西川和久の不定期コラム

本革仕様の天板や曲面エッジディスプレイを採用。こだわりデザインのレノボ製14型ノート「Yoga Slim 950i」

Tiger LakeのやsRGB 100%の14型4K液晶を搭載したハイエンドノート

Yoga Slim 950i)

 レノボ・ジャパン合同会社は、Tiger Lakeを搭載した14型ハイエンドノート「Yoga Slim 950i」を15日に発売した。価格は22万9,800円(税別)。

 同社のYogaシリーズはヒンジが360度回転するイメージがあるが、このYoga Slimシリーズは、180度までの一般的なノートパソコンとなる。シリーズの一覧を見ると、14型のYoga Slim 750、15.6型の750i(15)、14型の750i(14)、13.3型の750i Carbonと750i(13)をラインナップしている。

 今回レビューするYoga Slim 950iは、Slimシリーズのなかでも筐体やディスプレイなどにこだわった製品で、Intelが高性能モバイルノートとして推すEvoプラットフォームにも対応した最上位モデルとなる。おもな仕様は以下のとおり。

【表1】Yoga Slim 950iの仕様
プロセッサCore i7-1165G7(4コア8スレッド、最大4.7GHz)
メモリ16GB
ストレージPCIe SSD 1TB
OSWindows 10 Home
ディスプレイ14型IPS式4K(3,840×2,160ドット)、光沢あり、10点タッチ対応
グラフィックスIris Xe Graphics
ネットワークWi-Fi 6対応、Bluetooth
インターフェイスThunderbolt 4×3、Webカメラ(プライバシーシャッター搭載)、音声入出力端子、Dolby Atoms対応
駆動時間最大約18.7時間
サイズ/重量約318×200.7×13.9mm(幅×奥行き×高さ)/約1.31kg
価格22万9,800円(税別)

 プロセッサはTiger LakeのCore i7-1165G7。4コア8スレッドでクロックは最大4.7GHz。cTDP down:12W(1.2GHz)/up:28W(2.8GHz)。キャッシュは12MB。メモリは16GB、ストレージはPCIe SSD 1TBだ。

 OSはWindows 10 Homeを搭載。確認したところ20H1だった。20H2へのアップデートが可能な状態だったが、20H1のままでWindows Updateして評価している。

 グラフィック機能は、プロセッサ内蔵のIris Xe Graphics。外部出力用にThunderbolt 4(USB Type-C)が利用できる。ディスプレイは。Contour Glassを採用した曲面エッジディスプレイの14型4K(3,840×2,160ドット)。パネルはIPSで光沢があり、10点タッチ対応。加えてDolbyVision、100% sRGB、DisplayHDR 400、輝度500cd/平方m、ブルーライト低減などの特徴を備えている。

 ネットワーク機能は、Wi-Fi 6対応、Bluetooth。インターフェイスは、Thunderbolt 4×3、顔認証対応のWebカメラ、音声入出力端子。Webカメラはカメラを塞ぐプライバシーシャッターつきで、オーディオはDolby Atomsに対応。USB Type-Aが1つもないのは不便と言えば不便だが、これも時代の流れというところだろうか。

 ここまではハイエンドノートそのものだが、加えて、アルミ製CNC機械加工シャーシに本革仕様の天板や、フラットなガラス製のパームレスト、電源が入ると反応するスマートセンスタッチパッドなどいろいろこだわった特徴を持つ。

 バッテリ駆動時間は最大約18.7時間。サイズ約318×200.7×13.9mm(幅×奥行き×高さ)、重量約1.31kg。価格は22万9,800円(税別)となる。高価だがこれだけの内容なので、妥当なところだろう。

