西川和久の不定期コラム

Ryzen 9 5900HXとOLEDを採用した14型ノートPC!ASUS「VivoBook Pro 14 OLED」

VivoBook Pro 14 OLED(M3401QA-KM011WS)

 ASUSは11月24日、14型2,880×1,800ドットのOLEDとRyzenを搭載したノートPC「VivoBook Pro 14 OLED」の3モデル発表した。今回その中から上位モデルを事前に試用する機会に恵まれたのでレポートをお届けしたい。

Ryzen 9 5900HX/16GB/SSD 512GBで14型OLED搭載

 ASUS「VivoBook Pro 14 OLED」として3モデルが発表となったが、これらの違いはRyzen 9 5900HX/16GB/Microsoft Office Home and Business 2021、Ryzen 9 5900HX/16GB/WPS Office Standard Edition、Ryzen 7 5800H/8GB/WPS Office Standard Editionと、プロセッサ/メモリ/Officeの種類となる。OLEDのパネルやSSD、ポート系などは全て同じだ。発売は12月上旬を予定しており、価格は順に17万9,800円、14万9,800円、12万9,800円。

 Intelの第11世代プロセッサもしくはAMDのRyzen 9 5900HXを搭載。上位機種にあたるVivoBook Pro 14X OLEDは、dGPUとしてGeForce RTX 3050を搭載している。XのないPro 14/16に関しては、15.6型VivoBook Pro 16 OLEDのみdGPUで、14型はiGPUとなる。

 従って、dGPUがない分、OLED搭載機としては14型の本機が一番安価なレンジになる。今回手元に届いたのはその中で上位のM3401QA-KM011WS。主な仕様は以下の通り。

【表1】VivoBook Pro 14 OLED(M3401QA-KM011WS)の仕様
プロセッサRyzen 9 5900HX (8コア16スレッド/3.3~4.6GHz/キャッシュ4MB、16MB/TDP 45W)
メモリ16GB/DDR4-3200(8GB×2)
ストレージSSD 512GB(M.2 NVMe PCIe 3.0 x2接続)
OSWindows 11 Home(バージョン21H2)
ディスプレイ14型OLED 2,880×1,800ドット(16:10)、光沢、輝度600cd/平方m、リフレッシュレート90Hz、色域DCI-P3 100%
グラフィックスRadeon Graphics(8コア)、HDMI 1.4
ネットワークWi-Fi 6対応、Bluetooth 5.1
インターフェイスUSB 3.0、USB 3.0 Type-C、USB 2.0×2、microSDカードスロット、92万画素Webカメラ、3.5mmジャック
バッテリ駆動時間最大10.9時間
サイズ/重量317.4×228.5×19.52mm(幅×奥行き×高さ)/約1.464kg
カラーバリエーションクワイエットブルー
その他Microsoft Office Home and Business 2021
価格17万9,800円

 プロセッサは2021年1月リリースでZen 3/7nmプロセスのRyzen 9 5900HXを搭載。8コア16スレッドでクロックは3.3GHzから最大4.6GHz、キャッシュはL2が4MB、L3が16MB。デフォルトTDPは45Wだが、Configurable TDP(cTDP)で35Wから54Wの設定が可能だ。

 メモリはDDR4-3200で16GBで、PCMark 10 System informationによると8GB×2となっていた。ストレージはM.2 NVMe PCIe 3.0 x2接続の512GB。OSはWindows 11 Homeで、同OS搭載機は本連載初となる。バージョンは21H2だったので、この範囲でWindows Updateを適応し評価した。

 グラフィックスはプロセッサ内蔵のRadeon Graphics(8コア)で、外部出力用にHDMI 1.4を備えている。ディスプレイは光沢仕様の14型OLED 2,880×1,800ドット(16:10)で、輝度600cd/平方m、リフレッシュレート90Hz、色域DCI-P3 100%と、なかなかの性能だ。

 ネットワークはWi-Fi 6対応で、Bluetooth 5.1も装備。インターフェイスは、USB 3.0、USB 3.0 Type-C、USB 2.0×2、microSDカードスロット、シャッター付きの92万画素Webカメラ、3.5mmジャック。IntelモデルにあるThunderbolt 4は非搭載となる。

 最大10.9時間駆動のバッテリを内蔵し、サイズ317.4×228.5×19.52mm(幅×奥行き×高さ)、重量約1.464kg。カラーバリエーションはクワイエットブルーのみ。Microsoft Office Home and Business 2021が付属し、価格は17万9,800円。

