買い物山脈
狭い机のキーボードの操作がぐっと楽になる「エルゴレスト」は身体が硬い人におすすめ
2020年6月24日 09:10
- 製品名
- エルゴレスト
- 購入価格
- 右側:送料込み2万円(マウスパッド付き)、左側:15,000円(Amazon海外発送)
- ※ダメだったやつも含めるといっぱい買った
- 購入時期
- 2020年5月
- 使用期間
- 1カ月
- 満足度
- ☆☆☆☆☆
吾輩はぷーたん。仕事はまだない
筆者は途方にくれていた。レイオフ宣告から2カ月たち、理不尽かつ不愉快な交渉を経て凹みまくり、体重は3kg減ってようやく記事をかける程度に立ち直った。
世界的な災害とはいえ、リーマンショックの高給取り金融マンのごとくレイオフを食らってダンボール箱を抱えて路頭に迷うことになるなどとは、あまり想像していなかった。
優秀な人が集まった素晴らしい会社だったので、ここで働けなくなるのは非常に残念だった。コロナ状況ではDX関連で追い風セクターだったので、なぜここでジタバタするのか理解に苦しむ。
もちろん、テレワーク用に夫婦2人分の設備投資をしたので、5月のカード請求がものすごいことになっていた。 財布が火事というよりも気分的には隕石直撃と富士山大噴火を同時に食らって消し飛んだ気分である。
さらに国民健康保険の請求書がやってきて目も当てられない。
無職になった筆者は穀潰しのぷーたろうなので、毎日自転車で近所の野菜スタンドを回って安い食材を買い出し、ひたすら家事と片付けをする毎日である。 生活費の足しにはならないが、中華料理の文筆業のほうも原稿を書くことがあるので、キーボードは案外叩く。なにかしていないとただのプーなので仕事しているふりをしている。
そうするとどうしても、臨時の在宅ワークスペースでは肘がぶらりんとなって肩が凝るのだ。 会社のアーロンチェアには肘当てが付いていたが、前のめりのキーボード操作のときはあまり利点を感じなかった。会社環境で真に利点を感じたのは、机の奥行きである。
筆者は机の手前部分に前腕をおいて、腕の荷重を机に乗せていた。家の折りたたみ机だとそんなスペースは机にないので、長時間キーボードを叩くとかなり肩がこる。 前に出した腕の重さを全部肩で支えるのはかなりしんどい。太極拳で静止する姿勢が筋肉にかなりプルプルくるのと同じで、これを苦行ととるか筋トレのご褒美と取るかは解釈次第だが、最近は苦行になってきた。
同居のアネサマの同僚からは、身体のしびれなどのかなり深刻な体調トラブルの相談もくるようになってきた。筆者は財布の致命傷以外は今の所ノーダメージである。
この散財記録の記事が、折りたたみ机やダイニングチェア間借りで仕事をしていて辛い思いをしている皆さんに役立つことを願う。出勤する人が増えてそろそろ第二波が来そうな予感だ。欧米大手ITが発表している通り、最低でも初冬までは在宅ワークの日が続くだろう。
打開策はパームレスト? アームレスト? いくつか買ってみる
座椅子から始まった我が家のテレワークだが、キーボードの手のポジション問題がテレワーク開始から大きな問題だった。 まず、我が家のアネサマがリストレストを所望。MacBook ProのキーボードやMagic keyboardでは打鍵面と机との高さの差が小さいため、パームレストの有効性はあまりない。
しかしREALFORCEのような普通のキーボードを使う場合は打鍵面が3cmほど高くなり、たしかにパームレストがないと腕を常に中空におくことになり、肩が疲れて作業がしにくい。
1つ目は、キーボードのサイズのオーソドックスなパームレスト。これは数日で却下されて筆者のもとにお下がりとしてやってきた。 まあ、自分で使うかぎり悪くないのだが、個人の体格の問題で、高さが少し合わないらしい。これは困った。