ディスプレイ中央上にWebカメラ。シャッターはここにはなく右側面にある。フチは結構狭い
天板は本革仕様。左上にYOGAのロゴがある
Contour Glassを採用した曲面エッジディスプレイ。少しわかりにくいが、エッジが曲面になっている
Thunderbolt 4×2、音声入出力。ディスプレイは180度倒すことができる
電源ボタン、Thunderbolt 4、Webカメラのプライバシーシャッター
キーボードはテンキーなしのアイソレーションタイプ。2段階のバックライトつき。タッチパッドはパームレストと一体化しており、段差がない。左右のスリットにスピーカー
キーピッチは実測で約19mm。[Enter]キー周囲が少し窮屈だが許容範囲だろう
底面は、手前2つと後ろに横長のゴム足
Thunderbolt 4のコネクタサイズからわかるようにかなり薄い
ACアダプタのサイズは約90×50×20mm(幅×奥行き×高さ)、重量208g。出力20V/3.25A、15V/3A、9V/3A、5V/3Aの65Wタイプ。下に置いているのは付属のケース
重量は実測で1,290g

 筐体はアルミ製CNC機械加工、天板は本革仕様、パームレストはガラス製と、高級感と重厚感たっぷりでカッコいい。個人的には天板はソリッドな感じが好きだが、ここは個人差もあるだろう。14型で実測1,290g。重くはないが軽いほうでもない。

 フロントはディスプレイ中央上にWebカメラ。フチはご覧のように細い上に、写真では少しわかりにくいがエッジが曲面になっている。左側面にThunderbolt 4×2、音声入出力。右側面に電源ボタン、Thunderbolt 4、Webカメラのプライバシーシャッターを配置。Thunderbolt 4のコネクタからもわかるようにかなり薄型だ。

 14型のディスプレイは、光沢式なので長時間使うと眼が疲れるかもしれないが、明るさ、コントラスト、発色、視野角すべてかなり良い。10点タッチの感触も良好だ。

 i1 Display Proを使い特性を測ったところ、最大輝度429cd/平方m。最大の状態から輝度-4にすると138cd/平方m、-5では94cd/平方mとなった。写真の鑑賞/編集で最適とされる標準の明るさは120cd/平方mなので前者で計測している。黒色輝度は0.120cd/平方mで少し黒が浮く。リニアリティは、ほぼ直線的だが青だけずれが大きい。したがって無補正だと少し色温度が低めで黄色っぽくなる。

白色点と黒色輝度
RGBのリニアリティ

 キーボードはアイソレーションタイプで2段階のキーボードバックライトつきだ。浅めのストロークだがカチッとしており打鍵感も良い。キーピッチは実測で約19mm。14型でフットプリントに余裕がある分、さほどいびつな並びもない。[Enter]周囲が少し窮屈な程度だろうか。

 パームレストはガラス製で扉の写真などを見ると映り込んでいるのがわかる。タッチパッドもその平な部分に段差なく設置。統一感がある。ただ慣れるまで、タッチパッド外を操作してしまうこともあった。

 動作時のノイズや振動は試用した範囲ではまったく気にならなかった。発熱もキーボード上のスペースが若干暖かくなる程度だ。サウンドはキーボード左右のスリットにスピーカーが埋め込まれており、音がダイレクトに耳へ届く。いつもの確認用音源を鳴らして驚いたが、パワーも音質もノートパソコンとしてはかなり良い。音楽も映像も十分楽しめる。

 以上のように全体的に高い完成度だが、ビデオ会議の用途もあるため前面カメラの映りを確かめたところ、顔認識はするもののHD解像度(1,280×720)なので画質が悪い。ほかが良いだけに、あと一歩と思った部分だ。

Tiger Lake搭載機らしくバランスの整った性能

 Tiger LakeのCore i7、メモリ16GB、PCIe SSDということもあり、起動や動作など何をしてもストレスフリー。やはりメインで使うならこのクラスがほしいところ。また、席を離れるとロック、近づくと顔認識で解除する機能もはじめは妙な気分だが、慣れれば便利だ。

