買い物山脈

ASUSのRyzen 9ノートを買ってIvy Bridgeオジサンを卒業しました

品名
ASUS Zephyrus G14
購入日
2020年6月2日
購入金額
263,800円
使用期間
約1カ月
「買い物山脈」は、編集部員やライター氏などが実際に購入したもの、使ってみたものについて、語るコーナーです
Zephyrus G14

 自宅でのテレワーク用に13.3型の「Razer Blade Stealth GTX 4Kモデル」を購入したばかりの筆者だが、6月に発売されたばかりの「ASUS ROG Zephyrus G14」を追加でポチってしてしまった。今回は自腹ではなく、会社のメインマシンを置き換えるという名目で経費を使用したのだが、なぜPCをポチったばかりなのにもう1台ポチってしまったのか、その経緯を説明したい。

デスクトップPCからノートPCへの移行

 4月末に購入した「Razer Blade Stealth GTX 4Kモデル」は、その後、家でも、会社の会議でも、オフラインの取材先でも大活躍している。

 筆者が朝起きてまずやることは子供の朝食を作ることなのだが、調理待ちのあいだにBlade Stealthを開いてメールをチェック。子供がご飯を食べたり、テレビを観たり、一人で遊んでいる昼のあいだは執筆。夜子供を寝かしつけたあと、Thunderbolt 3のGPUボックス「Node Titan」にGeForce GTX 1080を繋いで、快適に3Dゲームをプレイ。今まで家ではほぼデスクトップPC頼りだったが、その利用は少なくなった。

 デスクトップPCが不要だと言っているわけではない。たとえ同じ情報量でも、やはり27型のWQHDディスプレイがもたらす快適さは圧倒的だからだ。溜まった原稿があったり、執筆にとにかく集中したかったりするときなどはデスクトップPCに戻ることもある。しかしPCライフのほとんどをノートで済ませられるようになった。

 デスクトップPCのほうが高価で高性能なパーツを積んでいるので、減価償却の意味ではそっちを多く使ったほうがいいのは間違いない。しかしデスクトップがあるのにあえてノートPCを使っているのが「ニューノーマル」だともいえ、じょじょに受け入れるべきだと覚悟させられた。

 もっとも、うちでは保育園に通う小さい子供がいるので、リビング中心の生活を送っているからそういう状態であって、そうでない家庭ならやはりデスクトップPCを一発買ったほうが生産性は圧倒的に高いと思う。さらに言えば、6月の緊急事態宣言解除後は、筆者の地域では通園が可能になったので、リビングで仕事する必要性は減った。

 しかし、6月に入ったあと、暑さも本格化しエアコンが必要になった。妻と別々の部屋で仕事してエアコンを2台つけるより、リビングで1台で済ませたほうが電気代の節約にもなるという理由でリビング勤務を継続している。さらに、妻と適度に雑談も交わせるので孤独感もだいぶ減る。集中して執筆したいときや、会議では、各自の部屋に退避することとなった。

自宅で約1カ月間活躍したBlade Stealth 13

失われた6コア

 4月末に購入し、ふだんリビングで使っているBlade Stealth 13だが、CPUとしてIce Lake世代のCore i7-1065G7を搭載している。Ice Lakeは素性がよくIPCが高いため、最上位でも4GHz未満のクロックながら、ベンチマークでは高い性能を発揮する。

 しかし、筆者は2018年に10コアのXeon E5-2680 v2環境を購入して、会社で使っているので、それと比較すると6コア分も少ないのである。もちろん本来は会社のデスクトップの置き換えを目的としてBlade Stealthを買ったわけではなく、モバイルを見越した購入だったので納得はできているが、テレワークがさらに長期化することを想定し、会社のデスクトップ以上の性能環境を手に入れるべきだったかなぁとちょっと後悔している。

 Blade Stealth 13はシングルタスクで作業している分には不満はそれほどない。しかし筆者が普段業務で行なっている、PC Watchへのアクセス数を解析するGoogle AnalyticsやChartbeatの監視、仕事連絡用にSlackやGmailをGoogle Chromeで常時開いてのチェックなどは、じつはCPUにとってそこそこの処理で、Core i7-1065G7だとつねに25%程度の負荷がかかっていて、一時的に50%を超えることもある。これだと実質作業で使えているのはデュアルコアCPUだ。

