西川和久の不定期コラム

5万円台の6.7型OLED搭載5Gスマホ!「motorola edge 20」

motorola edge 20

 モトローラ・モビリティ・ジャパン株式会社は10月19日、6.7型のミドルレンジスマホ、「motorola edge 20」および「motorola edge 20 fusion」を発表した。上位モデルとなる「motorola edge 20」が編集部から届いたので試用レポートをお届けしたい。

Snapdragon 778G 5G/6GB/128GB搭載のミドルレンジSIMロックフリースマホ

 この日発表された「motorola edge 20」と「motorola edge 20 fusion」の大きな違いは搭載しているSoC。前者はSnapdragon 778G 5G、後者はMediaTek Dimensity 800U。メモリやストレージは同じだ。パネルもほぼ同じで違いはリフレッシュレートが144Hz/90Hzとなる。価格は5万4,800円、4万3,800円。

 そのほかは、バッテリの容量、カメラはざっくり望遠(深度センサーも)の有無。逆に下位モデルのみ3.5mmジャックやmicroSDカードスロット搭載と、人によっては悩ましい違いもある。今回ご紹介するのは上位モデルのmotorola edge 20。主な仕様は以下の通り。

モトローラ「motorola edge 20」の仕様
SoCQualcomm Snapdragon 778G 5G(2.4GHz×1+2.2GHz×3+1.9GHz×4)、Adreno 642Lを内包
メモリ6GB
ストレージ128GB
OSAndroid 11
ディスプレイ6.7型OLED 2,400×1,080ドット、144Hz、HDR10+/DCI-P3対応
ネットワークWi-Fi 6対応、Bluetooth 5.2、NFC(FeliCa未対応)
SIMNano SIMカードスロット×2 / 5G+4GのDSDS対応
対応バンド5G(Sub-6のみ):n1/n3/n5/n7/n8/n28/n38/n41/n66/n77/n78
4G:1/2/3/4/5/7/8/12/18/19/20/26/28/32/34/38/39/40/41/42/43/66
W-CDMA:1/2/4/5/8
GSM:850/900/1,800/1,900MHz
インターフェイスUSB 2.0 Type-C
センサーGPS、加速度、近接、環境照度、ジャイロ、電子コンパス、指紋認証、顔認証
カメラ前面:3,200万画素(f2.25)
背面:1億800万画素メイン(f1.9)、1,600万画素超広角/マクロ(f2.2)、800万画素3倍望遠(f2.4)
防塵防水IP52準拠
サイズ/重量約76×6.99×163mm(幅×厚さ×高さ、最薄部)/約163g
バッテリ4,000mAh(30WのTurboPowerチャージャー対応)
カラーバリエーションフロストオニキス
価格5万4,800円

 SoCはSnapdragon 778G 5G。2.4GHz×1コア/2.2GHz×3コア/1.9GHz×4コアの8コア。GPUにAdreno 642Lを内包する。6nmプロセスルールで製造されリリースは2021年5月と新しい。Snapdragon 7系なのでミドルレンジ用となる。

 メモリは6GB、ストレージは128GB。先に書いたように下位モデルにはmicroSDカードスロットがあるが、本機にはない。OSはAndroid 11を搭載する。

 ディスプレイは6.7型OLEDの2,400×1,080ドット。リフレッシュレートは最大144Hz。HDR10+/DCI-P3にも対応する。

 ネットワークは、Wi-Fi 6対応、Bluetooth 5.2、NFC(FeliCa未対応)。SIMは、Nano SIMカードスロット×2で5G+4GのDSDSに対応する。対応バンドは表はご覧いただきたい。5G対応だがミリ波には未対応となる。

 インターフェイスはUSB 2.0 Type-C。センサーはGPS、加速度、近接、環境照度、ジャイロ、電子コンパス、指紋認証、顔認証。

 カメラは前面3,200万画素(f2.25)、背面1億800万画素メイン(f1.9)、1,600万画素超広角/マクロ(f2.2)、800万画素3倍望遠(f2.4)。詳細は別途記載してあるので参考にしていただきたい。

 30W TurboPowerチャージャー対応の4,000mAhバッテリを内蔵し、サイズ約76×6.99×163mm(幅×厚さ×高さ、最薄部)、重量約163g。IP52準拠の防塵防水対応だ。カラーバリエーションはフロストオニキスのみ。価格5万4,800円となる。