前面。パネル中央上にWebカメラ。写真からは分かりにくいが左横にシャッターがある。上左右の縁はかなり狭い(画面占有率83%)
斜め後ろから。クワイエットブルー。ロゴの部分が少し出っ張っている。数本の斜めラインが本シリーズのアイコンなのだろうか。キーボードのEnterキーにもある
左側面。USB 2.0×2。パネルの傾きはこれが最大
右側面。電源入力、USB 3.0、USB 3.0 Type-C、microSDカードスロット、音声入出力
キーボードはテンキーなしの84キーでアイソレーションタイプ。Enterキーの周囲が少し窮屈か。タッチパッドは物理的なボタンがない1枚プレート式
キーピッチは実測で約18mm。仕様上は18.7mm
裏面。前側左右にスピーカー。手前は2つ、後方は1本バーのゴム足
横から。デザイン的に手前に行くほど細くなっているが裏からの厚みは変わらない
重量は実測で1,469g
ACアダプタはサイズ約75×75×28mm、重量233g、出力19V/4.74A
キーボードバックライトはオフ+3段階

 手元に届いたのはクワイエットブルー。グレーに近い深いブルーだ。質感はフルアルミニウムではないので高級感はあるもののそれなり。重量は実測で1,469gだが、持ち上げるとさほどズッシリ感じない。バランスが良いのだろう。

 前面はパネル中央上にWebカメラを装備。写真からは分かりにくいが左横にシャッターがある。上左右の縁はかなり狭い(画面占有率83%)。

 左側面にUSB 2.0×2、右側面に電源入力、USB 3.0、HDMI、USB 3.0 Type-C、microSDカードスロット、音声入出力を配置。パネルの傾きはこれが最大だ。裏は前側左右にスピーカーを備えるほか、手前は2つ、後方は1本バーのゴム足を装備。付属のACアダプタはサイズ約75×75×28mm(同)、重量233g、出力19V/4.74A。

 14型のディスプレイは明るさ、コントラスト、発色、視野角ともに抜群。特に黒の締まりがよく発色も鮮やかで、さすがOLEDといったところ。ただし光沢ありなのでそれなりに映り込む。ASUS Splendid(MyASUS)で通常/ビビッド/手動/ブルーライト軽減と4つのモードで調整可能だ。

 i1 Display Proを使い特性を測定したところ、最大輝度は383cd/平方mと明るい。写真を観るのに適していると言われる明るさ120cd/m2であり、最大輝度から-4の輝度設定で123cd/平方m、-5では87cd/平方mだった。従って前者で計測。黒色輝度はOLEDなので0cd/平方mと真っ黒だ。リニアリティは少しでこぼこがあるものの、このクラスのノートPC用のパネルとしてはかなり揃っている方だろう。

測定結果1/白色点と黒色輝度
測定結果2/R・G・Bのリニアリティ

 キーボードはテンキーなしの84キーでアイソレーションタイプ。オフ+3段階のバックライト付きだ。主要キーのキーピッチは約18mmだが、Enterキーの周囲などが若干窮屈。また、ロゴの部分にあった数本の斜め線がEnterキーにもある。本シリーズのロゴ的なものだと思われるが、ここには不要ではないだろうか。打鍵感はストロークが少しあり、軽過ぎず、重過ぎず、クリック感があり、個人的には好みだ。

 タッチパッドは物理的なボタンがない1枚プレート式。パームレストの面積も十分確保されており扱いやすい。

 ノイズや振動は試用した範囲で特に気にならなかった。発熱はASUS IceCool Plusテクノロジー(2本のヒートパイプとデュアルファン冷却)が効いているのか、ベンチマークテストなど負荷がかかる状態でもほとんどない。キーボード上の狭いスペースが若干温まる程度だった。

 サウンドはスピーカーが裏にあるため、机などに反射した間接音となる。ハーマン・カードン社認定のサウンドシステムというだけあって、鳴りっぷりがよく映像も音楽も楽しめる。

 Webカメラは解像度がHDなのであまり細かくはないものの、肌色などの発色はよい。Web会議で画面4分の1程度のサイズなら十分使えそうだ。ノイズキャンセリングマイク機能があり、オフ/ベーシック/シングルプレゼンター/マルチプレゼンターの4つのモードから選択することができる。このあたりは昨今のWeb会議で有効だろう。

 このように特に欠点らしい欠点もなく完成度は高い。あえてあげれば電源入力がUSB Type-C/PDではないことだろうか。

PCMark 10が6,000オーバーとなかなかの性能

 初回起動時、デスクトップは壁紙のみの変更とシンプル。その壁紙も本機のOLEDの特性を生かすように鮮やかだ。Zen 3のRyzen 9、メモリ16GB、SSD 512GBということもあり、動作速度も申し分ない。特に起動が速く「あれ?スリープだっけ!?」と思うほど。

 ストレージは512GBのSSDでWestern Digital「WDC PC SN530 SDBPNPZ-512G-1002」。仕様によると、シーケンシャルリード2,400MB/s、シーケンシャルライト1,750MB/s。CrystalDiskMarkの結果もほぼそのまま出ている。C:ドライブのみの1パーティションで約475.4GBが割り当てられており、空き容量は432GB。

