西川和久の不定期コラム

タブレットにもなるドンキの“イチキュッパ”着脱式2in1を使ってみた

ジブン専用PC&タブレット U1C(型番: DA-T118-SR)。1万9,800円(税別)

 ドン・キホーテは、低価格シリーズのパソコン&タブレットシリーズの第5弾として「ジブン専用PC&タブレット U1C(型番: DA-T118-SR)」を昨年(2020年)12月25日に発売した。1万9,800円価格は(税別)。編集部から実機が送られて来たので試用レポートをお届けしたい。

初代から数えて5世代目

 以下の記事のように、筆者は2016年発売の初代もレビューしているが、仕様はAtom x5-Z8300、メモリ2GB、ストレージeMMC 32GBの10.1型2in1。Windows 10を動作させるには最小構成だった。

 当時、このクラスはAtom全盛期。Bay TrailからCherry TrailのAtomへ切り替わりつつあるタイミングで価格はザックリ5万円前後。そんななか、パソコンメーカーでない同社から2万円を切って登場したので結構騒ぎになったのは言うまでもない。

 その後、プロセッサがAtom x5-Z8350になったり、メモリが4GB、ストレージがeMMC 64GB……など、じょじょにパワーアップして、今年(2021年)はプロセッサがCeleron N3350となり登場した。

 Atomではなくなったものの、それでもApollo Lakeと4年ほど前のものだ。つまり、初代と同時期にあった別のプロセッサを採用。時代背景だけみると変わっていないのがわかる。

 さすがに2020年年末は、ローエンドもとっくに世代替わりしており、たとえ2万円切りでも当時ほどのインパクトはないのの、地道にがんばってる感はある。もちろんある程度の需要もあるだろう。おもな仕様は以下のとおり。

【表】ジブン専用PC&タブレット U1C(型番: DA-T118-SR)の仕様
プロセッサCeleron N3350(2コア2スレッド、1.1〜2.4GHz、キャッシュ 2MB、TDP 6W/SDP 4W)
メモリ4GB/LPDDR4
ストレージeMMC 64GB
OSWindows 10 Home
ディスプレイ10.1型IPS式1,280×800ドット、光沢あり、10点タッチ対応、Micro HDMI(HDMI変換コネクタ付属)
グラフィックスIntel HD Graphics 500
ネットワークIEEE 802.11b/g/n、Bluetooth 4
インターフェイスUSB 3.0、USB 2.0 Type-C、USB 2.0×2(キーボード側)、microSDカードスロット、前面/背面200万画素カメラ、microSDカードスロット、音声入出力
その他Microsoft Office Mobile付属
駆動時間/バッテリ最大約6時間/7.6V 2,600mAh
サイズ/重量(本体)247×166×10mm(幅×奥行き×高さ)/約525g
サイズ/重量(合体時)247×172×20mm(同)/約995g
価格1万9,800円(税別)

 プロセッサはApollo LakeのCeleron N3350。2コア2スレッドでクロックは1.1GHzから最大2.4GHz。キャッシュは2MB、TDP/SDPはそれぞれ6W/4W。メモリは4GBだがDDR3Lからプロセッサの対応しているLPDDR4となり、若干速くなっている。ストレージはeMMC 64GB。OSは64bit版のWindows 10 Homeを搭載。確認したところBuild 1909だった。

 グラフィックスはプロセッサ内蔵のIntel HD Graphics 500。外部出力用にMicro HDMIを装備。HDMI変換コネクタも付属する。意外とMicro HDMI/HDMIアダプタ(またはケーブル)は、街中の量販店では入手しにくく、この対応はありがたい。ディスプレイは、10.1型IPS式1,280×800ドット。光沢ありで10点タッチ対応だ。

 ネットワークは、IEEE 802.11b/g/n対応、Bluetooth 4。そのほかのインターフェイスは、USB 3.0、USB 2.0 Type-C、microSDカードスロット、前面/背面200万画素カメラ、microSDカードスロット、音声入出力。キーボード側にUSB 2.0×2もある。インターフェイスだけ見ていると、このクラスの割りには充実している。

 本体のサイズは247×166×10mm(幅×奥行き×高さ)、重量約525g。合体時にはサイズ247×172×20mm(同)、重量約995gと1kgを切っているのはポイントが高い。

 バッテリは7.6V/2,600mAhを搭載。駆動時間は最大6時間。Microsoft Office Mobileが付属し、価格は1万9,800円(税別)。税別ではあるが、相変わらずの2万円切りとがんばっている。