 しかもBlade Stealth 13の2019年後期モデルは、CPUのTDPを制限していて、フルに性能を発揮できていないのだ(2020年モデルでは改善されている模様)。4コアフルロード時の最大クロックは2.1~2.2GHz。日常的な負荷に加えて裏でこっそりWindows Updateが走った日には、「み、みんな! オラにリソースを分けてくれ~!」と叫びたくなってしまう。

 外出先や出張先なら、ほぼ執筆やフォトレタッチがメインで、アクセス数の監視やメールのチェックはその合間にやるスタンスなので、Blade Stealth 13の性能で十分だ。ところが普段会社でやっているような作業と同じスタイルを持ち込むとなかなか厳しい。そんなわけで3週間程度の使用で、だんだんとストレスを覚えるようになった。

リアルタイムでPC Watchへのアクセス状況を監視しているため、つねに25%ぐらいのリソースが消費されている。まぁアイドルで暇にしているよりはマシってことだろうけど
裏でWindows Updateが走っていたり、ウイルスチェックされたり、なんらかのソフトをインストールしながらとかだと、もう50%超え。せっかくのCore i7も、Core m3程度のリソースしか残ってない

 「会社のPCばりの作業効率をリビングでもほしい」と思い立ったら次のステップ。より高い性能のノートの購入を検討することだ。ただ自腹で20万円超のノートPCを3連続で購入するのはさすがにつらいので、今度は上司と相談して会社の経費で落とすことにした。

 在宅勤務のご時世なので、あっさり上司の購入許可が得られたのはいいが、選択肢がない。ノートPC向けのComet Lakeは最大8コアまでしかないが、そこはIPCやクロックの向上もあって十分に2コア分の性能と相殺できる。問題は、そのSKUが「Core i9-10980HK」と「Core i7-10875H」の2種類のみしかなく、この2つのSKUを搭載したノートPCはいまのところ15.6型か17.3型しかないため、筆者宅の食卓に置くにはややつらいサイズであることだ。

そうだ、Ryzen、買おう

 ここ数年間、IntelはクライアントPCにおける多コア化に関して消極的であった。Core 2 Quadから第7世代Coreまでの約10年間、ハイエンドは一貫して4コアに据え置き、それ以上はエンスージアスト向けのプラットフォーム、もしくはXeonでカバーしていた。それでも最新のCore Xは18コア、Xeonは36コア止まりである。

 この状況を打破したのは言うまでもなくAMDのRyzenだ。第1世代でいきなりハイエンドで8コア、エンスージアスト向けのRyzen Threadripperで16コアを投入。第2世代ではRyzen Threadripperを32コアに増やし、そして第3世代ではついにハイエンドで16コア、エンスージアストで64コアまで拡張した。10年間足踏みし続けたクライアントPCのCPUコア数が、ついに飛躍したのである。

 第2世代Ryzenまでは、正直シングルスレッド性能がいまいちパッとしなかった印象で、単なる多コア化目的でXeon E5-2680 v2から乗り換えるにはやや説得力に欠けていた。また、デスクトップでは多コア化ができていたものの、ノートPC向けに関してはGPUを統合していた関係で4コアに据え置かれ、パンチ力に欠ける印象は否めなかった。

 ところがZen2アーキテクチャでは見事にそのIPCの低さという弱点が潰され、なおかつ7nmへのシュリンクで、Zen2を採用したRyzen Mobile 4000シリーズでは8コアへと倍増。スキのないプロセッサの仕上がった。これならノート向け製品でも、Xeon E5-2680 v2を凌駕する性能を発揮できる。

どうですかこの圧倒的なCINEBENCH 20性能。大ヒットした初代のRyzen 7 1700Xよりも速いんですよ。しかもこれで35W

 しかも、このRyzen Mobile 4000を搭載したノートPCは、いろいろなメーカーからリリースされているので、選択肢はかなりある状態。つまり、Ryzen Mobile 4000搭載ノートを選べば、これまで会社で使っていたPC以上の性能を入手可能になっているわけだ。