 Wi-Fiはちょっとめずらしい「MediaTek Wi-Fi 6 MT7921 Wireless LAN Card」を内蔵。BluetoothもMediaTek製だ。

起動時のデスクトップ。壁紙のみ変更とシンプル
デバイスマネージャ/主要なデバイス。ストレージはSSD 512GBのWestern Digital「WDC PC SN530 SDBPNPZ-512G-1002」。Wi-Fiは「MediaTek Wi-Fi 6 MT7921 Wireless LAN Card」。BluetoothもMediaTek製
ストレージのパーティション。C:ドライブのみの1パーティションで約475.4GBが割り当てられている
Radeon Software

 主なインストール済のソフトウェアは、「Radeon Software」、「DTS Audio Processing」、「i-フィルター6.0」、「McAfee Personal Security」、「Microsoft Office Home and Business 2021」、「MyASUS」、「PhotoDirector for ASUS」、「PowerDirector for ASUS」、「ProArt Creator Hub」、「ScreenXpert」。

 Microsoft Office Home and Business 2021に加え、MyASUS、PowerDirector系と、いつもの同社のパターンだ。MyASUSはかつて発色やオーディオ系、性能系などバラバラのアプリになっていたのが一本化され、非常に扱いやすくなった。

MyASUS/ホーム
MyASUS/Link to MyASUS
MyASUS/カスタマイゼーション(1/2)
MyASUS/カスタマイゼーション(2/2)
MyASUS/ASUSプロモーション
MyASUS/カスタマーサポート

 ベンチマークテストは、PCMark 10、PCMark 8、3DMark、Cinebench R23、CrystalDiskMark、PCMark 10/BATTERY/Modern Office。すべての項目で以前掲載したRyzen 7 5800U搭載の「HP Pavilion Aero 13-be」と非常に似ていることが分かる。もちろん本機の方が上なのだが、スコアの傾向はそっくりではないだろうか。

 PCMark 10/BATTERY/Modern Officeは7時間29分(キーボードバックライトオフ。明るさ、バッテリモードなどはシステム標準)。仕様上は最大10.9時間なので少し短めだが、テスト内容を考慮すると妥当なところか。

【表2】ベンチマーク結果
VivoBook Pro 14 OLED(M3401QA-KM011WS) (参考)HP Pavilion Aero 13-be
PCMark 10 v2.1.2531PCMark 10 v2.1.2523
PCMark 10 Score6,1565,806
Essentials10,32810,018
App Start-up Score13,44513,674
Video Conferencing Score8,7638,401
Web Browsing Score9,3538,754
Productivity9,2219,244
Spreadsheets Score11,73811,490
Writing Score7,2447,438
Digital Content Creation6,6505,736
Photo Editing Score8,9398,708
Rendering and Visualization Score6,8055,474
Video Editting Score4,8363,960
PCMark 8 v2.8.704PCMark 8 v2.8.704
Home Accelarated 3.04,8534,547
Creative Accelarated 3.05,0854,400
Work Accelarated 2.05,6655,618
Storage5,0254,855
3DMark v2.21.73093DMark v2.19.7216
Time Spy1,344-
Fire Strike Ultra752704
Fire Strike Extreme1,5521,429
Fire Strike3,4383,182
Sky Diver13,01511,548
Cloud Gate26,08621,998
Ice Storm Extreme119,848107,830
Ice Storm148,383144,028
Cinebench R23Cinebench R23
CPU12,595 pts8,006 pts
CPU(Single Core)1,477 pts1,391 pts
CrystalDiskMark 6.0.0CrystalDiskMark 6.0.0
Q32T1 シーケンシャルリード2472.202MB/s2240.367MB/s
Q32T1 シーケンシャルライト1818.285MB/s1160.967MB/s
4K Q8T8 ランダムリード1211.737MB/s624.287MB/s
4K Q8T8 ランダムライト551.453MB/s488.729MB/s
4K Q32T1 ランダムリード441.428MB/s389.370MB/s
4K Q32T1 ランダムライト578.278MB/s324.551MB/s
4K Q1T1 ランダムリード43.458MB/s53.484MB/s
4K Q1T1 ランダムライト139.212MB/s125.047MB/s

 以上のようにASUS「VivoBook Pro 14 OLED(M3401QA-KM011WS)」は、Ryzen 9 5900HX、メモリ16GB、SSD 512GB、そして14型のOLEDを搭載したノートPCだ。性能もご覧のようにiGPU構成としてはなかなか。Microsoft Officeが不要な場合は、同じ構成の下位モデルもある。

 試用した範囲で特に気になる部分もなく、パネルがOLEDのノートPCを探しているユーザーにお勧めしたい逸品だ。