/キャッシュ L2 4MB, L3 16MB/TDP 45W) |
メモリ | 32GB(16GB/DDR5-4800 SO-DIMM×2)/最大64GB |
ストレージ | 500GB PCIe 4.0 NVMe SSD/M.2 2280×1、M.2 2280×1(空) |
OS | Windows 11 Pro(22H2) |
グラフィックス | Radeon 680M(12コア/RDNA 2)/HDMI×4(8K@60Hz、4同時出力対応) |
ネットワーク | 2.5GbE、Wi-Fi 6E、Bluetooth 5.2 |
インターフェイス | USB 3.0 Type-A×3、USB 2.0 Type-A×2、USB 3.0 Type-C×1、音声入出力、指紋センサー |
サイズ | 168×120×43mm(幅×奥行き×高さ) |
価格 | 749ドル(ベアボーンは539ドル) |
プロセッサは6nm/Zen 3+アーキテクチャのRyzen 9 6900HX。8コア16スレッドでクロックは3.3~4.9Hz。キャッシュL2 4MB/L3 16MB、TDP45W。モバイル用Ryzen 6000Hシリーズとしては最上位のSKUとなる。後半のベンチマークテストをご覧いただきたいが、TDP 45Wとしてはかなり速い。
メモリは16GB/DDR5-4800 SO-DIMM×2の32GB。最大64GBに対応する。本連載ではいろいろなミニPCをご紹介したが、DDR5なのは今回が初となる。ストレージはM.2 2280の500GB PCIe 4.0 NVMe SSD。M.2 2280スロットがもう1つ空きなので増設も容易だ。OSはWindows 11 Pro。22H2が入っていたのでその範囲内でUpdateを適応、評価している。
グラフィックスはプロセッサ内蔵Radeon 680M。12コア/RDNA 2で最大2,400MHz作動。出力はHDMIが4ポート。8K@60Hzで4同時出力可能と強力なものだ。性能もiGPUとしては高く、ヘビーなゲーミング用途以外であれば十分以上と言ったところ。
ネットワークは、2.5GbE、Wi-Fi 6E、Bluetooth 5.2。その他のインターフェースは、USB 3.0 Type-A×3、USB 2.0 Type-A×2、USB 3.0 Type-C×1、音声入出力、指紋センサー。試したところType-Cからの映像出力は非対応のようだ。サイズ168×120×43mm(幅×奥行き×高さ)、重量は実測で822g(ACアダプタを除く)。
現在予約受付中で、メモリ/ストレージ/OSなしのベアボーンが539ドル、今回届いた32GB/500GB/Windows 11 Proが749ドル。150円換算でも11万2,350円なので、構成を考えると安いと言えるのではないだろうか。
筐体はブラック。前面に赤と緑のボタン、両サイドにGTRの文字が印象的なデザインとなっている。同社のミニPCとしては大きい方だが、iPhone 13 Proの比較写真からも分かるようにそれでもコンパクトだ。重量は実測で822g。
前面に電源ボタン、CLR CMOS、USB Type-A、USB 3.0 Type-C、3.5mmジャック。背面に電源入力、2.5Gigabit Ethernet、HDMI×4、USB 3.0×2、USB 2.0×2。そしてトップパネル右手前に指紋センサーを配置。設定 > アカウント > サインイン オプション > 指紋認証で設定できる。マシンが机の上などにあれば、これでサクッとログインできるので便利だ。
付属品は、ACアダプタ(サイズ約145×63×30mm、重量416g、出力19V/6.32A)、短いHDMIケーブルと長いHDMIケーブル、VSEAマウンタ。重量は本体とACアダプタ合わせて1,238gなので、行く先々にモニタとHIDがあれば、カバンに入れ持ち運ぶのもありだろう。
内部へのアクセスは裏四隅のネジを外せば可能だが、内部にさらにファンを含めたパネルが1枚あり、これを外さないとM.2スロット×2とSO-DIMMスロット×2にアクセスできない。3カ所にネジがあり、これを外すとOKだ(写真参照)。この時、ファンにケーブルが接続されているので強く引っ張ったりしないよう要注意。M.2スロット×1とSO-DIMM×2は実装済だが、M.2スロット×1が空きなのが分かる。
ノイズや発熱は、通常時でも筐体へ耳を近づけると「ゴー」っと低いファンの音がし(この状態で発熱はない)、ベンチマークテストなど負荷をかけるとミニPCとしては大きめの音がする。また筐体も少し暖かいかな程度の熱を持つ。設置場所が机の上で且つ、耳に近い位置だと音は気になるかも知れないが、少し離せば問題ない範囲だと思われる。
電源/パフォーマンス作動時、プロセッサはM1 Pro(8C)に迫るパフォーマンス!