 ストレージはPCIe SSD 1TBの「WDC PC SN730 SDBPNTY-1T00-1101」。仕様によるとシーケンシャルリードは3,150MB/s、同ライトは2,100MB/s。CrystalDiskMarkのスコアは同等以上になっている。Cドライブの空き容量は904GB。BitLockerで暗号化されている。Wi-FiとBluetoothはIntel製だ。Webカメラは顔認識用のIRカメラもあることがわかる。

スタート画面(タブレットモード)。Lenovoグループがプリインストール
起動時のデスクトップ
デバイスマネージャー。ストレージはPCIe SSD 1TBの「WDC PC SN730 SDBPNTY-1T00-1101」。Wi-FiとBluetoothはIntel製だ。Webカメラは顔認識用のIRカメラもある
Cドライブは約952GBが割り当てられている。BitLockerで暗号化

 おもなインストール済みのソフトウェアは、「Dolby Atmos Speaker System」、「Dolby Vision」、「Lenovo Vantage」、「LenovoUtility」、「マカフィー リブセーフ」などシステム系ツールが中心となる。Lenovo Vantageは同社固有の総合システムツールで、ドライバやBIOSのアップデートなどができて便利だ。

Lenovo Vantage
Dolby Atmos Speaker System
Dolby Vision

 ベンチマークテストは、PCMark 10、PCMark 8、3DMark、Cinebench R23、CrystalDiskMark、PCMark 10/BATTERY/Modern Office。少し前に同じi7-1165G7を搭載したノートパソコンを試用しているが、スコア的にはあまり変わらない感じで、Tiger LakeのCore i7らしいバランスの取れたスコアと言えよう。

【表2】ベンチマーク結果
PCMark 10 v2.1.2506
PCMark 10 Score4,718
Essentials9,282
App Start-up Score11.873
Video Conferencing Score7,886
Web Browsing Score8,541
Productivity6,603
Spreadsheets Score5,901
Writing Score7,390
Digital Content Creation4,651
Photo Editing Score7,725
Rendering and Visualization Score2,613
Video Editting Score4,985
PCMark 8 v2.8.704
Home Accelarated 3.03,705
Creative Accelarated 3.04,587
Work Accelarated 2.02,607
Storage5,041
3DMark v2.16.7113
Time Spy1,749
Fire Strike Ultra1,289
Fire Strike Extreme2,409
Fire Strike4,555
Sky Diver12,199
Cloud Gate15,374
Ice Storm Extreme60,946
Ice Storm65,427
Cinebench R23
CPU4,697 pts
CPU(Single Core)1,496 pts
CrystalDiskMark 6.0.0
Q32T1 シーケンシャルリード3,359.909 MB/s
Q32T1 シーケンシャルライト2,995.094 MB/s
4K Q8T8 ランダムリード1,079.984 MB/s
4K Q8T8 ランダムライト476.528 MB/s
4K Q32T1 ランダムリード397.201 MB/s
4K Q32T1 ランダムライト500.221 MB/s
4K Q1T1 ランダムリード45.249 MB/s
4K Q1T1 ランダムライト157.579 MB/s

 PCMark 10 Modern Office Battery Lifeは9時間34分。仕様上は最大約18.7時間なので約半分ほどだが、PCMark 10のバッテリテストは負荷が高いので妥当な数値だろう。ディスプレイもかなり明るい状態なので、暗めにすればもう少し持つと思われる。個人差もあるだろうが、輝度50%(-5)でも十分な明るさだ、


 以上のように「Yoga Slim 950i」は、Core i7-1165G7、メモリ16GB、PCIe SSD 1TBを搭載、4KでsRGB 100%/DolbyVisionなどに対応した14型のハイエンドノートパソコンだ。アルミ製CNC機械加工シャーシ、本革仕様の天板、ガラス製のパームレストなど、筐体へのこだわりもなかなか。

 カメラがHD解像度なのが少し残念だが、それ以外は気になる部分もなく、バランスの良い1台に仕上がっている。Evoプラットフォーム対応で、最上位クラスのノートパソコンがほしいユーザーにおすすめしたい。