西川和久の不定期コラム
Celeron/4GB/64GB搭載で実用性が高いスティックPC「ドスパラ Diginnos Stick DG-STK5S」
2019年3月5日 11:00
ドスパラは2019年1月11日、Gemini Lake世代のCeleronを搭載したスティックPC「Diginnos Stick DG-STK5S」を発表した。編集部から実機が送られて来たので試用レポートをお届けしたい。
実用的に使えるCeleron/4GB/64GBのスティックPC
いきなり余談になるが、ここのところスティックPCはあまり扱ってないな……と、調べたところ直近でも2017年5月、Atom x5-Z8350/2GB/32GBのマウスコンピューター「m-Stick MS-CH01FV2」だった。過去にAtom x5/2GB/32GBのコンビネーションはいろいろ試用したので、2019年はもうレビューしなくてもいいかな? 的な仕様とも言える。
そのなかで、久々に試用したスティックPCが今回ご紹介するドスパラ「Diginnos Stick DG-STK5S」だ。Gemini Lake世代のCeleron、メモリ4GB、eMMCで64GBと、とりあえWindowsが動く的なPCではなく、ちょっとした業務や、4Kも含む動画再生を普通にこなせる環境となる。おもな仕様は以下のとおり。
【表】ドスパラ「Diginnos Stick DG-STK5S」の仕様 | |
---|---|
プロセッサ | Celeron N4000(2コア2スレッド/1.1GHz~2.6GHz/キャッシュ 4MB/TDP 6W) |
メモリ | 4GB LPDDR4 |
ストレージ | eMMC 64GB |
OS | Windows 10 Home(64bit) |
グラフィックス | Intel UHD Graphics 600、HDMI |
ネットワーク | IEEE 802.11ac対応、Bluetooth 5.0 |
インターフェイス | USB 3.0×2(うち1基はType-C)、HDMI出力、microSDカードスロット |
サイズ/重量 | 118×45×14mm(幅×奥行き×高さ)/約75g |
税別価格 | 26,800円(Windows 10 Proモデル 32,800円) |
プロセッサはGemini Lake世代のCeleron N4000。2コア2スレッドでクロックは1.1GHzから最大2.6GHz。キャッシュは4MBでTDP/SDPは6W/4.8Wだ。メモリはLPDDR4 4GB。PCMark 10のSystem Informationによると4GB×1となっている。ストレージはeMMCの64GB。
Gemini Lake世代のCeleron/4GB/64GBなので、冒頭に書いたようなAtom/2GB/32GBの構成より実用レベルで使えそうだ。OSは64bit版のWindows 10 Home。別途Windows 10 Proモデルも用意されている。
グラフィックスはプロセッサ内蔵Intel UHD Graphics 600。外部出力用にHDMIを装備。Intel UHD Graphicsになったことで4K映像も十分処理可能だ。
ネットワークは有線LANはなく、IEEE 802.11ac対応、Bluetooth 5.0。その他のインターフェイスは、USB 3.0×2(うち1基はType-C)、microSDカードスロット。有線LANはないものの、11ac対応なので本機の用途ならとくに問題はないだろう。USB 3.0を使えば、必要に応じてGbEも追加できる。電源は別途ACアダプタと電源入力端子がある。
サイズ118×45×14mm(幅×奥行き×高さ)、重量約75g。写真からもわかるようにスティックPCと言う割に少し幅があるが、とにかく軽いので許せてしまう。税別価格は26,800円(Windows 10 Proモデル 32,800円)。
欲を言えば、同じGemini Lake世代4コア4スレッドのCeleron N4100やPentium Silver N5000モデルも欲しいところか。
筐体はご覧のように少し幅のあるスティックタイプ。スリムな形状に加え実測74g。楽々持てるのはもちろん、カバンなどに入れても全く気にならない重量だ。専用のACアダプタが112gとやや本末転倒感はあるが、それでも合計で200gを切っており、どうにでもできる重さと言えよう。カラーは表がブラック、それ以外はシルバーの2色を使用している。
HDMI端子を右側にして、表左側に電源ボタン、その横に放熱用のスリットが2つ並んでいる。裏はとくに何もなく、左側面にmicroSDカードスロット、電源入力。右側面にUSB 3.0、Type-Cを配置。サウンドに関しては、音声出力がHDMIに乗っているだけで、入力/出力ともになく、必要ならば別途USBなどで接続することになる。
ACアダプタのサイズは約55×50×25mm(幅×奥行き×高さ、突起物含まず)、重量112g、出力5V/3A。HDMIの延長ケーブルも付属する。ディスプレイ側のコネクタ配置によってはダイレクトに刺さるケースもあるだろうが、このケーブルを使って本機はぶら下げる方が、コネクタにかかる負荷や干渉などからして無難だろう。
ファンレスではないものの、振動やノイズは試用中とくに気にならなかった。メーカー曰く「従来モデルから50%以上静音化し、騒音は19.6dB」とのこと。