 ところが4月末の時点ではRyzen Mobile 4000シリーズを搭載しながら、筆者の要件に合致するノートPCはなかった。つまり13~14型前後で2kg未満、かつWQHD(2,560×1,440ドット)以上の解像度のディスプレイを備えた製品である。5月末になってようやく、筆者の要件にピッタリ合致するRyzen Mobile 4000ノートPCが登場した。それがASUSの「ROG Zephyrus G14」なのだ。

 4月末の検討時にもじつはZephyrus G14の存在も気になっていた。1月のCESで発表され、筆者は台湾に赴いてASUSが開催した発表会にも出席して、製品の自体は把握していた。しかし日本での発売が先で1カ月間の空白を先に埋める必要があったし、ここまで在宅勤務が伸びるとも思わなかったのだから仕方ない。

台湾ASUSまで行って実機を見てきたZephyrus G14。ハァハァ

 同製品の筆者にとっての最大のメリットは、最上位モデルにおいてネイティブで2,560×1,440ドット(WQHD)の14型液晶を備えている点だ。繰り返しとなるが、筆者の仕事の作業効率の観点ではWQHD解像度がベスト。Zephyrus G14はこの解像度のパネルを最初から搭載しているので、あれこれ悩む必要はない。サイズも14型に抑えられていて、普段座っている食卓のお誕生日席でも問題なく置ける。

 5月27日という発売日のタイミングで購入できたのは、ムーンライトホワイトの「GA401IV-R9R2060WLQ」1機種のみ。本当はAniMe Matrixが不要で少しでも軽いのが良かったのだが、WQHD液晶はAniMe Matrixとセットなので仕方ない。なかなか買いに行くタイミングがなく結局購入できたのは6月2日となったが、秋葉原のビックカメラAKIBAで在庫取り置きをしてもらい、赴いて263,800円でお持ち帰りしたのであった。

13.3型のBlade Stealth 13を上に載せてみた。サイズ的にはZephyrus G14が320×222×19mm(幅×奥行き×高さ)、Blade Stealth 13が304.6×210×15.3mm(同)なので、違いはわずかだ

Zephyrus G14のいいところと悪いところ

 Zephyrus G14のパッケージを開けて「おお!」と声を発したのは妻だった。確かにこのムーンホワイトで柔らかい印象の天板は、ゲーマーっぽい雰囲気がまったくなく、万人受けしそうだ。CNCで加工された6,536個のホールや、ROGが2006年からはじまったことを示す金属製のバッジプレートも、かなりいいアクセントとなっている。6,536個のホールはROGブランドの製品がこれまでにメディアから得た賞の数だというのだが、筆者が差し上げた賞もそのなかに1つぐらいはあるに違いない(ない)。

 AniMe Matrixを搭載した本モデルでは、電源をつけると、ROGのロゴが浮かび上がる。これにはさすがに二人とも「おお~!」と妙テンションが上がってしまった。ゲーマー向け製品というとRGB LEDライティングがまばゆく光って「みなぎってきたぜーw」的な雰囲気なのが多いのだが、Zephyrus G14のそれはエレガントで落ち着いている。AniMe Matrixは不要と言ったな。あれは間違いだ。撤回する。

ROGのロゴが表示される天板。初見でいきなりテンション上がる
仕事中によく妻に「今何時?」と聞かれるので、時計を常時表示させておくことにした

 パームレストやキーボードのフレームは、樹脂かプラスチック製かと思われる。こう聞くとチープな印象を受けるかもしれないが、このおかげでパームレストが熱くなりにくい。また、エッジも角が落とされていて、Blade Stealthのように手のひらがあたっても痛くなることはない。

 キーボードのストロークもBlade Stealth 13のそれと比較して深くなっている。柔らかいキータッチなのは好みなのだが、ストロークが深いゆえに、稀に入力されたはずの文字が入力されていなかったことがあった。しかし長文の入力にはむしろストロークが深いほうが指への負担が少なく、総じてBlade Stealth 13より快適になったと感じている。

