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iPhone/iPadをMacの周辺機器に! 知らないと損する3つの連係テク
2021年6月8日 06:55
メールなどのコミュニケーションでは、「文章で説明するよりも、絵や写真のほうが手っ取り早い」というケースがしばしばあります。たとえば、取引先から届いた納品物に不具合があったとき、納品物の状態を長々と説明するより、撮影した写真にコメントを書き込んで送ったほうがわかりやすい場合が多いのではないでしょうか。「でも、いちいち写真をパソコンに読み込ませたり、プリントアウトしてサインペンで書き込むなんて面倒」。そんなアナタに向けて、手軽でスピーディーな情報伝達が実現する、MacとiPhone/iPadの連係技を3つ紹介しましょう。
「連係スケッチ」で手書きの図を挿入
1つ目の連係技は、「連係スケッチ」です。この連係技を使うと、iPhoneやiPadを使って図やイラストを手書きし、メールなどに挿入できます。手書きの地図を書いて場所を伝えたり、電子機器や体の部分を指し示したり、あるいは仕事の流れをフローチャートで示したりと、いろいろな場面で重宝します。
「連係スケッチ」を使うには、事前準備として同じApple IDでログインしているMacとiPhone/iPadを用意し、どちらもWi-FiとBluetoothをオンにしておきましょう。MacはmacOS Catalina(10.15)、iPhoneはiOS 13、iPadはiPad OS 13以上にしておく必要があります。
準備ができたら、操作は簡単です。新規メールを作成しているときに「ファイル」メニューの「iPhoneまたはiPadから挿入」を選ぶと、連係スケッチを利用できるデバイスが並びます。使いたいデバイス名の下にある「スケッチを追加」を選びましょう。「ファイル」メニューから呼び出す以外に、コンテキストメニュー(「control」キー+クリックまたは副ボタンクリック)から呼び出すこともできます。
すると、iPhoneやiPadの画面が切り替わります。iPhone/iPadはロックを解除しなくてもそのまま使えるので、「マスクをずらしてFace IDで認識させて……」なんて手間も不要です。画面下にペンやマーカーが並ぶので、好きなツールを選んでイラストや図を手書きしましょう。iPadとApple Pencilがあればかなり快適ですが、指でも利用できます。馴れてくれば、iPhoneと指だけでもけっこう細かく書けるようになるでしょう。
書き終わったら、iPhone/iPadの画面右上にある「完了」ボタンをタップしましょう。瞬時に書いた図がメールの中に画像として挿入されますので、あとはこれを送信するだけです。紙に書いたものをスキャンしたり写真に撮ってMacに取り込むよりも、圧倒的に素早く作業が完了します。誰かに図を送りたいときには、ぜひマスターしておきたいテクニックです。
なお、この連係スケッチ機能は、メール以外にもさまざまなソフトで利用できます。文書作成ソフトでも利用できるため、絵が上手い人なら手書きのイラストをプレゼンに盛り込むといった使い道も考えられます。機能が利用できる主なソフトは次のとおりです。
- メール
- テキストエディット
- メモ
- Keynote※1
- Pages※1
- Numbers※1
- Microsoft PowerPoint※2
- Microsoft Word※2
※1 「ファイル」メニューではなく「挿入」メニューの中にあります
※2 コンテキストメニューの中にあります
PDFへの書き込みが簡単な「連係マークアップ」
2つ目の連係技は、「連係マークアップ」です。Macの中にある画像ファイルやPDFファイルに対して、iPhone/iPadを使って手書きの図や文字を書き入れることができる連係技です。連係スケッチと同じく、同じApple IDでログインしてWi-FiとBluetoothをオンにしておきましょう。OS条件も連係スケッチと同じです。
まず、MacのFinderで画像ファイルやPDFを選択してスペースキーを押すと、macOS標準の「クイックルック」という機能によって画像がプレビュー表示されます。このとき、ウインドウの上部にある「マークアップ」ボタンを押すと、ウインドウ上部にいくつかのマークアップ用ツールが表示されます。
次に、そのツール群の右端にある「iOSデバイス上で注釈」ボタンを押しましょう。連係できるデバイスの一覧が表示されるので、使いたいデバイスを選ぶと、そのデバイスの画面に画像やPDFが瞬時に表示されます。先ほどの連係スケッチと同じように、画面下にペンなどの描画ツールが表示されますので、自由に書き込みましょう。
連係マークアップでは、iPhone/iPadで書き込んだ内容がほぼリアルタイムにMac側でも確認できます。Mac側で「完了」ボタンを押せば、書き込んだ内容が反映されます。
この機能では、ファイルをiPhone/iPadに転送したり、書き込んだ後にMacに戻したりする手間が省け、大変スピーディーに注釈を書き込めます。ただし、「完了」を押した瞬間、ファイルの内容が更新されてしまい、バックアップからの復元をしない限り元に戻せませんので注意しましょう。
すぐに写真を取り込める「連係カメラ」
そして3つ目は、「連係カメラ」です。Mac側からiPhone/iPadのカメラを呼び出して、撮影したものをすぐに取り込める連係技です。こちらはmacOS Mojave(10.14)、iOS 12以降で利用できます。
操作は、連係スケッチと同様に、「ファイル」メニューの「iPhoneまたはiPadから挿入」から行ないます。メニューの階層を辿っていくと「写真を撮る」という項目があるのでそれを選択しましょう。すると、iPhone/iPadのカメラアプリが起ち上がります。撮影してから「写真を使用」をタップすれば、Mac側のソフトに写真が挿入されます。
利用できるソフトは、連係スケッチの項目で挙げたもののほか、「プレビュー」アプリでも利用できます。「プレビュー」アプリでは、iPhoneやiPadで撮影したものをすぐにMacに保存できます。メール作成、各種文書作成ソフトでの画像挿入、直接ファイルに保存するなど、幅広いシーンで使える連係技だと思います。
さらに、「iPhoneまたはiPadから挿入」メニューの中には、「書類をスキャン」という項目もあります。こちらも連係カメラの機能の1つです。紙の書類などを撮影すると、遠近法や傾き、コントラストなどを調整してくれます。iPhone/iPadを簡易的なスキャナとして利用できるというわけです。
特性を生かしながら活用しよう
これら3つの連係技は、iPhone/iPadをMacの周辺機器として利用するようなイメージです。この場合、iPhone/iPadはあくまで入力デバイスに過ぎず、書いたスケッチや撮影した写真はiPhone/iPad内に保存されません。あとで探そうとしてもiPhone/iPadから見つけることは不可能ですので、その点は理解しておきましょう。
また、これらの連係技は、本格的なイラストや図解を書いて保管しておくような使い方ではなく、あくまで一時的な伝達や自分のためのメモなどの用途に活用するのがおすすめです。機能の特性を理解しながら使いこなし、情報伝達力のアップや作業効率の向上を図っていきましょう。