発熱は、ベンチマークテストなど負荷をかけてもほんのり暖かくなるレベル。熱処理もうまくできており、(搭載プロセッサにもよるが)昔このタイプでたまに発生していたサーマルスロットリングもなさそうだ。
このように、軽くて場所を選ばず、発熱もほどほど。ディスプレイの横に転がしたり、裏に付けたり、カバンに入れて自宅と職場で持ち運んだり……利用できるシーンはいろいろあるだろう。
プリインストールのアプリもなく扱いやすい構成
OSは64bit版のWindows 10 Home。初期起動時のスタート画面(タブレットモード)はフルHDで1画面。とくに追加されたグループやアプリなどはない。デスクトップは壁紙も変えずWindows 10デフォルトのままだ。
ここのところ第8世代の速いマシンばかり触っていたので、それと比べるとかなり遅いものの、サイトを徘徊したり、動画を再生する範囲ではさほどストレスもなく扱えた。余談になるが、先日某取引先の経理用マシンを調整していたところ、第4世代のCore i3/メモリ4GB/HDD@Windows 7だった。これと比べれば体感速度はいい勝負(少し上?)ではないだろうか。
ストレージはeMMC 64GBの「SanDisk DA4064」。C:ドライブのみの1パーティションで約57.64GBが割り当てられ空き42.3GB。データを扱う容量が厳しいので、NASやmicroSDカードなどと併用することになる。Wi-Fi(Wireless AC9560)とBluetoothはIntel製だ。
プリインストールのソフトウェアはとくにない。ストレージが64GBと言うこともあり、それを配慮したのだろう。ベンチマークテストは、PCMark 10、PCMark 8、3DMark、CINEBENCH R15、CrystalDiskMark。
PCMark 10 v1.0.1457 | |
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PCMark 10 Score | 1,591 |
Essentials | 4,125 |
App Start-up Score | 3,893 |
Video Conferencing Score | 4,187 |
Web Browsing Score | 4,308 |
Productivity | 2,864 |
Spreadsheets Score | 3,403 |
Writing Score | 2,411 |
Digital Content Creation | 926 |
Photo Editing Score | 891 |
Rendering and Visualization Score | 611 |
Video Editting Score | 1,462 |
PCMark 8 v2.8.704 | |
Home Accelarated 3.0 | 1,777 |
Creative Accelarated 3.0 | 1,520 |
Work Accelarated 2.0 | 2,768 |
Storage | 4,634 |
3DMark v2.4.4264 | |
Time Spy | n/a |
Fire Strike Ultra | n/a |
Fire Strike Extreme | n/a |
Fire Strike | 375 |
Sky Diver | 1,195 |
Cloud Gate | 2,616 |
Ice Storm Extreme | 15,382 |
Ice Storm | 22,360 |
CINEBENCH R15 | |
OpenGL | 18.46 fps |
CPU | 138 cb |
CPU(Single Core) | 75 cb |
CrystalDiskMark 6.0.0 | |
Q32T1 シーケンシャルリード | 221.732 MB/s |
Q32T1 シーケンシャルライト | 143.454 MB/s |
4K Q8T8 ランダムリード | 49.747 MB/s |
4K Q8T8 ランダムライト | 44.242 MB/s |
4K Q32T1 ランダムリード | 50.399 MB/s |
4K Q32T1 ランダムライト | 46.311 MB/s |
4K Q1T1 ランダムリード | 13.555 MB/s |
4K Q1T1 ランダムライト | 36.733 MB/s |
スティックPCではないものの、最近扱った中で一番近いPCは、ミニPC「LIVAZ2-8/120-W10(N4100)」(Celeron N4100/8GB/SSD)だろうか。スコアを比較すると凹凸はあるものの、よく似た感じになっている。記事中でたまに使う「ライトな用途なら」よりは、より実用的に使えるレベルだと言える。
以上のようにドスパラ「Diginnos Stick DG-STK5S」は、Gemini Lake世代のIntel Celeron、メモリ4GB、ストレージeMMC 64GBを搭載したスティックPCだ。一頃の同クラスよりすべてパワーアップしており、ちょっとした業務はもちろん、4K動画再生も可能。加えてコンパクトなので、持ち歩きは容易、ディスプレイの背面にも簡単に装着できる。
仕様上とくに気になる部分もなく、ある程度実用的に使えるスティックPCを求めてるユーザーにとって、おすすめできる1台に仕上がっている。