アネサマいわく、リストレストはキーボードとの高さ調整が重要で、最終的にはタオルをおいて調節しながら使うのだそうだ。 最近はMacのバタフライキーボードしか使ってこなかったので、筆者はあまり気にならなかった。
アネサマから、気に入らないから別のをもう一つポチってくれと言われたので、こんどご指名でポチったのが、この豚のパームレストセット。 これで一旦は解決した。
筆者も欲しくなった、狙うは25年越しの記憶のアレだ
筆者の一連テレワーク設備シリーズを面白いと反応してくれた人のなかに、高校浪人生大学時代にパソコン通信のSysOpでお世話になった方がいた。いまエンジニアで食っていけるのは抜群に優秀だった彼のアドバイスのおかげだ。25年ぶりくらいに連絡させていただいて、記事を書いてよかったと本当に思った。
そして彼の周りのテレワーク関連Twitterで出ていたのが、今回紹介する「エルゴレスト」である。パソ通時代にそのBBSで主に絵描きの間で話題になっていたが、いまでも存在するとは思わなかった。そして、25年前に買った人が未だに部品交換しながら使っていると言うではないか。主に絵描きの人が使うものだったとはいえ、アキバでジャンクを漁っていた筆者の先見の明がないことを恥じた。 歴史に残るパーツを所有してきたが、25年間も使っているパーツは1個もない。
現物は、秋葉原のとんかつ屋「丸五」の裏の「ヤマギワリビナ館」で見た気がする。たしか「バイオライト」という交流を直流に変換して点灯させるデスクライトと一緒においてあった記憶がある。高級オーラを放つこいつらを、将来がっつり稼いで買ってやろうと思ってたが、世間の荒波にもみくちゃにされて四半世紀。白熱電球の時代からLEDの時代になり、徹夜も平気だった覇気にあふれた若者が白髪の目立つうだつの上がらない中年になり、金もなければ身体も言うことを聞かない。あの頃と変わらないのは分別がないことだけだ。いまこそポチる時が来たぜ、無職だけど。無理して先に買ってがっつり稼げるようになるべきだった。
いろいろあって家に着弾。まずは使用感
エルゴレストを簡単に説明しよう。精密作業を行なう人向けのアームサポーターである。たとえば時計職人や彫金師などの精密加工をする人や、タブレットでイラストを作成する人などが使うアームサポーターだ。
また、腕が動かなくなった人のために、病院でリハビリなどにも活用されているそうだ。
椅子にくっついたアームレストとの違いは、腕に追従してうごくため、机の上を手のひらが水平移動するような動きをすることだ。たぶんタブレットでスタイラスペンをもってCADの操作をするなどがひじょうににしやすいと思う。
使いはじめて数時間は慣れないが、じきにその楽さに気がつく。「楽」というよりも「楽しい」感覚だ。手を動かすのではなくて肘を動かすと手のひらの位置がかわるのだ。そのため手の動きは作業のみに集中することができる。
調子に乗ってたら、左手側のエルゴレストもどっかから生えてきた(後述)。片方だけで良いかと最初は思ったが、左右の高さが揃ってないと身体がねじれるので左右セット購入がおすすめだ。
筆者は身体の柔軟性が全然ないため、バランスが崩れるとすぐに身体がいたくなる。自転車も採寸してフルオーダーで作ってもらっている。 世の中の9割の人は気にならないと思うが、1割の人にはこういうツールが必要だろう。
手のひらがしっかりと固定されていなくても空中を自由に移動できるので、タッチタイプがあまり得意ではなく悪癖でポチポチとキーボードを押す事が多い筆者としてはかなり楽。
そして、マウスに手を伸ばすのが腕を持ち上げず、肘を支点に二の腕を持ち上げて引くだけで済むのがたすかる。なるほど、時計の修理や宝石の金属加工などする人は腕の支えとして楽だと思うし、微妙な手さばきが要求されるはんだ付け作業にも役立ちそうだ。