 FeliCa、microSDカード未対応は残念だが、6.7型と大きめの割に薄くて軽く、ハイリフレッシュレート対応のOLED、そして後述するカメラの写りもなかなか良い。これで約5万円なら、コストパフォーマンスは高いのではないだろうか。

前面。壁紙の黒で分からなくなっているがパネル中央上(内側)にパンチホール型前面カメラ。フチは太過ぎず細過ぎず
背面。左上に縦に3つ並ぶカメラ群。出っ張りがそれなりにある。色はフロストオニキス
左/下。左側面にGoogleアシスタントボタン。下側面にNano SIMカードスロット、Type-C、スピーカー。画面上中央にパンチホール型前面カメラが見える
右/上。右側面に音量±ボタン、指紋センサー兼の電源ボタン。上側面には何もない
ano SIMスロット付近。裏表で2枚収容。表(上)側がSIM1
重量は実測で165g
付属品。ケース、Type-C/Type-Cケーブル、イヤホン(3.5mm)、Type-C/3.5mm変換ケーブル、ACアダプタ(サイズ約5.2×4×2.6cm、重量69g、出力5A/3A、9V/3A、10V/3A)
Xperia 1 II(約72×7.9×166mm/181g)との比較。厚みは本機の方が薄い。ただカメラ群の出っ張りは結構あるのがわかる

 筐体の色はフロストオニキス。周囲には黒が使われている。少し青っぽくメタリックな感じカッコよく高級感もある。そして何と言っても6.7型にも関わらず、最薄部6.99m、重量約163gと、200g前後のものが多いこのクラスとしては、圧倒的に薄くて軽い。iPhone 13 Proは比べるまでもないが、手持ちのXperia 1 IIよりも薄くて軽い。これだけでなかなか魅力的と言えるだろう。

 前面はパネル中央上(内側)にパンチホール型前面カメラ。フチは太過ぎず細過ぎず。背面は左上に縦に3つ並ぶカメラ群。出っ張りがそれなりにある。上で薄いと誉めたばかりだが、この出っ張りが曲者。長細く高さもあるので机の上に置くとガタガタするのだ。iPhone 13 Proも出っ張っているが幅がありさほどガタつかない。細いと言う意味ではXperia 1 IIもそうなのだが、高さがあまりないので気にならない。これだとPixel 6(Pro)のように横に並べた方がいいのでは? と思った次第だ。本機唯一の欠点とも言えるだろう。

 左側面にGoogleアシスタントボタン。下側面にNano SIMカードスロット、Type-C、スピーカー。右側面に音量±ボタン、指紋センサー兼の電源ボタン。上側面には何もない。

 付属品はケース、Type-C/Type-Cケーブル、イヤホン(3.5mm)、Type-C/3.5mm変換ケーブル、ACアダプタ(サイズ約52×40×26mm、重量69g、出力5A/3A、9V/3A、10V/3A)。ACアダプタは30WタイプなのでTurboPowerチャージャー対応だ。

 6.7型のOLEDディスプレイは、明るさ、発色、コントラスト、視野角全て十分。発色に関しては自然/ビビッド(デフォルト)、色温度の設定が可能だ。ただ明るさは炎天下だと少し見にくいが、これはよほど明るくない限り無理なので仕方ない部分だ(後述する日中の作例を撮った日の天気が良く、表示がよく見えなかった)。リフレッシュレートは設定で自動(デフォルト)/60Hz/144Hzと選ぶことができる。

 発熱は試用した範囲では特に気にならなかった。ベンチマークテスト時少し暖かくなった程度だ。サウンドはスピーカーがモノラルなのは残念だが、パワーがあり最大だと煩いほど。3.5mmジャックの出力は付属のType-C/3.5mmアダプタを使いSONY MDR-EX800STで視聴したところ、パワーは十分、パンチがありRockやJazzが合いそうな感じだった。

写り、使い勝手の良い3カメラ構成!