パネル中央上にWebカメラ、中央下にWindowsボタン。上側面右に電源ボタンと音量±ボタン。フチは太め
天板にロゴなどはなくシンプルなシルバー。全体的にコンパクトでそれなりにカッコいい
本体左側面にはスピーカーのみ。キーボード側にUSB 2.0
本体右側面に上から3.5mmジャック、Micro HDMI、USB 2.0 Type-C、microSDカードスロット、USB 3.0、スピーカー、電源入力
アイソレーションタイプの日本語キーボード。タッチパッドは1枚プレート式。かなりいびつな並びがあるものの、10.1型のフットプリントに収めてるため仕方ないとことか
キーピッチは実測で約18mm
中央上にWebカメラ。左側には各コネクタの名称が書かれている
コネクタ左右のおうとつと磁石で固定するので結構ガッチリしている
付属のACアダプタはサイズ約80×48×32mm(幅×奥行き×高さ)、重量147g、出力12V/2.5A
重量は本体525g、合体時990g

 本体は一般的なタブレットだ。重量が実測で525gと片手でも楽々持ち上がる。キーボードと合体したときでも実測で990gと1kgを切っているのがなかなか良い。ただ見た目がコンパクトな分、持ち上げると少し重く感じるのは仕方ないところか。

 フロントは、パネル中央上にWebカメラ、中央下にWindowsボタン。上側面右に電源ボタンと音量±ボタン。左側面(Windowsボタンを下にしたとき)はスピーカーのみ。右側面は、3.5mmジャック、Micro HDMI、USB 2.0 Type-C、microSDカードスロット、USB 3.0、スピーカー、電源入力を配置。コネクタ類は右側面に集中している。

 キーボード側は、左右にUSB 2.0が1つずつある。裏は中央上にWebカメラ。左側には各コネクタの名称が記載。付属のACアダプタは、サイズ約80×48×32mm(幅×奥行き×高さ)、重量147g、出力12V/2.5A。

 10.1型のディスプレイはIPS式で価格を考慮すると、明るさ、発色、コントラスト、視野角も必要十分と言ったところか。フチはご覧のように結構太いが、これはキーボードのフットプリントを稼ぐ意味もある。タッチは10点対応だが、ちょっと反応が鈍いように思う。

 i1Display Proを使い特性を測ったところ、最大輝度195cd/平方m。写真の鑑賞/編集で最適とされる標準の明るさ120cd/平方mだと、最大から-4が128cd/平方m、-5が111cd/平方mとなった。したがって前者で計測している。

 黒色輝度は0.109cd/平方mで(目視可能かは別問題で)少し黒が浮く。リニアリティは、全色ほぼほぼそろっているものの、青だけ結構ズレている(このグラフは補正値なので、青が抑えられてるということは、もともと青が強い)。この関係で、補正前は若干青被りしていた。とは言え、この価格帯ならOKというレベルだと思われる。

測定結果1/白色点と黒色輝度
測定結果2/R・G・Bのリニアリティ

 キーボードはアイソレーションタイプの日本語キーボード。この面積でキーピッチを約18mm確保していることもあり、いろいろ妙な並びになっている。また左側の[Tab]、[Caps Lock]、[Shift]キーなどが無駄に長く、逆に[Enter]キーが小さく入力しにくい。次モデルがあるとすれば、2020年のまとめ記事で書いたが、[Space]キー左右へ英数/かなキーを配置するだけにしてみてはどうだろうか?

 タッチパッドは物理的なボタンがない1枚プレート型だ。パームレストも含め広くないが、操作に困るレベルでもない。デフォルトでは2本指によるスクロールがWindows式(Macの逆)になっている。

 前面/背面のWebカメラの画質はサンプルを載せるまでもないため省略した。またZoomなど、Web会議系で使うにしても、画質以前にプロセッサ性能が低過ぎる。ただ豊富なコネクタ類も含め、この価格で一式すべてそろっているのは評価すべきだろう。

 ノイズや振動は皆無。発熱はベンチマークテストなど負荷をかけると、本体右半分が熱を持った(暖かいと感じるレベル)。サウンドは本体を横向きにした時ステレオとなる。音質自体は悪くないのだが、明らかにパワーが不足。次モデルでの改善希望点だ。

 以上のように、価格を考えるとキーボードの並び以外はうまくまとめているのではないだろうか。

今時のパソコンとしては性能は……

 初回起動時、スタート画面(タブレットモード)は1画面。とくに追加されたグループなどはない。デスクトップもMicrosoft Office Mobileのショートカットが追加されているだけで、ほぼ標準のままだ。