私、奥行きのある机を使っていたとしても、二の腕と上着の袖のボタンをカチカチと机に擦り付けることになるので、机の奥行きを使うよりも「エルゴレスト」のほうが具合がいい。
設置は簡単。これなら食卓でも利用可能だ。同様の商品選定には注意点あり
設置自体は非常にシンプル。手回しネジそのものが万力のクランプのようになっていて、手でまわすだけで数秒で脱着可能だ。オーバートルクにもならない。 この機構がよく考えられている。中華の同じようなアームレストは、「万力そのもののネジ」が使われているため、尖った出っ張りパーツがあるのだ。設置場所が見にくい場所なので、子供が突っ込んで怪我でもしたら大変だ。
その点、「エルゴレスト」はよく考えられてデザインされている。怪我をしそうなかたちをしている場所がない。病院でリハビリ支援に使われるというのも納得だ。
通販などで同様の製品が売られているが、自分の生活に合わせて細部を写真で確認して購入を検討して欲しい。若い頃はエッジが武器みたいなヤツや、感電やけどしそうな代物をたくさん持っていたが、おとなになるというのは、武器を家に持ち込んではいけないと知ることだ。
逆に安全性を気にしなくてもいいオフィス的な場所であれば、安価なタイプに保護用の熱収縮チューブをかぶせるなど、コストを優先するのもいいと思う。
高さの調整機構もシンプル。半分うめこまれた手回しネジを回すことで調整だ。これで椅子とキーボードにあわせて手の高さを調整できるのだ。
数cmの高さ調整なので、椅子の高さ、二の腕の長さ、キーボードの高さ(机の都合で固定)を調整しきるには不足する部分はあるが、ないよりはマシだ。
贅沢を言えば高さを簡単に動かせる自動昇降机が欲しいところなのだが、そこまで行くとテレワークではなくて自宅のオフィス化なので将来の夢に取っておこう。
筆者は気に入ったが、アネサマはどうだろう?ということで与えてみた
我が家では、パーツどころか調理器具や食品も自動的に生えてくることになっている。ある朝、アネサマのワークデスクに「エルゴレスト」を生やしてみた。 もし気に入ったらもうワンセット買うのだ。お値段はるけど、身体に負担をかけて病院いくこと考えれば安い投資だ。気に入らなかったらそのままでいい。
結果としては、エルゴレストは気に入らなかったようで1日で筆者のもとに帰ってきた。肘あてのあたりが蒸れる感覚が気になるらしい。仕事モードのときは長袖を着ていると気にならないが、半袖だとたしかに気にはなる。まあ、好みと慣れの問題だ。
筆者は、椅子についた固定の肘当てよりも追従性の面で良いと思う。最初から肘当てがついているオフィスチェアを使っている人は問題ないが、食卓の椅子や肘当てなしの椅子の人にはおすすめしたい。
その代わりにもう1個リストレストをオーダーしろと要望されたのは、AliExpressで見つけたこいつだ。また豚かよ。さらに色に狂気を感じる。
大事なのは使い勝手ではなく、日本人には理解できない前衛的な美意識が影響している気がしてきた。我が家のアネサマは日本人だが、中国に長くいたため上海女性のメンタルである。
最後に、エルゴレストの購入についてだが、Amazonで売ってるものはおもに海外発送品のようだ。筆者も値段が安かったAmazonで片方を最初に頼んでしまい、届かないなーとおもったら後の祭り、2週間以上かけてようやく届いた。もう片方は日本の正規代理店にお願いしたところ、爆速で発送してくれた。納期については確認してから購入先を決めたほうが良さそうだ。
購入の結論としては、筆者は非常に満足している。なんなら出張作業の出先まで持ち歩きたいほどである。だれかほかの人にも勧めたいのだが、聞くところによると品薄になっているのだとか。うまく在庫状況を見て入手して欲しい。