 搭載しているカメラは、前面3,200万画素(f2.25)、背面約1億800万画素メイン(f1.9)+1,600万画素超広角/マクロ(f2.2)+800万画素3倍望遠(f2.4)。光学手ぶれ補正にも対応する。出力画素数は前面2,448×3,264ドット。背面は超広角/広角/望遠全て3,000×4,000ドット。マクロのみ3,456×4,608ドット。また望遠でポートレートだと2,448×3,264ドットと若干落ちる。

 前面は4ドットを使った「クアッドドットテクノロジー」、背面は9ドットを1つにまとめて使う「ウルトラドットテクノロジー」に対応する。シーン認識AIやHDRにも対応。

カメラ。外側から超広角+マクロ、広角、望遠
超広角
広角
望遠
マクロ

 モードは、動画、写真。その他として、写真はポートレート、カットアウト、スポットカラー、ナイトビジョン、シネマグラフ、パノラマ、グループ自撮り、Ultra-Res、ライブフィルタ、プロ、スキャン、デュアル撮影。動画はスローモーション、タイムラプス、ARステッカー、スポットカラー、デュアル撮影などが用意されている。

 設定は、AI設定(自動スマイルキャプチャ、ジェスチャー自撮り、スマート構図、ショット最適化、低光量AI、Googleレンズ)、写真(背面/前面カメラの解像度、背面/前面カメラのHDR、自撮り写真をミラー表示)、ビデオ(効率的な動画、手ぶれ補正、Audio Zoom)、撮影設定、保存設定、バージョン情報と別れており、それぞれ詳細設定が可能になっている。編集はオリジナルのアプリはなく、Googleフォトをそのまま使う形だ。

 補足説明として、丸いシャッターボタンの上にある“^”印をタップするとオプションを表示する。背面/写真だとフラッシュ/タイマー/アクティブフォト/アスペクト比となるが、前面/写真の場合、フェイスビューティー(自動/手動/OFF)が追加される。

カメラ/写真
カメラ/プロ
カメラ/その他
定(1/3)
設定(2/3) AI設定
設定(3/3) 写真
カメラ/前面(オプション表示あり)
編集はGoogleフォトを使う

 以下作例を日中(室内も含む)、夜景、人物(前面/背面)と計22枚掲載する。必要に応じて露出補正しているが基本フルオート(AI/ON、HDR/Auto)だ。夜景のバイクはポートレート、葉はマクロ、夜景最後から2番目がナイトビジョン。日中は人形がポートレート。シーンに応じてAIが「ナイトビジョン/ポートレートに切り替える」など表示するので、それに従って切り替えている。

 人物は前面はポートレート/フェイスビューティー自動、背面もポートレート(超広角未対応)だが望遠を使った。なお、広角の時も画角は変わらずそのまま撮れる。HDRはAutoのため、HDRで撮れた写真に関してはファイル名に_HDRを付けている(実際のファイル名もそうなっているためわかりやすい)。

モデル:辻美咲NET-AGE

 使用感は、起動、AFなどはとくに問題ない。撮影後、画像保存に気持ち時間がかかり、画像の確認には一呼吸かかる時もあるが、イライラするほどでもない。発色はご覧のように結構ナチュラルで妙な癖もなく素直。肌色もいい感じだ。AutoのHDRも適度にON/OFFしているように見える。自撮りがHDR ONで少し浮いた感じになったのが残念だが、これは後から編集でシャドウを締めれば良い。

 また「お!」っと思ったのは夜景3番目の建物。作例で何度も登場している場所であるが、中央付近の背景が白く丸い看板の文字が写っている。従来だと露出の関係から白飛びしてた部分なので驚いた次第だ。

ほぼ素のAndroid 11で扱いやすい構成

 初期設定は、基本全てスキップ、Wi-Fiでのセットアップとなる。基本計10画面と少ないが、 Motoloraユーザーの登録画面が2画面、その後、ジェスチャーの説明が4画面ある。

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これだけではありません

 指紋認証と顔認証は、パターン/PIN/パスワードのいずれかを設定後に行える。指紋センサーは電源ボタンと兼。細いので少し登録しにくいものの、認証は一瞬。現在マスクの関係があるので、指紋認証に対応しているのはありがたい。顔の登録は、丸い枠に顔全体が入った瞬間に終わる。角度や影の具合などちょっと調整したいこともあり、もう少し間を置いて欲しいところ。この関係で画面キャプチャを撮るのが難しく、天井に向けて撮影した(笑)。