初期起動時、特にプリインストールのアプリなどはなし。素のWindows 11 Proと必要なドライバ/ソフトウェア系が入っているだけだ。ベンチマークテストからも分かるように、プロセッサだけでなく、ストレージも速いため、かなりサクサク作動する。
ストレージはPCIe 4.0 NVMe SSD 512GBの「KINGSTON SKC3000S512G」。仕様によると、シーケンシャルリード7,000MB/s、シーケンシャルライト3,900MB/s。CrystalDiskMarkの値もほぼそのまま出ている。C:ドライブのみの1パーティションで約476GB割り当てられ空き434GB。
Wi-FiとBluetoothはRZ608、2.5GbEはIntel Ethernet Controller I225-V。Radeon SoftwareでVRAMは3,072MB割り当てられているのが分かる。iGPUなのでDDR4よりDDR5の方が有利となる。
ベンチマークテストは、PCMark 10、PCMark 8、3DMark、Cinebench R23、CrystalDiskMarkを使用した。これらは電源/バランス。また結構速そうなので、Geekbench 5を使い電源/バランスとパフォーマンスでCore i9-12900、M1 Max、M1 Pro、M1との比較も掲載する。
どのスコアもモバイル用プロセッサとしてはトップクラスだ。iGPUもヘビーなゲーミング用でなければ実用十分(以上)。SSDもかなり速く、全体のバランスが整っている。
Geekbench 5は、ご覧のようにCore i9-12900は別格として、Ryzen 9 6900HXがかなり頑張っているのが分かる。シングルコアのスコアが130ほど足らないものの、電源/パフォーマンス時はM1 Pro(8C)に迫るスコアをシングル/マルチコア共に叩き出している。ただし上記したように、ファンが少しうるさく回り熱も持つので、この辺りがM1シリーズと異なるところか。
PCMark 10 v2.1.2574 | |
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PCMark 10 Score | 6,744 |
Essentials | 10,022 |
App Start-up Score | 12,741 |
Video Conferencing Score | 8,602 |
Web Browsing Score | 9,187 |
Productivity | 10,066 |
Spreadsheets Score | 12,130 |
Writing Score | 8,354 |
Digital Content Creation | 8,251 |
Photo Editing Score | 13,844 |
Rendering and Visualization Score | 8,564 |
Video Editting Score | 4,739 |
PCMark 8 v2.8.704 | |
Home Accelarated 3.0 | 5,121 |
Creative Accelarated 3.0 | n/a (error) |
Work Accelarated 2.0 | 5,802 |
Storage | 5,108 |
3DMark v2.25.8043 | |
Time Spy | 2,720 |
Fire Strike Ultra | 1,798 |
Fire Strike Extreme | 3,266 |
Fire Strike | 6,373 |
Sky Diver | 21,959 |
Cloud Gate | 32,480 |
Ice Storm Extreme | 136,608 |
Ice Storm | 154,392 |
Cinebench R23 | |
CPU | 11,759(4位) |
CPU(Single Core) | 1,588(1位) |
CrystalDiskMark 6.0.0 | |
Q32T1 シーケンシャルリード | 7093.201 MB/s |
Q32T1 シーケンシャルライト | 3947.265 MB/s |
4K Q8T8 ランダムリード | 1585.014 MB/s |
4K Q8T8 ランダムライト | 2305.544 MB/s |
4K Q32T1 ランダムリード | 733.220 MB/s |
4K Q32T1 ランダムライト | 387.897 MB/s |
4K Q1T1 ランダムリード | 77.078 MB/s |
4K Q1T1 ランダムライト | 238.777 MB/s |
以上のようにBeelink「GTR6 6900HX」は、Ryzen 9 6900HX/DDR5 32GB/512GBを搭載したミニPCだ。ベンチマークテストの結果からも分かるように、プロセッサ、グラフィックス、ストレージ……全てが速く、全体のバランスが非常に良い。2.5GbE、HDMI 8K@60Hz同時4出力対応も強力だ。
プロセッサに負荷がかかると、少しファンがうるさく、また気持ち熱を持つものの、それ以外は魅力的なミニPCに仕上がっている。高いパフォーマンスでバランスしたミニPCを探しているユーザーに是非使って頂きたい1台と言えよう。