 ただ標準でPrintScreenキーがないのが気になった。筆者はこれからオンラインでの取材が増えるので、そのなかに出てきた登壇者やスライドの画面キャプチャは絶対に必要だ。本機ではFn+F6キーで「切り取り&スケッチ」による画面の切り取りが開始できる(Windows+Shift+Sキー相当)のだが、ここで切り取っても切り取り&スケッチアプリに取り込まれるだけで、直接保存はされないので使い勝手は悪い。

ASUSは3万円台の安いE203MAでも日本語キーボード専用のフレームをちゃんと採用してくれるがいい。10万円超えのZephyrus G14では当たり前。さすが日本好きのジョニー・シー会長は妥協がない。だが、俺に必要なPrintScreenがない

 それから、横に排熱口を設けているので仕方ない部分なのだが、あらゆるインターフェイスが手のすぐ横に配置されていて、USBメモリをつなげたりSSDをつなげたりしたさいに、マウス操作の邪魔になるなぁとは思う。さらに言えば、ACアダプタのコードが排熱直撃なのでちょっと心配にもなったりする。

 とくにUSBポートの配置は、有線マウス使いの筆者にはつらかった。仕方がないので、Zephyrus G14買ったポイントでロジクールの無線対応マウス「G903」を買った。有線マウス信者ではあるのだが、仕事の関係でこれまで多くの無線マウスを試してはいる。そのなかでもロジクールが一番安定していて、一度も途切れた経験はないので、選択した。

側面後ろ側に排気口があるので、インターフェイスは前寄りに
有線マウス信者にはつらいUSBポート配置
ロジクールのG903を購入。もともと途切れた経験がない同社製マウスなのだが、この距離ならさらに問題はないだろう
まあこれはこれで、昼食時にささっとマウスを移動できるのがいい

 ちなみに筆者は物珍しさに、AMDのサイトからダウンロードした最新のRadeon Softwareを適用してみたのだが、どうも安定しないらしく、Windows Updateを実行するとバージョン番号が低いものが当てられ、そのインストール最中にブルースクリーンになった。また、普段の作業中も突拍子もないタイミングでフリーズしたりする。おそらくきちんと適合しないのだろう。

 AMDのダウンロードサイトでは、Ryzen 9 4900HSが検出され、それにあったドライバとして提供されている。Ryzen 9 4900HSは現時点ではASUSのZephyrus G14しかないので、てっきりOKだと思ったのだが、やはり検証が進んでいるASUS版を使ったほうが無難のようだ。

 本機はRyzen内蔵のグラフィックスのほかに、GeForce RTX 2060 Max-Qも搭載されている。このGeForceはRyzen内蔵GPUを経由して内部ディスプレイに表示しているのだ。つまりAMD版Optimusとも言うべき構成なのだ。さらに言えば、本体左側面のUSB Type-CはDP Alt Modeによってディスプレイ出力も可能なのだが、これはRyzen内蔵GPUではなくGeForce側に接続されている。デュアルディスプレイ環境では、Ryzen内蔵GPUとGeForceをまたいで描画されるわけだ。このあたりの関係もあって、ASUSから提供されたドライバを使ったほうが安心できる。

Radeonのドライバは26番台。Zephyrus G14向けの特別ビルドなのか、これでしか安定動作しなかった

8コア16スレッドがもたらすストレスフリー

 まあ、そうした不満はあるものの、重箱の隅をつつくようなものだ。どの製品とて得手不得手があり、完璧なものはない。総じて評価するなら、Blade Stealth 13より快適に使えている。とくにパームレストに熱が降りてこない、エッジが痛くない、キーボードのストロークが深いといったあたりが、記事を執筆する上で明らかによくなったと感じている点だ。

 執筆のみならず普段の業務もかなり快適になっている。

 前回紹介したとおり、Blade Stealth 13はスケーリング150%でWQHD相当で使っていたのだが、このスケーリングが曲者で、姿勢改善目的で接続している15.6型フルHD液晶との相性が悪い。Blade Stealth 13側をスケーリング150%、外部液晶側をスケーリング100%に設定し、エディタ画面を外部液晶側に持ってくると、Google日本語入力の候補表示ウィンドウがよくわからないところに表示されてしまうのだ。

 加えて、画面をまたいでウィンドウを移動させたさいも拡大縮小を繰り返したりしてストレスだし、4K液晶で視認性を高めるために大きくしたマウスポインタが、外部液晶側ではとてつもなく巨大に見えたりする。