 使用感はさすがにCeleron N3350でeMMCということもあり、かなりもっさりしている。たとえば、スタートメニューを指でタップしても、メニューが出るまで一呼吸かかってしまい、2度押しして、結果、開いて即閉じる……的な動作もしばしば。おそらくeMMCではなく、SSDなら、もう少し反応が良くなると思うので、第6弾があるとすれば、この点を強化してほしいところか。

 またシステム標準は縦表示なのか、起動時にいったん縦表示になり、ログインパネル直前で横表示に切り替わる。

 ストレージは「Generic Biwin」とあるだけで詳細は不明。Cドライブのみの1パーティションで約56.86GBが割り当てられ空き38.1GBとかなり少ない。Wi-FiとBluetoothはRealtek製だ。

スタート画面(タブレットモード)
起動時のデスクトップ。Microsoft Office Mobileのショートカットを追加したのみ
デバイスマネージャ/主要なデバイス。ストレージは「Generic Biwin」とあるだけで詳細は不明。Wi-FiとBluetoothはRealtek製
Cドライブのみの1パーティションで約56.86GBが割り当てられている

 プリインストールされているソフトウェアは、Windows標準に加え、Microsoft Office Mobile。ストレージがeMMCで64GBということもあり、最小限に抑えられている。

Microsoft Office Mobile

 ベンチマークテストは、PCMark 10、PCMark 8、3DMark、CrystalDiskMark、PCMark 10 Modern Office Battery Life。Cinebench R23の測定も行なったが、R20からさらに負荷がかかるようになり、マルチコアですら結構な時間が経っても終わらなかったので掲載しなかった。

 ここのところTiger Lakeなマシンが続いたこともあり、3D系も含めひさびさに見る低いスコアだ。参考までにGoogle Octane@Chromeは9,480。筆者が合格ラインとする1万まであと一歩。Webの表示もそれなりにもたつく。

 PCMark 10 Modern Office Battery Lifeは、システム標準(ACアダプタを抜いた状態)で3時間41分。最大が6時間なので、約半分となった。ただこれは画面が結構明るく、テスト内容もビジネス向けで負荷がかかる。Webを見たり、動画再生的な使い方なら、もう少し持ちそうだ。

【表2】ベンチマーク結果
PCMark 10 v2.1.2506
PCMark 10 Score1,061
Essentials2,771
App Start-up Score2,686
Video Conferencing Score2,655
Web Browsing Score2,985
Productivity1,753
Spreadsheets Score1,939
Writing Score1,585
Digital Content Creation669
Photo Editing Score654
Rendering and Visualization Score420
Video Editting Score1,094
PCMark 8 v2.8.704
Home Accelarated 3.01,435
Creative Accelarated 3.01,166
Work Accelarated 2.02,276
Storage4,457
3DMark v2.16.7113
Time Spy104
Fire Strike Ultra76
Fire Strike Extreme176
Fire Strike347
Sky Diver1,241
Cloud Gate2,185
Ice Storm Extreme14,649
Ice Storm20,675
CrystalDiskMark 6.0.0
Q32T1 シーケンシャルリード150.305 MB/s
Q32T1 シーケンシャルライト141.676 MB/s
4K Q8T8 ランダムリード47.941 MB/s
4K Q8T8 ランダムライト60.878 MB/s
4K Q32T1 ランダムリード64.856 MB/s
4K Q32T1 ランダムライト67.550 MB/s
4K Q1T1 ランダムリード6.700 MB/s
4K Q1T1 ランダムライト49.395 MB/s

 以上のようにドン・キホーテ「ジブン専用PC&タブレット U1C(型番: DA-T118-SR)」は、Celeron N3350、メモリ4GB、ストレージeMMC 64GBの10.1型2in1だ。プロセッサ自体が約4年前、そしてeMMCということもあり、昨今のパソコンとしてはエントリーモデルとして見てもかなり遅い。

 とは言え、価格は2万円を切り、合体時でも1kgを切るなど、入門向けや、セカンドまたはサードマシンならインターフェイスを含めひととおりそろっており楽しめる内容になっている。パネルも価格を考えれば十分な品質だ。

 キーボードの並びがいびつなのはサイズ的に仕方ないものの、それ以外は仕様を考えれば、とくに気になる部分はない。ちょっと試してみるか的に使ってほしい1台と言えよう。