セキュリティ / 指紋でロックを解除する
セキュリティ / センサーを探す
セキュリティ / ひと目見てロック解除
セキュリティ / 顔を正しい位置に合わせる

 SIMの設定は、手持ちの関係で4GのOCNモバイルONEを使用した。APNを指定してしばらく待ったが回線を掴まないため、再起動したところ問題なく作動した。多くのSIMロックフリー機では即掴むので、たまたまなのか仕様なのかは不明だ。

ネットワークとインターネット
NTT DOCOMO
SIMカード
APN

 OSはAndroid 11。同社は以前から素のAndroidを売りにしており、+αで独自のMotoアクションなどを加えた格好となっている。

 ホーム画面は2画面。Dockに電話、メッセージ、Chrome、カメラを配置。1画面目はGoogleフォルダ、Duo、Moto、Playストア。2画面目は、Google Pay、ニュース、Podcasts、設定が並んでいる。

 ストレージは128GB中20.82GBが使用中(若干の画面キャプチャ込み)。IMEはGboard。ナビゲーションバーの標準はジェスチャー式。上から下へのスワイプで通知画面、壁紙を長押しでホームの設定/ウィジェット/壁紙/スタイル……一般的な操作は同じだ。

Home(1/2)
Home(2/2)
通知パネル(2/2)
通知パネル(1/2)
電話情報
ストレージ

 アプリは、「アシスタント」、「インタラクティブ壁紙」、「カメラ」、「カレンダー」、「スプレッドシート」、「スライド」、「デバイスのヘルプ」、「ドキュメント」、「ドライブ」、「ニュース」、「フォト」、「マップ」、「メッセージ」、「時計」、「設定」、「電卓」、「電話」、「連絡帳」、「Chrome」、「Duo」、「Facebook」、「Files」、「Fit」、「Gmail」、「Google」、「Google One」、「Google Pay」、「Google Playムービー&TV」、「Home」、「Moto」、「Playストア」、「Podcasts」、「YouTube」、「YT Music」。

 これからもわかるように、GoogleのAndroid標準へfacebook、Motoを加えただけのシンプルな構成となっている。

アプリ一覧(1/2)
アプリ一覧(2/2)
Motoへようこそ(1/4)
Motoへようこそ(2/4) / カスタマイズ
Motoへようこそ(3/4) / ジェスチャー、ヒント
otoへようこそ(4/4) / ディスプレイ、プレイ

 Ready ForはPCとファイルなどを共有したり、ディスプレイに接続し、デスクトップモードで作動させることが可能だ。ただしType-CがUSB 2.0でディスプレイ出力未対応の関係で、Miracastが必要となるため、今回は試していない。

Ready For(1/2)
Ready For(2/2)

Snapdragon 8系には劣るが普段使いならパフォーマンスは十分以上!

 ベンチマークテストは簡易式でGeekBench 5とGoogle Octane 2.0の結果を掲載した。GeekBench 5はSingle-core 637、Multi-core 2,150、OpenCLは2,225。Google Octane 22,081。参考までにSnapdragon 865 5G@Xperia 1 IIでは順に870/3,186/3,143/35,955。やはりSnapdragonの7系と8系ではワンランク違う感じだ。とは言え、普通に操作する分には十分な速度で作動し、もたつくとか遅いとかは特に感じない。十分なパフォーマンスと言える。

 バッテリ駆動時間は、明るさ、音量共に50%。Wi-Fi接続でフルHD動画を連続再生したところ約13時間手前でバッテリが切れた。12時間超えればとりあえず問題ないだろう。

GeekBench 5(Single-core / Multi-core)は637 / 2,150
GeekBench 5(OpenCL)は2,225
Google Octane 2.0は22,081
12時間経過して残6%

 以上のようにモトローラ「motorola edge 20」は、Snapdragon 778G 5G/6GB/128GB、6.7型OLED 2,400×1,080ドットを採用した5G対応SIMロックフリースマホだ。パネルサイズの割に薄く軽いのは非常に魅力的。カメラの写りも良く、パフォーマンスも普段使いなら十分。バッテリの持ちも良い。

 個人的にはFeliCa、microSDカード未対応、スピーカーがモノラル、置いた時のガタつきなど……気になる部分もあるにはあるが、ここは人にもよるだろう。5万円程度でスマホを探しているユーザーにお勧めできる逸品と言えよう。