 Zephyrus G14のWQHD液晶なら、スケーリング100%のままなので、そういった問題が起きないのである。

AUZAIのME16と組み合わせたところ。スケーリングが同じ100%どうしなので、ディスプレイをまたいださいにアプリケーションが変な表示になってストレスになることはない

 ちなみにデュアルディスプレイにした場合、一定時間が経過してディスプレイの電源が落ちると、外部ディスプレイとともにGeForceも無効になるので、復帰したときにサブ液晶に表示していた画面がメインに移ってしまう。まあ、サブ液晶はエディタのウィンドウぐらいしか置いていないのでさほど問題はないし、画面をオフにする時間を長めに設定して対処した。

 もう1つ、通常業務に圧倒的な快適性をもたらしたのは、やっぱり8コア/16スレッドの圧倒的なパワーだった。先述のとおり、筆者はPC Watchのアクセス動向などを監視しながら執筆をこなしているのだが、8コア16スレッドだとCPU使用率は10%未満程度しか消費しない。たとえWindows Updateが来ても、負荷は十数%にとどまる。残るCPUリソースは全部筆者が自由に使えるのだ。

 Windows 10はWindows 7のときと比べても、思った以上に多コアをうまく使ってくれている。CPUコア1つに任せたほうが速度が出てユーザー体験が向上するときは自動的にそうなるし、負荷を分散させて消費電力を減らし、熱のスポットを解消したほうがいいときは勝手にそうする。そうしたマルチコアに最適化されたOSの環境下で、8コアのCPUを搭載したノートPCが使えるというのはとても幸せなことだ。

Core i7-1065G7がゼイゼイハァハァ言いながら働いているあいだ、Ryzen 9 4900HSは胡座かいて「仕事まだっすか?」と言わんばかりの余裕を見せる

さらばアムダールの法則。さらばIvy Bridge

 2018年4月にAliExpressで中古のXeon E5-2680 v2と対応マザーボードを購入し、“5年前の製品(Kaveri)から5年前の製品(Ivy Bridge-EP)に買い替えたのに大満足しちゃった”筆者であったが、やっぱりあのときの状況は異常だったと思う。単なるCPUの多コア化が最終目的と化していて、「Ryzen Threadripperは高いし、8コアのRyzenを買うぐらいなら10コアのIvy Bridge-EP買うぜ」という思考に至らしめたのであった。

 ところが、Zen 2アーキテクチャのCPUの登場でこの状況は完全にひっくり返った。8コアのRyzen 7 3700Xはたった4万円で、新旧問わず競合の10万円以下のほとんどのプロセッサより高速。1万円台のRyzen 3 3300Xは、それまでのハイエンド4コアCPUの立場をなき者にした。最強のRyzen Threadripper 3990Xすら50万円未満で買えてしまう。中古のCPUが安いからと言って買う意味はないのだ。

 長らくメインストリーム向けCPUのコア数を4つに制限してきたのは、アムダールの法則の存在だろう。コア数が増えても、処理を並列化できなければ意味がなく、「普通のユーザーにはそこまで処理を並列化するようなタスクがない」ためだ。しかし、ユーザーが4コアCPUのまま使い続けるから、永遠に普通のユーザーなのだ。8コアとか16コアとかのCPUが与えられてはじめて、生産性の向上や新しい使い方に気づくはずなのだ。

 ちなみに今回あまり触れていないが、Zephyrus G14ではGeForce RTX 2060 Max-Qも内蔵しているので、ゲームも問題なくプレイできる。ただ、2060にとってWQHD解像度は若干荷が重く、ゲームを優先させるなら下位の120HzフルHDモデルを投入したほうが幸せだろう。ただ、筆者が普段プレイする3Dゲームならなんら問題なく動作するので、昼夜問わずリビングに居座るようになってしまった。

 こうして、Ryzenパワーによって約2年でIvy Bridge-EPオジサンを晴れて卒業できた筆者。Zephyrus G14で“ニューノーマル”な仕事環境を整えつつ、それによってなにか新しいことをはじめられないか、模索する日々が続いている。